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迷い
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子羊亭の夕方は物凄く忙しい。
一階の食堂では昼間は定食を提供し、夜は酒場となり酒と定食の両方を提供しているので厨房は修羅場と化す。
デザート用のリンゴを一つ持った途端にバキ!っと、女将の腰から聞こえるはずの無い物凄い音が聞こえ、そのまま女将は身動きも取れずに真っ青な顔でそのまま横に倒れていった。
『猫の手も借りたい』と何時も言っていた宿の女将がギックリ腰で使い物にならなくなった瞬間だった。
お陰でこの日から子羊亭の宿は女将のでギックリ腰が治るまでの無期限の臨時休業になっていた。
何故ならこの宿は女将の手料理で繁盛していたからだ。
但し一部の常連客数名はそのまま宿に残っていた。
常連客は人が少なくなり広くなった宿を満喫している。その中に勿論カルバンも含まれていた。
カルバンの泊まる部屋は、セミダブルのベッドと向かい合っているソファーが有るだけの小さな部屋でテーブルも無い、取り分けて良い部屋と言う訳でもなかった。
但し宿の清潔感と女将の料理が好みで、随分前から利用している。
この宿以外利用する気の無いカルバンは女将のギックリ腰でも気にせず宿に泊まっていた。
女将の居ない宿の昼間は客が1人も居ないおかげで、カルバンは少しホッとした。
こんな弱りきったマリアの肩を抱いて部屋に行く事自体はカルバンは気にしないが、マリアの今後を考えると、又変な噂が立つ事を恐れた。
それにマリアの周りで得体の知れない事が起こっている。
悪意の満ちた噂。
カルバンはその噂に何度も耳を塞ぎたくなったのは言うまでもない。
噂を信じられずにクロードの屋敷に行ったがクロードにもマリアにも会えずじまい。
もう一度兄ディアスに会いに実家に行ったが今度は門前払いに、実の兄の身勝手さにカルバンも憤り、家令を押し退けて屋敷に入るとメイド頭アリスがカルバンの目の前に現れた。
マリアはアリスに全てを話していたようだ。
アリスの話を聞くと、クロードと離縁していたが、クロードの容態が戻るまでは側にいようとしている。
そしてマリアがカルバンを探しに出て行った事をアリスから聞いた。
いてもたってもいられず、直ぐにマリアを探し回った。やっとマリアを見つけたら・・・マリアは公園で1人泣いていた。
アリスから大体聞いていたので何が有ったかは想像出来た。
マリアの事を考えると細心の注意が必要だ。
これ以上は傷付いて欲しくは無かった。
憔悴しきったマリアを部屋に連れて来たカルバンはマリアをソファーに座らせて、カルバンは向かい合ったベッドに座ろうとしたが、困った事にマリアがカルバンの腕を離そうとしなかった。
すがる様なマリアを引き剥がすことも出来たが小さい頃から可愛がっていたマリアには何時も甘くなり、マリアが望む様にマリアの隣に腰を下ろした。
それでも腕を離さないマリアを見ると小さい頃のマリアを思い出す。
あの頃よりだいぶ大きくなった。
子供、子供だと思っていたのにいつの間にかお嫁に行ってしまって・・・早速離婚するなんて誰も想像できない。
益々マリアから目が離せなくなった。
本当に困った子だ。
ダメな子ほど可愛いとはよく言ったものだ。
ピッタリとくっついて居るマリアを困ったとは思っても、迷惑どころか、マリアが頼ってくれることに喜びさえ胸の内に広がる。
可愛い大事なマリア。
これ以上は傷付いて欲しくない。
このまま真実を伝えて良いものかと思ってしまうほどマリアは憔悴しきっている、カルバン未だに考えあぐねている。
そんなカルバンを見透かした様にマリアはカルバンを見上げた。
「マリア?何が知りたい?」
「叔父様の知っている事全て知りたいの」
マリアの言葉に一瞬困った顔をしたが直ぐに真面目な顔でマリアを見た。
「コレだけは言っておくよマリア、何が有っても俺は、お前の味方だからね!それだっけは覚えておきなさい」
「はい、叔父様」
『そうか』と言ってカルバンはため息をついて話し始めた。
宿の辺りはユックリと確実に闇の中へと世界を包んでいった。
※※
ベッドに体を投げ出すとそのまま額に片手を乗せ目を瞑った。
・・・感情的になり過ぎた。
何故あんな事を言ってしまったのだろうか?もう少しスマートに振る舞えないのか?
