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第九話 ~二人でバイトです!!~
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学校が始まり、二人は学校へ通いながら、夕方にはアルバイトをする日々を過ごしていた。
そんな二人の姿に、ミセスドーナツの女店長は複雑そうな表情を浮かべる。
そうして迎えた九月の末。給料日となったその日、二人は変わらず勤務日として働いていた。
「きよみちゃん、たけるくん。今日のシフトが終わったら私の所に来て」
店長は、二人にそう告げると、スタッフルームへと入る。
その表情はかなり硬い。彼はたけるときよみの九月分の給与を計算した紙を取り出す。
そこには時給をはじめとする二人の勤務状況が記されていた。そして計算された合計給与は10万を超えていた。勤務時間はおよそ120時間。三週間の法定勤務時間ぴったりの時間で勤務しているという事がその部分を見るだけで分かる。
計算紙に従い、ミセスドーナツ社特製茶封筒に二人分の給与を二袋用意していく。
そうして詰め終わったころ、二人はシフトを終了したようでスタッフルームへやってきた。
「店長、お疲れ様でーす」
「お疲れ様。今日は二人の給料日だからね。はい、これ」
「わあ、ありがとうございます!」
たける、店長、きよみがそれぞれ言葉を交わす。
茶封筒を渡した店長は微笑んだ表情を崩し、真面目な表情になる。
「ところで、二人とも。今月度の勤務時間を把握してる?」
「えっ……。100時間ですかね……?」
「俺も、その位かなと思います」
店長からの突然な問いに二人は顔を見合わせ、答える。
「まあ、あながち間違いではないけど……。二人とも、学業との両立は出来ているの? 先月はまだ夏休みだから、と何も言わなかったが、流石にもう二学期が始まっているのだろう? それに、君たちの体も心配。しばらく休みを取ったらどう? これまでの二人の働きぶりはそばで見て来た私が理解しているつもりだよ。だから……」
「そんな……。でも、私たち、まだ頑張れます! 出来る限り、頑張りますよ!?」
「お、俺も!」
どうにか、二人を言いくるめ、休ませようと考えていた店長であったが、二人のその言葉に思わず言葉を失ってしまった。
二人の目もいたって真面目であった。一体どこにその原動力となるものがあるのか、店長は後に興味を抱くこととなるが、この時は言葉を失い、休ませるために他の手が無いか模索しているため、この話はまた別の時に。
「う、あ……。はぁ……そう。ただ、無理はしないでね? きつくなった時はその日のシフト直前でも全然大丈夫だから、休める時に休むんだよ。分かった?」
「「はい!」」
「よし。じゃあ、今日も一日お疲れ様。もう外も真っ暗だから、気を付けて帰るんだよ」
「「はーい」」
店長はスッと微笑むとともに、二人を見送った。
「──はぁ……。あの二人は、ウチにとっていい人材になりえない。きっと本部が知ったら手放すようなことは絶対しないはずだわ。『あの人』の意思に反して」
二人の姿が見えなくなると、そう呟いた。声色は若干怒りがかったような雰囲気を醸し出していた。
彼女は、ここミセドの創立に携わった一人であった。
☆☆☆ ★★★ ☆☆☆
給与を受け取った二人は帰路に着いていた。しかし向かう先は自宅ではない。
今日は約束の日でもある。食事を一緒に取る──一か月前からの約束だった。
二人してアルバイトで時間が合わなくなってしまっていたため、今日になってしまった。
それでも、二人は待ち遠しかったという表情を浮かべ、ウキウキとした様子で一つの中華街に足を踏み込む。
そんな二人の姿に、ミセスドーナツの女店長は複雑そうな表情を浮かべる。
そうして迎えた九月の末。給料日となったその日、二人は変わらず勤務日として働いていた。
「きよみちゃん、たけるくん。今日のシフトが終わったら私の所に来て」
店長は、二人にそう告げると、スタッフルームへと入る。
その表情はかなり硬い。彼はたけるときよみの九月分の給与を計算した紙を取り出す。
そこには時給をはじめとする二人の勤務状況が記されていた。そして計算された合計給与は10万を超えていた。勤務時間はおよそ120時間。三週間の法定勤務時間ぴったりの時間で勤務しているという事がその部分を見るだけで分かる。
計算紙に従い、ミセスドーナツ社特製茶封筒に二人分の給与を二袋用意していく。
そうして詰め終わったころ、二人はシフトを終了したようでスタッフルームへやってきた。
「店長、お疲れ様でーす」
「お疲れ様。今日は二人の給料日だからね。はい、これ」
「わあ、ありがとうございます!」
たける、店長、きよみがそれぞれ言葉を交わす。
茶封筒を渡した店長は微笑んだ表情を崩し、真面目な表情になる。
「ところで、二人とも。今月度の勤務時間を把握してる?」
「えっ……。100時間ですかね……?」
「俺も、その位かなと思います」
店長からの突然な問いに二人は顔を見合わせ、答える。
「まあ、あながち間違いではないけど……。二人とも、学業との両立は出来ているの? 先月はまだ夏休みだから、と何も言わなかったが、流石にもう二学期が始まっているのだろう? それに、君たちの体も心配。しばらく休みを取ったらどう? これまでの二人の働きぶりはそばで見て来た私が理解しているつもりだよ。だから……」
「そんな……。でも、私たち、まだ頑張れます! 出来る限り、頑張りますよ!?」
「お、俺も!」
どうにか、二人を言いくるめ、休ませようと考えていた店長であったが、二人のその言葉に思わず言葉を失ってしまった。
二人の目もいたって真面目であった。一体どこにその原動力となるものがあるのか、店長は後に興味を抱くこととなるが、この時は言葉を失い、休ませるために他の手が無いか模索しているため、この話はまた別の時に。
「う、あ……。はぁ……そう。ただ、無理はしないでね? きつくなった時はその日のシフト直前でも全然大丈夫だから、休める時に休むんだよ。分かった?」
「「はい!」」
「よし。じゃあ、今日も一日お疲れ様。もう外も真っ暗だから、気を付けて帰るんだよ」
「「はーい」」
店長はスッと微笑むとともに、二人を見送った。
「──はぁ……。あの二人は、ウチにとっていい人材になりえない。きっと本部が知ったら手放すようなことは絶対しないはずだわ。『あの人』の意思に反して」
二人の姿が見えなくなると、そう呟いた。声色は若干怒りがかったような雰囲気を醸し出していた。
彼女は、ここミセドの創立に携わった一人であった。
☆☆☆ ★★★ ☆☆☆
給与を受け取った二人は帰路に着いていた。しかし向かう先は自宅ではない。
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