ありのままというにはあまりにひどいありのままにそのままにつらつらと

ルー太郎

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消去法で外見と内面に蓋をする

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以前街コンに参加したことがある。

友人と待ち合わせ会場に入りエレベーターに乗ろうとすると何人かの街コン参加男性達と相乗りになる。ハットを被り、時計をし、シュッとしたズボンを履き、シュッとした靴を履き、ジャケットを羽織る人達だった。カジュアルな服装の私は場違いな気がしてエレベーターの中がさらに狭く感じながら、狭いエレベーターを降り受付を済ませ会場に入る。

会場では参加者達が無言でプロフィールカードなるものにペンを走らせる。私もプロフィールカードを書こうとしたがペンが無い、係員にペンがあるか聞くと１００円で買うシステムだと言う。１００円を惜しむ訳では無いがあらかじめ言って欲しいものである。みんな無言でプロフィールカードを埋めている中で私は１００円玉を握りしめペンを買う所からスタートした。私以外にペンを買う人がいないことが、なんとも恥ずかしいし、持参したペンでプロフィールカードに記入している友人に少し嫌悪感を抱きながら、プロフィールカードを書き始める。

名前、年齢、職業、年収、趣味、好きなタイプなど項目がいろいろあったが、私が一番悩んだのが好きなタイプである。これまで素直に好きなタイプを公表して上手くいった試しが無い。しかし、思うままに書かなければ好きなタイプは現れない。思い悩んだ末に、下ネタ大丈夫、足が臭いの二つを書き足し、プロフィールカードを書き終える。

街コンがスタートすると、十五席ほどの席を入れ替わりで男性が移動する。一席五分ほどの時間でプロフィールカードをもとにお互い自己紹介をし、気になる所を質問し合ったりする。

私の好きなタイプには誰も触れない。臭いものには蓋をしているのだろうか、蓋をしている彼女達の足は臭いんだろうか。男女の出会いに関して好きな異性のタイプは必要不可欠なのだが誰にも気にされず触れられることもなく、全ての組み合わせの自己紹介が終わった。

次に良いと思った三人の番号を書いた用紙を提出する。しかし、このシステムを忘れていた。自己紹介のときに女性達が何かとメモしていた理由がわかった。誰が良いかを選別するためだ。そんな攻略を知らない私のメモの欄には明るい、楽しい、よく笑うなどの安直なことしか書いていないのだから必死に思い出すしかない。みんなが選別している間、私は思い出すことに必死である。そんなにゆっくり思い出す時間も無く、本好きな女性、お笑い好きの女性を選んだ。

その後簡単な説明がありフリータイムに入る。必死に思い出して選んだのだから、選んだ女性と話したい。取り合いになるのを恐れながら本好きな女性の元に一直線に向かい了承を得て席に座った。

本好きということは思い出しているので本について話すが読むジャンルが違いあまり盛り上がらない。取り繕うのに必死だった。そんな最中、係員の人達が先程の良いと思った人を書いた用紙を全員に返却している。なぜ返却されるのか不思議に思いながら見てみると、そこには自分のことを良いと選んでくれた女性が書いてあるのだ。なんと今話している本好き女性と両思いになっているではないか。女性にもそれは伝わっておりお互い急に恥ずかしくなり口数がさらに減りつつもなんとかぽつりぽつりと話をし、一組目のフリータイムを終える。

嬉しいことにお笑い好き女性とも両思いだったので、最後のフリータイムはその人しかいないと決め込み他の女性に目もくれず、その女性の元に向かうが、その女性の元には私を含めた三人が立ち並ぶ。しかも、その内の一人は友人である。仕方なく四人で話すのだが大渋滞である。男達は狙っているのだからそうなる。女性はさぞ優越だっただろう。でも、話はできた。それに両思いなのはお互い分かっている。そんなことを思いながらフリータイムを終える。

最後に来るのが最終選別である。カップル成立なるかどうかの運命のときだ。二組と両思いになってフリータイムでも話ができた私は確信している、どちらかとカップル成立は間違いないと。最終選別では第一希望から第五希望まで書ける。第一を本好き、第二をお笑い好き、第三と第四は私を良いと思ってくれた女性を書いて提出した。成立が確実とは言えその気持ちは隠し、おどおどしながら結果を待つ。

部屋が薄暗くなり、係員がマイクを使って話し始める。
「今回一組のカップルが成立しました。」
それを聞き「俺だけか。なんか申し訳ないな。」そんなことを思いつつも、不安げな顔を浮かべておく。
しかし、係員が読み上げた番号は私の番号では無かった。間違いないとおごっていた自分が恥ずかしい。全員に冷ややかな視線を向けられているような気がして、一気に体温が上がり、汗ばむのが分かる。部屋が薄暗くて良かった、顔もさぞ赤くなっていたはずだ。そのままいそいそと会場を後にした。

何がいけなかったのか、途中段階では二組と両思いになっていたのに、フリータイムで何をやらかしたのだろうか。外見と内面で言うなら消去法で内面で勝負するしかない私が内面を発揮するフリータイムで発揮できていないのだから、全て消去するしかない。勝負できる物が私には無いのだ。フリータイムでしっかり外見を見た結果ということもあり得るが、そこを内面でカバーできてないのだから結果は同じである。穴があれば入りたい。そして、そのまま臭いものとして蓋をして欲しい。臭い靴下、ストッキングと共に蓋をされるなら満足だと思う今日この頃。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　終わり

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