勇者さまは私の愚弟です。

ホタル

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異世界ライフ2

羞恥心で、人は死ねるのかしら?

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メイドのジルさんは、私とたいして、年齢が、変わらない様で、色々な話をしています。

好きなお菓子とか、好きな小物とか、今度一緒に、美味しいという噂のパンケーキのお店に一緒に行く約束をしました。

楽しみです。
名物の、虹色パンケーキは、絶品と、聞いたら食べずにはいられません。

そうそう、虹色と言ったらこの薔薇の園は、魔力で、見たこともない色の薔薇や、七色の花びらの薔薇が所狭しと、咲き誇っています。この薔薇の中にいると、私は、本当に異世界に来てしまったんだなと、実感してます。

だって、普通の一般家庭に、魔力で色を変え、見渡す一面が、薔薇の花なんて聞いた事がありませんし、それに、噴水があって、結構な勢いで、水が舞い上がっています。


この水も、魔力で地下水脈から水を引いているそうです。

ジルさんに、教えて貰いました。
夕暮れどきの、虹色に染まる薔薇の園も、なかなか、どうして、風情がありますね。


本当にここは異世界なんだと、実感します。


「あり得ないわ~~。やっぱり無いわ~」


「奥様、何が無いのでしょうか?」


「ごめん、ごめん、やっぱり私、今日泊まるのやめて、家に帰るわ」



「なっ何か・・・お気に触ることでもしましたでしょうか?」


ジルさんは、顔を真っ青になって、微かに震えています。


「そんな事じゃないわ、ここでの生活はきっと、私をダメにすると思うわ、だって、綺麗なドレスも着れるし、美味しい物が沢山あって、こんなにいこごちが良かったら、自分の元いた世界に帰りたくなくなるもの!」何てね?てへ、とおどけてみたが。


本当は・・・・


苦しい・・凄く・・・苦しい・・・知らなかった・・・人を好きになると、こんなに胸が苦しくなるなんて・・・まだ知りたくなかった。


ラヴィニスの側にずっとずっと、居たくなる・・・・それに、見たくない。


ラヴィニスが・・・誰かを好きになって・・・結婚して・・・行くのを・・・・。


よりにもよって、なんで、ラヴィニスを、なんだろう?



「だから、帰るの!私の家に!」

元の世界に帰るまで、ラヴィニスには、会わない方がいい。


颯爽と、自分の家に帰ろうとしましたが、ガシッと、ジルさんの手が、私を掴んで放しません。

「ジルさん?」

「ダメです、いけません、奥様、こんな事をしては、私が、可哀想な目に合います、いいえ、これは聞かなかった事にして下さい、だっ、旦那様が、お可哀想です」

本音を言った後で、訂正するかのように『旦那様が可哀想って』説得力ないですよ、ジルさん。

「どうして、ダメなの?ジルさん?」

「もとの世界に帰れないから、ダメなんですよね?」

「・・・・ええ、そうよ、それが何?」

「でしたら、ずっと、ここに居ればよいではないですか!」

「ずっと、って、いれる訳無いでしょう?」

「どうしてですか?奥様は、旦那様が、お嫌いなのですか?私には、そうは、見えませんでしたが、私の勘違いだったのでしょうか?」


「・・・・・・・・」

恥ずかしいです。バレバレだったのでしょうか?
何も言えず、もじ、もじしてしまいます。

私の心は、ガラス張りでした。

本当に恥ずかしいです。
せめて、ガラスはガラスでも、すりガラスくらい、見えないようにしないと。

「奥様、お返事は?」

「…はい、好きです・・・・」

私は、はずかしいので、消え入りそうな声です。

「申し訳けございません、もう一度、大きい声で、お願いします」

「・・ええ、そうよ!私!ラヴィニスが好きよ!大好きよ!!これだけ、大きい声で言ったのだから、もういいでしょう、はずかしい」

ーーーーーもうやけです。

ーーーーーー俎板の鯉です。

ーーーーーーー恥ずかしくて、今から死ねそうです。

ジワリ、ジワリ虐めないで、一気に殺せよ!!


「はい、十分に聞こえました、ねえ、旦那様、良かったですね?」

「えっ!!」

ジルさんは、私ではなく、私の後ろを、見て言いました。

「・・・一花・・・ほっ、本当?」

いつの間に、居たのでしょう?振り向くと、ラヴィニスが真後ろに居ました。

本当に、今、恥ずかしくて死ねるかも・・・・・。


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