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1章 なんかクラスまるごと召喚されたんだが

4.人間をやめている最強の騎士

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 王女に10分程ついていくと、二階建ての木造アパートのような建物が5棟見えてきた。

「ここがこれからあなた達が住むところよ。2人で一部屋だからペアは勝手に決めてくださいね。 明日は8時までにここに来る途中にあった闘技場の中に集合しておきなさい。後、逃げようなんて考えないことね。我が国最強の騎士が監視してるから」

 そう言うと王女は王城の方に去っていった。

 我が国最強の騎士か...勇者が脱走しても逃がさない自信があるってことは、その最強の騎士さんは相当な強さなんだな。
 まあ、それは置いといて。

 とりあえず部屋のペアなんだが...俺は生憎ぼっちだ。
 最後の1人になって俺だけ個室とかだったら嬉しいんだけど、クラスの人数は偶数だ。余りの人とペアになるだろう。

 そろそろ、大体のペアが完成したな。余りの人は...あいつか。
 偶然だったが昔、虐めから救った人だ。声をかけるか。

「こんにちは。僕の名前は西城正樹。お互い余ったみたいだし、ペアになりませんか?」

「あ、本当に良いんですか?ありがとうございます!!私の名前は菊地友美です。よろしくお願いします!!」

 とりあえずペアは決まった。後は部屋だが...1番奥の棟の二階の階段から離れてる部屋だな。

「いくよ」

「は、はい」


 ◆


 部屋の前に到着した。

「お邪魔しま~す」

 癖で言ってしまったが、当然返事は返ってこない。

 部屋は1LDKで、トイレはついていたが風呂はなかった。
 内装は二段ベッドが隅に置いてあって、壁に時計が掛かっている以外、なにもない。

「もう外も暗いし、寝るか」

「は、はい。お休みなさい」

 俺は腕時計で時間を確認する。日本時間で9時30分だった。

 布団の中で脱走の計画を考える...とりあえずこの部屋に把握を付与した結界を展開しておこう。

「把握結界 展開」

 う...なんだこの情報量は 脳が焼ききれそうだ。痛い痛い痛い。

 《神結界に回復が追加されました》

「結界ストーップ」

 はぁはぁ。楽になった。えっと...回復だっけ?

「把握、回復結界 展開」

 おおお、頭が痛くなった瞬間に回復する感覚がある。
 慣れれば気にならなくなりそうだ。

 把握できる情報の範囲を確認しよう。
 まず...温度。サーモグラフィーのように把握できる。
 次は...風の流れ、気圧。
 さらに、どんな小さな音、匂いも把握できる。
 視覚は...結界内ならどこでも拡大、拡小して見れる。
 視点も結界内なら自由に変更できるな。
 これは...魔力か?色は虹色、空気中で不規則に揺らめいていて、把握結界から漏れ出ている。
 後は...え?視線? 結界の範囲を視線が確認できた方向に拡大してみるか。
 これは...王城の屋根の上か?お...これが視線の主か。

「把握、回復結界 変更  鑑定結界 展開」



 キリジブァー 46歳 種族人間
 職業 :竜騎士
 レベル:99
 生命力:A
 魔力量:A
 体力 :S
 筋力 :S
 耐久 :A
 俊敏 :S
 魔攻 :A
 知能 :A
 スキル:剣術     (S)
  格闘術    (S)
  幻術     (S)
  騎乗     (S)
  鷹の目    (S)
  四属性魔術  (S)
  竜属性魔法  (S)
  破壊魔法   (C)
  自己再生   (S)
  力量測定   (S)
 固有 :龍化     (SS)



 うっわ。これが例の我が国最強の騎士か? 人間やめてるでしょ。


 ◆


 朝になった。
 キリジブァーの攻略法を考えていたら、いつの間にか朝になっていた。
 寝不足で体がだるい。

 考えてみたところ、キリジブァー攻略の最大の難関は破壊魔法だ。
 俺の障壁に不壊を付与すれば、攻撃力がいくら高かろうが絶対に破壊されない。
 だが、消滅、破壊、分解魔法は別だ。
 あんな明らかにヤバそうな魔法を持っている人はほとんどいないと思っていたが、キリジブァーは持っていた。

 それに、自分のスキルの範囲、消費魔力などを細かく把握できていない現状だ。
 まだあいつに挑むべきではないだろう。
 まあ、行けると思ったら挑むけど。

 部屋の時計を確認すると、7時だった。
 王女指定の時間までは一時間あるな。
 その間に外でスキルの確認でもしよう。
 とりあえず起きるか。

「よっこらせっと」


 ◆


 外に出た。まずは障壁、結界の消費魔力確認からだな。

「把握、回復結界 展開」

「障壁 展開」

 大量の情報が脳に送り込まれてくる。
 体の内側に意識を集中させてみると、魔力が障壁と結界に常時移動していっているのが把握できる。
 これが維持消費魔力だろう。

「障壁 解除」

 とりあえず障壁だけ解除する。
 次は展開消費魔力を確認しよう。
 意識を集中させる。

「障壁 展開」

 最初に維持消費魔力よりも多く魔力が抜けていった。
 俺の魔力をプールに例えると、展開消費魔力がおたまで水を外に出したくらいで、維持消費魔力がスプーンで常時水を外に出しているくらいだな。
 うん、やっぱり俺の魔力多いな....

 次は強度を確認する。

「変形、操縦障壁 展開×2」

 まずは片方の障壁を剣に変形させる。
 操縦を付与したのは、障壁を剣に変形させても固定されていて振れないからだ。
 名付けて、障壁剣。
 その障壁剣でもう片方の障壁を攻撃して強度を確かめる。
 障壁に注ぐ魔力はそのままで、障壁剣には魔力を限界まで注ぐ。
 そして、フルスイング。

「せいやッ」

 スパッ

 マジか...豆腐を切るかのように障壁が切れたぞ...よし。普通に使えば直接攻撃しないスキルを応用して相手を攻撃可能なのが証明できた。

 次は反対でやってみるか。
 障壁に限界まで魔力を注いで、障壁剣には並の魔力を注ぐ。
 そして、フルスイング。

「せいやッ」

 ごっ ボキッ

 痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い。
 手首折れたな。これは。
 あ、回復結界の効果でどんどん骨が繋がっていく感覚がする。
 お、痛みが引いてきた。


 ◆
 30秒後

 マジかよ。30秒で完治した。
 そういえば障壁は...無傷だな。逆に剣の方が折れている。
 なら両方並の魔力を注ぐとどうなるんだ?

「せいやッ」

 ザクッ

 痛いけど骨折ではない。
 お、回復してきた。

 さあ、結果は...障壁は半分まで剣で切り裂かれていて、剣はぼろぼろ。
 なんとも中途半端な結果だ。

 あ、途中から障壁剣の検証になって、強度を確認するのを忘れていた。
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