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大森研究員の、……野望?! 1
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ここで、時は少し遡る――――
連日の心労と疲労でフラフラとなりながら、ようやく取れた朝方の仮眠の時間も、ストレスのせいか一向に眠気の訪れない緑雨理事長……。
眠れないまでも、せめて身体を休ませようと、仮眠所で無理やり目を閉じて身体を横たえ、静かに深呼吸を繰り返す。
けれども、……休もうと努力すればするほど頭は冴えわたり、やがて心の中に響くのは、星野美月の祖母の孫を案じ心配する声――――
リミットは、もう今日の夕方までしかない――――
気持ちが焦るせいで、全く休める気がしない……。
緑雨理事長はついに横たわるのさえも諦め、のっそりと起き上がり、頭を抱えた。
万が一、間に合わなければ、美月の祖母に対し、暗示を使うしか、ない。
けれども、緑雨理事長は、それをしたくはなかった。
あの騒動の後、星野美月の特異性が浮き彫りになるにつれ、彼女の家系、経歴は徹底的に洗いなおされた――――だが、…………やはり報告された中では、その血筋に係累者は見当たらない。
そうして、新たに調査され、手元に届けられた報告書には、彼女を、そしてその祖母を襲った不幸の数々が記されていた…………。
その係累は、今や文字通り祖母一人、孫一人。
二人で寄り添い、励まし合って、生きてきたことが容易に察せられる、鮮明に記されたそれを見て、緑雨理事長は美月の陥った今の状況に、より一層心を痛めた。
そして、…………美月の能力は、未知なるもの。ならば、もしかしたらその祖母珠子も、暗示が効かぬ質かもしれぬ、と危ぶむ。
「ああ、くそっ!」
どうしようもない思いで自分の頭の髪をかきむしった時、いきなり仮眠室のドアが開いた。
「理事長――!此処におられましたか!――――随分と探しましたよ?!」
ずかずかと中へ入り込んできたのは、「食」グループのチーフである大森研究員。
彼はトレードマークにもなっている白衣をなびかせ、颯爽と緑雨理事長の前に立つ。
「…………何用だ?」
「例の星野美月さんの件です」
「彼女は、「食」グループの手を離れたはずだ。通告があっただろう?」
「――――それは、何故ですか?!彼女は、異界に落とされるまで、何の力の発現も認められませんでした!……よって、新入生歓迎会における「食」グループの功績は、断固として認められるべきです!!」
今となれば、星野美月は異能力者、それも近年稀に見る巫女の素養を持つ者として、一族誰もが認めている。
しかし、その発現時期は本人不在のこともあり、未定。
各々が己の説を主張し、収拾のつかない状態だ。
責任問題の伴わぬ者は一向に興味を示さぬ問題だが、緑雨理事長にとっては一大事である。
よって、異界落ちのショックにて異能が発現した、という説には、諸手を上げて賛成の意を示したいところだが、…………「食」グループの功績云々に関しては、ぶっちゃけどうでも良い話だった。
寝不足のこともあり、イマイチ反応の薄い緑雨理事長にも構わず、大森研究員はそれからも熱く語り続ける――――
「私は――――!特別面接に向かう彼女に付き添い、ずっと視ていたのです!彼女はあやかし達に対し、全くの無反応で、あの時の理事長の見立てに間違いはありません!――――と、いうことは、能力発現はその後の話。ならば、「食」欲に関しては、我がグループの方法は有効なのです!」
何を言いたいのか分からなくて首を傾げる緑雨理事長に、大森研究員は耳打ちする。
在り得ないその方法に、緑雨理事長は目を大きく見開くが、かと言ってあれ以来眠り続ける美月を目覚めさせる他の方法の当てもない今、もはやどうでも良いと半ばやけになって、大森研究員に許可を出す。
それに大森研究員は大喜びで、部屋を飛び出していった……。
連日の心労と疲労でフラフラとなりながら、ようやく取れた朝方の仮眠の時間も、ストレスのせいか一向に眠気の訪れない緑雨理事長……。
眠れないまでも、せめて身体を休ませようと、仮眠所で無理やり目を閉じて身体を横たえ、静かに深呼吸を繰り返す。
けれども、……休もうと努力すればするほど頭は冴えわたり、やがて心の中に響くのは、星野美月の祖母の孫を案じ心配する声――――
リミットは、もう今日の夕方までしかない――――
気持ちが焦るせいで、全く休める気がしない……。
緑雨理事長はついに横たわるのさえも諦め、のっそりと起き上がり、頭を抱えた。
万が一、間に合わなければ、美月の祖母に対し、暗示を使うしか、ない。
けれども、緑雨理事長は、それをしたくはなかった。
あの騒動の後、星野美月の特異性が浮き彫りになるにつれ、彼女の家系、経歴は徹底的に洗いなおされた――――だが、…………やはり報告された中では、その血筋に係累者は見当たらない。
そうして、新たに調査され、手元に届けられた報告書には、彼女を、そしてその祖母を襲った不幸の数々が記されていた…………。
その係累は、今や文字通り祖母一人、孫一人。
二人で寄り添い、励まし合って、生きてきたことが容易に察せられる、鮮明に記されたそれを見て、緑雨理事長は美月の陥った今の状況に、より一層心を痛めた。
そして、…………美月の能力は、未知なるもの。ならば、もしかしたらその祖母珠子も、暗示が効かぬ質かもしれぬ、と危ぶむ。
「ああ、くそっ!」
どうしようもない思いで自分の頭の髪をかきむしった時、いきなり仮眠室のドアが開いた。
「理事長――!此処におられましたか!――――随分と探しましたよ?!」
ずかずかと中へ入り込んできたのは、「食」グループのチーフである大森研究員。
彼はトレードマークにもなっている白衣をなびかせ、颯爽と緑雨理事長の前に立つ。
「…………何用だ?」
「例の星野美月さんの件です」
「彼女は、「食」グループの手を離れたはずだ。通告があっただろう?」
「――――それは、何故ですか?!彼女は、異界に落とされるまで、何の力の発現も認められませんでした!……よって、新入生歓迎会における「食」グループの功績は、断固として認められるべきです!!」
今となれば、星野美月は異能力者、それも近年稀に見る巫女の素養を持つ者として、一族誰もが認めている。
しかし、その発現時期は本人不在のこともあり、未定。
各々が己の説を主張し、収拾のつかない状態だ。
責任問題の伴わぬ者は一向に興味を示さぬ問題だが、緑雨理事長にとっては一大事である。
よって、異界落ちのショックにて異能が発現した、という説には、諸手を上げて賛成の意を示したいところだが、…………「食」グループの功績云々に関しては、ぶっちゃけどうでも良い話だった。
寝不足のこともあり、イマイチ反応の薄い緑雨理事長にも構わず、大森研究員はそれからも熱く語り続ける――――
「私は――――!特別面接に向かう彼女に付き添い、ずっと視ていたのです!彼女はあやかし達に対し、全くの無反応で、あの時の理事長の見立てに間違いはありません!――――と、いうことは、能力発現はその後の話。ならば、「食」欲に関しては、我がグループの方法は有効なのです!」
何を言いたいのか分からなくて首を傾げる緑雨理事長に、大森研究員は耳打ちする。
在り得ないその方法に、緑雨理事長は目を大きく見開くが、かと言ってあれ以来眠り続ける美月を目覚めさせる他の方法の当てもない今、もはやどうでも良いと半ばやけになって、大森研究員に許可を出す。
それに大森研究員は大喜びで、部屋を飛び出していった……。
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