2 / 14
前原清美2
しおりを挟む
「はたしてそれはどうかな」
だがここで、俊二が出張った。
「なによ、俊二。勝った私達に何か言いたいことでも?」
私が言う。すると俊二がうなずく。
「ああ。一夜はただの前座だ。本番の勝負はこの俺、俊二様とのゲームなのだ」
俊二が言う。なんで自分で自分のことを様づけしてるんだ。
「そんなこと言われても、もうゲームする意味もないもんね」
私はそう言って季目を見る。
「え、あ、うーん。まあ、そうかも」
ほら、季目だって俊二にはつきあわない気だ。
「そんなこと言わずにさあ。俺ともゲームやろうぜえ。一夜と二人で肝試しとか、軽い罰ゲームみたいだろお。俺はこのままじゃ引き下がれねえぜえ」
俊二が体をくねらせながら言う。
「って、言われても」
ゲームに勝ったのは私達だ。俊二の言い分はただの泣きの一回の申し込みにすぎない。
「じゃあ、俊二が負けたら、どうするの?」
そこで、季目がそんなやるみたいなことを言った。
「脱ぎます」
俊二が言った。
「ふざけんな変態」
私が言った。
「じゃあイスになる。マットになる。マッサージもつける。これでどうだ。もう一戦してくれ!」
俊二がそう言っておがみ始める。
「更に変態じゃねえか!」
私が言った。
「そんなにしてほしいなら、勝負を受けてもいいけど」
ここで、季目が言う。
「うそ!」
私が言う。今の要素に、勝負を受けたくなる魅力なんて1つもなかったはずなのに。
「き、季目は、そういうプレイが良いのか?」
一夢がバカなことを言っている。
「きっと俊二は、負けたら気が済むよ」
季目が言う。そうか、季目はわざわざ相手の気がすむまでつきあってあげようというのか。まさに天使だ。
「まあ、季目がそこまで言うなら、私は反対しないけど」
私が言う。
「むっきー。季目のやつもう勝った気でいやがる。だが後でほえ面かくがいい、いや、一緒に幽霊館に来るがいい。最後に笑うのはこの俺だあ!」
俊二が言う。
「その意気だー俊二、俺のかたきをとってくれー!」
一夜が言う。
「ああ、任せてくれ!」
俊二が一夜に力こぶを見せる。
「でも、その前にまずは私が問題を出すよ。それを俊二が9回まで質問して正解してね。それができなかったらその時点で俊二の負け。それができれば、次に俊二が問題を出して、私と質問の少なさを競う。それでいいね?」
季目がルールを定める。
「おう、全く問題ないぜ!」
俊二が言う。
「待て。俺の時は清美が正解したんだ。だから今回も俺と俊二が答えを当てていいだろ?」
一夜が言う。
「まあ、いいよ。それじゃあ、まずは答えを書いておくね」
季目が自分のノートに何かを書く。なんだろう。私も当ててみようかな。
「ねえ、季目。隣で私も考えてていい。あてはしないから」
私が言うと、季目はうなずく。
「うん。それじゃあ清美も、問題に挑戦してみてね。もし俊二と一夜が当てられなかったら、清美も答えてみて」
「うん」
「お、俺も、俺も考える!」
一夢が仲間にしてほしそうにこちらを見た。
「うん。それじゃあ、一夢は清美の次ね。それじゃあ俊二、まずは質問をどうぞ」
季目がそう言って、ゲームが始まった。さて、季目は答えを何にしたんだろうな。
「それじゃあ季目、それは食べ物か、もしくは飲み物ですか?」
「いいえ」
「それは大きいですか?」
ああ、俊二。そういう質問をするのか。それで答えがしぼられるなら良いんだけど。ああいや、こちらとしてはまずいんだけど。
「はい」
おお、どうやら答えは大きいものらしい。でも、その大きさとは、具体的にはどれくらいなんだろう?
