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2章
本当の気持ち
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ジェリドは、当てもなく祭りの中を、考え事をしながら、歩いていた。何度か、人にぶつかったと思う。
そんな事は、どうでも良かった。
どうして・・・俺は・・・ミズキを、さらに脅えさせる事しか出来なかったんだ。
後悔が、ジェリドの心を支配する。
嫉妬だった、ダリルの腕の中に居たミズキの笑顔を見たとき、言いようのない苛立ちが体全身を駆け巡った。
すぐにでも、ダリルからミズキを引きはがしたかった。
ミズキは、俺とアイシャを見た途端に、あの笑顔が消えた・・・悔しかった、ダリルには花がほころぶような笑顔を見せる癖に、俺には顔を脅えた顔しか見せない。
俺の髭を触りながらあの笑顔を見せてくれるのなら、また騙されても良いとさえ思ってしまう。
屈辱的だが、これが俺の本心だった。
だが、俺のプライドが認めない。
5年前から、俺の心は、欲と、プライドのシーソーゲームをしている。
シーソーゲームの決着をつけたい。
いいや、決着を付けたくない、望みが薄くても、5年前の出来事はウソだったとミズキの口から聞きたい。
嘘でもいい、その嘘にも縋りつきたい。
それが、出来たら俺はどんなに幸せだろう・・・・。
バカな考えで、頭がおかしくなりそうだ。
夕暮れの空を、ため息と共に見上げた。
「ハア、ハア、ジェリド、ミズキは、ミズキはどこに行った…また何か言ってないよな・・ジェリド」
走って、追いかけてきたのだろう、息を切らしてジェリドに掴みかかった。
「あぁ、もうあの女は、俺たちの前に・・・現れないだろう・・・特に・・俺の前には・・・」
「おまえ、一体何をした・・」
「何って・・・何だっていいだろ・・・」
ジェリドは言葉を濁す。
「そんな事より、ミズキは何処へ行った。頼むから教えてくれ、ジェリド」
ダリルはジェリドに、深々と頭を下げた。
「何で、お前がそんなことする?必要は無いだろう?前にも言ったが、騙されたんだよ俺たちは、あの売女に!」
「ちがう、違うんだ、ジェリド話を聞いてくれ」
「なにが、違うんだダリル、俺はこの目で、この耳で聞いたんだぞ・・・ミズキは・・あの女は・・どんなに・・・・くそっ!!」
「ホントに、情けない男だね~!聞いてるこっちが、反吐が出るわ、ミズキも、何でこんな男に義理立てするのか、分からないわ」
手厳しい事を言っていたのはギルドの受付嬢の、キャサリンだった。
受付の時の印象とまるで違いすぎて、一瞬、誰だか判らなかった。
こんなに口が悪い女だったのか?
「あんたは・・・・」
「あら、私を知らないわけ無いでしょう?こんな美人!」
確かに美人だが、普通言うか?
「・・・・・・」
「お嬢、今はそんな事を言っている、場合ではありませんよ」
「そうね、ミルディンの言う通りね」
ジェリドの目が一瞬にして、険しくなった。
忘れもしない、5年前にミズキの隣にいた、『碧眼の男』この男が、ミズキを・・・ミズキを・・・俺から奪った張本人!許すものか、許せる訳が無い。
「その、お顔ですと初めましてと、言わなくても、良さそうですね?」
ミルディンははニコリと営業スマイルをした。
「そうだな・・・5年ぶりか・・あんた・・俺が、ミズキの・・・カモだと分かっているんだな?」
「う~ん。それは少々・・・違いますね・・・」
「何が、違う」
「あなたは、カモなんて上等なお肉ではなく、豚バラでも、勿体無い位ですよ」
ミルディンの営業スマイル。
「なっ!!」
ジェリドは絶句する。
「ミズキ様を『売女』呼ばわりする奴には、これ位、蔑んで丁度良いくらいですよ」
さらに、ミルディンの営業スマイルが輝いた。
「だが、事実ではないか、ミズキと一緒になって、俺達をはめたんだろ!」
「あなたは・・・・過去に何があったかは分りませんが・・・本当にミズキ様が、あなたを騙したと思っているのなら、ミズキ様の前から消えてください、ミズキ様の為になりません」
「勝手な事を・・・・」
ジェリドの奥歯が、ギリッと鳴った。
「勝手?本当に勝手でしょうか?」
ミルディンの完璧な営業スマイル。
「俺が・・・俺が、どれだけ、苦しんだと思っている?本当に・・・本当に、ミズキが騙しているなんて思っていたら、こんなに苦しんだりするか!!!」
ジェリドは、胸の服を鷲掴みをして、苦悶の表情で言った。
ミルディンは痛い所を突いてくる。
「それが、答えなのではないですか?ジェエリド様」
ミルディンは、まじめな顔で言った。
夕暮れ時に成り、ミズキは目を真っ赤に腫らして、のろのろと立ち上がった。
「帰りたい・・・」家に・・・・母の居る家に、あの柔らかい世界に。
本音が口から溢れた。
「それじゃぁ~~、返してあげるよ!氷の貴婦人!」
声のする方へ目を向けると!昨日、ミズキを闘技場から連れ出した男がそこにいた!
