夢見る少女とゲーム好き少年(夢少女ゲーム少年)

兎猫まさあき

文字の大きさ
7 / 20
第二章 〜情動〜

06 ゆなからのイタズラ

しおりを挟む
 ──前回(九話目)の続き

 たけるにきちんと食事を摂ることを約束させたきよみ。
 そして、きよみの家で食事をする可能性が高くなっていく……

「そうだ、学校に行く準備をしましょうよ」
「そうだね」

 そんな二人は、きよみの一言で学校へ行く準備を始めた。
 きよみは自室へ向かい、学用品を揃えた。
 たけるは制服を着て来ただけのようで自宅へ一旦帰った。
 しばらくすると鞄を持って戻ってきた。
 それから二人は学校へと向かった。

「「いってきまーす!」」

 二人が一緒にそう言うと、

「いってらっしゃい」

 ときよみの母がそう返した。
 いつもと違う登校方法で、きよみは少し恥ずかしいのか、無言で歩みを進めていた。

 ──それから、結局何も話さず学校に到着してしまった二人……

「はぁ……」
「きよみ、どうしたの? ……ってか昨日の告白はどうだったー?」

 教室できよみがため息をいていると、友人であるあるゆながやってきてどうしたのか、と一言。
 そして、大事な事を思い出したかのようにはっとなり、ニヤニヤしながら告白について聞いた。

「えっとね……まぁ、告白は成功し……」
「よかったじゃん!!」
「それでね、今日一緒に学校に来た……」
「おぉ!?」
「でも、何も話さずに来ちゃった……」
「えー!! そうなんだ……何か勿体ないなぁ……せっかくなら何か話せばいいのに」

 途中、ゆなは話を途中で切って相槌を打ったのち、助言した。

「うーん……」

 すると、ゆなは何かを考え込んでしまった。
 そしてしばらくすると

「そうだ! いい事思いついた!」
「え、なになに?」
「それは秘密っ」
「えぇ……」

 ゆなはいい案が出たらしい。
 きよみが何かと聞くがゆなはいたずらっ子のように満面の笑みでどこかへ去っていった。
 きよみはその後ろ姿を見て残念だと言わんばかりに落ち込んだ。

 それから、きよみ達はその日の授業を受け、夕方近くにその日の最後の授業が終わった。

 コンコン……と言う音にきよみが顔を上げると……

「あっ……たけるさん……」
「さぁ、言った時間になったよ、帰ろ」
「えっ?」

 そこにはたけるがいた。
 そして、たけるの言った言葉にきよみは驚愕を隠せなかった。
 まさか、とゆなの方を見ると、作戦が成功したとばかりにニコニコしながらガッツをしていた。

(やられた……)

 きよみの心の声を表すならばこんな感じだろうか。

「やっぱりダメだったかな?」
「い、いえいえ! 大丈夫です……よ?」

 たけるが不安気に確認をしてきたので、きよみは慌てて返事をした。
 きよみは急いで荷物をまとめた。

「お待たせしました、帰りましょう」
「おぅ」

 そして、帰路へ着いた。
 また、きよみは今度こそ話す、と心に決めていた。

「あ、あの……」
「どうした?」
「たけるさんのご両親って、共働きなんですか?」
「…………いや。なんで?」
「今朝来た時、バナナしか食べてこなかったじゃないですか。何でかなーって思って」

 きよみはふと思った疑問をたけるに投げかけた。

「……あのさ」
「はい」
「付き合ってすぐに言うことじゃないと思うけどさ……実を言うと、俺の両親、小学ん時に事故で死んじままったんだ……」
「……え、えっ!?」

 たけるの口から両親が死んだという事を聞いたきよみは驚きのあまり口に手を当てた。

「実は……私の父も小学の時に亡くなっちゃったんです……」
「そうだったんだな……びっくり……するよな。身内……というか、家族、それも親が死ぬ……なんて」
「はい……私、父が死んだと聞いた時、はじめは嘘だと思っていたんです。そんなに早くに父が死ぬなんて思っても居なかったから……」

 きよみもたけるに釣られて父親の事を話した。
 今のきよみには、たけるの心がポッカリと穴が空いてるように見えた。
 たけるの力ない言葉にきよみも同じ様にしか返せなかった。
 きよみは、たけるの感情に同調しなければ、と父親の話を詳しく話し始めた。
 互いに親を亡くしている事で、周りに手助けをして貰わなければ生きていけなかった。
 幸い、きよみには母親が居ることによって、家事などの事だけは教えてもらい、今は母親に仕事を頑張ってもらって、しっかりと生活を立て直すべく家事に力を尽くして行っていた。
 今朝きよみがたけるに朝食を作った時、きよみはいつも母に作っている朝食を作った。それがきよみにとっての最上級な愛情表現なのだから。

 ──結局、きよみの決意は親の死の話によって暗く、且つ儚く打ち砕かれてしまうのであった……
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

女子ばっかりの中で孤軍奮闘のユウトくん

菊宮える
恋愛
高校生ユウトが始めたバイト、そこは女子ばかりの一見ハーレム?な店だったが、その中身は男子の思い描くモノとはぜ~んぜん違っていた?? その違いは読んで頂ければ、だんだん判ってきちゃうかもですよ~(*^-^*)

罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語

ノン・タロー
恋愛
高校2年の夏……友達同士で行った小テストの点を競う勝負に負けた僕、御堂 彼方(みどう かなた)は、罰ゲームとしてクラスで人気のある女子・風原 亜希(かざはら あき)に告白する。 だが亜希は、彼方が特に好みでもなく、それをあっさりと振る。 それで終わるはずだった――なのに。 ひょんな事情で、彼方は亜希と共に"同居”することに。 さらに新しく出来た、甘えん坊な義妹・由奈(ゆな)。 そして教室では静かに恋を仕掛けてくる寡黙なクラス委員長の柊 澪(ひいらぎ みお)、特に接点の無かった早乙女 瀬玲奈(さおとめ せれな)、おまけに生徒会長の如月(きさらぎ)先輩まで現れて、彼方の周囲は急速に騒がしくなっていく。 由奈は「お兄ちゃん!」と懐き、澪は「一緒に帰らない……?」と静かに距離を詰める。 一方の瀬玲奈は友達感覚で、如月先輩は不器用ながらも接してくる。 そんな中、亜希は「別に好きじゃないし」と言いながら、彼方が誰かと仲良くするたびに心がざわついていく。 罰ゲームから始まった関係は、日常の中で少しずつ形を変えていく。 ツンデレな同居人、甘えたがりな義妹、寡黙な同クラ女子、恋愛に不器用な生徒会長、ギャル気質な同クラ女子……。 そして、無自覚に優しい彼方が、彼女たちの心を少しずつほどいていく。 これは、恋と居場所と感情の距離をめぐる、ちょっと不器用で、でも確かな青春の物語。

隣の家の幼馴染と転校生が可愛すぎるんだが

akua034
恋愛
隣に住む幼馴染・水瀬美羽。 毎朝、元気いっぱいに晴を起こしに来るのは、もう当たり前の光景だった。 そんな彼女と同じ高校に進学した――はずだったのに。 数ヶ月後、晴のクラスに転校してきたのは、まさかの“全国で人気の高校生アイドル”黒瀬紗耶。 平凡な高校生活を過ごしたいだけの晴の願いとは裏腹に、 幼馴染とアイドル、二人の存在が彼の日常をどんどんかき回していく。 笑って、悩んで、ちょっとドキドキ。 気づけば心を奪われる―― 幼馴染 vs 転校生、青春ラブコメの火蓋がいま切られる!

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

大丈夫のその先は…

水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。 新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。 バレないように、バレないように。 「大丈夫だよ」 すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m

処理中です...