「それに人が住めますか?」
強気な質問がきた。
「いいえ」
季目が首を横に振る。まだ答えが全然わからないけど、これで質問は3回やった。これは、はたして9回ですむかな?
「人が住めないとしたら、車でもないか」
俊二が腕をくんで考える。こらこら、車内を勝手に居住圏にするな。
「おいおい俊二。もし答えがバイクやスケボーだったらどうするんだ。まだ乗り物全部を候補から消しはするなよ」
一夜が言う。
「ああ、そうか。俺としたことが、危ない危ない、うかつだったぜ」
俊二が言う。
「一夜、助言禁止」
私が言う。
「はい」
一夜が言う。
「それじゃあ、それは乗り物ですか?」
俊二が言う。
「いいえ」
季目が言う。
「そうか。なら一輪車でもないな。じゃあ、それにはスイッチがありますか?」
俊二が言う。なぜ、そこを確かめる。
「はい」
スイッチがあった!
「それは、衣食住にかかわるものですか?」
「いいえ」
「ふうむ。大体わかったぞ」
俊二が言う。これで質問は6回したけど、確かに、候補を少しはしぼれているはずだ。
パッと考えただけで、テレビ、パソコン、自動販売機、傘。大きい物らしいけど、ドローンとかラジコンもありかもしれない。
でも、物の特定とまではいっていない。俊二はあと3回の質問で、答えを導きだしてしまうのだろうか?
「俺はまだ、ヒントがほしいが」
一夜が言う。
「わかってる。じゃあ、次の質問だ。それは、仕事に使うものですか?」
「いいえ」
「それは、人のかわりになれるものですか?」
「はい」
人のかわりになる?
どんな質問だ。そして答えはなんだ。
「よし、俺は答えがわかったぞ。一夜はどうする?」
俊二が言う。この自信にあふれた表情は、まさか、本当に答えがわかったというのだろうか。にわかには信じられないが。
「うーん。食べ物じゃなくて、大きい物で、住めなくて、乗り物でもなくて、スイッチがあって、衣食住にかかわっていなくて、仕事には使わず、人がかわりになれるもの。うーん、あ」
そこで一夜は季目を見た。
「そうか、わかったぞ。答えは自動マージャン卓だ」
その発想はねえよ。
「おお、それがあったか」
俊二が感心している。
「違います。というか、私の中では自動マージャン卓は仕事道具に入ると思う」
季目が言う。
「違うかー」
一夜がうなだれる。
「なんだか一夜が外すと俺も自信が無くなるな。だが、ここでいこう。なぜならもうこれしか考えられないから。それでは俺が今から、ずばり言い当てる。犯人はー」
俊二がそこで、右手人差し指の先を自分の額にあてる。当てるのは犯人じゃねえよ。
「マッサージチェアだ!」
「正解」
季目がうなずいた。うそお。
「ちょ、ちょっと見せて」
私は季目が書いた答えを見る。本当だ、マッサージチェアって書いてある。信じられない。まさかこれを、俊二が言い当てるとは。
「すごい俊二。本当に言い当てた」
思わずそう言ってしまう。
「へっへーん。どんなもんだい。じゃあ、次は俺が問題を出す番だな。まずは、答えを先に紙に書いてと。ええと、ヒントは何回まで教えていいんだっけ」
俊二が言う。
「8回だよ。俊二が8回で答えたから」
季目が言う。8回か。一夜の時より一回分難しくなったな。まあ、答えが簡単ならまた3回程度で済むだろうけど。
俊二はうなずく。
「わかった。じゃあ俺は8回まで、はいかいいえで答える。今から、ゲームスタートだ。さあ、季目、どっからでも質問してこい!」
こうして、今度は私達があてる番となった。
「どれどれ、答えは何かな?」
そこで一夜が俊二の答えを見る。まあ、それはいいだろう。要は、私か季目が答えをあてればいいのだ。
それでは、早速質問タイムだ。
「じゃあ、それは食べ物、または飲み物ですか?」
季目がまず、手堅く候補をしぼっていく。
「いいえ」
「それは、手で持って使うものですか?」
「はい」
おお。これで、かなり答えの幅が狭まったのでは?
「それは、毎日使うものですか?」
「はい」
「それは、皆持っていますか?」
「いいえ」
「それは、常に持ち歩くものですか?」
「いいえ」
「それは、見た目を変えるものですか?」
「いいえ」
季目がここで考える。けどすぐにまた訊く。
「それは薬、または薬用品ですか?」
「いいえ」
「それは普段家の中にあるものですか?」
「はい。さて、これで8回ヒントを言ったな。それじゃあ季目、清美。ここで答えを言ってみたまえ」
俊二が偉そうに言う。くっ、少しむかつくが、すぐに言い返せない。
ヒントは全部で8つ。
それは食べ物ではない。
手で持って使う。
毎日使う。
しかし皆持っているわけではない。
常に持ち歩くものではない。
それで見た目は変わらない。
それは薬、もしくは薬用品ではない。
それは普段家の中にあるもの。
これらの要素を合わせもった物とは。
うーん。
「私は、新聞」
ここで、私より先に季目が答えた。
おお、新聞紙。なるほど。それがあったか。
「ぶー。残念はずれー!」
けれど俊二がうざくなった。
「いえーい!」
一夜も態度が悪い。
ならば、ここは私がかれいに当てるしかないだろう。
ええと、ええと、うーん、あ、そうだ!
「答えは包丁!」
どうだ!
すると。
「いえーい!」
一夜と俊二が喜んでハイタッチする。この反応は、もしや、まさか。
「ざんねーん正解はコンタクトレンズでしたー!」
このうれしそうな俊二の顔を、私は見たくなかった。
「コンタクトレンズを、持ち歩かないっていうのは?」
私が、ここで悔し紛れに言う。
「目につけてるなら、持ってはいないだろ」
「じゃあ、普段家の中にあるっていうのは?」
「使わない時は、大抵家の中にあるだろ。使用者だって家に長くいることもあるし。俺は間違ったことは言っていない!」
「まあ、間違っては、ないけど」
ちょっと、文句をつけたい内容だった。まあ、はいかいいえだけで答えるんだから、難しいところもあるか。マリトッツォも六文字っぽくないし。
けどこれで、本当に残念ながら、私と季目も、明日幽霊館に行くことになってしまった。それがゲームに負けた私達の定めだ。が、くやしい。
「よーし、それじゃあ俺が勝ったんだから、皆で肝試ししようぜー」
俊二がうれしそうに言う。
「う、うん」
季目が表情をくもらせながら言う。
「そうか。季目も行くのか。なら、絶対俺も行くぞ!」
一夢も今からやる気をみなぎらせている。
はあもう、仕方ない。こうなったら肝試しなんてさくっと終わらせて、その後のパーティーを楽しむとしよう。うん、明日の予定はそうなった。
「それじゃあ、ここで勉強に戻ろう」
私が言う。
「えー」
男三人から嫌そうな声があがった。
「明日の予定はちゃんと決まったし、後は勉強をちゃんとしないと」
季目が言う。
「うん。そうだな!」
一夜がすぐに賛同した。
「仕方ねえ、騒ぐ前にもう一苦行するか」
俊二が言う。
「ふっふっふ。明日が楽しみだぜ。マイカメラの出番だ!」
一夜がまだにやついている。
こうして、私達はまた、勉強に戻った。
肝試しのことは、ゲームに負けたくやしさと共に一旦忘れておこう。
だがここで、俊二が出張った。
「なによ、俊二。勝った私達に何か言いたいことでも?」
私が言う。すると俊二がうなずく。
「ああ。一夜はただの前座だ。本番の勝負はこの俺、俊二様とのゲームなのだ」
俊二が言う。なんで自分で自分のことを様づけしてるんだ。