そんな事は、どうでも良かった。
どうして・・・俺は・・・ミズキを、さらに脅えさせる事しか出来なかったんだ。
後悔が、ジェリドの心を支配する。
嫉妬だった、ダリルの腕の中に居たミズキの笑顔を見たとき、言いようのない苛立ちが体全身を駆け巡った。
すぐにでも、ダリルからミズキを引きはがしたかった。
ミズキは、俺とアイシャを見た途端に、あの笑顔が消えた・・・悔しかった、ダリルには花がほころぶような笑顔を見せる癖に、俺には顔を脅えた顔しか見せない。
俺の髭を触りながらあの笑顔を見せてくれるのなら、また騙されても良いとさえ思ってしまう。
屈辱的だが、これが俺の本心だった。
だが、俺のプライドが認めない。
5年前から、俺の心は、欲と、プライドのシーソーゲームをしている。
シーソーゲームの決着をつけたい。
いいや、決着を付けたくない、望みが薄くても、5年前の出来事はウソだったとミズキの口から聞きたい。
嘘でもいい、その嘘にも縋りつきたい。
それが、出来たら俺はどんなに幸せだろう・・・・。
バカな考えで、頭がおかしくなりそうだ。
夕暮れの空を、ため息と共に見上げた。
「ハア、ハア、ジェリド、ミズキは、ミズキはどこに行った…また何か言ってないよな・・ジェリド」
走って、追いかけてきたのだろう、息を切らしてジェリドに掴みかかった。
「あぁ、もうあの女は、俺たちの前に・・・現れないだろう・・・特に・・俺の前には・・・」
「おまえ、一体何をした・・」
「何って・・・何だっていいだろ・・・」
ジェリドは言葉を濁す。
「そんな事より、ミズキは何処へ行った。頼むから教えてくれ、ジェリド」
ダリルはジェリドに、深々と頭を下げた。
「何で、お前がそんなことする?必要は無いだろう?前にも言ったが、騙されたんだよ俺たちは、あの売女に!」
「ちがう、違うんだ、ジェリド話を聞いてくれ」
「なにが、違うんだダリル、俺はこの目で、この耳で聞いたんだぞ・・・ミズキは・・あの女は・・どんなに・・・・くそっ!!」
「ホントに、情けない男だね~!聞いてるこっちが、反吐が出るわ、ミズキも、何でこんな男に義理立てするのか、分からないわ」
手厳しい事を言っていたのはギルドの受付嬢の、キャサリンだった。
受付の時の印象とまるで違いすぎて、一瞬、誰だか判らなかった。
こんなに口が悪い女だったのか?
「あんたは・・・・」
「あら、私を知らないわけ無いでしょう?こんな美人!」
確かに美人だが、普通言うか?
「・・・・・・」
「お嬢、今はそんな事を言っている、場合ではありませんよ」
「そうね、ミルディンの言う通りね」
ジェリドの目が一瞬にして、険しくなった。
忘れもしない、5年前にミズキの隣にいた、『碧眼の男』この男が、ミズキを・・・ミズキを・・・俺から奪った張本人!許すものか、許せる訳が無い。
「その、お顔ですと初めましてと、言わなくても、良さそうですね?」
ミルディンははニコリと営業スマイルをした。
「そうだな・・・5年ぶりか・・あんた・・俺が、ミズキの・・・カモだと分かっているんだな?」
「う~ん。それは少々・・・違いますね・・・」
「何が、違う」
「あなたは、カモなんて上等なお肉ではなく、豚バラでも、勿体無い位ですよ」
ミルディンの営業スマイル。
「なっ!!」
ジェリドは絶句する。
「ミズキ様を『売女』呼ばわりする奴には、これ位、蔑んで丁度良いくらいですよ」
さらに、ミルディンの営業スマイルが輝いた。
「だが、事実ではないか、ミズキと一緒になって、俺達をはめたんだろ!」
「あなたは・・・・過去に何があったかは分りませんが・・・本当にミズキ様が、あなたを騙したと思っているのなら、ミズキ様の前から消えてください、ミズキ様の為になりません」
「勝手な事を・・・・」
ジェリドの奥歯が、ギリッと鳴った。
「勝手?本当に勝手でしょうか?」
ミルディンの完璧な営業スマイル。
「俺が・・・俺が、どれだけ、苦しんだと思っている?本当に・・・本当に、ミズキが騙しているなんて思っていたら、こんなに苦しんだりするか!!!」
ジェリドは、胸の服を鷲掴みをして、苦悶の表情で言った。
ミルディンは痛い所を突いてくる。
「それが、答えなのではないですか?ジェエリド様」
ミルディンは、まじめな顔で言った。
夕暮れ時に成り、ミズキは目を真っ赤に腫らして、のろのろと立ち上がった。
「帰りたい・・・」家に・・・・母の居る家に、あの柔らかい世界に。
本音が口から溢れた。
「それじゃぁ~~、返してあげるよ!氷の貴婦人!」
声のする方へ目を向けると!昨日、ミズキを闘技場から連れ出した男がそこにいた!
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