勇者さまは私の愚弟です。

ホタル

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私の彼は、愚弟でした

私は貴方の何?

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紅蓮が何を言っているのか?
笑顔で何かを言っていたのは覚えています。
ただ、私の耳には入ってこないです。

気がついたら、紅蓮の部屋を出て行ったみたいで、私、迷子です。

王宮で迷子になってしまいました。

現在進行形です。

早く、ラヴィニスを問いただしたいです。


紅蓮の言っている事が、もし本当なら、私はどうしたら良いでしょうか?
ラヴィニスが一目で好きになった人は、そんなにも私とよく似ているのでしょうか?きっと似ているのでしょうね、似ている私を抱く位なのだから・・・・。


一つため息をすると、後ろから「ふふん」と鼻で笑う音がしました。振り返ると、そこには、召喚された時にいた。6賢者の1人、長くて白い髭のジョルジュが立っていました。

「この王宮も下賤の者が闊歩する様になりましたか?ラヴィニス様の初恋の相手に似ているだけで、婚約するとは思いませんでしたよ。やはり下賤の者は、やる事が違う。あちらの世界では、顔を変えるのが大変流行っているとか?貴女も、顔を変えて、ラヴィニス様に近付いた様だが、私の目の黒いうちは結婚なんて、させるつもりは無い事を教えて差し上げますよ。王族の結婚は、私達6賢者の承諾が無いと結婚できません、このままで行くと、良くて愛人止まりでしょう。元の世界に帰りたくなったら言ってください、貴女が連れて来た子供と一緒に送って差し上げますよ。」

ジョルジュは、ふんと鼻を鳴らして、一花の横を優雅に通り過ぎた。

普段だったら、こんな奴の事、笑い飛ばしてやるのに、流石に、さっき紅蓮が言っていた、『一目で好きになった人』の言葉に気持ちを引きずられてしまう。

早く、ラヴィニスに会って事の真相を確かめないとこんなにも、不安になる!


早く!早く!早く!ラヴィニス、お願い、違うと言って欲しい。

・・・でも、もし、本当なら・・・・私は一体どうすればいいの?
どうすればいい?ラヴィニス、どうしてこんなに不安なの?

急いで、出口を捜すと、ますます、宮殿の奥に、奥にっと、着いてしまった。

この扉を開ければ、何処に行くのだろう?

3mはゆうにありそうな、重厚な扉の前で、一花は立っていた。と言うより見上げていた。


一花は、扉に触れただけで、扉は簡単に開きました。いいえ、触れる前に扉が勝手に開いたんです。
驚いたのは言うまでありません。

「ここは・・・・・」
忘れもしません。ここは、初めてこの世界に来た時の、魔法陣の部屋、迷いも迷って、こんなとこまで来てしまったことに、一花は改めて、自分の不運を呪いました。


だって、そうでしょう?

あのジョルジュが言ってたように、元の世界へ帰れと、この世界が言っているように思います。
そう取るのが普通でしょ?

私は、怖くなって、その場から走って逃げました。

そして、やっとの思いで王宮を出た頃には、あたりは暗くなっていました。
魔光石が道を照らし始めました。こちらの世界で街灯の様なもっもです。

私はもう半べそで、ラヴィニスの屋敷に着きました。
丁度、ラヴィニスも出かけるところでした。
「ただいま・・・・ラヴィニス、出かけるの?」
「一花、今までどこに行っていたの?心配で、これから一花を捜しに行くところだったよ。」
「セドリック、出かけるのは中止する」そう言って、ラヴィニスは私を優しく抱きしめてくれました。これほど、抱きしめられたことに安堵したことは有りません。

私は不安を押し付けたかのようにラヴィニスに力いっぱい、抱き付きました。

この抱擁で不安が、少しでも無くなればいいのに。

そんな私を見て、ラヴィニスは不思議そうに、そして、嬉しそうに抱きしめてくれます。
玄関で、メイドさんたちの前なのに、不思議と恥ずかしさは有りません。

このまま、時が止まればいいのに。

「一花、体が冷えてるね、それに顔色も悪い、部屋でユックリ休もう」と言ってラヴィニスは、私を部屋まで、連れていてくれました。

ラヴィニスはこういう時はとても紳士です。

ラヴィニスの私への優しさは、きっと・・・・考えたくはありません。でも、ハッキリさせないと、不安に押しつぶされます。

「なぜ、私なの?どうして私なの?」

不安を取り除きたくて、ラヴィニスに問い詰めます。
ラヴィニスは、最初はキョトンとしていましたが、直ぐに「一花だからだよ・・・」
と言うと、さらにラヴィニスはギュっと抱きしめました。

「・・・昔ラヴィニスは、女の子に会ったの?」
清水の舞台で飛び降りる気持ちで、私は・・・私は・・・ラヴィニスに聞きます。
一目で好きになった子の事を!嘘であった欲しいと思いながら・・・・・・。


「・・・・そうだよ。一花、昔俺は小さな女の子にあったよ」
そう言ったラヴィニスは、まじめな顔でじっと私を見つめました。

「・・・・・・そ・・・・う・・・・・」

私の中で、ガラガラと何かが、音を立てて壊れて行きました。

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