マリアの心がやっと手入り、少しは不安が減るかと思えば、今度は離れて行くのでは無いかという恐怖がクロードの心を蝕んで行った。
・・・もう溜息しか出てこない。
然も怒りの感情に任せてマリアに出て行けと言ってしまった。
心にも無い事を言った自分に嫌気がさす。
一つ溜息をついて窓から外を見ると、いつの間にか日が落ちかけていた。
夕刻と言うより夜と言った方が正しい。
まだマリアが戻ってきたと知らせが来ない。
まさか帰って来ないつもりじゃ・・・あり得ない、マリアの帰って来る場所はここ以外ある訳がない。
それでもマリアがクロードの側から離れようとしているのではないかと思うと不安はクロードを苦しめる。
叔父のカルバンの元に行くのだけは許せない。
昔っからマリアの手に負えない事が有ると、いつもマリアはカルバンを頼っていた。
それを見るたびに自分の無力さを思い知る。
もうあんな思いをしたくは無い。
それにあのカードに書いてあった様な事はあり得ないと分かっているのに、感情が上手くコントロール出来ない。
あのカードを見た時、冷たい闇へと引きずり込まれる様な感覚あり・・・次の瞬間、闇く澱んだ思いが全身から溢れ出すのがハッキリ分かった。
もし、もし本当に・・・マリアがカルバンを愛していたら・・・。
そんな事あり得ない、ある訳がない・・・マリアは俺が好きだと言った・・・。
そうだ、あり得ない考えに惑わされるな!
マリアは妻だろう!
・・・頭が変になりそうだ・・・。
これ以上は考えたくも無い。
良い加減!帰って来い。
身勝手なもので、今度はマリアに対して怒りがこみ上げてきた。
どうして直ぐに出て行った。少しは泣いてすがれば、まだ可愛げがあると言うのに。
それでもクロードはそんなマリアを愛している。
最初は遠くで見つめられるだけで満足だった。そのうち一緒に居たいと思う様になった。今ではマリアを独占したくて堪らない。
誰にも触れさせない。クロードだけのマリアでいて欲しい。
小さな頃からマリアだけを想っていた事を知ったら気持ち悪がるだろうか?
マリアに執着しているのを彼女が知ったら怯えるだろうか?
きっと怯えて逃げ出す。
逃げられたら何処までも追いかけて閉じ込めよう、何処にも行けないように閉じ込めよう。
手に入れて直ぐに失うのものほど辛いものは無いのだから・・・。
今の現状が面白く無い、それ以上に嫌な予感がしてしょうがない。
マリアを連れ戻して、何処へも行かないように、行けないようにしないと。
早く、早く、マリアを連れ戻そう。
クロードの脳裏に月夜の時のマリアの泣き顔が蘇った。
クロードの眉間にシワが寄った。
意識を無くして目が覚めたばかりは気が付かなかったが、クロードが日に日に体力を戻して行くに連れ、マリアの表情は酷く疲れた様な顔をしていった。
その疲れた表情はクロードを看病していたとばかり思っていたがどうやらそれだけではなかった。
その事に気が付いたのは2日前くらいだった。
そしてクロードの書斎の上にある書類の事をクロードはまだ気がついていなかった。
一階の食堂では昼間は定食を提供し、夜は酒場となり酒と定食の両方を提供しているので厨房は修羅場と化す。
デザート用のリンゴを一つ持った途端にバキ!っと、女将の腰から聞こえるはずの無い物凄い音が聞こえ、そのまま女将は身動きも取れずに真っ青な顔でそのまま横に倒れていった。
『猫の手も借りたい』と何時も言っていた宿の女将がギックリ腰で使い物にならなくなった瞬間だった。
お陰でこの日から子羊亭の宿は女将のでギックリ腰が治るまでの無期限の臨時休業になっていた。
何故ならこの宿は女将の手料理で繁盛していたからだ。
但し一部の常連客数名はそのまま宿に残っていた。
常連客は人が少なくなり広くなった宿を満喫している。その中に勿論カルバンも含まれていた。
カルバンの泊まる部屋は、セミダブルのベッドと向かい合っているソファーが有るだけの小さな部屋でテーブルも無い、取り分けて良い部屋と言う訳でもなかった。
但し宿の清潔感と女将の料理が好みで、随分前から利用している。
この宿以外利用する気の無いカルバンは女将のギックリ腰でも気にせず宿に泊まっていた。
女将の居ない宿の昼間は客が1人も居ないおかげで、カルバンは少しホッとした。
こんな弱りきったマリアの肩を抱いて部屋に行く事自体はカルバンは気にしないが、マリアの今後を考えると、又変な噂が立つ事を恐れた。
それにマリアの周りで得体の知れない事が起こっている。
悪意の満ちた噂。
カルバンはその噂に何度も耳を塞ぎたくなったのは言うまでもない。
噂を信じられずにクロードの屋敷に行ったがクロードにもマリアにも会えずじまい。
もう一度兄ディアスに会いに実家に行ったが今度は門前払いに、実の兄の身勝手さにカルバンも憤り、家令を押し退けて屋敷に入るとメイド頭アリスがカルバンの目の前に現れた。
マリアはアリスに全てを話していたようだ。
アリスの話を聞くと、クロードと離縁していたが、クロードの容態が戻るまでは側にいようとしている。
そしてマリアがカルバンを探しに出て行った事をアリスから聞いた。
いてもたってもいられず、直ぐにマリアを探し回った。やっとマリアを見つけたら・・・マリアは公園で1人泣いていた。
アリスから大体聞いていたので何が有ったかは想像出来た。
マリアの事を考えると細心の注意が必要だ。
これ以上は傷付いて欲しくは無かった。
憔悴しきったマリアを部屋に連れて来たカルバンはマリアをソファーに座らせて、カルバンは向かい合ったベッドに座ろうとしたが、困った事にマリアがカルバンの腕を離そうとしなかった。
すがる様なマリアを引き剥がすことも出来たが小さい頃から可愛がっていたマリアには何時も甘くなり、マリアが望む様にマリアの隣に腰を下ろした。
それでも腕を離さないマリアを見ると小さい頃のマリアを思い出す。
あの頃よりだいぶ大きくなった。
子供、子供だと思っていたのにいつの間にかお嫁に行ってしまって・・・早速離婚するなんて誰も想像できない。
益々マリアから目が離せなくなった。
本当に困った子だ。
ダメな子ほど可愛いとはよく言ったものだ。
ピッタリとくっついて居るマリアを困ったとは思っても、迷惑どころか、マリアが頼ってくれることに喜びさえ胸の内に広がる。
可愛い大事なマリア。
これ以上は傷付いて欲しくない。
このまま真実を伝えて良いものかと思ってしまうほどマリアは憔悴しきっている、カルバン未だに考えあぐねている。
そんなカルバンを見透かした様にマリアはカルバンを見上げた。
「マリア?何が知りたい?」
「叔父様の知っている事全て知りたいの」
マリアの言葉に一瞬困った顔をしたが直ぐに真面目な顔でマリアを見た。
「コレだけは言っておくよマリア、何が有っても俺は、お前の味方だからね!それだっけは覚えておきなさい」
「はい、叔父様」
『そうか』と言ってカルバンはため息をついて話し始めた。
宿の辺りはユックリと確実に闇の中へと世界を包んでいった。
※※
ベッドに体を投げ出すとそのまま額に片手を乗せ目を瞑った。
・・・感情的になり過ぎた。
何故あんな事を言ってしまったのだろうか?もう少しスマートに振る舞えないのか?
マリアの心がやっと手入り、少しは不安が減るかと思えば、今度は離れて行くのでは無いかという恐怖がクロードの心を蝕んで行った。
・・・もう溜息しか出てこない。
然も怒りの感情に任せてマリアに出て行けと言ってしまった。
心にも無い事を言った自分に嫌気がさす。
一つ溜息をついて窓から外を見ると、いつの間にか日が落ちかけていた。
夕刻と言うより夜と言った方が正しい。
まだマリアが戻ってきたと知らせが来ない。
まさか帰って来ないつもりじゃ・・・あり得ない、マリアの帰って来る場所はここ以外ある訳がない。
それでもマリアがクロードの側から離れようとしているのではないかと思うと不安はクロードを苦しめる。
叔父のカルバンの元に行くのだけは許せない。
昔っからマリアの手に負えない事が有ると、いつもマリアはカルバンを頼っていた。
それを見るたびに自分の無力さを思い知る。
もうあんな思いをしたくは無い。
それにあのカードに書いてあった様な事はあり得ないと分かっているのに、感情が上手くコントロール出来ない。
あのカードを見た時、冷たい闇へと引きずり込まれる様な感覚あり・・・次の瞬間、闇く澱んだ思いが全身から溢れ出すのがハッキリ分かった。
もし、もし本当に・・・マリアがカルバンを愛していたら・・・。
そんな事あり得ない、ある訳がない・・・マリアは俺が好きだと言った・・・。
そうだ、あり得ない考えに惑わされるな!
マリアは妻だろう!
・・・頭が変になりそうだ・・・。
これ以上は考えたくも無い。
良い加減!帰って来い。
身勝手なもので、今度はマリアに対して怒りがこみ上げてきた。
どうして直ぐに出て行った。少しは泣いてすがれば、まだ可愛げがあると言うのに。
それでもクロードはそんなマリアを愛している。
最初は遠くで見つめられるだけで満足だった。そのうち一緒に居たいと思う様になった。今ではマリアを独占したくて堪らない。
誰にも触れさせない。クロードだけのマリアでいて欲しい。
小さな頃からマリアだけを想っていた事を知ったら気持ち悪がるだろうか?
マリアに執着しているのを彼女が知ったら怯えるだろうか?
きっと怯えて逃げ出す。
逃げられたら何処までも追いかけて閉じ込めよう、何処にも行けないように閉じ込めよう。
手に入れて直ぐに失うのものほど辛いものは無いのだから・・・。
今の現状が面白く無い、それ以上に嫌な予感がしてしょうがない。
マリアを連れ戻して、何処へも行かないように、行けないようにしないと。
早く、早く、マリアを連れ戻そう。
クロードの脳裏に月夜の時のマリアの泣き顔が蘇った。
クロードの眉間にシワが寄った。
意識を無くして目が覚めたばかりは気が付かなかったが、クロードが日に日に体力を戻して行くに連れ、マリアの表情は酷く疲れた様な顔をしていった。
その疲れた表情はクロードを看病していたとばかり思っていたがどうやらそれだけではなかった。
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