「そんなこと言われても、もうゲームする意味もないもんね」
私はそう言って季目を見る。
「え、あ、うーん。まあ、そうかも」
ほら、季目だって俊二にはつきあわない気だ。
「そんなこと言わずにさあ。俺ともゲームやろうぜえ。一夜と二人で肝試しとか、軽い罰ゲームみたいだろお。俺はこのままじゃ引き下がれねえぜえ」
俊二が体をくねらせながら言う。
「って、言われても」
ゲームに勝ったのは私達だ。俊二の言い分はただの泣きの一回の申し込みにすぎない。
「じゃあ、俊二が負けたら、どうするの?」
そこで、季目がそんなやるみたいなことを言った。
「脱ぎます」
俊二が言った。
「ふざけんな変態」
私が言った。
「じゃあイスになる。マットになる。マッサージもつける。これでどうだ。もう一戦してくれ!」
俊二がそう言っておがみ始める。
「更に変態じゃねえか!」
私が言った。
「そんなにしてほしいなら、勝負を受けてもいいけど」
ここで、季目が言う。
「うそ!」
私が言う。今の要素に、勝負を受けたくなる魅力なんて1つもなかったはずなのに。
「き、季目は、そういうプレイが良いのか?」
一夢がバカなことを言っている。
「きっと俊二は、負けたら気が済むよ」
季目が言う。そうか、季目はわざわざ相手の気がすむまでつきあってあげようというのか。まさに天使だ。
「まあ、季目がそこまで言うなら、私は反対しないけど」
私が言う。
「むっきー。季目のやつもう勝った気でいやがる。だが後でほえ面かくがいい、いや、一緒に幽霊館に来るがいい。最後に笑うのはこの俺だあ!」
俊二が言う。
「その意気だー俊二、俺のかたきをとってくれー!」
一夜が言う。
「ああ、任せてくれ!」
俊二が一夜に力こぶを見せる。
「でも、その前にまずは私が問題を出すよ。それを俊二が9回まで質問して正解してね。それができなかったらその時点で俊二の負け。それができれば、次に俊二が問題を出して、私と質問の少なさを競う。それでいいね?」
季目がルールを定める。
「おう、全く問題ないぜ!」
俊二が言う。
「待て。俺の時は清美が正解したんだ。だから今回も俺と俊二が答えを当てていいだろ?」
一夜が言う。
「まあ、いいよ。それじゃあ、まずは答えを書いておくね」
季目が自分のノートに何かを書く。なんだろう。私も当ててみようかな。
「ねえ、季目。隣で私も考えてていい。あてはしないから」
私が言うと、季目はうなずく。
「うん。それじゃあ清美も、問題に挑戦してみてね。もし俊二と一夜が当てられなかったら、清美も答えてみて」
「うん」
「お、俺も、俺も考える!」
一夢が仲間にしてほしそうにこちらを見た。
「うん。それじゃあ、一夢は清美の次ね。それじゃあ俊二、まずは質問をどうぞ」
季目がそう言って、ゲームが始まった。さて、季目は答えを何にしたんだろうな。
「それじゃあ季目、それは食べ物か、もしくは飲み物ですか?」
「いいえ」
「それは大きいですか?」
ああ、俊二。そういう質問をするのか。それで答えがしぼられるなら良いんだけど。ああいや、こちらとしてはまずいんだけど。
「はい」
おお、どうやら答えは大きいものらしい。でも、その大きさとは、具体的にはどれくらいなんだろう?
「それに人が住めますか?」
強気な質問がきた。
「いいえ」
季目が首を横に振る。まだ答えが全然わからないけど、これで質問は3回やった。これは、はたして9回ですむかな?
「人が住めないとしたら、車でもないか」
俊二が腕をくんで考える。こらこら、車内を勝手に居住圏にするな。
「おいおい俊二。もし答えがバイクやスケボーだったらどうするんだ。まだ乗り物全部を候補から消しはするなよ」
一夜が言う。
「ああ、そうか。俺としたことが、危ない危ない、うかつだったぜ」
俊二が言う。
「一夜、助言禁止」
私が言う。
「はい」
一夜が言う。
「それじゃあ、それは乗り物ですか?」
俊二が言う。
「いいえ」
季目が言う。
「そうか。なら一輪車でもないな。じゃあ、それにはスイッチがありますか?」
俊二が言う。なぜ、そこを確かめる。
「はい」
スイッチがあった!
「それは、衣食住にかかわるものですか?」
「いいえ」
「ふうむ。大体わかったぞ」
俊二が言う。これで質問は6回したけど、確かに、候補を少しはしぼれているはずだ。
パッと考えただけで、テレビ、パソコン、自動販売機、傘。大きい物らしいけど、ドローンとかラジコンもありかもしれない。
でも、物の特定とまではいっていない。俊二はあと3回の質問で、答えを導きだしてしまうのだろうか?
「俺はまだ、ヒントがほしいが」
一夜が言う。
「わかってる。じゃあ、次の質問だ。それは、仕事に使うものですか?」
「いいえ」
「それは、人のかわりになれるものですか?」
「はい」
人のかわりになる?
どんな質問だ。そして答えはなんだ。
「よし、俺は答えがわかったぞ。一夜はどうする?」
俊二が言う。この自信にあふれた表情は、まさか、本当に答えがわかったというのだろうか。にわかには信じられないが。
「うーん。食べ物じゃなくて、大きい物で、住めなくて、乗り物でもなくて、スイッチがあって、衣食住にかかわっていなくて、仕事には使わず、人がかわりになれるもの。うーん、あ」
そこで一夜は季目を見た。
「そうか、わかったぞ。答えは自動マージャン卓だ」
その発想はねえよ。
「おお、それがあったか」
俊二が感心している。
「違います。というか、私の中では自動マージャン卓は仕事道具に入ると思う」
季目が言う。
「違うかー」
一夜がうなだれる。
「なんだか一夜が外すと俺も自信が無くなるな。だが、ここでいこう。なぜならもうこれしか考えられないから。それでは俺が今から、ずばり言い当てる。犯人はー」
俊二がそこで、右手人差し指の先を自分の額にあてる。当てるのは犯人じゃねえよ。
「マッサージチェアだ!」
「正解」
季目がうなずいた。うそお。
「ちょ、ちょっと見せて」
私は季目が書いた答えを見る。本当だ、マッサージチェアって書いてある。信じられない。まさかこれを、俊二が言い当てるとは。
「すごい俊二。本当に言い当てた」
思わずそう言ってしまう。
「へっへーん。どんなもんだい。じゃあ、次は俺が問題を出す番だな。まずは、答えを先に紙に書いてと。ええと、ヒントは何回まで教えていいんだっけ」
俊二が言う。
「8回だよ。俊二が8回で答えたから」
季目が言う。8回か。一夜の時より一回分難しくなったな。まあ、答えが簡単ならまた3回程度で済むだろうけど。
俊二はうなずく。
「わかった。じゃあ俺は8回まで、はいかいいえで答える。今から、ゲームスタートだ。さあ、季目、どっからでも質問してこい!」
こうして、今度は私達があてる番となった。
「どれどれ、答えは何かな?」
そこで一夜が俊二の答えを見る。まあ、それはいいだろう。要は、私か季目が答えをあてればいいのだ。
それでは、早速質問タイムだ。
「じゃあ、それは食べ物、または飲み物ですか?」
季目がまず、手堅く候補をしぼっていく。
「いいえ」
「それは、手で持って使うものですか?」
「はい」
おお。これで、かなり答えの幅が狭まったのでは?
「それは、毎日使うものですか?」
「はい」
「それは、皆持っていますか?」
「いいえ」
「それは、常に持ち歩くものですか?」
「いいえ」
「それは、見た目を変えるものですか?」
「いいえ」
季目がここで考える。けどすぐにまた訊く。
「それは薬、または薬用品ですか?」
「いいえ」
「それは普段家の中にあるものですか?」
「はい。さて、これで8回ヒントを言ったな。それじゃあ季目、清美。ここで答えを言ってみたまえ」
俊二が偉そうに言う。くっ、少しむかつくが、すぐに言い返せない。
ヒントは全部で8つ。
それは食べ物ではない。
手で持って使う。
毎日使う。
しかし皆持っているわけではない。
常に持ち歩くものではない。
それで見た目は変わらない。
それは薬、もしくは薬用品ではない。
それは普段家の中にあるもの。
これらの要素を合わせもった物とは。
うーん。
「私は、新聞」
ここで、私より先に季目が答えた。
おお、新聞紙。なるほど。それがあったか。
「ぶー。残念はずれー!」
けれど俊二がうざくなった。
「いえーい!」
一夜も態度が悪い。
ならば、ここは私がかれいに当てるしかないだろう。
ええと、ええと、うーん、あ、そうだ!
「答えは包丁!」
どうだ!
すると。
「いえーい!」
一夜と俊二が喜んでハイタッチする。この反応は、もしや、まさか。
「ざんねーん正解はコンタクトレンズでしたー!」
このうれしそうな俊二の顔を、私は見たくなかった。
「コンタクトレンズを、持ち歩かないっていうのは?」
私が、ここで悔し紛れに言う。
「目につけてるなら、持ってはいないだろ」
「じゃあ、普段家の中にあるっていうのは?」
「使わない時は、大抵家の中にあるだろ。使用者だって家に長くいることもあるし。俺は間違ったことは言っていない!」
「まあ、間違っては、ないけど」
ちょっと、文句をつけたい内容だった。まあ、はいかいいえだけで答えるんだから、難しいところもあるか。マリトッツォも六文字っぽくないし。
けどこれで、本当に残念ながら、私と季目も、明日幽霊館に行くことになってしまった。それがゲームに負けた私達の定めだ。が、くやしい。
「よーし、それじゃあ俺が勝ったんだから、皆で肝試ししようぜー」
俊二がうれしそうに言う。
「う、うん」
季目が表情をくもらせながら言う。
「そうか。季目も行くのか。なら、絶対俺も行くぞ!」
一夢も今からやる気をみなぎらせている。
はあもう、仕方ない。こうなったら肝試しなんてさくっと終わらせて、その後のパーティーを楽しむとしよう。うん、明日の予定はそうなった。
「それじゃあ、ここで勉強に戻ろう」
私が言う。
「えー」
男三人から嫌そうな声があがった。
「明日の予定はちゃんと決まったし、後は勉強をちゃんとしないと」
季目が言う。
「うん。そうだな!」
一夜がすぐに賛同した。
「仕方ねえ、騒ぐ前にもう一苦行するか」
俊二が言う。
「ふっふっふ。明日が楽しみだぜ。マイカメラの出番だ!」
一夜がまだにやついている。
こうして、私達はまた、勉強に戻った。
肝試しのことは、ゲームに負けたくやしさと共に一旦忘れておこう。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
女子切腹同好会
しんいち
ホラー
どこにでもいるような平凡な女の子である新瀬有香は、学校説明会で出会った超絶美人生徒会長に憧れて私立の女子高に入学した。そこで彼女を待っていたのは、オゾマシイ運命。彼女も決して正常とは言えない思考に染まってゆき、流されていってしまう…。
はたして、彼女の行き着く先は・・・。
この話は、切腹場面等、流血を含む残酷シーンがあります。御注意ください。
また・・・。登場人物は、だれもかれも皆、イカレテいます。イカレタ者どものイカレタ話です。決して、マネしてはいけません。
マネしてはいけないのですが……。案外、あなたの近くにも、似たような話があるのかも。
世の中には、知らなくて良いコト…知ってはいけないコト…が、存在するのですよ。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる