32 / 37
32 サッカーその4
しおりを挟む
23 蘇生
それから日が進んで、俺達は毎日を忙しく過ごした。
サッカー選手の育成は、どうやら順調のようだ。最初に調達したサッカーに使うボールも、数日でボロボロになってしまったが、幸いまだ補充できる。けどボールは大事かつ重要な要素なので、商業ギルドから完成品が送られてくるのを待とう。
果樹園、麦畑等も、順調に広がっている。だが、皆が広げるスピードに出荷スピードが追いついていない様子。ここは要検討項目か。
五人制のフットサルは、試してみたところサッカーコートが広すぎるため中止。もっと小さいフィールドじゃないと見ごたえがでないか。
クレバナさん、ロリッチさんとも話し合った結果、フットサル用のコートを作るのはまた今度の機会でとなった。今のところ、サッカーの成功が第一になっているからだ。フットサルと分ければ練習内容も変わってしまうかもしれないし、今の人数ならば補欠も合わせて丁度いいはず。最初の試合は、11人制のみで頑張ってもらう。
サッカーの試合時間、休憩時間だが、土属性、火属性、木属性の皆が、力を合わせて巨大砂時計を作ってくれた。それが球形の木製檻に入れられて、更にそれを箱型木枠が支える。
その檻に入った砂時計を押してグルッと半回転させ、使うらしい。この仕組みなら、砂時計を持ち上げなくても使える。皆、ナイスアイデアだ。
皆サッカーの練習がいたについてきたようで、そろそろ選手の選抜をしようという意見も出てきている。男奴隷達のチーム名はサーバークファイアズ。一般の男達のチーム名はサーバークサンダーズ。女奴隷達のチーム名はサーバークウォーターズ。一般の女達のチーム名はサーバークウインドズと決まった。皆チーム名にサーバークとつけるのは、王主国サーバークの選手であるとわかりやすくするためだ。
そうしたことがありながら、俺は今日も新しい一日を迎える。
そして、目覚めて朝の支度をして、食堂に行く直前、俺はとっ君に聞いた。
「ねえ、とっ君。新クリーチャーを創造できるようになるまで、あと何日?」
「あと一日です。マスター」
「そうか。ありがとう、とっ君。それじゃあ、次の新クリーチャーを何にするか決めようか。あー、王様達とも話し合って」
今日は、王様と会おう。いつもいきなり行ってるけど、迷惑だったりしないよね?
お供にクレバナさん、ロリッチさん、イルフィン君。それとウェルカムドアをつれて、お城までやってくる。
王様と会いたいと告げると、一度ロイヤルスイートルームで待ってから、わりかし早く王様と会えた。
今日も、場所は作戦会議室。待っていたのは王様と、王子様。それと、前にもいた軍師さん達。
「王主様、よくぞこられた。して、今日は何用じゃ?」
「おはようございます、王様。本日は、俺の力の使い方について相談しにきました。まず俺の力、新クリーチャー創造について説明しますね。クレバナさん、ロリッチさんも、よかったら助言お願い」
俺はここで、新クリーチャー創造の力を説明する。
一。なんでも好きなクリーチャーを創造できるようになる。効果もさまざま。
二。一度創造したら、再創造まで十日必要。
三。ウェルカムドアはそうやった創造されたクリーチャーで、明日になったら十日経つ。
ざっとここまで説明すると、王様達は頭を抱えた。
「つまりサバク殿は、どんな願いもかなえられる力を持っているわけじゃな?」
王様にそう言われた。俺は一応うなずく。
「はい」
「そ、それではその力で世界統一すればいいではないか!」
ロリッチさんがそう言った。
「いや、漠然とした願いを叶えられるかはわからないから。もし洗脳とか、強制とかという話になったら、それはちょっと。あくまでこの力を使って、平和への道を作る。ということで」
「む。ま、まあ、確かにそうだな」
ロリッチさんはすぐに引き下がってくれた。
「サバクさん。サバクさんは今のところ、どのようなクリーチャーを召喚できるのですか。できるだけ教えてもらいたいのですが」
クレバナさんがそう言った。
「別にいいけど、後でいい?」
「ええ。今日中にお願いします」
「はい」
「王主様。こちらにも詳しく教えてもらえれば、助かる」
「はい、王様。わかりました。それで、話を戻しますが、俺の力で想像するクリーチャーなんですけど、俺は既に、想像する力の候補を考えてきました。王様達にもその候補を聞いて、そのうえで助言、あるいは賛成してくれるとうれしいのですが、かまいませんか?」
「うむ。そういうことなら、是非相談にのろう。して、王主様は更にどのような願いを叶える気なんじゃ?」
「はい。今創造したいクリーチャーは三人。なんでも欲しい物を生み出してくれるクリーチャーと、なんでも教えてくれる先生みたいなクリーチャーと、死者を生き返らせることができるクリーチャーです。俺はその中でも、死者を生き返らせるクリーチャーを最優先したいのですけど」
「なるほどのお。一応、その理由を聞かせてくれんか?」
「はい。まずなんでも物を生み出せるクリーチャーがいれば、簡単に俺が前いた世界の物を、この世界に持ってくることができます。そしてなんでも教えてくれるクリーチャーがいれば、そのクリーチャーを中心に、この世界の文明を発展させることができます。そして、最後の生き返らせられるクリーチャーですが、彼がいれば、先日までの戦争で失った人たちを取り戻せるかもしれません。特に、まずは俺がファルトアの壁の外で倒してしまった、バウコン帝国軍の兵士達を生き返らせたいと思っています」
「ふむ」
皆黙った。これは、やっぱり、俺のエゴだったかな?
「皆さんは、賛成してくださいますか?」
「一つ訊ねたい。それは、まずバウコン帝国の死者をよみがえらせてから、次にアッファルト王国の死者をよみがえらせる。という流れでよいのだろうか?」
軍師さんにそう訊ねられる。
「はい。基本的に死者を生き返らせたい人がいたら、生き返らせてあげたいです。何かの原因で家族全員が死んでしまった、という場合も、生き返らせてあげたい。けれど、無理に生き返らせる気はありません。例えば寿命による死、その人が望んだ死である場合は、生き返らせることを良しとしません」
「ふむ。不慮の事故等によって死んでしまった者をよみがえらせられれば、それは奇跡じゃ。こちらとしては、できるのなら是非やってもらいたいところじゃ」
王様がそう言う。
「ありがとうございます。王様。それで、クレバナさん、ロリッチさんはどう思う?」
「私としては、それが可能なら良しとします。しかし生き返らせる場合、対価はどうするつもりですか?」
「対価って、そんなのいらないよ」
「対価の無い救い程、危険なものはありませんよ。場合によっては、それで混乱が生じるかもしれません」
「そうだぞ。無償で人を生き返らせるなど、正気とは思えん!」
クレバナさんとロリッチさんにはそう言われてしまうが。
「けど、人を生き返らせてお金を得ようとは思わないよ。少なくとも俺は、死んでしまった者を生き返らせるのに対価はいらないと思う」
「ふむ。では、王主国の中では、王主様の人を生き返らせる力を無償にしてはどうだろうか?」
ここで王子様がそう言った。
「こちらにとって、死者の蘇生は奇跡だ。そのようなことをなんの対価も無しにやられては、どんな事態が起こるか予想がつかない。故に、王国では王国なりの、人を生き返らせるうえでのルールを設ける。早速こちらで王国領の蘇生専門の役職を設け、王主様はその専門官が認めた死者のみを生き返らせる。それでいいだろうか?」
「なるほど。協力してくれるなら、俺もありがたいです」
俺はうなずいた。
「となると、今俺が無償で生き返らせることができる相手は、0か、俺が買ったりして得た奴隷達だけ。と思うのだけど、どうだろう?」
「そうじゃな。奴隷は元王国民だが、所有権は王主様にある。なので奴隷達は王主様の民という形でオーケーじゃ」
王様からもお墨付きをもらう。
「あ、そうだ。それじゃあもう一つ、相談があるんだけど、俺は奴隷制度を廃止したいんだ」
「正気か? お前、こと、サバクさんは今、その奴隷を使役しているのだぞ?」
ロリッチさんにそう言われるが、俺はうなずいて更に自分の意見を言う。
「でも、奴隷という身分は、平和とは相反するあり方だと思う。だから俺は奴隷という身分を、仕事に人生を費やす者達、レイドへと形を変えたい。レイドとなった人達は、仕事斡旋を専門とする労働組合、レイドサークルの従業員となって、日々を労働に費やしてもらう。その生活では給料や休暇も得られる。ただし、レイドは簡単にはレイドサークルから抜け出せず、またレイドサークル内で請け負っている仕事しか選べない。これは、王国や帝国にすぐ命令するわけではないけど、いずれはこの形にして、奴隷制度を廃止したい。どうかな?」
「王主様が言うのであれば、こちらは協力するしかあるまい」
「王様!」
王様がうなずくが、他の軍師さん達が異を唱える。
「奴隷制度はこの国を支える大事な要素ですぞ。奴隷がいなくなれば犯罪者や破産者はどうするのです。奴隷を失えば、国の存続が危ぶまれます!」
「しかしのお、現に王主様が、奴隷を全てレイドに変えて、労働力として徴用すると言っておるではないか。ワシには別に、無理を言っているようには聞こえなかったがの」
「しかしですね!」
「わかった。この件は後日話し合おう。今は、王主様が王主国では奴隷を一切無くし、レイドという新たな枠を作るという話。皆、そのことに異論はあるか?」
王子様の言葉に、皆黙った。
「どうやら皆、王主様の意見に異論はないようだ。王主様、この通りまずは、王主国で俺達に手本を見せていただきたい。そうすればこちらでも、王主様の意見が受け入れやすくなる」
「あ、ああ。わかった。頑張るよ」
責任重大だな。頑張るぞ。
「それじゃあ、そういうことで。まずは、死者を生き返らせるクリーチャーを作るよ」
「ああ、待ってくれ王主様。そちらの話が終わりなら、こちらも一つ、話をさせてもらいたい」
王子様にそう言われた。
「はい。なんでしょうか」
「王主様はいつ、我が妹、リキュアとご結婚なされるのだ?」
あ。
あー。
ああー。
「まだ、ちょっとそういう予定はないかなあー?」
「そう言って、王主様はいつも引き延ばしになされる。もしかしたら王主様は、そう言ってリキュアを弄んでいるのではないか?」
「お、俺はリキュア王女様を大切に思ってる!」
ただ、結婚にビビってるだけだ!
「サバクさん。世界平和も大事ですが、レディーを待たせるのは紳士としてあるまじき態度ですよ」
「うぐっ」
クレバナさんの言葉が心に刺さった!
「女を泣かせる男は女の敵だ。と、これは言うまでもないことだが、サバクさんはまさか、王国の姫君で遊んでいるというのか?」
ロリッチさんにもそう言われた!
「ち、違うぞ。違うけど、も、もうちょっと、待ってください。本当に、本当に今は、サッカーとか、死者の蘇生に集中したいから!」
な、なんとか適当なことを言って、この場をごまかすんだ!
リキュア王女様、ごめんなさい!
「わかった。では、サッカーが終わってから式を挙げるというのだな」
「え?」
「そうか。良かった良かった。それなら安心したわい。王主様。くれぐれもリキュアのこと、よろしく頼みます」
王子様の言った言葉を頭が受け入れている間に、王様が笑顔でなんか言った。
あー。俺もなんか言ったねえ。
サッカーと死者の蘇生を集中した後は。結婚、みたいな流れ?
「はっはっは。そうです。そういうことです。ということで今は、平和政策に専念ということで!」
訂正しても話はこじれるだけのような気がするから、ここはこの場でお開きにしておこう。
うん。たぶんそれでいいんだ、俺。
「この場での話がこれで終わりというのなら、早速皇帝陛下に死者の蘇生の件を伝えたく思います。サバクさん。すぐに瞬間移動の用意をしてください」
気が遠くなっていた俺の意識を、クレバナさんが呼び寄せた。
「あ、うん。わかった。バラックスに報告だね。ウェルカムドア、帝国までつないで!」
「ウェルカーム」
ウェルカムドアはドアモードになり、ドアを開ける。
「ああ、サバクさん。今回は特に重大な話です。ぜひサバクさんも皇帝陛下とお会いして、心ゆくまで話し合ってください」
「え、いいの?」
「私はその方がよろしいと思います。ねえ、ロリッチ?」
「ああ、そうだな。何せ、帝国民が生き返るかもしれないのだ。私達だけでは手に余る話だろう。できれば、サバクさんも同行願いたい」
「ああ、わかったよ。それじゃあ、俺も行く。というわけで、王様方、今日のところはこれで失礼します」
「うむ。王主様。こちらも蘇生の件、いろいろと用意しておこう。何か報告すべきことができたら、王主様のお屋敷に使いを送るので、よろしく頼む」
「はい」
こうして俺達は、ウェルカムドアを通って帝国領まで瞬間移動した。
バラックスとも、上手く話がまとまればいいなあ。
前、バラックスと会った時は、お仕事中にお部屋におじゃましてしまい、唐突なこちらの訪問となってしまった。
それを避けるため、現在、帝国のお城にはサバク専用部屋がある。ウェルカムドアが来てもよいという部屋だ。
まずそこへ入り、部屋の前で待機している兵に訪問の旨を伝える。すると兵はすぐさますっとんでいき、俺達はその部屋で待つ。
やがて、偉そうな文官が現れ、俺達をつれて作戦会議室へ。ただしそこには、バラックスと、文官、武官。そして美しい女官達がお茶菓子を用意して待っていた。
「よく来てくれた、王主殿。まずは席に座って、茶でも飲んでくれ」
バラックスにそう言われる。
「王主様。どうぞこちらへ」
美しい女官に席を引かれる。俺は鼻の下を伸ばすのをこらえつつ、そこに座る。イルフィン君達等も同様。そしてイルフィン君はお茶とお菓子を食べてから、俺に親指を見せる。
「マスター、毒は入ってません!」
「ああ、ありがとう」
そういえば、こんなやりとり前にもあったなあ。
「バラックス。そちらにあまり手間はとらせない。ひとまず、要件を伝える」
「ああ。そうしてくれ」
「まず、死者の蘇生をやりたいと思ってる。ああ、その前に俺の力について、説明しておかないとな。紙とペンとかの用意は、必要か?」
「それはこちらの文官が行う。構うことなく説明してくれ」
「ああ、わかった」
俺は先程王様にも伝えた通り、新クリーチャー創造の力を話した。そして、これから俺が手に入れたい効果を持つクリーチャーのことも話しておく。
あと、現在召喚できるクリーチャーの特徴も伝えておく。これはクレバナさん、ロリッチさんだけに言うより、今皇帝に言ってしまう方が良いだろう。
すると、俺の考えを聞いたバラックスが、お茶を一口飲んでから言った。
「まず、王主殿の言う通り死者が生き返るとして、その対価についてだが」
「ああ、それはそっちで決めてくれ。帝国は、バラックスの国だからな」
「そうか。では、戦争中に戦死した者の身内へ送った死亡手当があるが、それと同程度の金額を対価としよう。それと、もしくは王主国への移住だな」
「うん、わかっ、え?」
移住?
「移住って、お引越し?」
「そうだが、何か問題があるか?」
「いいの、帝国の人だよ?」
「だが、王主国では無料、無償で死者が生き返るのだろう。それに、我が帝国は王主国の属国だ。そこから王主国へ移住する者がいたとしても、少ない数であれば、こちらとしては問題ではない」
「そう。なら、いいか?」
ここで、とっ君が現れて言った。
「マスター。しかし、サーバークでは現在民の受け入れを行っておりません。今何百何千もの民を迎えることはできませんよ」
「ああ、そっか。ありがとうとっ君」
「待て。そこの者、何者だ!」
ここで武官さんがとっ君を見て立ち上がった。
「ああ、大丈夫です。彼はとっ君。俺の仲間です。安全です」
突然のとっ君の出現にひと悶着ありながらも、話は続く。
「なるほど。わかった。俺としても、王主国に住みたいと言ってくれる人は、喜んで受け入れたい。早速その準備をしよう」
「うむ。こちらも、死者を生き返らせたいと願う者の募集を早速始めよう。ただし、この話には前例がない。いや、帝国にはわずかに死者を蘇生できる者がいるが、王主殿の言うように、とはいかないからな。とにかく、実際に生き返らせる奇跡を成功させてから、公然と募集をかけよう。それでかまわないな?」
「もちろんだ。俺だって、自分の力を知らなければ、眉唾ものの話としか思えないからな。まずは小規模で、死者の準備をしてくれ。もちろんここで、生き返らせる死者を用意するために、人を殺すなんてことはしないでくれよ」
「わかっておる。そうだな。20日後、またここへ来てくれ。その時蘇生を行ってもらおう」
「わかった。それと、これは別件なんだが。実は、奴隷制度を廃止したい」
「ほう。それで奴隷をどうするつもりだ?」
「かわりに奴隷をレイドとする。レイドはレイドサークルに全員登録、雇用され、そのレイドサークルに手配された中の仕事を行うものとする。という感じだ。いわゆる労働組合だな。それでレイド達に正当な賃金と休暇を与えたい」
「ふむ。それは難しいな」
「ダメか?」
「それが奴隷のほんの一握りならば、不可能ではないだろう。支配実態も、主が国や個人からレイドサークルに変わるだけだ。おそらく機能としては問題ではない。だが奴隷の中には、大罪人、罪を犯すことを喜びとする外道がいる。彼らを野放しにするような制度は、許容できない」
「そうかあ」
確かに、快楽殺人犯、愉快犯を野放しにすることはできない。そこは、なんとかしなきゃなあ。
「わかった。そういう点は、こちらでも検討する。でも、俺は奴隷廃止が平和への一歩だと考えてるんだ。頼む、この件もぜひ協力してくれ」
「うむ。そうだな。段階的にだが試そう。レイドサークルという案は、こちらでも採用する。だが、やはり最初は小規模でだ。それで問題が起きない限り、少しずつ拡大していく。それで良いな?」
「ああ。頼む。それじゃあ、俺の要件はこのくらいだ。バラックスの方は、俺に何か用はないか?」
「ふむ。そうだな」
バラックスがそう言うと、文官がここでわざとらしく咳払いをして言った。
「王主殿。ところで貴殿は、なんでも傷をいやし、体の欠損を生やす程の回復薬を持っているのだとか」
「ああ。超治癒水のことか」
俺がチラッとクレバナさん、ロリッチさんを見ると、どちらもサッと顔を背けた。まあ、報告するのは当然だよね。
「もちろん用意できますが、やはり必要なのですか?」
「ええ、ぜひとも。よろしければ、お譲りください!」
「それはかまいません。ですが、その水は俺の仲間、イルフィン君が出してくれるものです。ですので、彼が了承できる程度の量となりますが」
「ふむ。では、そこの者が出してくれた超治癒水の量に応じて、レイドサークルの予算を組もう」
バラックスが突然、ぽつりとそう言った。
それは、こちらにとっては渡りに船というか。なんというか。
俺、目の前にニンジンぶら下げられてる?
「マスター。私、やりますよ!」
イルフィン君が握りこぶしを作りながら言った。
「あ、うん。じゃあ、お願い。イルフィン君。超治癒水、出してあげて」
「はい!」
「あ、それと皇帝陛下。今のうちに一つご報告したいことがあります」
クレバナさんがそう言った。
「む、なんだ」
「例のサッカーの件が片付いた後、サバクさんはご結婚なされるそうです」
「えっ」
俺、そんなこと。言ったような、そうでもないような。
「なるほど。ではその結婚式、余も参加せねばなるまいな」
「えっ」
「式にはぜひ呼んでくれ。もちろん、式場はこちらの教会でもかまわぬぞ」
「あ、ああ。あははは」
どうしよう。逃げ場がない。
いや、逃げちゃダメだ。逃げちゃダメだ。逃げちゃダメだ。
どのみち避けては通れない道なんだ。だったら、もう日取りを決めてしまおう。
覚悟は定まってないけど、リキュア王女様をほっぽっておくわけにもいくまい。よし。俺も男だ。結婚すると決まったら、結婚しよう。
けど、今はまだサッカーと死者の蘇生案に集中しよう。
その後、頑張るイルフィン君に、たくさん用意されたタルの中に超治癒水、ときどき聖水を注いでもらった後、サッカー場に戻った。
最近、土属性と木属性に戻ってもらう場所がそちらになっていた。ああ、あと、買った奴隷の皆と、屋敷のアビス達三人に、レイドのことを伝えておかないとな。
となると、レイドサークルの職員も募集しなければいけないか。ああ、やっぱりまだまだ忙しいぞ。
俺はバルハード。奴隷だ。
過去に冒険者の仕事で、戦闘中に油断してしまい、右腕を失った。
そのまま冒険者家業を断念。他の仕事を探そうかとも思ったが、片腕、それも利き手がないと、何をするのも上手くいかない。それどころか毎日妻に介護してもらう始末。
自信も何もかも失って、家でぐうたらしていても、妻の冷たい視線にさらされるのみ。何もかもが嫌になって、自ら進んでわずかな買取金をもらい、奴隷落ちした。
唯一自慢できる可愛い一人娘は、まだ小さい。一緒にいてやりたいが、俺なんかがいてもただ金を無駄に使うだけだ。これ以上家族の負担になりたくない。俺は奴隷落ちしてもいい。ほんの少しでも、家族に良い生活をさせたい。
それから二年経って、全く俺の買い手がつかず、戦争が始まった。
相手国は、バウコン帝国。シェス皇国とマヌク王国を占領し、そのまま西へ侵攻してきたらしい。相手の勢力は、十万人とか。
俺も兵士達へ、奴隷兵として貸し出され、戦力のあてにされた。俺のレベルは38。右腕はないが、剣を持てばそこそこ戦える。他の奴隷よりも、戦力として期待された。
だが、それでもこちらの兵力は相手の半分以下だった。奴隷兵は王都を守るため一か所に集められたが、そこからでも相手の、地を覆い尽くさんばかりの軍勢が見えた。
しかも、情報によると敵軍は王都の南門、東門、北門に展開しているらしい。今見えているのはわずか三分の一の数なのに、あの大軍。まるで勝てる気がしない。
もう終わった。死んだ。そう思った時、救世主が現れた。
突然西から飛んできたドラゴンが、バウコン帝国軍をおそった。
ドラゴン達は数を減らしつつも、軍を撃退。そのまま、ドラゴン達は集まって移動し、やがて南門の前で集合した。
まるで王国の守護者だった。
後で聞いたところによると、俺達を救ったドラゴン達は、神の使い、サバク様の従者だったらしい。
こうしてサバク様が、王都を救った。
その後、俺達奴隷兵は、一応雇われていたので、形だけでも給料をもらえた。
「何か欲しいものはあるか。買ってきてやる」
「いいや。俺へ払われる金は全て、元家族の元へ送ってくれ」
俺の周囲で、奴隷兵が肉や酒を買って楽しんでいた。俺はものすごくうらやましく思ったが、妻と娘の顔を思い出して耐えしのんだ。
その後も、バウコン軍を警戒するために雇われ続けたが、数日後、サバク様の手によって終戦が伝えられ、俺達はまた奴隷商の元へ返された。
戦わなくて済んだことに安堵して、更に元家族が無事だったことに安心する。警戒中にサバク教に入信するようすすめられたが、喜んでサバク教に入信した。
サバク様万歳。
更に数日後、あのサバク様が奴隷を買い求められた。
その際に、不思議な水で俺の手がまた生えた。俺、復活。
おおおおお。うれしいいいいい!
けれど、もう元の生活には戻れない。俺は奴隷落ちしたのだ。でも、まだ生きる意味は失っていない。
サバク様が俺を買ってくれるかもしれないのだ。アッファルト王国を救ってくれた恩を、わずかでも返したい。俺は全力で、一番目指して走った。
結果、無事サバク様に買っていただけた。なんでも俺達をサッカー選手にしたいらしい。
サッカー選手とはなんだろう。サバク様の言っていることは難しいが、サバク様の言葉に間違いはない。俺はどこまでもサバク様についていく。
そこから、一瞬で王都の外に出て、一瞬で家が建つのを見て、フカフカのベッドと腹いっぱい食える飯を用意してもらって。
右手で飯を食って、泣いた。
それから、一生懸命サッカー選手になろうとした。
それから数日後。今日はサバク様とお会いできた。今日は良い日だ。
そしてサバク様に、こう言われた。
「君達はこれから、奴隷ではない。レイドだ。出来る限り自由があるようにするし、出来る限り給与も与える。とにかく、君達はもう奴隷ではない。一人の立派な人間として、まずはこれからも、サッカーに励んでほしい」
どうやら俺はもう、奴隷ではないらしい。
ということは、久しぶりに妻と娘に会いに行ってもいいのか?
やったあああああ!
サバク様、万歳!
それから日が進んで、俺達は毎日を忙しく過ごした。
サッカー選手の育成は、どうやら順調のようだ。最初に調達したサッカーに使うボールも、数日でボロボロになってしまったが、幸いまだ補充できる。けどボールは大事かつ重要な要素なので、商業ギルドから完成品が送られてくるのを待とう。
果樹園、麦畑等も、順調に広がっている。だが、皆が広げるスピードに出荷スピードが追いついていない様子。ここは要検討項目か。
五人制のフットサルは、試してみたところサッカーコートが広すぎるため中止。もっと小さいフィールドじゃないと見ごたえがでないか。
クレバナさん、ロリッチさんとも話し合った結果、フットサル用のコートを作るのはまた今度の機会でとなった。今のところ、サッカーの成功が第一になっているからだ。フットサルと分ければ練習内容も変わってしまうかもしれないし、今の人数ならば補欠も合わせて丁度いいはず。最初の試合は、11人制のみで頑張ってもらう。
サッカーの試合時間、休憩時間だが、土属性、火属性、木属性の皆が、力を合わせて巨大砂時計を作ってくれた。それが球形の木製檻に入れられて、更にそれを箱型木枠が支える。
その檻に入った砂時計を押してグルッと半回転させ、使うらしい。この仕組みなら、砂時計を持ち上げなくても使える。皆、ナイスアイデアだ。
皆サッカーの練習がいたについてきたようで、そろそろ選手の選抜をしようという意見も出てきている。男奴隷達のチーム名はサーバークファイアズ。一般の男達のチーム名はサーバークサンダーズ。女奴隷達のチーム名はサーバークウォーターズ。一般の女達のチーム名はサーバークウインドズと決まった。皆チーム名にサーバークとつけるのは、王主国サーバークの選手であるとわかりやすくするためだ。
そうしたことがありながら、俺は今日も新しい一日を迎える。
そして、目覚めて朝の支度をして、食堂に行く直前、俺はとっ君に聞いた。
「ねえ、とっ君。新クリーチャーを創造できるようになるまで、あと何日?」
「あと一日です。マスター」
「そうか。ありがとう、とっ君。それじゃあ、次の新クリーチャーを何にするか決めようか。あー、王様達とも話し合って」
今日は、王様と会おう。いつもいきなり行ってるけど、迷惑だったりしないよね?
お供にクレバナさん、ロリッチさん、イルフィン君。それとウェルカムドアをつれて、お城までやってくる。
王様と会いたいと告げると、一度ロイヤルスイートルームで待ってから、わりかし早く王様と会えた。
今日も、場所は作戦会議室。待っていたのは王様と、王子様。それと、前にもいた軍師さん達。
「王主様、よくぞこられた。して、今日は何用じゃ?」
「おはようございます、王様。本日は、俺の力の使い方について相談しにきました。まず俺の力、新クリーチャー創造について説明しますね。クレバナさん、ロリッチさんも、よかったら助言お願い」
俺はここで、新クリーチャー創造の力を説明する。
一。なんでも好きなクリーチャーを創造できるようになる。効果もさまざま。
二。一度創造したら、再創造まで十日必要。
三。ウェルカムドアはそうやった創造されたクリーチャーで、明日になったら十日経つ。
ざっとここまで説明すると、王様達は頭を抱えた。
「つまりサバク殿は、どんな願いもかなえられる力を持っているわけじゃな?」
王様にそう言われた。俺は一応うなずく。
「はい」
「そ、それではその力で世界統一すればいいではないか!」
ロリッチさんがそう言った。
「いや、漠然とした願いを叶えられるかはわからないから。もし洗脳とか、強制とかという話になったら、それはちょっと。あくまでこの力を使って、平和への道を作る。ということで」
「む。ま、まあ、確かにそうだな」
ロリッチさんはすぐに引き下がってくれた。
「サバクさん。サバクさんは今のところ、どのようなクリーチャーを召喚できるのですか。できるだけ教えてもらいたいのですが」
クレバナさんがそう言った。
「別にいいけど、後でいい?」
「ええ。今日中にお願いします」
「はい」
「王主様。こちらにも詳しく教えてもらえれば、助かる」
「はい、王様。わかりました。それで、話を戻しますが、俺の力で想像するクリーチャーなんですけど、俺は既に、想像する力の候補を考えてきました。王様達にもその候補を聞いて、そのうえで助言、あるいは賛成してくれるとうれしいのですが、かまいませんか?」
「うむ。そういうことなら、是非相談にのろう。して、王主様は更にどのような願いを叶える気なんじゃ?」
「はい。今創造したいクリーチャーは三人。なんでも欲しい物を生み出してくれるクリーチャーと、なんでも教えてくれる先生みたいなクリーチャーと、死者を生き返らせることができるクリーチャーです。俺はその中でも、死者を生き返らせるクリーチャーを最優先したいのですけど」
「なるほどのお。一応、その理由を聞かせてくれんか?」
「はい。まずなんでも物を生み出せるクリーチャーがいれば、簡単に俺が前いた世界の物を、この世界に持ってくることができます。そしてなんでも教えてくれるクリーチャーがいれば、そのクリーチャーを中心に、この世界の文明を発展させることができます。そして、最後の生き返らせられるクリーチャーですが、彼がいれば、先日までの戦争で失った人たちを取り戻せるかもしれません。特に、まずは俺がファルトアの壁の外で倒してしまった、バウコン帝国軍の兵士達を生き返らせたいと思っています」
「ふむ」
皆黙った。これは、やっぱり、俺のエゴだったかな?
「皆さんは、賛成してくださいますか?」
「一つ訊ねたい。それは、まずバウコン帝国の死者をよみがえらせてから、次にアッファルト王国の死者をよみがえらせる。という流れでよいのだろうか?」
軍師さんにそう訊ねられる。
「はい。基本的に死者を生き返らせたい人がいたら、生き返らせてあげたいです。何かの原因で家族全員が死んでしまった、という場合も、生き返らせてあげたい。けれど、無理に生き返らせる気はありません。例えば寿命による死、その人が望んだ死である場合は、生き返らせることを良しとしません」
「ふむ。不慮の事故等によって死んでしまった者をよみがえらせられれば、それは奇跡じゃ。こちらとしては、できるのなら是非やってもらいたいところじゃ」
王様がそう言う。
「ありがとうございます。王様。それで、クレバナさん、ロリッチさんはどう思う?」
「私としては、それが可能なら良しとします。しかし生き返らせる場合、対価はどうするつもりですか?」
「対価って、そんなのいらないよ」
「対価の無い救い程、危険なものはありませんよ。場合によっては、それで混乱が生じるかもしれません」
「そうだぞ。無償で人を生き返らせるなど、正気とは思えん!」
クレバナさんとロリッチさんにはそう言われてしまうが。
「けど、人を生き返らせてお金を得ようとは思わないよ。少なくとも俺は、死んでしまった者を生き返らせるのに対価はいらないと思う」
「ふむ。では、王主国の中では、王主様の人を生き返らせる力を無償にしてはどうだろうか?」
ここで王子様がそう言った。
「こちらにとって、死者の蘇生は奇跡だ。そのようなことをなんの対価も無しにやられては、どんな事態が起こるか予想がつかない。故に、王国では王国なりの、人を生き返らせるうえでのルールを設ける。早速こちらで王国領の蘇生専門の役職を設け、王主様はその専門官が認めた死者のみを生き返らせる。それでいいだろうか?」
「なるほど。協力してくれるなら、俺もありがたいです」
俺はうなずいた。
「となると、今俺が無償で生き返らせることができる相手は、0か、俺が買ったりして得た奴隷達だけ。と思うのだけど、どうだろう?」
「そうじゃな。奴隷は元王国民だが、所有権は王主様にある。なので奴隷達は王主様の民という形でオーケーじゃ」
王様からもお墨付きをもらう。
「あ、そうだ。それじゃあもう一つ、相談があるんだけど、俺は奴隷制度を廃止したいんだ」
「正気か? お前、こと、サバクさんは今、その奴隷を使役しているのだぞ?」
ロリッチさんにそう言われるが、俺はうなずいて更に自分の意見を言う。
「でも、奴隷という身分は、平和とは相反するあり方だと思う。だから俺は奴隷という身分を、仕事に人生を費やす者達、レイドへと形を変えたい。レイドとなった人達は、仕事斡旋を専門とする労働組合、レイドサークルの従業員となって、日々を労働に費やしてもらう。その生活では給料や休暇も得られる。ただし、レイドは簡単にはレイドサークルから抜け出せず、またレイドサークル内で請け負っている仕事しか選べない。これは、王国や帝国にすぐ命令するわけではないけど、いずれはこの形にして、奴隷制度を廃止したい。どうかな?」
「王主様が言うのであれば、こちらは協力するしかあるまい」
「王様!」
王様がうなずくが、他の軍師さん達が異を唱える。
「奴隷制度はこの国を支える大事な要素ですぞ。奴隷がいなくなれば犯罪者や破産者はどうするのです。奴隷を失えば、国の存続が危ぶまれます!」
「しかしのお、現に王主様が、奴隷を全てレイドに変えて、労働力として徴用すると言っておるではないか。ワシには別に、無理を言っているようには聞こえなかったがの」
「しかしですね!」
「わかった。この件は後日話し合おう。今は、王主様が王主国では奴隷を一切無くし、レイドという新たな枠を作るという話。皆、そのことに異論はあるか?」
王子様の言葉に、皆黙った。
「どうやら皆、王主様の意見に異論はないようだ。王主様、この通りまずは、王主国で俺達に手本を見せていただきたい。そうすればこちらでも、王主様の意見が受け入れやすくなる」
「あ、ああ。わかった。頑張るよ」
責任重大だな。頑張るぞ。
「それじゃあ、そういうことで。まずは、死者を生き返らせるクリーチャーを作るよ」
「ああ、待ってくれ王主様。そちらの話が終わりなら、こちらも一つ、話をさせてもらいたい」
王子様にそう言われた。
「はい。なんでしょうか」
「王主様はいつ、我が妹、リキュアとご結婚なされるのだ?」
あ。
あー。
ああー。
「まだ、ちょっとそういう予定はないかなあー?」
「そう言って、王主様はいつも引き延ばしになされる。もしかしたら王主様は、そう言ってリキュアを弄んでいるのではないか?」
「お、俺はリキュア王女様を大切に思ってる!」
ただ、結婚にビビってるだけだ!
「サバクさん。世界平和も大事ですが、レディーを待たせるのは紳士としてあるまじき態度ですよ」
「うぐっ」
クレバナさんの言葉が心に刺さった!
「女を泣かせる男は女の敵だ。と、これは言うまでもないことだが、サバクさんはまさか、王国の姫君で遊んでいるというのか?」
ロリッチさんにもそう言われた!
「ち、違うぞ。違うけど、も、もうちょっと、待ってください。本当に、本当に今は、サッカーとか、死者の蘇生に集中したいから!」
な、なんとか適当なことを言って、この場をごまかすんだ!
リキュア王女様、ごめんなさい!
「わかった。では、サッカーが終わってから式を挙げるというのだな」
「え?」
「そうか。良かった良かった。それなら安心したわい。王主様。くれぐれもリキュアのこと、よろしく頼みます」
王子様の言った言葉を頭が受け入れている間に、王様が笑顔でなんか言った。
あー。俺もなんか言ったねえ。
サッカーと死者の蘇生を集中した後は。結婚、みたいな流れ?
「はっはっは。そうです。そういうことです。ということで今は、平和政策に専念ということで!」
訂正しても話はこじれるだけのような気がするから、ここはこの場でお開きにしておこう。
うん。たぶんそれでいいんだ、俺。
「この場での話がこれで終わりというのなら、早速皇帝陛下に死者の蘇生の件を伝えたく思います。サバクさん。すぐに瞬間移動の用意をしてください」
気が遠くなっていた俺の意識を、クレバナさんが呼び寄せた。
「あ、うん。わかった。バラックスに報告だね。ウェルカムドア、帝国までつないで!」
「ウェルカーム」
ウェルカムドアはドアモードになり、ドアを開ける。
「ああ、サバクさん。今回は特に重大な話です。ぜひサバクさんも皇帝陛下とお会いして、心ゆくまで話し合ってください」
「え、いいの?」
「私はその方がよろしいと思います。ねえ、ロリッチ?」
「ああ、そうだな。何せ、帝国民が生き返るかもしれないのだ。私達だけでは手に余る話だろう。できれば、サバクさんも同行願いたい」
「ああ、わかったよ。それじゃあ、俺も行く。というわけで、王様方、今日のところはこれで失礼します」
「うむ。王主様。こちらも蘇生の件、いろいろと用意しておこう。何か報告すべきことができたら、王主様のお屋敷に使いを送るので、よろしく頼む」
「はい」
こうして俺達は、ウェルカムドアを通って帝国領まで瞬間移動した。
バラックスとも、上手く話がまとまればいいなあ。
前、バラックスと会った時は、お仕事中にお部屋におじゃましてしまい、唐突なこちらの訪問となってしまった。
それを避けるため、現在、帝国のお城にはサバク専用部屋がある。ウェルカムドアが来てもよいという部屋だ。
まずそこへ入り、部屋の前で待機している兵に訪問の旨を伝える。すると兵はすぐさますっとんでいき、俺達はその部屋で待つ。
やがて、偉そうな文官が現れ、俺達をつれて作戦会議室へ。ただしそこには、バラックスと、文官、武官。そして美しい女官達がお茶菓子を用意して待っていた。
「よく来てくれた、王主殿。まずは席に座って、茶でも飲んでくれ」
バラックスにそう言われる。
「王主様。どうぞこちらへ」
美しい女官に席を引かれる。俺は鼻の下を伸ばすのをこらえつつ、そこに座る。イルフィン君達等も同様。そしてイルフィン君はお茶とお菓子を食べてから、俺に親指を見せる。
「マスター、毒は入ってません!」
「ああ、ありがとう」
そういえば、こんなやりとり前にもあったなあ。
「バラックス。そちらにあまり手間はとらせない。ひとまず、要件を伝える」
「ああ。そうしてくれ」
「まず、死者の蘇生をやりたいと思ってる。ああ、その前に俺の力について、説明しておかないとな。紙とペンとかの用意は、必要か?」
「それはこちらの文官が行う。構うことなく説明してくれ」
「ああ、わかった」
俺は先程王様にも伝えた通り、新クリーチャー創造の力を話した。そして、これから俺が手に入れたい効果を持つクリーチャーのことも話しておく。
あと、現在召喚できるクリーチャーの特徴も伝えておく。これはクレバナさん、ロリッチさんだけに言うより、今皇帝に言ってしまう方が良いだろう。
すると、俺の考えを聞いたバラックスが、お茶を一口飲んでから言った。
「まず、王主殿の言う通り死者が生き返るとして、その対価についてだが」
「ああ、それはそっちで決めてくれ。帝国は、バラックスの国だからな」
「そうか。では、戦争中に戦死した者の身内へ送った死亡手当があるが、それと同程度の金額を対価としよう。それと、もしくは王主国への移住だな」
「うん、わかっ、え?」
移住?
「移住って、お引越し?」
「そうだが、何か問題があるか?」
「いいの、帝国の人だよ?」
「だが、王主国では無料、無償で死者が生き返るのだろう。それに、我が帝国は王主国の属国だ。そこから王主国へ移住する者がいたとしても、少ない数であれば、こちらとしては問題ではない」
「そう。なら、いいか?」
ここで、とっ君が現れて言った。
「マスター。しかし、サーバークでは現在民の受け入れを行っておりません。今何百何千もの民を迎えることはできませんよ」
「ああ、そっか。ありがとうとっ君」
「待て。そこの者、何者だ!」
ここで武官さんがとっ君を見て立ち上がった。
「ああ、大丈夫です。彼はとっ君。俺の仲間です。安全です」
突然のとっ君の出現にひと悶着ありながらも、話は続く。
「なるほど。わかった。俺としても、王主国に住みたいと言ってくれる人は、喜んで受け入れたい。早速その準備をしよう」
「うむ。こちらも、死者を生き返らせたいと願う者の募集を早速始めよう。ただし、この話には前例がない。いや、帝国にはわずかに死者を蘇生できる者がいるが、王主殿の言うように、とはいかないからな。とにかく、実際に生き返らせる奇跡を成功させてから、公然と募集をかけよう。それでかまわないな?」
「もちろんだ。俺だって、自分の力を知らなければ、眉唾ものの話としか思えないからな。まずは小規模で、死者の準備をしてくれ。もちろんここで、生き返らせる死者を用意するために、人を殺すなんてことはしないでくれよ」
「わかっておる。そうだな。20日後、またここへ来てくれ。その時蘇生を行ってもらおう」
「わかった。それと、これは別件なんだが。実は、奴隷制度を廃止したい」
「ほう。それで奴隷をどうするつもりだ?」
「かわりに奴隷をレイドとする。レイドはレイドサークルに全員登録、雇用され、そのレイドサークルに手配された中の仕事を行うものとする。という感じだ。いわゆる労働組合だな。それでレイド達に正当な賃金と休暇を与えたい」
「ふむ。それは難しいな」
「ダメか?」
「それが奴隷のほんの一握りならば、不可能ではないだろう。支配実態も、主が国や個人からレイドサークルに変わるだけだ。おそらく機能としては問題ではない。だが奴隷の中には、大罪人、罪を犯すことを喜びとする外道がいる。彼らを野放しにするような制度は、許容できない」
「そうかあ」
確かに、快楽殺人犯、愉快犯を野放しにすることはできない。そこは、なんとかしなきゃなあ。
「わかった。そういう点は、こちらでも検討する。でも、俺は奴隷廃止が平和への一歩だと考えてるんだ。頼む、この件もぜひ協力してくれ」
「うむ。そうだな。段階的にだが試そう。レイドサークルという案は、こちらでも採用する。だが、やはり最初は小規模でだ。それで問題が起きない限り、少しずつ拡大していく。それで良いな?」
「ああ。頼む。それじゃあ、俺の要件はこのくらいだ。バラックスの方は、俺に何か用はないか?」
「ふむ。そうだな」
バラックスがそう言うと、文官がここでわざとらしく咳払いをして言った。
「王主殿。ところで貴殿は、なんでも傷をいやし、体の欠損を生やす程の回復薬を持っているのだとか」
「ああ。超治癒水のことか」
俺がチラッとクレバナさん、ロリッチさんを見ると、どちらもサッと顔を背けた。まあ、報告するのは当然だよね。
「もちろん用意できますが、やはり必要なのですか?」
「ええ、ぜひとも。よろしければ、お譲りください!」
「それはかまいません。ですが、その水は俺の仲間、イルフィン君が出してくれるものです。ですので、彼が了承できる程度の量となりますが」
「ふむ。では、そこの者が出してくれた超治癒水の量に応じて、レイドサークルの予算を組もう」
バラックスが突然、ぽつりとそう言った。
それは、こちらにとっては渡りに船というか。なんというか。
俺、目の前にニンジンぶら下げられてる?
「マスター。私、やりますよ!」
イルフィン君が握りこぶしを作りながら言った。
「あ、うん。じゃあ、お願い。イルフィン君。超治癒水、出してあげて」
「はい!」
「あ、それと皇帝陛下。今のうちに一つご報告したいことがあります」
クレバナさんがそう言った。
「む、なんだ」
「例のサッカーの件が片付いた後、サバクさんはご結婚なされるそうです」
「えっ」
俺、そんなこと。言ったような、そうでもないような。
「なるほど。ではその結婚式、余も参加せねばなるまいな」
「えっ」
「式にはぜひ呼んでくれ。もちろん、式場はこちらの教会でもかまわぬぞ」
「あ、ああ。あははは」
どうしよう。逃げ場がない。
いや、逃げちゃダメだ。逃げちゃダメだ。逃げちゃダメだ。
どのみち避けては通れない道なんだ。だったら、もう日取りを決めてしまおう。
覚悟は定まってないけど、リキュア王女様をほっぽっておくわけにもいくまい。よし。俺も男だ。結婚すると決まったら、結婚しよう。
けど、今はまだサッカーと死者の蘇生案に集中しよう。
その後、頑張るイルフィン君に、たくさん用意されたタルの中に超治癒水、ときどき聖水を注いでもらった後、サッカー場に戻った。
最近、土属性と木属性に戻ってもらう場所がそちらになっていた。ああ、あと、買った奴隷の皆と、屋敷のアビス達三人に、レイドのことを伝えておかないとな。
となると、レイドサークルの職員も募集しなければいけないか。ああ、やっぱりまだまだ忙しいぞ。
俺はバルハード。奴隷だ。
過去に冒険者の仕事で、戦闘中に油断してしまい、右腕を失った。
そのまま冒険者家業を断念。他の仕事を探そうかとも思ったが、片腕、それも利き手がないと、何をするのも上手くいかない。それどころか毎日妻に介護してもらう始末。
自信も何もかも失って、家でぐうたらしていても、妻の冷たい視線にさらされるのみ。何もかもが嫌になって、自ら進んでわずかな買取金をもらい、奴隷落ちした。
唯一自慢できる可愛い一人娘は、まだ小さい。一緒にいてやりたいが、俺なんかがいてもただ金を無駄に使うだけだ。これ以上家族の負担になりたくない。俺は奴隷落ちしてもいい。ほんの少しでも、家族に良い生活をさせたい。
それから二年経って、全く俺の買い手がつかず、戦争が始まった。
相手国は、バウコン帝国。シェス皇国とマヌク王国を占領し、そのまま西へ侵攻してきたらしい。相手の勢力は、十万人とか。
俺も兵士達へ、奴隷兵として貸し出され、戦力のあてにされた。俺のレベルは38。右腕はないが、剣を持てばそこそこ戦える。他の奴隷よりも、戦力として期待された。
だが、それでもこちらの兵力は相手の半分以下だった。奴隷兵は王都を守るため一か所に集められたが、そこからでも相手の、地を覆い尽くさんばかりの軍勢が見えた。
しかも、情報によると敵軍は王都の南門、東門、北門に展開しているらしい。今見えているのはわずか三分の一の数なのに、あの大軍。まるで勝てる気がしない。
もう終わった。死んだ。そう思った時、救世主が現れた。
突然西から飛んできたドラゴンが、バウコン帝国軍をおそった。
ドラゴン達は数を減らしつつも、軍を撃退。そのまま、ドラゴン達は集まって移動し、やがて南門の前で集合した。
まるで王国の守護者だった。
後で聞いたところによると、俺達を救ったドラゴン達は、神の使い、サバク様の従者だったらしい。
こうしてサバク様が、王都を救った。
その後、俺達奴隷兵は、一応雇われていたので、形だけでも給料をもらえた。
「何か欲しいものはあるか。買ってきてやる」
「いいや。俺へ払われる金は全て、元家族の元へ送ってくれ」
俺の周囲で、奴隷兵が肉や酒を買って楽しんでいた。俺はものすごくうらやましく思ったが、妻と娘の顔を思い出して耐えしのんだ。
その後も、バウコン軍を警戒するために雇われ続けたが、数日後、サバク様の手によって終戦が伝えられ、俺達はまた奴隷商の元へ返された。
戦わなくて済んだことに安堵して、更に元家族が無事だったことに安心する。警戒中にサバク教に入信するようすすめられたが、喜んでサバク教に入信した。
サバク様万歳。
更に数日後、あのサバク様が奴隷を買い求められた。
その際に、不思議な水で俺の手がまた生えた。俺、復活。
おおおおお。うれしいいいいい!
けれど、もう元の生活には戻れない。俺は奴隷落ちしたのだ。でも、まだ生きる意味は失っていない。
サバク様が俺を買ってくれるかもしれないのだ。アッファルト王国を救ってくれた恩を、わずかでも返したい。俺は全力で、一番目指して走った。
結果、無事サバク様に買っていただけた。なんでも俺達をサッカー選手にしたいらしい。
サッカー選手とはなんだろう。サバク様の言っていることは難しいが、サバク様の言葉に間違いはない。俺はどこまでもサバク様についていく。
そこから、一瞬で王都の外に出て、一瞬で家が建つのを見て、フカフカのベッドと腹いっぱい食える飯を用意してもらって。
右手で飯を食って、泣いた。
それから、一生懸命サッカー選手になろうとした。
それから数日後。今日はサバク様とお会いできた。今日は良い日だ。
そしてサバク様に、こう言われた。
「君達はこれから、奴隷ではない。レイドだ。出来る限り自由があるようにするし、出来る限り給与も与える。とにかく、君達はもう奴隷ではない。一人の立派な人間として、まずはこれからも、サッカーに励んでほしい」
どうやら俺はもう、奴隷ではないらしい。
ということは、久しぶりに妻と娘に会いに行ってもいいのか?
やったあああああ!
サバク様、万歳!
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。
水定ゆう
ファンタジー
村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。
異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。
そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。
生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!
※とりあえず、一時完結いたしました。
今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。
その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~
ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。
王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。
15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。
国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。
これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。
爺さんの異世界建国記 〜荒廃した異世界を農業で立て直していきます。いきなりの土作りはうまくいかない。
秋田ノ介
ファンタジー
88歳の爺さんが、異世界に転生して農業の知識を駆使して建国をする話。
異世界では、戦乱が絶えず、土地が荒廃し、人心は乱れ、国家が崩壊している。そんな世界を司る女神から、世界を救うように懇願される。爺は、耳が遠いせいで、村長になって村人が飢えないようにしてほしいと頼まれたと勘違いする。
その願いを叶えるために、農業で村人の飢えをなくすことを目標にして、生活していく。それが、次第に輪が広がり世界の人々に希望を与え始める。戦争で成人男性が極端に少ない世界で、13歳のロッシュという若者に転生した爺の周りには、ハーレムが出来上がっていく。徐々にその地に、流浪をしている者たちや様々な種族の者たちが様々な思惑で集まり、国家が出来上がっていく。
飢えを乗り越えた『村』は、王国から狙われることとなる。強大な軍事力を誇る王国に対して、ロッシュは知恵と知識、そして魔法や仲間たちと協力して、その脅威を乗り越えていくオリジナル戦記。
完結済み。全400話、150万字程度程度になります。元は他のサイトで掲載していたものを加筆修正して、掲載します。一日、少なくとも二話は更新します。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる