神様だけにバカ売れしたカードゲームが、異世界で超優秀な特殊能力に生まれ変わりました(ターゲットブレイク)

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36 サッカーその7

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 どうやら大モノウームの台になっているところらへんが、ベルトコンベアではなくハッチのようになったようで、上にオスプレイの姿がさらされたようだ。
「おお、ありがとう大モノウーム。で、どうやってオスプレイを動かそう?」
「ではひとまず、私達がオスプレイを地面におろします!」
「ありがとう、皆」
 金属性の皆が飛べる人だけ飛び、オスプレイを持ち上げて地面におろす。ただ、飛べない皆は、手をわきわきさせてじれったさを感じているようだった。
 目の前にオスプレイが置かれる。
「よし、あとはこれを。どうやって操縦するんだ?」
「マスター。でしたらオスプレイを操縦できるロボットを製造しましょう」
 大モノウームが言う。
「ああ、そうだよ。大モノウーム。実はそのことで相談があってさ。オスプレイの操縦もそうだけど、レイドサークルの受付や資産管理の役目に、人型ロボットを作ってもらいたいんだよ。できる?」
「では、まずイメージを提供してください」
 そう言って大モノウームが、ケーブル付きの帽子をよこす。またこれか。まあ、この方が操作不要で助かるか。では、やろう。
「わかった」
 帽子をかぶって、イメージ!
「イメージを受け取りました。では、モノウーム!」
 大モノウームがまた稼働して、物作りが始まる。
ブーン。チーン。どうやら完成したみたいだ。
大モノウームの側面が扉になると、そこから俺の想像した、ピンク色の髪の、耳が金属板のアンテナになった美少女が現れた。
「初めまして、マスター。私は自律作業型ロボット。SA1です。これから、マスターのお役にたつため、精一杯働きます」
 よし。上手い具合にロボット娘も完成したぞ。
「SA1。今日から君の名前はサキだ。いいね?」
「イエスマスター」
「サキ。まずはオスプレイの操縦をしてくれないか?」
「イエスマスター。その役目、サキにお任せください」
 その後、サキは難なくオスプレイを運転開始。軽く離着陸する。
「完璧だ。サキ。まずは当分の間、オスプレイの運転を頼む」
「イエスマスター」
「あと、小モノウーム。さっき作ったルールブックを、もう9999冊作ってほしい。大モノウームも手伝ってくれ」
「イエスマスター」
 モノウーム達は簡単に、俺が言った物を作った。
「ありがとう、モノウーム達。あとは観戦チケットも欲しいけど、まだ試合の日取りを王様達と話し合っていないからな。ひとまず今のところは、君達に頼む物はこのくらいだ」
「でしたらマスター。折角なのでこの機会に、オスプレイ以上の大型輸送機も一機試作してみてはいかがですか?」
 ここでとっ君が現れて、そう言った。
「え。オスプレイ以上の輸送機って、何かある?」
「ユーフォーです」
「ああ」
 ユーフォーかあ。
「ユーフォーです」
「うん。わかった。なるほどお。確かにユーフォー作れたら、いろいろと便利かもしれないけど、モノウーム、作れる?」
「イエスマスター」
 モノウーム達はそう言うと、すぐに稼働し始めました。ブーン。
「いや、何もすぐ作らなくても。でも、作ってもらった方がありがたいか」
「どうやら、ユーフォーの製造は時間がかかるようですね。ですが、ユーフォーが作れたらバウコン帝国からの移民が格段にしやすくなります」
「ああ、なるほど。あ、でも、その時は俺がウェルカムドアで出迎えればいいのでは?」
「しかし、大量の荷物等を運ぶ時は、きっとユーフォーの方が便利でしょう。それに何より、ユーフォーに任せればマスターとウェルカムドアに頼らなくても、ソセイルと移住者の移動が可能です」
「なるほど。皆が俺という制限なしに、好きに作業ができるのか。なら確かに、ユーフォーあった方が良いかもなあ」
 そして、サッカーのルールブックをオスプレイに積んでいる間に、無事ユーフォーが造られた。
 大モノウームの上に、立派なユーフォー。そして小モノウームの上に、ミニチュアユーフォーとラジコン操縦器が現る。ってこれもうラジコンじゃん。
「ありがとう、モノウーム達。ラジコンの方は保存しておいて、後はユーフォーの操縦だな。大モノウーム。もう一回ロボット娘を製造して」
「かしこまりました」
 ブーン。チーン。大モノウームの側面がまたドアになって開き、そこから青色髪のロボット娘が現れる。
「初めまして、マスター。私は自律作業型ロボット、SA2です。これから、マスターのお役に立つため、精一杯働きます」
「うん。君の名前は、今日からサニーだ。サニー、ユーフォーの操縦はできる?」
「はい。可能です」
「ところで、ユーフォーの性能を説明できたら、してもらってもいい?」
「はい。ユーフォーは最大時速8万キロ。時空間ジャンプも可能です。最大積載重量は百トン。ブラックホールエンジンを搭載しているので、燃料の心配はありません。一人で操縦可能ですが、砲撃手としてもう一人搭乗する必要があります」
「いや、砲撃手は必要じゃない。性能としては、きっと申し分ないな。ところで、時空間ジャンプって?」
「指定座標域まで、ワープする機能です。一時的にエネルギーを大きく消費しますが、通常の移動よりも到着までの時間を短縮できます」
「なんだかすごいぞ、ユーフォー。どれ、ちょっと乗ってみようかな」
「はい。どうぞお乗りください。私が目的地まで送ってさしあげます」
「ありがとう。サキもオスプレイでついてきて。ああ、その前に、ルールブック全部積んでからね。あと、モノウーム達。君達は、俺と共に王都や町まで来る?」
「そうですね。私達にも他に何か仕事があるのなら、お役に立ちたいと思います」
 小モノウームが言った。その時。
「仕事ならここにありますよ!」
 バートリー君がそう言った。
「あなた達もウムオリハルコンを作ってください。形はレンガ状でかまいません。できますよね?」
「イエス」
「マスター、どうでしょう。折角なので彼らは、ここにおいていただけないでしょうか!」
 金属性の皆が期待するような目で見る。なので俺は、うなずいた。
「わかった。でも、決して無理はしないこと、させないこと。何かあったら、俺に報告しにきてね」
「イエスマスター!」
「うん。それじゃあ、頼んだぞ。皆、モノウーム。ひとまず今は、ユーフォーとオスプレイでファルコン町まで行こう!」
 こうして俺達は、ユーフォーとオスプレイで空を飛び、その光景を見たファルコン町の皆を驚かせた。
 このままオスプレイやユーフォーを普及させられれば、王主国はきっと遥かに高度な文明となるぞ。
 けれど、俺が望むのは文明の高度化だけではない。皆が幸せになれる世界の実現だ。
 オスプレイやユーフォーも、ただ俺達が作って与えても、あまりその点に意味はないだろう。できれば作れる物だと理解してもらい、皆が技術者となり、作れる世の中を目指したい。
 そういう意味をこめて、十日後の、ユーフォーの作り方すら教えてくれそうな効果を持つ、新クリーチャーの創造に期待だな。

 基本、サキとサニーは俺の屋敷で待機。会計等の事務処理をしてもらいつつ、出番がある時にオスプレイやユーフォーの操縦をしてもらう。
 まずは王様、そして皇帝にオスプレイとユーフォーのお披露目だ。
 王様達にはそれらの飛行物体が安全であることを認めてもらいたいし、それに皇帝には、バウコン帝国からファルコン町への移住者の移住手段を、ユーフォーと認めてもらいたい。
 オスプレイは移動に時間がかかるが、ユーフォーはワープこと、時空間ジャンプができるらしい。なら、皇帝へのユーフォーのお披露目は、即時実行可能だろうな。
 まあ、了承を得てからやるつもりだけど。
 ひとまずサッカー場にルールブックを全部置いた後、リキュア王女様に二機とサキ、サニーの紹介をして、町での理解を得る。今後、二機はファルコン町のすぐ外、もしくは町に造られた駐車場に着陸するだろう。更に、可能ならオスプレイやユーフォーを使った仕事も考えていきたい。折角あるのだから、使っていかねば。
 一応、リキュア王女様にユーフォーのラジコンをプレゼントしておいた。後はお城に行って王様に輸送機の件と、サッカーの試合日時の相談をする。こちらの話も、すぐに済んだ。サッカーの試合は、すぐでなければ何時でもいいらしい。三十一日後から半年以内くらいまでなら、基本オーケーとされた。
 それでも、年毎にある大事な日は抑えられたけど。まあ、それは仕方ない。特別な日を、ちゃんと憶えておく。さて、後はバラックスへの報告だな。
 俺は夕方になって、クレバナさんとロリッチさんが帰って来るのを待った。二人共仕事疲れがたまっているみたいだったが、食後にでもサキとサニーを伴い、話をつける。ちなみにサキとサニーには、各乗り物の操縦がない時は、屋敷で会計等の作業をしてもらう予定だ。
「クレバナさん。ロリッチさん。こちらはサキとサニー。俺達の新しい仲間だ」
「よろしくお願いします」
サキとサニーが、同時におじぎをする。
「彼女達は、サバクさんの新しい仲間ですか?」
 クレバナさんにそう言われる。
「うん。まあ、そんなとこ。実は、バウコン帝国への移動手段が本日完成したんだけど。彼女達はその乗り物のパイロットなんだ」
「何。サバクさんの移動手段といえば、ウェルカムドアではないのか?」
 ロリッチさんにそう言われる。
「うん。まあ俺はそうなんだけど、今回モノウームっていう新しい仲間を召喚して、彼らに、なんでも好きな物を作ってもらえるようになったんだ。その結果、オスプレイっていう、結構速い空飛ぶ乗り物と、ユーフォーっていうとんでもなく速い空飛ぶ乗り物を作ったんだけど。まずバラックスに、ユーフォーでバウコン帝国の空を飛ぶ了承、とってもらいたいんだ」
「はあ。そのユーフォーの実物を見るのが怖いですね」
 クレバナさんからはそのような感想。
「とんでもなく速いって、どの程度なのだ?」
 ロリッチさんはそこら辺を追求してくる。
「うん。なんでも時空間ジャンプっていう機能が、ウェルカムドアの瞬間移動なみに速いらしいんだよね。まだ試してはないけど。だから、突然空に飛んでても、警戒しないでって、バラックス達に伝えてほしいんだけど」
「わかりました。それでユーフォーとやらが私達の役に立つのなら、伝えてきます。しかし、サバクさんはそのユーフォーで何をなさるつもりですか?」
「バウコン帝国からの移住者の送迎」
「そ、そんなこと?」
 クレバナさんが若干驚いている。若干飽きれ混じりな気がするが、こちらとしては大真面目だ。
「簡単に移住できるんなら、その方がいいだろう。それに、ソセイル達がユーフォーで帝国内の町とかにも簡単に行けたら、生き返らせる人達も、その家族も、助かるでしょ。王国内でやっている蘇生も、そういう風に各家家を回りたいし、丁度いいと思うんだよね」
「蘇生を依頼した者の家への訪問ですか。確かにそれなら、依頼人を一か所に集めなくてもよくなりますね。まあその分、こちらが苦労しますが」
「一日に生き返らせる人の上限は二百人だし、一日かけてそれをやってもらえればいいから。というわけで、そういうことをバラックスに伝えてほしい」
「はい。承りました」
「超輸送手段をそのようなことのために使うとは。流石サバクさんだ。その意図を一切たがえず、皇帝陛下に伝えよう」
 よし。二人からも了承を得られたぞ。
「ありがとう。クレバナさん。ロリッチさん」
「ですが、その時はサバクさんも共に帝国へ来てください」
「え?」
「ああ。なんでも生み出せるクリーチャーを生み出したんだろう。ならその重大な事実を、自分の口から皇帝陛下に伝えるのだな」
「あ、あはは。そうだね。あ、そういえばクレバナさん、ロリッチさん。今、人手不足とか感じてない?」
「はい?」
「む。まあ、レイドサークルの職員の募集はまだ完了していないが」
「だったらさ、少しくらい、その人員をこっちで補おっか。今、サキとサニーのようなロボットを作れるから、補充ができるんだよね。まあ、頼りすぎてもよくないと思うから、あんまり数はそろえたくないけど」
「あの、サバクさん。ロボットとはなんですか?」
「あー。簡単に言うと、人のかわりに働いてくれる機械、なんだけど、ほぼ人と変わらないよ。うん。人。俺はロボットたちの人権も保証する」
「ありがとうございます、ご主人様」
 サキとサニーにお礼を言われた。けどクレバナさんとロリッチさんは、まだ納得していない感じだ。
「そうですか。言っていることがちぐはぐですが、まあいいでしょう。今欲しい人手は、レイドサークルの受付、会計、その他雑事に、十人程でしょうか。それがファルコン町と王都の支部合わせて、倍数の二十人欲しいですね」
「ちょ、ちょっと多くない?」
「ですが、都合がつけばそろえてくださるのでしょう?」
「こちらとしては募集がすぐに終わるのなら、その方が良いな」
 うっ。クレバナさんとロリッチさんの労力を考えると、強く出れないっ。
「わ、わかった。人型ロボットを二十人用意する。あ、皆女性型でいい?」
「その質問の意図を計りかねますが、男女十人ずつがよいと思います」
「わかった。男女十人ずつ、作ってもらおう。そのかわり、皆やさしくしてよ。雑な扱いはしないでよ。乱暴に扱わないでね?」
 ロボットだから残業とか平気でさせてもいいよね。とかいう考えをもし持っていたとしたら、正直怖い。
「サバクさんがなぜそんなに心配そうにするかは知らないが、貴重な戦力を雑に扱う程私達は愚かではない」
 ロリッチさんの言葉に、俺はうなずいた。
「わかった。それじゃあ、明日、ロボットをそろえよう。ひとまず今日のお仕事はこれで終わり。おつかれさまでした」

 翌日。俺は毎日の日課と化した城での死者の蘇生を終えた後、待ってもらっていたクレバナさん、ロリッチさん、ウェルカムドア、それとサニーと共に、バウコン帝国の城へ向かった。
 そこで、なんとかバラックス達からユーフォーの通行許可を得る。サッカーの試合日時も大体決まる。今の所、王国、帝国、そして俺の方に問題が出なければ、32日後の試合予定となった。頑張ろう。
その話し合いの際、なんでも作れるなら、頼みたいことがあるのですが。と言ってきた文官たちの意見を、なんとかうやむやにして、厄介ごとを避けることにも成功。
 ウェルカムドアでユーフォーの前まで行って、そこでクレバナさんとロリッチさんに驚かれる。
「これが本当に空を飛ぶのか?」
「はい。飛びます」
「どういう原理で空を飛ぶのですか?」
「それは俺にもわかりません。あっちのオスプレイも飛びます」
「サバクさん。嘘を言って私達を騙そうとしているのではないだろうな?」
「違います。サニー、ユーフォーの操縦を頼む」
「了解しました、ご主人様」
 そんな調子で、ひとまずユーフォーの移動開始。離陸し地上から離れると、二人は驚いた。
「それでは、バウコン帝国帝都バウルコン、その城上空へとジャンプします」
 サニーの説明後、本当にユーフォーはワープ。一瞬で真下にバウルコンと城を見て、二人はポカンとした。
 城の庭に降りて、今度はユーフォーの確認をしてもらおうと、バラックスを探す。するとすぐに兵士が駆け付けて、四方から武器を向けられた。
「怪しいやつめ、何者だ!」
「ワレワレハ、宇宙人デハ、アリマセン」
 どうも、俺達がユーフォーの許可をとるのと、実際に来るまでの時間が早すぎて、末端の兵士達は何も知らなかった様子。クレバナさんとロリッチさんの力でなんとかことなきを得ながら、話がわかる人がこの場まで来る間、ひたすら待った。
 そして、軍の大隊長やバラックス自身がやってきてくれると、やっと俺達もユーフォーの説明をすることができた。
「バラックス。これがユーフォーだ。御覧の通り、突然現れて、突然消えることもできる。これで移住者やソセイル達を送ろうと思う」
「不思議な形の乗り物だな。余も乗ってみたい。かまわぬか?」
「どうぞどうぞ」
 サニーにお願いして、バラックス他、大隊長二人、護衛三人程をユーフォーに乗せて、適当に空を飛ぶ。ユーフォーのカメラ情報から、帝国領土の北側から最側までを簡単に飛んで、皆を驚かせた。
「ふむ。これは凄いな。王主殿。このユーフォーとやら、余に一台程ゆずってもらえぬか?」
「え、えーっと。とっ君。砲撃台無しの設計って、できそう?」
「おそらく可能だと思われます。マスター」
「それじゃあ、確約はできないけど、一台だけなら用意するよ。ちなみに、何に使うつもり?」
「なに。特段使う予定はないが、王主殿が帝国を従えていることの、その証だ。このように目に見えて技術が進んでいるものを見せられれば、民達も更に納得するだろう。そうだな、あえて使うとすれば、帝都から地方都市への、定期便として運行してもよい」
「わかった。悪いことに使わないなら、俺としては何も言わない。ただ、運転手として人型ロボットを一人つけるから、絶対に変な注文とかしないでね」
「わかっておる」
 こうして、バウコン帝国にユーフォーを提供することに決める。あと、ソセイル達の蘇生活動も明後日から行うこととなった。
 ただ、帝国での蘇生者依頼は少ないらしく、ソセイルは一人で十分とのこと。なのでこれからは、各ソセイルが王国、帝国で働くことになる予定。
 こうして、ユーフォーはまた帝都に戻り、バラックス達をおろすとファルコン町へ帰還。その後、ウェルカムドアで築城地へと向かった。
 そこで、大モノウームにレイドサークル人員として、ロボット娘、ロボット男子を十人ずつ作ってもらう。
 その様子を実際に見たクレバナさんとロリッチさんは、とっても驚いた。
「ひ、人が作られている、人が作られています!」
「イ、 イケメンがこんなにたくさん、これは楽園を生み出す装置か!」
「ま、まあそんな感じかな。それじゃあクレバナさん、ロリッチさん。見ての通りレイドサークルの職員は20人分確保したから、頑張って運営して」
「あ、ああ。まあ、こいつらが本当に使えるなら、なんとかなるだろう」
「まずは各自の実力テストが先ですが、それが済めば王都、ファルコン町のレイドサークル支部も決まっていますし、いよいよレイドの確保に踏み込めますね」
 ひとまず皆を王都へと送り、クレバナさんとロリッチさんとは、人型ロボット達を引き連れて分かれる。帝国へのユーフォー贈呈は、たぶんサッカーが行われた日に、帰りの便ついでに行えばいいだろう。
 サッカーの日取りも決まったし、レイドサークル開業のめどもついてきたし、後は準備を進めるだけだ。
 あっ。サッカー会場の整備やチカット確認の仕事、まだ誰にも頼んでないな。
 クレバナさんとロリッチさんに、レイドサークルへ仕事を頼みたいって言ったら、やってもらえるかな?
 ロボット娘達を提供したし、サッカー試合日まであと30日以上あるし、きっとやってくれるよね。
 仕事の予定があった方が、彼女達も働きやすいだろうし、折角だから頼ろう。

 こうして、ソセイル二人の城、帝都への送り迎えは、ユーフォーで行われることになった。
 レイドサークルへのレイド補充は、王国からもらっている莫大な予算を使ってなんとかやっているそうだし、ファルコン町も、リキュア王女様が住民を最小限ではあるが用意して、生活を成り立たせてくれている。
 ああ、帝国からやって来た百人近くの移住者は、リキュア王女様が町長として迎え入れてくれた。
 王国、帝国の人達も、今の所問題等は起こしていない。皆、ファルコン町での酪農、果樹園仕事にいそしんでくれているようだ。
 商業ギルドを頼って、サッカー選手のユニフォーム、シューズ、そしてトロフィーも一通り完成。試合日も決まったので、ルールブックと一緒にチケットも売り始めた。
 自分達用にひとまず十枚。そして王様、バラックス用に各百枚ずつ取っておいてあるが、一般用チケットが売れ残った場合は、お城の兵士達が全て買い取ってくれるとのこと。
 王都でのサッカーチケットは、まあまあ売れた。半分くらい売れた。我先にと買ってくれた人もいてくれたらしいが、それがすぎれば、後は皆様子見とのこと。まあ、チケットもタダではない。ルールブックも一緒に配ったけど、それだけで興味をもつのも難しいだろう。
 けれど余ったチケットは、兵士達が買ってくれることになっている。非常にありがたい。なら俺としても、準備を万全にしないとな。
 サッカー試合日当日に用意する食べ物は、ビール、ジュース、肉の串焼き、そしてお弁当。
 元の世界の記憶では、なんでもスポーツ観戦にビールはかかせないとか。ビールが飲めない人は果物ジュース。つまみに串焼きで、お弁当は牛丼にしてみたいと思う。
 それらの素材を、皆に用意してもらう。牛肉はファルコン町の酪農を頼る。
 後は、それらを料理してくれる料理人達だ。味付け担当に料理人を一人雇って、後はレイドサークルで人員を調達しよう。足りなかったら、臨時パートを募集する。
 観客一万人の料理を作るのだ。なんなら俺も手伝おうかな。
 今回のサッカーが成功すれば、王主国、王国、帝国にスポーツ文化が根付く。頑張るぞ。

 とある日。
「オスプレイで海まで行ってみたい?」
 朝。屋敷に来てくださったリキュア王女様に、そう言われた。
「はい。オスプレイは凄く速く飛べますよね。あれで西の海まで行けたら、なんて思いまして」
「なるほど」
 リキュア王女様の提案は、悪くない。
 なんでもアッファルト王国は、海に面していないらしい。なので塩は隣国から輸入しているそうだ。
 ここで、王主国が海を手にし、海の幸を得るのも何かと得が多いだろう。俺はうなずいた。
「わかりました。早速オスプレイで行ってみます。ですが、行くのは俺とサキだけです。海にどんな危険があるかもわかっていませんので。よろしいですね?」
「はい。ではサバク様。よろしくお願いします」
 ということで、俺はオスプレイに乗って荒野をこえ、海に行くことにした。
 俺の護衛はウェルカムドアと、スイボツジャイアント君。それとサキと共にオスプレイの空の旅を楽しみ、荒野を抜けようとする。
 そこでトラブルが発生した。
「あ、ライロピスノだ」
 俺は地上に、ライロピスノを発見した。
 どうやらライロピスノも、こちらを見ているようだった。
 ん、ライロピスノのアフロが光っている?
 あ、危ない!
「サキ、オスプレイを着陸させて!」
 ズドーン!
「きゃああ!」
 遅かった。ライロピスノから雷撃をくらってしまった。
 オスプレイは破壊&墜落。俺達は壊れたオスプレイから脱出しつつ、着地する。
「ふう。レベルが高くて助かった。ウェルカムドア、スイボツジャイアント、大丈夫?」
「ウェルカーム」
「イエスマスター」
 俺はとっさのことだったので、サキをお姫様だっこしながら着地していた。腕の中のサキの安全を確かめてから、地上におろす。
「ありがとうございます。ご主人様」
「うん。サキも無事で良かった。それにしても、うーん。どうやらモンスターの対策をしっかりしないと、オスプレイじゃ耐久値に問題があるなあ」
「イエスマスター」
「仕方ない。今回は戻ろう。ライロピスノ対策は、後で考えよう」
「イエスマスター」
 こうして俺達は、オスプレイでの荒野越えを断念し、ウェルカムドアの力を借りて即ファルコン町に戻るのだった。
 そしてライロピスノ対策だが、ユーフォーなら雷対策も万全だということで、後日ユーフォーで行ってみることになった。
 オスプレイは今の所、活躍場所もないし、耐久性にも心配があるので、このまま不採用か。オスプレイ、おつかれさま。
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