11 / 14
前原清美6
しおりを挟む
「うわ、うわ、うわあああ!」
この声は、一夢?
「そんな、一夢まで」
けど、呆然としている場合ではない。今視界では、廊下で長い髪の毛が動いていて、丁度、一夢が入った部屋から、一夢と思わしき形の物を引っ張って、下の階へと持っていっている。
もし、イスに座れなければ、私がああなっていたのだ。そう思うと、ゾッとする。そしてそれ以上に、これで今無事でいるのが、私と一夜だけになったという事実が、私の中に恐怖心を呼ぶ。
そして、髪の毛が3階から去って。
しばらくした後、この階のイス全てが壊れ、私はよろよろと立ち上がった。
今この場には、私と、一夜のみ。
私と、一夜しかいないんだ。
たった、二人。五人だったのが、今は二人。
なんということだ。少し、いや、思った以上に、つらい。
「どうして。このままじゃ、このままじゃ私達」
「まだ全部終わったわけじゃないぞ。清美、気をぬくな」
一夜が、カメラをかまえたまま近づいてくる。
「俺達は、なんとしても助かるんだ。そして、おそわれた三人を助ける。必ず」
一夜が、そんなことを言う。
「じゃあ、一夜はできるの。それを」
私は、思わずそう訊いていた。
すると一夜は、すぐにうなずいた。
「できる。もちろんできる。清美だってできる」
そう言う一夜の声は、なぜか自信に満ちていた。
それに、少し救われた。
「そうだね。私があきらめちゃ、ダメだ。だって、まだこうして出口を、友達を探せるんだから」
「その通りだ。よし、それじゃあ探索を再開するぞ。おそらく、この階にはもう何もないだろう。2階がそうだったからな。だから、1階まで戻ろう」
「もし、1階に何もなかったら?」
「その時にまた考える」
今だけは、この一夜の自信を頼りにできる。
「それじゃあ、行こう。きっと、何か見つかる」
私と一夜は、1階へと下りていった。
そして、1階に変化はあった。
けど。
「ドア」
「ドアだな。開けてみよう」
1階にあった、もう一つの鎖でふさがれていたドアが、解放されて、私達を待っていたというのは、なんとなく、新たな試練を想像させた。
一夜がドアを開けると、その先は地下へと続く階段となっていた。天井には明かりがついていて、明るい。けど、不気味だ。
「地下だな。行くぞ」
「地下とか、初めて行く」
「俺もだ。撮りがいがあるな」
「このドア、閉まってとじこめられたりしないよね」
「その時は、また何かなぞをとけば開くだろ」
「そう願っとく」
階段を下りると、地下は予想以上に広かった。左右に伸びる通路と、それらの通路の先に3つずつ、合計6ある部屋。
やはり各部屋の近くには、人形が乗ったイスがある。ここの人形は、カブト虫、クワガタ、セミ、カマキリ、ホタル、トンボみたいだ。
「ここもやっぱり、好きなところに入れるのかな」
一夜が言う。
「そうなんじゃない?」
「ならせっかくだから俺は、カブト虫の部屋を選ぶぜ」
そう言って一夜が、カブト虫の人形が近くにある部屋の前に行く。
「じゃあ私は、カマキリの人形が近くにある部屋で」
私はできるだけ、地上への階段に近い部屋を選ぶ。こういうのは、気分だ。できるだけ早くここから脱出したいのだ。
「じゃあ、やられるなよ。清美」
一夜がそう言って私をカメラで撮った。
「そっちこそ。ドジらないでよ、一夜」
私は、笑って言ってやった。
「さっさと行こうか」
そう言って一夜がドアに手をかける。
「そうね」
私もドアに手をかけて。
そして、覚悟して開けた。
「!」
また何かの力で強引に部屋に入れられる。直後、閉まるドア。
部屋の中には、正面に壁にかけられた雲の絵。絵の下には積み木。左側の壁際に花瓶が置かれたテーブル。部屋の真ん中にも一つのテーブル。そして右側には、上皿天秤と箱が置かれたテーブル。最後にドアの近くに金庫があった。
花瓶には花が飾られていて、花瓶のテーブルにだけクロスが敷かれている。上皿天秤があるテーブルの箱は、既にふたが開いていた。
まずは、真ん中のテーブルだ。迷わず真ん中のテーブルに近づく。
するとやはりテーブルの上にはメモが置いてあり、私はすぐにそれを読む。
カマキリをどかす玉を手に入れるためには、てんびんのつりあいがとれるようにしなければならない。ただし、重りは全て使うこと。
「つまり、ここは天秤の部屋というわけね」
私は早速、天秤があるテーブルへと近づいた。
今、天秤には何も置かれていない。なので、天秤の隣にある、箱の中を見る。
