10 / 80
天国から地獄?!そんなの知らない、聞いてない!
しおりを挟む
「新入生の皆さん、名残惜しいですが、そろそろ時間になりました。これで、本日の歓迎会はお開きとなります。気を付けて帰宅してください」
場内を流れるアナウンスに、美月ははっと我に返る。
思わず夢中で食べていたが、気付けばもう時計は午後一時を指していた。
なんと二時間近く食べていたことになる……。
「はあ~満腹満足!堪能した~」
美月は幸せそうにほっと息を吐いた。
「本当にすごい豪華な歓迎会だったね!美味しかった~」
翠も相槌を打ち、二人で目を合わせてにっこりと笑う。
「さあ、帰ろうか?」
美月は筆記用具ぐらいしか入っていない軽いカバンを肩から下げ、翠を促す。
翠はちょっと待って、と言いながら、荷物をまとめていた。
「ん?翠ちゃん、その大きな水色の封筒はなに?」
ここに来る前には持っていなかった封筒を翠がカバンに仕舞っているのを見て、美月は疑問に思った。
「なに?なにって明日の実力テストの会場その他の案内でしょ?」
「えっ?」
美月の身体は驚きの余り固まったが、根性で素早く周りへと視線を巡らす。
「えっ?えっ?!」
すると、周りの新入生達は全て水色の封筒を抱えるか、カバンへ仕舞おうと動いている途中だった。
「ええーっ!!」
美月の様子を見て、翠の表情が変わった。
「美月!ま、まさか、呼び出しに応じなかったんじゃないでしょうね?!」
「よ、呼び出しってなに?」
美月の答えに、翠はショックを受けたように、力なくそこからか、と呟いた。
「合格証明書、今日の持ち物にあったよね?そこに書かれている番号順に100名ずつ、時間になったら上の広間へ来るように言ってたでしょ?」
「そんなの知らない、聞いてない!」
翠は大きくはあーっとため息を吐いた。
「美月。やっぱり、紅雨会長のお話、ちゃんと聞いてなかったね?先輩が最後に懇切丁寧に説明してくれていたでしょう?」
美月は分かりやすく青ざめた。
「え?それなら、呼び出しって……まさか、実力テスト参加の意思確認と署名のことなの?それを先輩が説明してくれた?ウソ。普通、先生がするでしょ?」
うわ言のように呟く美月の言葉を聞き、翠はやや冷たく言葉を返す。
「先生が説明すると思ったって?ふ~ん、だから、先輩のお話は聞かなくてもよいとでも思ったんだ?」
その言葉に、美月は泣きそうになって首を振る。
違う、違うよ、翠ちゃ~ん!一生懸命、聞こうと思ったよ?
だけど、だけど、あの連中が――――!
美月は感情が声に出る質だ。
心の中でたくさんの言葉があふれると、思うように声が出なくなってしまう。
けれども、その心情はころころと変わる豊かな表情と感情を表す大きな瞳で明らかになっているのを、本人だけが知らない。
美月の必死な様子を見て、翠は態度をやや改めた。
そして、悪気はなかったってことね、美月がうっかり気質なのは今に始まったことじゃないか、と肩をすくめると、
「分かった、分かった。やってしまったことは、仕方がない。それよりも、これからどうするか、よ?」
「み、翠ちゃ~ん!そうだよね?まだ間に合うよね?入学取り消しになっちゃったら、どうしよう……!」
美月の心に美月の合格を我が事のように喜び、祝ってくれた人達のことが浮かんだ。
どうしよう、もし、本当に取り消しになっちゃったら……?!
美月は全身から血の気が失せ、半ばパニック状態に陥った。
入学取り消しの関わる重要な呼び出しに応じないなど在り得ない失態だ、と自らを責め悔やむ。
正に、天国から地獄へ――――
美月受難の日々は、ここから始まる……。
場内を流れるアナウンスに、美月ははっと我に返る。
思わず夢中で食べていたが、気付けばもう時計は午後一時を指していた。
なんと二時間近く食べていたことになる……。
「はあ~満腹満足!堪能した~」
美月は幸せそうにほっと息を吐いた。
「本当にすごい豪華な歓迎会だったね!美味しかった~」
翠も相槌を打ち、二人で目を合わせてにっこりと笑う。
「さあ、帰ろうか?」
美月は筆記用具ぐらいしか入っていない軽いカバンを肩から下げ、翠を促す。
翠はちょっと待って、と言いながら、荷物をまとめていた。
「ん?翠ちゃん、その大きな水色の封筒はなに?」
ここに来る前には持っていなかった封筒を翠がカバンに仕舞っているのを見て、美月は疑問に思った。
「なに?なにって明日の実力テストの会場その他の案内でしょ?」
「えっ?」
美月の身体は驚きの余り固まったが、根性で素早く周りへと視線を巡らす。
「えっ?えっ?!」
すると、周りの新入生達は全て水色の封筒を抱えるか、カバンへ仕舞おうと動いている途中だった。
「ええーっ!!」
美月の様子を見て、翠の表情が変わった。
「美月!ま、まさか、呼び出しに応じなかったんじゃないでしょうね?!」
「よ、呼び出しってなに?」
美月の答えに、翠はショックを受けたように、力なくそこからか、と呟いた。
「合格証明書、今日の持ち物にあったよね?そこに書かれている番号順に100名ずつ、時間になったら上の広間へ来るように言ってたでしょ?」
「そんなの知らない、聞いてない!」
翠は大きくはあーっとため息を吐いた。
「美月。やっぱり、紅雨会長のお話、ちゃんと聞いてなかったね?先輩が最後に懇切丁寧に説明してくれていたでしょう?」
美月は分かりやすく青ざめた。
「え?それなら、呼び出しって……まさか、実力テスト参加の意思確認と署名のことなの?それを先輩が説明してくれた?ウソ。普通、先生がするでしょ?」
うわ言のように呟く美月の言葉を聞き、翠はやや冷たく言葉を返す。
「先生が説明すると思ったって?ふ~ん、だから、先輩のお話は聞かなくてもよいとでも思ったんだ?」
その言葉に、美月は泣きそうになって首を振る。
違う、違うよ、翠ちゃ~ん!一生懸命、聞こうと思ったよ?
だけど、だけど、あの連中が――――!
美月は感情が声に出る質だ。
心の中でたくさんの言葉があふれると、思うように声が出なくなってしまう。
けれども、その心情はころころと変わる豊かな表情と感情を表す大きな瞳で明らかになっているのを、本人だけが知らない。
美月の必死な様子を見て、翠は態度をやや改めた。
そして、悪気はなかったってことね、美月がうっかり気質なのは今に始まったことじゃないか、と肩をすくめると、
「分かった、分かった。やってしまったことは、仕方がない。それよりも、これからどうするか、よ?」
「み、翠ちゃ~ん!そうだよね?まだ間に合うよね?入学取り消しになっちゃったら、どうしよう……!」
美月の心に美月の合格を我が事のように喜び、祝ってくれた人達のことが浮かんだ。
どうしよう、もし、本当に取り消しになっちゃったら……?!
美月は全身から血の気が失せ、半ばパニック状態に陥った。
入学取り消しの関わる重要な呼び出しに応じないなど在り得ない失態だ、と自らを責め悔やむ。
正に、天国から地獄へ――――
美月受難の日々は、ここから始まる……。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
友達の妹が、入浴してる。
つきのはい
恋愛
「交換してみない?」
冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。
それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。
鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。
冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。
そんなラブコメディです。
S級ハッカーの俺がSNSで炎上する完璧ヒロインを助けたら、俺にだけめちゃくちゃ甘えてくる秘密の関係になったんだが…
senko
恋愛
「一緒に、しよ?」完璧ヒロインが俺にだけベタ甘えしてくる。
地味高校生の俺は裏ではS級ハッカー。炎上するクラスの完璧ヒロインを救ったら、秘密のイチャラブ共闘関係が始まってしまった!リアルではただのモブなのに…。
クラスの隅でPCを触るだけが生きがいの陰キャプログラマー、黒瀬和人。
彼にとってクラスの中心で太陽のように笑う完璧ヒロイン・天野光は決して交わることのない別世界の住人だった。
しかしある日、和人は光を襲う匿名の「裏アカウント」を発見してしまう。
悪意に満ちた誹謗中傷で完璧な彼女がひとり涙を流していることを知り彼は決意する。
――正体を隠したまま彼女を救い出す、と。
謎の天才ハッカー『null』として光に接触した和人。
ネットでは唯一頼れる相棒として彼女に甘えられる一方、現実では目も合わせられないただのクラスメイト。
この秘密の二重生活はもどかしくて、だけど最高に甘い。
陰キャ男子と完璧ヒロインの秘密の二重生活ラブコメ、ここに開幕!
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
小さい頃「お嫁さんになる!」と妹系の幼馴染みに言われて、彼女は今もその気でいる!
竜ヶ崎彰
恋愛
「いい加減大人の階段上ってくれ!!」
俺、天道涼太には1つ年下の可愛い幼馴染みがいる。
彼女の名前は下野ルカ。
幼少の頃から俺にベッタリでかつては将来"俺のお嫁さんになる!"なんて事も言っていた。
俺ももう高校生になったと同時にルカは中学3年生。
だけど、ルカはまだ俺のお嫁さんになる!と言っている!
堅物真面目少年と妹系ゆるふわ天然少女による拗らせ系ラブコメ開幕!!
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる