真夏の館

十 的

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東井俊二1

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 虎の人形が近くにある部屋に入ると、ドアは勝手に閉まった。
「おお、自動ドア。なんて、言ってる場合じゃねえな。ちゃんと出れんのかな、これ」
 一応ドアが開くか確認するが、びくともしない。俺、閉じ込められた。脱出方法一切不明。イエーイ。
 さて、こっからどうすっかな。
 とにかく、部屋を見渡す。すると、部屋には金庫が一つ、テーブルが一つ、本が並べられた本棚が三つあった。
 本とか苦手だし、まずはテーブルでも見よう。
 そう思い近づくと、テーブルには紙が一枚置かれていた。字が書いてあるので、読んでみる。

 虎をどかすには、玉が必要。玉を手に入れるための鍵を得るために、全ての本を正しく並べろ。

「本を正しく並べる?」
 なんのこっちゃ。
 するとここで、さっき聞こえてた音楽がまた聞こえてきた。俺は慌てて部屋の中を再確認する。
「おいおいおい、ここにイスねえぞ」
 でも紙には、虎をどかせるって書いてあったな。虎っていうのは部屋の外にあった虎の人形のことだろ。ここにあれをどかす手段があるってことか?
「本があるだけだけど、まず、なんの本なんだ?」
 とにかく、本を見てみよう。紙にもそう書いてあるし。
 一つ目の本棚を見てみる。そこには本が、5冊あった。
 背表紙の題名はそれぞれ、あ、い、う、え、お。これはたぶん、これで正しい並び順なんだろう。
 次の本棚を見て見る。
 そこにも、5冊の本。背表紙の題名は、1、2、3、4、5。これも、順番通りだ。
 じゃあ、最後の本棚だ。
 こっちには、本が7冊あった。背表紙の題名は、A、B、C、C、D、E、F。ん、これちょっとおかしくないか?
「ん、これちょっとおかしくないか?」
 Cという題名の本が2冊ある。この本が何か間違ってるってことか?
 どちらも手に取ってみると、なんと、本の前面に書いてある言葉が違った。
 片方の本には、この本はCである。と書いてある。
 もう片方の本には、この本はCではない。と書いてある。
 だから俺は、ピンときたね。
「そうか、わかったぞ。こっちの本がGってことだ!」
 俺はすぐに、この本がCであると書いてある本を元の位置に戻し、もう一冊の本をFの右に入れる。
 これで、どうだ?
「何も、起きないな」
 まあ、本の並びを変えただけで何かがどうなるってのもおかしな話だが、もう一度部屋を見回す。
 部屋には金庫とテーブルと三つの本棚。テーブルの上にあるメモは、ちょっとよくわからない。
「あ、もしかしてアルファベットの本以外にも、何か前に書いてあるとか?」
 それだ。きっとそれに違いない。
 早速数字の本のところに行ってみる。そして1の本をとると、やはり前面に何か書いてあった。
 31345+20996=?
 げえっ。算数。しかも桁が多い。ちょっと待ったちょっと待った。
「ええっと、5+6で11で、あ、もう1の本を右端に置いて」
 音楽が鳴っているので焦る焦る。けど、問題のレベルは小学生並み。パニクる程じゃない。
「ということはここが2で、最後の一冊は当然左端だよな」
 よし、答えは52341。つまり本の並びは左から52341だ。
「どうだ!」
 しーん。何も起きない。
「ひょっとして違ったか?」
 いや、もしかしたらまだ何かが足りないのかもしれない。
「あとはあいうえおの本だな」
 こっちの本は、すぐに答えが見つかった。
 いの本に、正しい並びはあいうえお。と書いてあったのだ。つまり、この本の並びは最初から合っている。
「ここはこれでいいなら、後はもう残ってねえけど。うーん」
 腕を組んで考える。きっと、まだ俺は何かやり残していることがあるんだ。それが何かひらめけ。
 あ!
「ひょっとして、全部一緒の本棚に入れろっていうことか?」
 三つの本棚には、この部屋の全部の本を入れるだけのスペースがある。つまり本を一つの本棚にしまえばいいのではないだろうか。
「冴えてるー俺ー」
 早速あいうえおの本を5冊全部一気に持って、まずは数字が書いてある本が入ってる本棚に入れる。アルファベットの本も、7冊全部一気に移動させる。
 しかし、何も起きない。
「むう。ここじゃないとすると」
 今度は、アルファベットの本が入っていた本棚に全てしまう。
 だが、何も起きない。
「じゃあ、最後はあいうえおが入ってた本棚だな」
 俺は棚に入っていた数ずつ、本を最後の本棚へと移していく。
 その時。
 突然、今まで聞こえていた音楽がピタッと止まった。
「みいつけた」
 そして、どこかからか聞こえる、少女の声。
「これ、俺やばくね?」
 だって、音楽が鳴っている間に、イスに座れなかったんだから。
 持っていた本を落として、身構えつつドアを見る。気分だけはK1チャンピオン。どんな相手だっておそってくるなら倒したい。倒せるものならだけれども。
 何か出てこないよな。清美は髪の毛がおそってきたとか言ってたけど、今回もそうなる、なんてことないよな。そうであってくれ。頼む。
 ガチャッ。
 突然開くドア。そして、すぐに侵入してくる、大量の髪の毛。
 何か出てきた、出てきちゃったー!
「う、うわあー!」
 やめて、やめて、マジ怖い、やめて、やめ。

 この部屋のしかけですが。
 Aの本には前面に、この本はAである。Bの本には、この本はBである。Dの本には、この本はDである。Eの本には、この本はEではない。Fの本には、この本はFである。と書かれてありました。
 なので、DとFの本の間に、この本はCではない。と書かれた本を置き、Fの右にEの本を置くのが正解となっていました。
 それでは、話の続きをお楽しみください。
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