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緊張のとき
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「それは、本当なのよね。」
いつか見た時と同じような反応だった。
「・・・うん。」
「それは、、、どれくらいで死ぬの?」
「詳しいことはわからない。死ぬかもしれないし、死なないかもしれない。」
「本当に、本当に、死ぬかもしれないのよね。」
「・・・うん」
「そう、、、」
彼女はいま僕の向かいに座っている。その彼女は俯いて、どんな表情をしているのかはわからない。
でも、彼女の小さな手は震えている。不安が、恐怖が彼女を襲っている。
「だから、ここにきてもらったんだ」
「そう、、、」
「家の中まで、入ってこれたから、もう大丈夫。だから心配しないでいい。」
「そう、、、あなたがそういうのなら、大丈夫よね。」
「もちろん。だから、不安で震える必要はないよ。」
「そうよね。ありがとう。・・・少し横になってもいいかしら」
「そうだね。すこし休もうか」
僕は押入れからタオルケットを持ってきて、彼女に貸した。彼女はそのタオルケットをかけ、クッションを枕がわりにして静かに横になった。
僕もしばらくは座っていたが、やがて眠くなり机を挟んで彼女と同じように横になると、すぐに眠りについた。
僕が起きたのは8時過ぎだった。部屋は寝始めた時と比べ、すこし暗かった。ゆっくりと起き上がって、その動きのまま電気をつける。彼女はまだ眠っているようだった。
まだご飯も食べていなければ、お風呂にも入っていない。
入るかわからないけどお風呂を沸かして、食べるかわからないけど、軽食くらいは用意しておくか。
僕はまだ眠っている、彼女をよそに風呂掃除に取り掛かり、お湯をためている間におにぎりと卵焼きを作った。
「んーーー」
あらかたの作業が終わったところで、それを待っていたかのように、彼女が起きた。
「だいぶ寝ていたみたいだね」
「ーーーーいま何時よ?」
「もう9時近くだね」
「・・・なんで、早く起こさなかったのよ!っていうか何にもしてないでしょうね?」
彼女はタオルケットで体を隠しながら、僕に聞いた。もちろん服はしっかりと着ているし、何もした覚えはない。
「何もしてないよ。僕がそんな人間にみえる?」
「・・・たしかに、ヘタレっぽい顔してるわね」
「それはさすがに、傷つくよ、、、」
ふふっ。
彼女が何気ない仕草で笑ってくれた。屈託のないとても無邪気な笑顔だった。
「ひどいなぁ、もう。」
僕はその顔を見てとても嬉しくなった。こうしている時間が楽しいんだと知った。
「とりあえず、お風呂でも入ってきたら?本当に溺れ死ぬのだけは勘弁して欲しいけど。」
「んー、男の子の家でお風呂に入るのは嫌ね。」
「ヘタレだのって言っておいてよく言うよ。」
「それもそうね。心配は不要だったね。」
「もういいや。早く入ってきなよ。着替えは適当に用意しておくから。」
「ありがとう。じゃあさきに入るわね。わかってるでしょうけど、のぞきでもしたら、ぶん殴るわよ」
「わかってますって。」
彼女はそそくさと風呂場まで向かい、僕にもう一度、牽制を決めて扉を閉めた。
彼女が風呂に入っている間、また一人の時間がやってきた。さっきと違いすることもなくなってしまったので、リモコンを取り、テレビをつけた。あらかたのチャンネルを回して、何か面白そうな番組はあるかと探してみたが特にこれといってなかった。
「ふぅ~~~」
再び退屈になった僕は、ゆっくりと寝転び天井を見上げる。そこには、真っ白に光る部屋の明かり。明るいそれをみて、何故か心地よくなり、気がつけばまた眠ってしまっていた。
目を覚ますと10時30分を過ぎている。1時間くらい寝てたみたいだ。どうやら、彼女はまだ風呂に入っているらしい。
・・・1時間以上も経っているのに、まだ上がってないのは大丈夫なのだろうか。
小さな疑問は、ひとつの心配になった。このひとつの心配が、大きな不安になった。
気がつくと僕は、走って洗面所のドアをあけ、浴槽の扉をあけていた。
「死んでないよねっ」
思いっきり開けた扉の先には、湯船に浸かっている彼女の姿があった。
「・・・な、、なにやってんのよ!」
彼女はとっさに湯船の水を手ですくい、僕の顔をめがけて投げ込んだ。
いつか見た時と同じような反応だった。
「・・・うん。」
「それは、、、どれくらいで死ぬの?」
「詳しいことはわからない。死ぬかもしれないし、死なないかもしれない。」
「本当に、本当に、死ぬかもしれないのよね。」
「・・・うん」
「そう、、、」
彼女はいま僕の向かいに座っている。その彼女は俯いて、どんな表情をしているのかはわからない。
でも、彼女の小さな手は震えている。不安が、恐怖が彼女を襲っている。
「だから、ここにきてもらったんだ」
「そう、、、」
「家の中まで、入ってこれたから、もう大丈夫。だから心配しないでいい。」
「そう、、、あなたがそういうのなら、大丈夫よね。」
「もちろん。だから、不安で震える必要はないよ。」
「そうよね。ありがとう。・・・少し横になってもいいかしら」
「そうだね。すこし休もうか」
僕は押入れからタオルケットを持ってきて、彼女に貸した。彼女はそのタオルケットをかけ、クッションを枕がわりにして静かに横になった。
僕もしばらくは座っていたが、やがて眠くなり机を挟んで彼女と同じように横になると、すぐに眠りについた。
僕が起きたのは8時過ぎだった。部屋は寝始めた時と比べ、すこし暗かった。ゆっくりと起き上がって、その動きのまま電気をつける。彼女はまだ眠っているようだった。
まだご飯も食べていなければ、お風呂にも入っていない。
入るかわからないけどお風呂を沸かして、食べるかわからないけど、軽食くらいは用意しておくか。
僕はまだ眠っている、彼女をよそに風呂掃除に取り掛かり、お湯をためている間におにぎりと卵焼きを作った。
「んーーー」
あらかたの作業が終わったところで、それを待っていたかのように、彼女が起きた。
「だいぶ寝ていたみたいだね」
「ーーーーいま何時よ?」
「もう9時近くだね」
「・・・なんで、早く起こさなかったのよ!っていうか何にもしてないでしょうね?」
彼女はタオルケットで体を隠しながら、僕に聞いた。もちろん服はしっかりと着ているし、何もした覚えはない。
「何もしてないよ。僕がそんな人間にみえる?」
「・・・たしかに、ヘタレっぽい顔してるわね」
「それはさすがに、傷つくよ、、、」
ふふっ。
彼女が何気ない仕草で笑ってくれた。屈託のないとても無邪気な笑顔だった。
「ひどいなぁ、もう。」
僕はその顔を見てとても嬉しくなった。こうしている時間が楽しいんだと知った。
「とりあえず、お風呂でも入ってきたら?本当に溺れ死ぬのだけは勘弁して欲しいけど。」
「んー、男の子の家でお風呂に入るのは嫌ね。」
「ヘタレだのって言っておいてよく言うよ。」
「それもそうね。心配は不要だったね。」
「もういいや。早く入ってきなよ。着替えは適当に用意しておくから。」
「ありがとう。じゃあさきに入るわね。わかってるでしょうけど、のぞきでもしたら、ぶん殴るわよ」
「わかってますって。」
彼女はそそくさと風呂場まで向かい、僕にもう一度、牽制を決めて扉を閉めた。
彼女が風呂に入っている間、また一人の時間がやってきた。さっきと違いすることもなくなってしまったので、リモコンを取り、テレビをつけた。あらかたのチャンネルを回して、何か面白そうな番組はあるかと探してみたが特にこれといってなかった。
「ふぅ~~~」
再び退屈になった僕は、ゆっくりと寝転び天井を見上げる。そこには、真っ白に光る部屋の明かり。明るいそれをみて、何故か心地よくなり、気がつけばまた眠ってしまっていた。
目を覚ますと10時30分を過ぎている。1時間くらい寝てたみたいだ。どうやら、彼女はまだ風呂に入っているらしい。
・・・1時間以上も経っているのに、まだ上がってないのは大丈夫なのだろうか。
小さな疑問は、ひとつの心配になった。このひとつの心配が、大きな不安になった。
気がつくと僕は、走って洗面所のドアをあけ、浴槽の扉をあけていた。
「死んでないよねっ」
思いっきり開けた扉の先には、湯船に浸かっている彼女の姿があった。
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彼女はとっさに湯船の水を手ですくい、僕の顔をめがけて投げ込んだ。
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