すると、中には重りが6つあった。30グラムが3つ、20グラムが3つだ。
れいせいに、すぐに6つの重りの重さの合計を計算する。重りは6つで150グラムだ。
「この数では、重りは2つに分けてもつりあわない。あと、10グラムか、30グラムの重さの物があればいいんだけど」
私は急いで、積み木の元に行った。
積み木は全部で4種類あった。
丸い形、三角形、正方形、長方形。
この4種類を一度に持って、天秤のテーブルに置く。
そして、天秤の片方に30グラムを置いて、もう片方に丸い積み木を乗せる。
すると天秤は、30グラムの重りよりも丸い積み木の方が重いことを示した。
「お願い、50グラムであって!」
私は更に、20グラムの重りを30グラムの方に追加する。
すると。
今度は、積み木の方が上に上がってしまった。
「くっ、違うか。ううん。けど、もしかしたら他の積み木と組み合わせれば、なんてこともあるかも。もう少し、ちゃんと計ろう」
私は30グラムの重りをどかして、かわりに20グラムの重りを乗せる。
すると合計40グラムの重りと、積み木がつりあってしまった。
「40グラム、ダメだ。使えない」
丸い積み木をどかして、かわりに三角の積み木を乗せる。
すると、これも重さがつりあってしまった。
「これも40グラムなの。じゃあ次は」
次は三角の積み木のかわりに、正方形の積み木を乗せる。
これも40グラム。
最後に、長方形の積み木。
これも40グラム。
「積み木は、ただのひっかけ?」
そこで、あの音楽が聞こえてきた。私は焦りながらも、この部屋を出るための道を模索する。
ここで急いで、部屋に何があるかを再確認だ。
壁にかけられた絵と、花瓶が乗ったテーブル。花瓶は天秤に乗せるには大きすぎる。
「絵の裏に、何かあるとか」
試しに絵を動かしてみる。しかし、そこには何もなかった。
「あとは、花瓶、あ!」
私は急いで花瓶をどかして、テーブルのクロスもどかす。
すると、このテーブルだけガラス製のテーブルであることがわかり、更に上の面が引き戸になっていて、テーブルの中には大中小の3つの魚の人形と、同じ大きさのおはじきが3つ入っているのが見えた。
全部、右から引き戸を開ければ取れるようになっていて、左の引き戸の方には、紙が置いてあった。
紙には、大きな字でこう書いてある。
必ず元に戻すこと。
「見つけた。きっと、これが重りになるんだ」
前の部屋もそうだった。隠された物が、この部屋にもあった。
これを使って、私はこの部屋を出るんだ!
まずは小サイズの魚の人形と、あとおはじきを3つ全部持っていく。
そして、今片方に40グラム乗っている方ではない、何も乗っていない皿に、魚の人形を置く。
すると。
「40グラムより、軽い!」
すぐに20グラムの重りを一つ、天秤からのける。そうしたら今度は、魚の人形の方が重くなった。
「これはひょっとしたら、ひょっとするかも」
ドキドキする心臓の音を聞きながら、皿の上の20グラムの重りを30グラムに変える。すると、魚の人形が乗った皿が上に上がった。
どうやらこの小サイズの魚の人形は30グラム未満で、20グラムより重いようだ。私はここで、おはじきに期待する。
「まだまだ。ここにおはじきがある」
おはじきの1つを、魚の人形の方が乗っている皿に乗せる。それでも天秤は動かない。なのでおはじきをもう1つ乗せ、続いて最後の1つも乗せる。
すると、天秤がかたむき、魚の人形が重くなった。だめだ。30グラム丁度じゃない。
「く、後は、他の魚も乗せて、いや、まずは魚とおはじきの組み合わせを全部調べるべき!」
魚の人形3つとおはじき3つを組み合わせるパターンは百通り以上あるだろうが、人形1つずつとおはじき3つまでを使うなら12通りだ。だから、まずはそっちをしらみつぶしに試す。
とにかくガラスのテーブルまで戻り、残り二つの人形も持って天秤までまた戻る。
そして、小サイズの魚の人形のかわりに、今度は中サイズの魚の人形を乗せた。
すると、30グラムの重りの方が、上になった。更におはじきも全部のけて、この魚の人形が完全に30グラムより重いことを確かめる。
「30グラムより重い。じゃあ、50グラムなら?」
30グラムの重りが乗っている皿に、20グラムの重りを1つ乗せる。すると、魚の人形の方が軽くなった。
「あとは、おはじきで調整できれば!」
魚の人形の方に、おはじきを1つ乗せる。続いてもう一つ乗せる。
そこで天秤が動き、両方の皿の重さがつりあった!
