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捨てられた世界
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少年は家に帰りついた。季節は冬に入りかかった為か、家の中でも少し寒気を感じる。しかし少年はそんな寒気など気にもせず、制服を脱ぎ捨てる。カバンをリビングの片隅に放り、部屋着に着替えると、手に持ったレジ袋から中古のゲームソフトを取り出す。リサイクルショップで買ってきた10年ほど前のゲームソフトだ。早速ソフトをゲーム機にセットし起動すると、画面には「CLEAR!」の文字が浮かんでいる。恐らく元の持ち主のデータであろう、若干の申し訳なさを感じつつ「データ削除」の項目にカーソルを合わせ、決定ボタンを押した。はずだった…
データをいくら消そうとしても、消えない。少年は一瞬の驚きと恐怖を感じたが、ゲーム機がバグったのだろう、すぐにそう結論付け画面から顔を上げた時には、目の前の風景は変わっていた。
「……ぁ」
少年の思考は停止した。そこに広がる世界を理解できなかった。そこはアパートの一室であろう6畳の部屋、少年はそこに座っていた。窓の外を見ようと顔を傾ければ、写ってるはずの隣宅、あるいは海、山、道路、ビル、太陽、空、人、その全てを少年の視界は捉えることが出来ず、虚無の闇が広がっている。
目線を戻せば、そこはただのアパートの一室。しかし、違和感があった。この空間にあるあらゆるモノに。
あって当然、不思議なものは何も無い。無いはずである。
それなのに、視覚が、嗅覚が、聴覚が、触覚が、この空間は異様であると己に訴えかけている。
困惑、この2文字が、少年の頭を支配していた。
その困惑を突如突き破ったのは、声だった。あって当然、だがしかし、その声さえ通常から逸脱したものに感じた。故に、停止した思考では言葉を捉えることはできず、ただ右から左へと通り抜けていくのみであった。
「お~い、聞こえないのかい?こんにちは~。」
今度ははっきりと、そう聞こえた。気付けば目の前には男が座っていた。
「こ、こんにちは…」
つい反射で答えてしまった。目の前の男は待っていた返事を受け取ると、何やら早口で喋り始める。だが少年の頭では整理が、理解が、感知が、認識が、思考が追いつかない。少年は人形のように沈黙し、ただ佇むことしか出来なかった。
「お~い、聞いてるかい?」
その沈黙を破ったのも、男の声だった。
「あ、あの…」
「ん!?どうしたんだい!?」
妙にテンションが高い男はキョトンとした顔でこちらを見ている。年齢は20代後半くらいだろうか、紺色の着物を着ているただの人間に見える。ただ一つその身に纏うオーラを除けば。到底人間にはありえない覇気とも言うべき代物がその男にはあった。
「その…ここは、どこですか…?」
少年は思考の追いつかない状態でなんとか言葉を絞り出す。ここはどこか、至極単純で簡単に発することができる言葉である。常人なら知らない場所で人に「ここは何処なのか」と聞くことはそう難しくは無い。しかし目の前の人間とは思えない謎の男が、違和感を感じるこの空間が、窓の外に無限に広がる闇が、少年にそうさせなかった。
「あぁ ここかい?ここは僕の家だよ。」
少年は固まってしまった。男の答えが予想を裏切るようなものではなかった。むしろそれが普通の答えだ。しかし少年は固まってしまった。問答が完結してしまったのだ。この後に何を聞けばいいのか、再び思考に身を投じなければならない。少年には考える時間が必要だった。
「はは~ん、なるほど。君はかなり混乱しているようだね。じゃあとりあえず…」
黙りこくった少年に男は人差し指を向けた、かと思えばその指をすぐにおろしてしまった。その瞬間、少年の混沌とした脳内はいつの間にか落ち着きを取り戻し始めた。状況が理解できた訳では無いが、思考が追いつかず五感で得た情報も処理できない、ということはなくなった。
「よし、とりあえず落ち着いたね、じゃあ自己紹介だ。私は君たちで言うところの神様だ。普通に神様と呼んでくれればいい。」
私は神様だ、と目の前の男が言っている。通常ならただの嘘にしか聞こえない。
「は、はぁ…」
神を自称する男の言葉には、謎の説得感があった。反論できず、相手の都合に合わせて思考を誘導されているようである。少年は神様だという男に疑念を抱くことすら出来なかった。
「君はね、私がここに連れてきたんだよ。」
神を自称する男は淡々と事の経緯を話し始める。
「な、なんでですか...?」
心当たりはなかった。今まで平凡に生きてきて、特に悪いこともしていない。神と対面する理由など、この凡人には到底思い浮かばなかった。
「君を呼び出したのはね、君に頼みたいことがあったからなんだ。そのやってもらいたいことっていうのは…」
男が何やら勿体ぶるような言い方をする。だがこちらもそれにいちいち反応できるほど余裕な訳では無い。結局痺れを切らしたのか、男の言葉が静寂を破る。
「君に、神に捨てられた世界に行って欲しい。」
異世界に行く。元いた世界でよく見ていたアニメや小説で聞き馴染んだ言葉であった。神に捨てられたという部分以外は。
「捨てられた…というのは…」
「聞いた通りだよ。神に捨てられてしまった世界があるから、その世界を救って欲しい。」
どうやら少年は世界を救う救世主となってしまったようだ。
「不安に思うのもわかるけど、私も全力でサポートするから、安心して行って来てほしいな。」
流石に顔に出ていたのか、目の前の神を自称する男は気遣うように言葉を付け足す。しかしそれだけで、違う世界に行く、という少年の不安は消えなかった。
「もし断ったら、どうなるんですか?」
断ったらこのまま帰れるかもしれない。異世界には興味があったが、少年は身の安全を第一に、家に帰るという選択を取ろうとしていた。
「うーん、どうしよっかな…とりあえず君という存在が消えてしまうのは確かかな。」
その言葉に少年は驚愕した。断ったら自分の存在が消える。選択肢など、あってないようなものだった。
「つまり、俺を元からその世界に送り込むつもりだったんですか?」
「まあ、そうなるね。」
その瞬間、少年は拒否することを諦めた。身の安全を取ろうにも、存在が消えてしまっては本末転倒である。最初から勝負できるカードなど配られてはいなかったのだ。
「わかりました、行きます...」
「お、物わかりが良くてよろしい。」
すると男は立ち上がり、押し入れの戸を開くと中から布団を取り出した。その布団を床に敷くと、
「寝て」
と言ってきた。単純に何故寝なければならないのか、と少年は思った。
「この布団で寝ないとその世界に転移できないんだよね。」
少年は渋々布団に入る。入らなければ、存在を消されてしまう。眠ろうと目を瞑るが、明かりがついてるせいで眠れない。
「明かり、消してもらえませんか?」
「じゃあ僕が子守り歌を歌ってあげよう。」
人の話聞いてないな、と少年は多少イラッとはしたものの、ここで下手に楯突いて存在を消されてしまうのも真っ平御免だ。と少年はそのまま目を閉じた。すると自称神の男が子守唄を歌い出した。
「ね~んねん ころ~り~よ~♪…」
かなり音痴だ、あの某国民的アニメのジャ〇アンも脱帽ものである。とあまりの不愉快さに少年は布団からはね起きた。
「寝れるかー!」
すると目の前には緑の綺麗な草原が広がっていた。少年はあの酷い歌で眠ってしまったのだ。ズボンに違和感を感じる。少年は立ち上がって自分のズボンのポケットを確認したところ、何の変哲もない茶封筒が無理矢理ねじ込んであった。
『 困ったら開けてね★』
と書いてある。ちょっとイラッとしながら手紙を封筒ごと二つにおってポケットにしまう。周りを見渡すと、どうやらそこは西洋風の屋敷の庭のようだった。草原に見えたのは屋敷の庭で、少年は向かって右側に位置する大きな屋敷を見る。平凡な暮らしをしてきた少年は、
「立派な屋敷だな」
感想も平凡であった。その屋敷をただぼーっと眺めていると左の方から何やら人の声がした。
声に驚き本能的に隠れようとしたが時すでに遅し。左を向けばそこにはもう誰かが立っていた。
「君、そこで何をしているのかな?」
年は自分より二つ三つくらい上であろう、美しい金色の長髪に整った顔立ちの青年がそこに立っていた。
「もう一度聞こう、君はそこで何をしているのかな?」
青年は少年をかなり警戒しているようだった。
「あ、ええっと…俺は別の世界から来て、……っ!」
しくじった、と少年は思った。現地の住人には別の世界から来た、などと言っても信じられるわけが無い。それどころか、おかしなことを言っている怪しいやつ、と認識されることは目に見えていた。だからこういう場合は、通りすがり、と答えるのが妥当なのだろうが生憎そこは屋敷の庭の中、通りすがり、でごまかせそうにはなかった。
逃げなければ。そう思った瞬間、
「そうなのか!ようこそ僕の屋敷へゆっくりしていくといいよ。」
全く予想外の答えが返ってきた。少年は戸惑い、同時にこう思った。この青年、まさか…
「あの、初対面で聞くのもあれだけど、その、騙されやすいとか言われない?」
すると青年はかなり驚いた顔をしていた。
「なんでそのことを知っているんだい!?まさか異世界人は人の心を読めるのか!?」
そう言いながら青年は目を輝かせ、少年にジリジリと近づいてくる。一方、少年は最悪の事態にならなかったことに安堵しつつ、違う意味で不安を感じていた。
「いや、心を読めたりはしないんだ。」
一応、誤解を解いておく。誤解されたままでは後々面倒なことになりそうである。
「そうなのか…そういえば君はこの世界に何をしに来たのかい?」
困った。この世界に来る時、その理由を全く聞いてなかった。その時ふと、あることを思い出しポケットに入っているものを取り出した。それには「困ったら開けてね★」と書かれている。今がその「困った」時であると信じ、手紙を開いた。
『 アドリブでよろしく★』
「あのクソゴッドめ!」
流石に耐えられなかった。少年は手紙を思いっきり地面に叩きつける。当たり前だが、青年は驚いている。
「あ、いやっ、その…気にしないでくれ。こっちの問題だから。」
「そうか、いきなり叫ぶからこっちも驚いたよ。そういえば君の名前を聞いていなかったね。」
そういえばそうである。自己紹介、それは最初にするべき会
「あぁ、そうだな…俺の名前は大田明良、明良って呼んでくれ。」
「アキラ、変な名前だが別の世界から来たのなら当然か…僕の名前はニコラス、ニコラス・サンジェットだ。ニコラと呼んでくれ。」
「わかった、よろしくニコラ。」
ニコラスは一瞬キョトンとした顔をした。が一瞬で元の表情に戻った。
「あぁ、よろしく。アキラ。」
そうして2人は握手を交わした。
データをいくら消そうとしても、消えない。少年は一瞬の驚きと恐怖を感じたが、ゲーム機がバグったのだろう、すぐにそう結論付け画面から顔を上げた時には、目の前の風景は変わっていた。
「……ぁ」
少年の思考は停止した。そこに広がる世界を理解できなかった。そこはアパートの一室であろう6畳の部屋、少年はそこに座っていた。窓の外を見ようと顔を傾ければ、写ってるはずの隣宅、あるいは海、山、道路、ビル、太陽、空、人、その全てを少年の視界は捉えることが出来ず、虚無の闇が広がっている。
目線を戻せば、そこはただのアパートの一室。しかし、違和感があった。この空間にあるあらゆるモノに。
あって当然、不思議なものは何も無い。無いはずである。
それなのに、視覚が、嗅覚が、聴覚が、触覚が、この空間は異様であると己に訴えかけている。
困惑、この2文字が、少年の頭を支配していた。
その困惑を突如突き破ったのは、声だった。あって当然、だがしかし、その声さえ通常から逸脱したものに感じた。故に、停止した思考では言葉を捉えることはできず、ただ右から左へと通り抜けていくのみであった。
「お~い、聞こえないのかい?こんにちは~。」
今度ははっきりと、そう聞こえた。気付けば目の前には男が座っていた。
「こ、こんにちは…」
つい反射で答えてしまった。目の前の男は待っていた返事を受け取ると、何やら早口で喋り始める。だが少年の頭では整理が、理解が、感知が、認識が、思考が追いつかない。少年は人形のように沈黙し、ただ佇むことしか出来なかった。
「お~い、聞いてるかい?」
その沈黙を破ったのも、男の声だった。
「あ、あの…」
「ん!?どうしたんだい!?」
妙にテンションが高い男はキョトンとした顔でこちらを見ている。年齢は20代後半くらいだろうか、紺色の着物を着ているただの人間に見える。ただ一つその身に纏うオーラを除けば。到底人間にはありえない覇気とも言うべき代物がその男にはあった。
「その…ここは、どこですか…?」
少年は思考の追いつかない状態でなんとか言葉を絞り出す。ここはどこか、至極単純で簡単に発することができる言葉である。常人なら知らない場所で人に「ここは何処なのか」と聞くことはそう難しくは無い。しかし目の前の人間とは思えない謎の男が、違和感を感じるこの空間が、窓の外に無限に広がる闇が、少年にそうさせなかった。
「あぁ ここかい?ここは僕の家だよ。」
少年は固まってしまった。男の答えが予想を裏切るようなものではなかった。むしろそれが普通の答えだ。しかし少年は固まってしまった。問答が完結してしまったのだ。この後に何を聞けばいいのか、再び思考に身を投じなければならない。少年には考える時間が必要だった。
「はは~ん、なるほど。君はかなり混乱しているようだね。じゃあとりあえず…」
黙りこくった少年に男は人差し指を向けた、かと思えばその指をすぐにおろしてしまった。その瞬間、少年の混沌とした脳内はいつの間にか落ち着きを取り戻し始めた。状況が理解できた訳では無いが、思考が追いつかず五感で得た情報も処理できない、ということはなくなった。
「よし、とりあえず落ち着いたね、じゃあ自己紹介だ。私は君たちで言うところの神様だ。普通に神様と呼んでくれればいい。」
私は神様だ、と目の前の男が言っている。通常ならただの嘘にしか聞こえない。
「は、はぁ…」
神を自称する男の言葉には、謎の説得感があった。反論できず、相手の都合に合わせて思考を誘導されているようである。少年は神様だという男に疑念を抱くことすら出来なかった。
「君はね、私がここに連れてきたんだよ。」
神を自称する男は淡々と事の経緯を話し始める。
「な、なんでですか...?」
心当たりはなかった。今まで平凡に生きてきて、特に悪いこともしていない。神と対面する理由など、この凡人には到底思い浮かばなかった。
「君を呼び出したのはね、君に頼みたいことがあったからなんだ。そのやってもらいたいことっていうのは…」
男が何やら勿体ぶるような言い方をする。だがこちらもそれにいちいち反応できるほど余裕な訳では無い。結局痺れを切らしたのか、男の言葉が静寂を破る。
「君に、神に捨てられた世界に行って欲しい。」
異世界に行く。元いた世界でよく見ていたアニメや小説で聞き馴染んだ言葉であった。神に捨てられたという部分以外は。
「捨てられた…というのは…」
「聞いた通りだよ。神に捨てられてしまった世界があるから、その世界を救って欲しい。」
どうやら少年は世界を救う救世主となってしまったようだ。
「不安に思うのもわかるけど、私も全力でサポートするから、安心して行って来てほしいな。」
流石に顔に出ていたのか、目の前の神を自称する男は気遣うように言葉を付け足す。しかしそれだけで、違う世界に行く、という少年の不安は消えなかった。
「もし断ったら、どうなるんですか?」
断ったらこのまま帰れるかもしれない。異世界には興味があったが、少年は身の安全を第一に、家に帰るという選択を取ろうとしていた。
「うーん、どうしよっかな…とりあえず君という存在が消えてしまうのは確かかな。」
その言葉に少年は驚愕した。断ったら自分の存在が消える。選択肢など、あってないようなものだった。
「つまり、俺を元からその世界に送り込むつもりだったんですか?」
「まあ、そうなるね。」
その瞬間、少年は拒否することを諦めた。身の安全を取ろうにも、存在が消えてしまっては本末転倒である。最初から勝負できるカードなど配られてはいなかったのだ。
「わかりました、行きます...」
「お、物わかりが良くてよろしい。」
すると男は立ち上がり、押し入れの戸を開くと中から布団を取り出した。その布団を床に敷くと、
「寝て」
と言ってきた。単純に何故寝なければならないのか、と少年は思った。
「この布団で寝ないとその世界に転移できないんだよね。」
少年は渋々布団に入る。入らなければ、存在を消されてしまう。眠ろうと目を瞑るが、明かりがついてるせいで眠れない。
「明かり、消してもらえませんか?」
「じゃあ僕が子守り歌を歌ってあげよう。」
人の話聞いてないな、と少年は多少イラッとはしたものの、ここで下手に楯突いて存在を消されてしまうのも真っ平御免だ。と少年はそのまま目を閉じた。すると自称神の男が子守唄を歌い出した。
「ね~んねん ころ~り~よ~♪…」
かなり音痴だ、あの某国民的アニメのジャ〇アンも脱帽ものである。とあまりの不愉快さに少年は布団からはね起きた。
「寝れるかー!」
すると目の前には緑の綺麗な草原が広がっていた。少年はあの酷い歌で眠ってしまったのだ。ズボンに違和感を感じる。少年は立ち上がって自分のズボンのポケットを確認したところ、何の変哲もない茶封筒が無理矢理ねじ込んであった。
『 困ったら開けてね★』
と書いてある。ちょっとイラッとしながら手紙を封筒ごと二つにおってポケットにしまう。周りを見渡すと、どうやらそこは西洋風の屋敷の庭のようだった。草原に見えたのは屋敷の庭で、少年は向かって右側に位置する大きな屋敷を見る。平凡な暮らしをしてきた少年は、
「立派な屋敷だな」
感想も平凡であった。その屋敷をただぼーっと眺めていると左の方から何やら人の声がした。
声に驚き本能的に隠れようとしたが時すでに遅し。左を向けばそこにはもう誰かが立っていた。
「君、そこで何をしているのかな?」
年は自分より二つ三つくらい上であろう、美しい金色の長髪に整った顔立ちの青年がそこに立っていた。
「もう一度聞こう、君はそこで何をしているのかな?」
青年は少年をかなり警戒しているようだった。
「あ、ええっと…俺は別の世界から来て、……っ!」
しくじった、と少年は思った。現地の住人には別の世界から来た、などと言っても信じられるわけが無い。それどころか、おかしなことを言っている怪しいやつ、と認識されることは目に見えていた。だからこういう場合は、通りすがり、と答えるのが妥当なのだろうが生憎そこは屋敷の庭の中、通りすがり、でごまかせそうにはなかった。
逃げなければ。そう思った瞬間、
「そうなのか!ようこそ僕の屋敷へゆっくりしていくといいよ。」
全く予想外の答えが返ってきた。少年は戸惑い、同時にこう思った。この青年、まさか…
「あの、初対面で聞くのもあれだけど、その、騙されやすいとか言われない?」
すると青年はかなり驚いた顔をしていた。
「なんでそのことを知っているんだい!?まさか異世界人は人の心を読めるのか!?」
そう言いながら青年は目を輝かせ、少年にジリジリと近づいてくる。一方、少年は最悪の事態にならなかったことに安堵しつつ、違う意味で不安を感じていた。
「いや、心を読めたりはしないんだ。」
一応、誤解を解いておく。誤解されたままでは後々面倒なことになりそうである。
「そうなのか…そういえば君はこの世界に何をしに来たのかい?」
困った。この世界に来る時、その理由を全く聞いてなかった。その時ふと、あることを思い出しポケットに入っているものを取り出した。それには「困ったら開けてね★」と書かれている。今がその「困った」時であると信じ、手紙を開いた。
『 アドリブでよろしく★』
「あのクソゴッドめ!」
流石に耐えられなかった。少年は手紙を思いっきり地面に叩きつける。当たり前だが、青年は驚いている。
「あ、いやっ、その…気にしないでくれ。こっちの問題だから。」
「そうか、いきなり叫ぶからこっちも驚いたよ。そういえば君の名前を聞いていなかったね。」
そういえばそうである。自己紹介、それは最初にするべき会
「あぁ、そうだな…俺の名前は大田明良、明良って呼んでくれ。」
「アキラ、変な名前だが別の世界から来たのなら当然か…僕の名前はニコラス、ニコラス・サンジェットだ。ニコラと呼んでくれ。」
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