ありのままというにはあまりにひどいありのままにそのままにつらつらと

言わずもがな羅生門

　今日は久々に髪をセットし、蕎麦屋でお昼を済ませ、欲しかった小説を買った。

充実した時間を過ごせた気がして、気分が良い。柄にもなくスターバックスでエスプレッソアフォガートフラペチーノと共に読書でもしようと思い、脳内で軽快な曲を再生し、その足でスターバックスへ向かったが、人が多く座る席がない。良い気分に浸り軽快な足取りでここに来た自分が恥ずかしいぐらいだ。

そんな気持ちで横文字だらけの商品名を言うのはさらに恥ずかしい。
「アフォガードフラペチーノお願いします。」今の私にエスプレッソはおこがましいと思いそう注文した。

注文した飲み物を手に店を後にし、車へ向かおうとしたとき、イスに腰掛けて読書をしている女性が目に止まった。

何がそんなに気になったかというと、膝上丈のスカートで、少し足が開いているのだから、言わずもがな、である。「三十年生きてまだそこに囚われているのか」と思われそうだが、それに関しても言わずもがな、である。しかし、罪を犯すつもりはない。囚われるのは心だけで良い。

女性の足は太いわけではないが、少し肉付きがある。そこで、見えないことを察した。肉付きのある女性は膝が離れようが、内ももが閉じている。その閉じた内ももを想像したときに、羅生門を連想した。何故だかはわからないが内ももと羅生門がリンクしたのだ。

内ももと羅生門について考えた。単純に門ということではあるが、それだけではなかった。羅生門の先には平安京があり、その先には大内裏がある。そういうことだ。気持ち悪いと思われそうだ。歴史を侮辱するなとも思われそうだが、連想した物を重ねて考えただけ、ただそれだけ。そして、そう考えれば「内もも」も「羅生門」も良いものである。

見えないことで膨らむ想像は見えない門があるからであって、見えてしまえば想像の域を出ないし、考えもしない。

そんなことを考えている罰が当たったのか、友人と行った焼肉で私の注文した白飯が出てくることはなかった。白飯が私の元に来るための門が閉じていたのだろう。白飯と肉を食べる想像が膨らむばかりだが、それもまた肉を美味しくさせてくれたと思うことにしよう。そんなことを思いつつ、焼肉屋で黒烏龍茶をこぼした私に優しく対応してくれた笑顔の素敵な女性の平安京と大内裏について考えながら湯船に浸かる今日この頃。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　終わり