「やった、50グラムだ!」
あとは、えーと、えーと。
重りが全部で150グラムだから、それとこの50グラムを合わせて、200グラム!
「100グラムずつで、つりあう!」
私は更に、30グラムの重りを1つ、20グラムの重り1つを魚の人形が乗った皿に乗せる。そして残った重りを全部反対の皿に乗せる!
すると!
「つりあった!」
重りが乗った二つの皿がつりあい、その直後天秤から鍵が出てきた!
「よし、これで金庫を開ければ!」
鍵で金庫を開けて、玉を手に入れる。
「よし、よし、っ」
そこで、ドアに向かったところで、思い出した。
花瓶とクロスで隠された、ガラスのテーブルの中にあった紙の文。
必ず、元に戻すこと。
「思い出したから、セーフ!」
きっとこれも、罠の一つに違いない。
足元に玉を置いて、天秤のテーブルに戻る。そして、まずは大と中の魚の人形を持って、ガラスのテーブルに戻す。あとは、小サイズの魚の人形と、おはじき3つもガラスのテーブルに戻す。
そして、戸を閉めて、ついでにクロスと花瓶も上に置く。
「これで、元通りのはず!」
すると。
ガチャン。
部屋のドアが、開いた!
「これで、本当にクリア!」
私は玉を拾いながら、部屋を出た。
そして、玉をカマキリの人形に向ける。
「お願い、どいて!」
すると、カマキリの人形はイスの上から落ちて、持っている玉も砕け散った。
早く、イスに座って、セーフ!
「ふうう、一夜、一夜は!」
慌てて一夜が入ったドアの方を見る。けれど、まだ一夜の姿はない。
「一夜、来てよ、絶対。一夜!」
私は祈りながら、一夜の姿が見えるのを待った。
この声は、一夢?
「そんな、一夢まで」
けど、呆然としている場合ではない。今視界では、廊下で長い髪の毛が動いていて、丁度、一夢が入った部屋から、一夢と思わしき形の物を引っ張って、下の階へと持っていっている。
もし、イスに座れなければ、私がああなっていたのだ。そう思うと、ゾッとする。そしてそれ以上に、これで今無事でいるのが、私と一夜だけになったという事実が、私の中に恐怖心を呼ぶ。
そして、髪の毛が3階から去って。
しばらくした後、この階のイス全てが壊れ、私はよろよろと立ち上がった。
今この場には、私と、一夜のみ。
私と、一夜しかいないんだ。
たった、二人。五人だったのが、今は二人。
なんということだ。少し、いや、思った以上に、つらい。
「どうして。このままじゃ、このままじゃ私達」
「まだ全部終わったわけじゃないぞ。清美、気をぬくな」
一夜が、カメラをかまえたまま近づいてくる。
「俺達は、なんとしても助かるんだ。そして、おそわれた三人を助ける。必ず」
一夜が、そんなことを言う。
「じゃあ、一夜はできるの。それを」
私は、思わずそう訊いていた。
すると一夜は、すぐにうなずいた。
「できる。もちろんできる。清美だってできる」
そう言う一夜の声は、なぜか自信に満ちていた。
それに、少し救われた。
「そうだね。私があきらめちゃ、ダメだ。だって、まだこうして出口を、友達を探せるんだから」
「その通りだ。よし、それじゃあ探索を再開するぞ。おそらく、この階にはもう何もないだろう。2階がそうだったからな。だから、1階まで戻ろう」
「もし、1階に何もなかったら?」
「その時にまた考える」
今だけは、この一夜の自信を頼りにできる。
「それじゃあ、行こう。きっと、何か見つかる」
私と一夜は、1階へと下りていった。
そして、1階に変化はあった。
けど。
「ドア」
「ドアだな。開けてみよう」
1階にあった、もう一つの鎖でふさがれていたドアが、解放されて、私達を待っていたというのは、なんとなく、新たな試練を想像させた。
一夜がドアを開けると、その先は地下へと続く階段となっていた。天井には明かりがついていて、明るい。けど、不気味だ。
「地下だな。行くぞ」
「地下とか、初めて行く」
「俺もだ。撮りがいがあるな」
「このドア、閉まってとじこめられたりしないよね」
「その時は、また何かなぞをとけば開くだろ」
「そう願っとく」
階段を下りると、地下は予想以上に広かった。左右に伸びる通路と、それらの通路の先に3つずつ、合計6ある部屋。
やはり各部屋の近くには、人形が乗ったイスがある。ここの人形は、カブト虫、クワガタ、セミ、カマキリ、ホタル、トンボみたいだ。
「ここもやっぱり、好きなところに入れるのかな」
一夜が言う。
「そうなんじゃない?」
「ならせっかくだから俺は、カブト虫の部屋を選ぶぜ」
そう言って一夜が、カブト虫の人形が近くにある部屋の前に行く。
「じゃあ私は、カマキリの人形が近くにある部屋で」
私はできるだけ、地上への階段に近い部屋を選ぶ。こういうのは、気分だ。できるだけ早くここから脱出したいのだ。
「じゃあ、やられるなよ。清美」
一夜がそう言って私をカメラで撮った。
「そっちこそ。ドジらないでよ、一夜」
私は、笑って言ってやった。
「さっさと行こうか」
そう言って一夜がドアに手をかける。
「そうね」
私もドアに手をかけて。
そして、覚悟して開けた。
「!」
また何かの力で強引に部屋に入れられる。直後、閉まるドア。
部屋の中には、正面に壁にかけられた雲の絵。絵の下には積み木。左側の壁際に花瓶が置かれたテーブル。部屋の真ん中にも一つのテーブル。そして右側には、上皿天秤と箱が置かれたテーブル。最後にドアの近くに金庫があった。
花瓶には花が飾られていて、花瓶のテーブルにだけクロスが敷かれている。上皿天秤があるテーブルの箱は、既にふたが開いていた。
まずは、真ん中のテーブルだ。迷わず真ん中のテーブルに近づく。
するとやはりテーブルの上にはメモが置いてあり、私はすぐにそれを読む。
カマキリをどかす玉を手に入れるためには、てんびんのつりあいがとれるようにしなければならない。ただし、重りは全て使うこと。
「つまり、ここは天秤の部屋というわけね」
私は早速、天秤があるテーブルへと近づいた。
今、天秤には何も置かれていない。なので、天秤の隣にある、箱の中を見る。
すると、中には重りが6つあった。30グラムが3つ、20グラムが3つだ。
れいせいに、すぐに6つの重りの重さの合計を計算する。重りは6つで150グラムだ。
「この数では、重りは2つに分けてもつりあわない。あと、10グラムか、30グラムの重さの物があればいいんだけど」
私は急いで、積み木の元に行った。
積み木は全部で4種類あった。
丸い形、三角形、正方形、長方形。
この4種類を一度に持って、天秤のテーブルに置く。
そして、天秤の片方に30グラムを置いて、もう片方に丸い積み木を乗せる。
すると天秤は、30グラムの重りよりも丸い積み木の方が重いことを示した。
「お願い、50グラムであって!」
私は更に、20グラムの重りを30グラムの方に追加する。
すると。
今度は、積み木の方が上に上がってしまった。
「くっ、違うか。ううん。けど、もしかしたら他の積み木と組み合わせれば、なんてこともあるかも。もう少し、ちゃんと計ろう」
私は30グラムの重りをどかして、かわりに20グラムの重りを乗せる。
すると合計40グラムの重りと、積み木がつりあってしまった。
「40グラム、ダメだ。使えない」
丸い積み木をどかして、かわりに三角の積み木を乗せる。
すると、これも重さがつりあってしまった。
「これも40グラムなの。じゃあ次は」
次は三角の積み木のかわりに、正方形の積み木を乗せる。
これも40グラム。
最後に、長方形の積み木。
これも40グラム。
「積み木は、ただのひっかけ?」
そこで、あの音楽が聞こえてきた。私は焦りながらも、この部屋を出るための道を模索する。
ここで急いで、部屋に何があるかを再確認だ。
壁にかけられた絵と、花瓶が乗ったテーブル。花瓶は天秤に乗せるには大きすぎる。
「絵の裏に、何かあるとか」
試しに絵を動かしてみる。しかし、そこには何もなかった。
「あとは、花瓶、あ!」
私は急いで花瓶をどかして、テーブルのクロスもどかす。
すると、このテーブルだけガラス製のテーブルであることがわかり、更に上の面が引き戸になっていて、テーブルの中には大中小の3つの魚の人形と、同じ大きさのおはじきが3つ入っているのが見えた。
全部、右から引き戸を開ければ取れるようになっていて、左の引き戸の方には、紙が置いてあった。
紙には、大きな字でこう書いてある。
必ず元に戻すこと。
「見つけた。きっと、これが重りになるんだ」
前の部屋もそうだった。隠された物が、この部屋にもあった。
これを使って、私はこの部屋を出るんだ!
まずは小サイズの魚の人形と、あとおはじきを3つ全部持っていく。
そして、今片方に40グラム乗っている方ではない、何も乗っていない皿に、魚の人形を置く。
すると。
「40グラムより、軽い!」
すぐに20グラムの重りを一つ、天秤からのける。そうしたら今度は、魚の人形の方が重くなった。
「これはひょっとしたら、ひょっとするかも」
ドキドキする心臓の音を聞きながら、皿の上の20グラムの重りを30グラムに変える。すると、魚の人形が乗った皿が上に上がった。
どうやらこの小サイズの魚の人形は30グラム未満で、20グラムより重いようだ。私はここで、おはじきに期待する。
「まだまだ。ここにおはじきがある」
おはじきの1つを、魚の人形の方が乗っている皿に乗せる。それでも天秤は動かない。なのでおはじきをもう1つ乗せ、続いて最後の1つも乗せる。
すると、天秤がかたむき、魚の人形が重くなった。だめだ。30グラム丁度じゃない。
「く、後は、他の魚も乗せて、いや、まずは魚とおはじきの組み合わせを全部調べるべき!」
魚の人形3つとおはじき3つを組み合わせるパターンは百通り以上あるだろうが、人形1つずつとおはじき3つまでを使うなら12通りだ。だから、まずはそっちをしらみつぶしに試す。
とにかくガラスのテーブルまで戻り、残り二つの人形も持って天秤までまた戻る。
そして、小サイズの魚の人形のかわりに、今度は中サイズの魚の人形を乗せた。
すると、30グラムの重りの方が、上になった。更におはじきも全部のけて、この魚の人形が完全に30グラムより重いことを確かめる。
「30グラムより重い。じゃあ、50グラムなら?」
30グラムの重りが乗っている皿に、20グラムの重りを1つ乗せる。すると、魚の人形の方が軽くなった。
「あとは、おはじきで調整できれば!」
魚の人形の方に、おはじきを1つ乗せる。続いてもう一つ乗せる。
そこで天秤が動き、両方の皿の重さがつりあった!
「やった、50グラムだ!」
あとは、えーと、えーと。
重りが全部で150グラムだから、それとこの50グラムを合わせて、200グラム!
「100グラムずつで、つりあう!」
私は更に、30グラムの重りを1つ、20グラムの重り1つを魚の人形が乗った皿に乗せる。そして残った重りを全部反対の皿に乗せる!
すると!
「つりあった!」
重りが乗った二つの皿がつりあい、その直後天秤から鍵が出てきた!
「よし、これで金庫を開ければ!」
鍵で金庫を開けて、玉を手に入れる。
「よし、よし、っ」
そこで、ドアに向かったところで、思い出した。
花瓶とクロスで隠された、ガラスのテーブルの中にあった紙の文。
必ず、元に戻すこと。
「思い出したから、セーフ!」
きっとこれも、罠の一つに違いない。
足元に玉を置いて、天秤のテーブルに戻る。そして、まずは大と中の魚の人形を持って、ガラスのテーブルに戻す。あとは、小サイズの魚の人形と、おはじき3つもガラスのテーブルに戻す。
そして、戸を閉めて、ついでにクロスと花瓶も上に置く。
「これで、元通りのはず!」
すると。
ガチャン。
部屋のドアが、開いた!
「これで、本当にクリア!」
私は玉を拾いながら、部屋を出た。
そして、玉をカマキリの人形に向ける。
「お願い、どいて!」
すると、カマキリの人形はイスの上から落ちて、持っている玉も砕け散った。
早く、イスに座って、セーフ!
「ふうう、一夜、一夜は!」
慌てて一夜が入ったドアの方を見る。けれど、まだ一夜の姿はない。
「一夜、来てよ、絶対。一夜!」
私は祈りながら、一夜の姿が見えるのを待った。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
女子切腹同好会
しんいち
ホラー
どこにでもいるような平凡な女の子である新瀬有香は、学校説明会で出会った超絶美人生徒会長に憧れて私立の女子高に入学した。そこで彼女を待っていたのは、オゾマシイ運命。彼女も決して正常とは言えない思考に染まってゆき、流されていってしまう…。
はたして、彼女の行き着く先は・・・。
この話は、切腹場面等、流血を含む残酷シーンがあります。御注意ください。
また・・・。登場人物は、だれもかれも皆、イカレテいます。イカレタ者どものイカレタ話です。決して、マネしてはいけません。
マネしてはいけないのですが……。案外、あなたの近くにも、似たような話があるのかも。
世の中には、知らなくて良いコト…知ってはいけないコト…が、存在するのですよ。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる