15 / 17
第十三話 ~十二月二十五~ 後編
しおりを挟む
登校は二人だけだが、下校は三人になる。ゆなが加わるからだ。
ゆなはどことなくワクワクした様子で歩みを進める。今日は十二月の二十五。
冬期休暇が始まるという事もあるが、今日はクリスマスだからだ。
ゆなは今夜、二人の元でパーティーをすることを数週間前より企画し、それを二人が許したことで、たける宅ですることが決定しているのである。
費用は三人で割り勘をすることで決定している。
二人はアルバイトをしているためそこから切り崩し、ゆなはアルバイトをする事が出来ない──現役の運動部員である──ため、自腹を切って持つことになっている。
ウキウキとした雰囲気の中、ゆなはふと思いついたかのようにつぶやく
「ねぇ、冬休み、何する?」
「えっ……何するって……?」
「ほら、スキーに行くとかさ、冬にしかできない遊びがあるじゃん?」
「つまり、俺ら三人でどこかに行きたい……と?」
「そう!」
「でも、私たち冬休みはバイトとか入ってるよ?」
「そんなの、休みを見つけて行けばいいのよ!」
ゆなは二人に向けて指をさし、無い胸を張った。
気圧されたふたりは、苦笑いをするしか出来なかった。
☆☆☆ ★★★ ☆☆☆
道中、荷物を取るということでそれぞれ分かれた。
たけるは場所の準備を、きよみは母と共に料理の準備を、ゆなは飾りの用意を担当している。
ゆなは飾りを持ち、たけるの家に駆け込む。そこにはきよみとこよみがすでに料理の準備を始めていた。
作るはタンドリーチキンとクリスマスケーキ。
たけるの両親──特に母親は料理や製菓が大好きな人で、生前は毎週末ケーキをたけるやその友人に振る舞っていたほど。そのため、ケーキを作るためのオーブンなどは完備してある。ただ、この数年の間使ってこなかったため、数日前まで埃を被っていたが……。
数日前、きよみがふと掃除をしていた時に見つけ、それをこよみに相談し、掃除に踏み切った。
そして、たけると二人で話そうと目論んでいたゆなは失敗に終わり落胆していた。が、たけると二人で飾りつけをすることでそれが実現できることに気付いた彼女はたけるに飾りつけを手伝って貰う事にした。
そこでたけると二人であんなことやこんなこと──きよみとの最近の仲について詳しく話を聞いた。
たけるの家で家事全般を代行していくきよみの姿が昔の母親に重なってしまう事、作ってくれる食事がまんま母の味で昔の事を思い出してしまう事。
ゆなはその話を親身に聞く。ゆなも幼いころに父親をある意味亡くしている──突然の失踪をした──が故に、彼の気持ちはよく分かった。
ここに集まる者たちは全員親を亡くしている。こよみの許しを貰い、聞き耳を立てていたきよみは予想外の褒め言葉に頬を紅潮させながらも、たけるの言う言葉に共感していた。
特にきよみは幼いころに父親を事故で亡くしているが故に父親の温かさというものを知らずに育ってきたため、たけるそばで彼のぬくもりを知ったとき、無意識に父親の事を思い出していた。
すでに亡くしてしまったものは帰ってこないとは分かってはいても、いつかは帰ってくるのではないか、ふと思う事もある。だが、前を向かなければ何も始まらない。こよみの一件があってから余計にそう思うようになってしまっていた。
☆☆☆ ★★★ ☆☆☆
外は夕日が出る時間になった。夜が、聖夜が始まる。
準備したクリスマスパーティーは始まりを見せた。四人はクラッカーを鳴らし合い、聖夜を祝った。
沢山のタンドリーチキンと二ホールのクリスマスケーキ。
たらふく夕食を食べた三人はクリスマスプレゼントを交換し合う。その三人の姿を微笑ましく眺めるこよみ。
(──この光景を見れるのはもう永くないんだろうな)
と、縁起でもない事を思いながら。くも膜下出血が快方に向いたとはいえ、再発しないとは限らないのである。
だからこそ、再発しないように予防をしなければならないのである。
いつまた再発するか分からない事を実は三人に伝えていない。心配をかけて、雰囲気を破壊する事だけは避けたい。
だからこそ、一人で出来るだけの再発予防を──。
☆☆☆ ★★★ ☆☆☆
パーティーが終わり、四人は後片付けをも終え、四人は解散をする。
──いや、こよみの勧めできよみはたけるの元で一夜を過ごすことになった。
何もないとは言えないだろう状況で、一体どのようになってしまうのか。
ドキドキと高鳴る胸を抑え、きよみは入浴し、たけると共に同じ布団に入る。
たけるの香り、どことなく男らしい香り。ただ、恥ずかしさのあまり、たけるとは反対に顔を向けて寝そべっていた。
「ねぇ」
突然の呼びかけにきよみは思わずびくりと肩を揺らしてしまう。
「ちょっとこっち向いてよ」
たけるからの猛烈なアプローチにきよみは恐る恐る振り向く。
そこにはほのかに微笑むたけるがいた。
何を言うでもなく、ただ、腕を広げる。おいで、と。
きよみは安堵したように腕の中に入る。その後の事は、想像にお任せします──。
ゆなはどことなくワクワクした様子で歩みを進める。今日は十二月の二十五。
冬期休暇が始まるという事もあるが、今日はクリスマスだからだ。
ゆなは今夜、二人の元でパーティーをすることを数週間前より企画し、それを二人が許したことで、たける宅ですることが決定しているのである。
費用は三人で割り勘をすることで決定している。
二人はアルバイトをしているためそこから切り崩し、ゆなはアルバイトをする事が出来ない──現役の運動部員である──ため、自腹を切って持つことになっている。
ウキウキとした雰囲気の中、ゆなはふと思いついたかのようにつぶやく
「ねぇ、冬休み、何する?」
「えっ……何するって……?」
「ほら、スキーに行くとかさ、冬にしかできない遊びがあるじゃん?」
「つまり、俺ら三人でどこかに行きたい……と?」
「そう!」
「でも、私たち冬休みはバイトとか入ってるよ?」
「そんなの、休みを見つけて行けばいいのよ!」
ゆなは二人に向けて指をさし、無い胸を張った。
気圧されたふたりは、苦笑いをするしか出来なかった。
☆☆☆ ★★★ ☆☆☆
道中、荷物を取るということでそれぞれ分かれた。
たけるは場所の準備を、きよみは母と共に料理の準備を、ゆなは飾りの用意を担当している。
ゆなは飾りを持ち、たけるの家に駆け込む。そこにはきよみとこよみがすでに料理の準備を始めていた。
作るはタンドリーチキンとクリスマスケーキ。
たけるの両親──特に母親は料理や製菓が大好きな人で、生前は毎週末ケーキをたけるやその友人に振る舞っていたほど。そのため、ケーキを作るためのオーブンなどは完備してある。ただ、この数年の間使ってこなかったため、数日前まで埃を被っていたが……。
数日前、きよみがふと掃除をしていた時に見つけ、それをこよみに相談し、掃除に踏み切った。
そして、たけると二人で話そうと目論んでいたゆなは失敗に終わり落胆していた。が、たけると二人で飾りつけをすることでそれが実現できることに気付いた彼女はたけるに飾りつけを手伝って貰う事にした。
そこでたけると二人であんなことやこんなこと──きよみとの最近の仲について詳しく話を聞いた。
たけるの家で家事全般を代行していくきよみの姿が昔の母親に重なってしまう事、作ってくれる食事がまんま母の味で昔の事を思い出してしまう事。
ゆなはその話を親身に聞く。ゆなも幼いころに父親をある意味亡くしている──突然の失踪をした──が故に、彼の気持ちはよく分かった。
ここに集まる者たちは全員親を亡くしている。こよみの許しを貰い、聞き耳を立てていたきよみは予想外の褒め言葉に頬を紅潮させながらも、たけるの言う言葉に共感していた。
特にきよみは幼いころに父親を事故で亡くしているが故に父親の温かさというものを知らずに育ってきたため、たけるそばで彼のぬくもりを知ったとき、無意識に父親の事を思い出していた。
すでに亡くしてしまったものは帰ってこないとは分かってはいても、いつかは帰ってくるのではないか、ふと思う事もある。だが、前を向かなければ何も始まらない。こよみの一件があってから余計にそう思うようになってしまっていた。
☆☆☆ ★★★ ☆☆☆
外は夕日が出る時間になった。夜が、聖夜が始まる。
準備したクリスマスパーティーは始まりを見せた。四人はクラッカーを鳴らし合い、聖夜を祝った。
沢山のタンドリーチキンと二ホールのクリスマスケーキ。
たらふく夕食を食べた三人はクリスマスプレゼントを交換し合う。その三人の姿を微笑ましく眺めるこよみ。
(──この光景を見れるのはもう永くないんだろうな)
と、縁起でもない事を思いながら。くも膜下出血が快方に向いたとはいえ、再発しないとは限らないのである。
だからこそ、再発しないように予防をしなければならないのである。
いつまた再発するか分からない事を実は三人に伝えていない。心配をかけて、雰囲気を破壊する事だけは避けたい。
だからこそ、一人で出来るだけの再発予防を──。
☆☆☆ ★★★ ☆☆☆
パーティーが終わり、四人は後片付けをも終え、四人は解散をする。
──いや、こよみの勧めできよみはたけるの元で一夜を過ごすことになった。
何もないとは言えないだろう状況で、一体どのようになってしまうのか。
ドキドキと高鳴る胸を抑え、きよみは入浴し、たけると共に同じ布団に入る。
たけるの香り、どことなく男らしい香り。ただ、恥ずかしさのあまり、たけるとは反対に顔を向けて寝そべっていた。
「ねぇ」
突然の呼びかけにきよみは思わずびくりと肩を揺らしてしまう。
「ちょっとこっち向いてよ」
たけるからの猛烈なアプローチにきよみは恐る恐る振り向く。
そこにはほのかに微笑むたけるがいた。
何を言うでもなく、ただ、腕を広げる。おいで、と。
きよみは安堵したように腕の中に入る。その後の事は、想像にお任せします──。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
診察室の午後<菜の花の丘編>その1
スピカナ
恋愛
神的イケメン医師・北原春樹と、病弱で天才的なアーティストである妻・莉子。
そして二人を愛してしまったイケメン御曹司・浅田夏輝。
「菜の花クリニック」と「サテライトセンター」を舞台に、三人の愛と日常が描かれます。
時に泣けて、時に笑える――溺愛とBL要素を含む、ほのぼの愛の物語。
多くのスタッフの人生がここで楽しく花開いていきます。
この小説は「医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語」の1000話以降の続編です。
※医学描写はすべて架空です。
黒瀬部長は部下を溺愛したい
桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。
人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど!
好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。
部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。
スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる