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ダンジョン
誰の仕業
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「今回の襲撃だが、サーカスの仕業だと睨んでいる」
髪をオールバックに撫で付け、ギラギラした眼つきの権田が切り出した。耳のピアスもネックレスも金だ。日焼けした肌でまだまだ枯れない現役感が強めの50代。嫌いなタイプだ。
「監視カメラで確認する限り、相手はゴブリンが15体前後。統率された動きをしていることから【テイム】のスキル持ちが2名以上近くに潜んでいると思われる」
「ほほほほ。モンスターを飼育している闇クランなんてサーカスぐらいのもんですもんねえ。しかし、ゴブリン15体とは随分と舐めたことを」
富沢が扇子をパタパタさせながら言う。まだ2月だぞ。
「外のゴブリンは陽動じゃないのか?」
「播戸の言う通り、ゴブリンは陽動だろう」
権田に肯定された播戸が満足そうに頷く。承認欲求が満たされて結構なことだ。
「なら本命は?」
「……本命なんだが、、んん」
「ほほほ。ボスにしては珍しく歯切れが悪いですねえ。一体どうしたんです?」
権田がグッと奥歯を噛んだ後、口を開いた。
「いや。すまない。お前達を信じるしかないんだ。話そう。実は先日、召喚オーブを手に入れた。しかも非常にレアなモンスターの召喚オーブだ」
「ボス、本当なのか!?それは凄いな!!」
「ほほほほ!これはこれは」
会議室の温度が俄かに上がった。
「どこからこの情報が漏れたかは分からない。だが、このタイミングでサーカスの野郎どもが仕掛けてくる理由はそれしか考えられない」
「ほほ。確かにサーカスの奴等なら他の闇クラン以上に召喚オーブを欲しがるでしょうねえ。表でも裏でも使える」
「で、その召喚オーブはボスが持っているのか?」
「そうだ。俺が持っているのが一番安全だからな。だが、サーカスの野郎どもも同じように考える筈だ」
「つまり、奴等はボスを狙ってくると?」
「ああ」
権田に肯定された播戸がまた嬉しそうにする。ちょろすぎるだろ播戸。
「ほほ。で、ボスはこれからどうするんですか?隠し通路から、、」
ドンッ!
権田がテーブルに拳を下ろした。
「富沢!闇クランは舐められたらおしまいだ!ここで逃げてどうする!俺は打って出るぞ!」
「ほほほ。結局、そうなるんですねえ。お供しますよ」
富沢がやれやれと扇子をあおいだ。
「早速、俺の力をみせる機会が来るとはな」
播戸が拳を握る。今度は俺の番か。
「仕方ないなあ。僕もいきますようう」
「「……」」
あれ?
なんだ。雰囲気がおかしい。権田が目を剝いている。富沢はポカンと口を開けてこちらを見ている。何だ。一体何が起きたんだ。俺の後ろに何かいるのか?
権田の日焼けした肌が更に赤くなる。もしかして黛の透明化が解けてしまったのか。クランに勧誘してフラれた黛がこのタイミングで現れたら、間違いなくサーカスからの刺客だと思う筈だ。くそ。どう乗り切る。今、目々野として自然な行動はなんだ。何も動かないのはおかしい。
ゆっくりと後ろを振り返る。
誰もいない。
ゆっくりと首を戻す。
正面にいる権田の顔がもはや真っ赤だ。これはオークジェネラルが使っていた【硬化】の更に上級スキル【金剛】だろう。攻防一体で肉弾戦に滅法強いスキルだ。
「おまえは、誰だ」
肌から蒸気を上げながら権田が問う。
「目々野をどこにやった?」
「目々野は僕ですけどうう」
「ふざける!あの目々野が自ら"行きます"なんて言う筈ないだろ!そもそもおかしかったんだ!俺に呼ばれて10分以内に来た時点で!」
権田が立ち上がった。
「ほほほ。確かに。目々野が会議中に寝ないなんておかしいと思っていたんですよねえ」
富沢が立ち上がった。
「よく分からないが、お前は敵のようだな」
播戸も遅れて立ち上がった。
「ちっ」
くそおおおお!どうなってんだよおお!目々野の野郎おおお!
髪をオールバックに撫で付け、ギラギラした眼つきの権田が切り出した。耳のピアスもネックレスも金だ。日焼けした肌でまだまだ枯れない現役感が強めの50代。嫌いなタイプだ。
「監視カメラで確認する限り、相手はゴブリンが15体前後。統率された動きをしていることから【テイム】のスキル持ちが2名以上近くに潜んでいると思われる」
「ほほほほ。モンスターを飼育している闇クランなんてサーカスぐらいのもんですもんねえ。しかし、ゴブリン15体とは随分と舐めたことを」
富沢が扇子をパタパタさせながら言う。まだ2月だぞ。
「外のゴブリンは陽動じゃないのか?」
「播戸の言う通り、ゴブリンは陽動だろう」
権田に肯定された播戸が満足そうに頷く。承認欲求が満たされて結構なことだ。
「なら本命は?」
「……本命なんだが、、んん」
「ほほほ。ボスにしては珍しく歯切れが悪いですねえ。一体どうしたんです?」
権田がグッと奥歯を噛んだ後、口を開いた。
「いや。すまない。お前達を信じるしかないんだ。話そう。実は先日、召喚オーブを手に入れた。しかも非常にレアなモンスターの召喚オーブだ」
「ボス、本当なのか!?それは凄いな!!」
「ほほほほ!これはこれは」
会議室の温度が俄かに上がった。
「どこからこの情報が漏れたかは分からない。だが、このタイミングでサーカスの野郎どもが仕掛けてくる理由はそれしか考えられない」
「ほほ。確かにサーカスの奴等なら他の闇クラン以上に召喚オーブを欲しがるでしょうねえ。表でも裏でも使える」
「で、その召喚オーブはボスが持っているのか?」
「そうだ。俺が持っているのが一番安全だからな。だが、サーカスの野郎どもも同じように考える筈だ」
「つまり、奴等はボスを狙ってくると?」
「ああ」
権田に肯定された播戸がまた嬉しそうにする。ちょろすぎるだろ播戸。
「ほほ。で、ボスはこれからどうするんですか?隠し通路から、、」
ドンッ!
権田がテーブルに拳を下ろした。
「富沢!闇クランは舐められたらおしまいだ!ここで逃げてどうする!俺は打って出るぞ!」
「ほほほ。結局、そうなるんですねえ。お供しますよ」
富沢がやれやれと扇子をあおいだ。
「早速、俺の力をみせる機会が来るとはな」
播戸が拳を握る。今度は俺の番か。
「仕方ないなあ。僕もいきますようう」
「「……」」
あれ?
なんだ。雰囲気がおかしい。権田が目を剝いている。富沢はポカンと口を開けてこちらを見ている。何だ。一体何が起きたんだ。俺の後ろに何かいるのか?
権田の日焼けした肌が更に赤くなる。もしかして黛の透明化が解けてしまったのか。クランに勧誘してフラれた黛がこのタイミングで現れたら、間違いなくサーカスからの刺客だと思う筈だ。くそ。どう乗り切る。今、目々野として自然な行動はなんだ。何も動かないのはおかしい。
ゆっくりと後ろを振り返る。
誰もいない。
ゆっくりと首を戻す。
正面にいる権田の顔がもはや真っ赤だ。これはオークジェネラルが使っていた【硬化】の更に上級スキル【金剛】だろう。攻防一体で肉弾戦に滅法強いスキルだ。
「おまえは、誰だ」
肌から蒸気を上げながら権田が問う。
「目々野をどこにやった?」
「目々野は僕ですけどうう」
「ふざける!あの目々野が自ら"行きます"なんて言う筈ないだろ!そもそもおかしかったんだ!俺に呼ばれて10分以内に来た時点で!」
権田が立ち上がった。
「ほほほ。確かに。目々野が会議中に寝ないなんておかしいと思っていたんですよねえ」
富沢が立ち上がった。
「よく分からないが、お前は敵のようだな」
播戸も遅れて立ち上がった。
「ちっ」
くそおおおお!どうなってんだよおお!目々野の野郎おおお!
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