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1 森の中の獣人少女
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麗らかな日差しが降り注ぎ、木々は葉を開き、花は蕾から力一杯その身をのばした。
春を迎えたばかりのシルヴァ村の多種多様な人々は、忙しそうに、だが、何処か楽しそうに訪れたばかりの春の村を行き交っている。そのうちの一人、白いマントにフードを被り、慌ただしげに村を回る少女の姿があった。
「──きゃっ」
厳つい男性にぶつかり、はらりとフードが取れる。
「すみません。」
「おう、気をつけろよ。」
フードから覗かせたのは、ぴょこっと飛び出た獣耳に猫の長い尻尾。耳などと同色の栗色の長い髪を、後ろに一房束ねている。頬はほんのりと紅く色づき、輝く瞳はべっこうの様な美しい飴色をしている。ぶつかった男性と少女は顔見知りの様で、お互いに軽い謝罪で済んだ。猫のような軽やかな動作で買い物に戻る少女は。少女の名はフィーナ・フォレスト。もうお解りだろうが、猫の獣人である。
「フィーナちゃん、お買い物かい?」
「はい!お店もあるので、早めに済ませるつもりです。」
「そうかい。あぁ、私もそろそろお薬が切れそうでね。近いうちにお店に顔を出すからねぇ。」
「そうなんですね~じゃあ、その時はオマケしますよ~♪」
すれ違ったお婆さんに手を振りながら答える。あのお婆ちゃん、うちの常連さんなんです。"お薬が切れそう"って言ってたよね。早くお店をやらないとなぁ。きっとお婆ちゃん以外にも、冬の間に色々と無くなって困っている人もいるはずだよね。よし!今日は頑張って仕込みをして、明日には開店させなきゃ。まずは…
「すみませーん。」
「…はい。あぁフィーナちゃんか。今日は仕入れか?」
「えぇ。そうなんです、今日中に仕入れを終わらせたいんです。」
今入ったお店は、私の行きつけ。東の方の国から来た獣人さんが営むお店で、この辺りにはない珍しい植物を売っている。
「そう言えば、今日はリナさんなんですね?」
「そうなんだ。暁さんは子供連れて東国に、冬の間だけ戻っててね。明日には帰るそうだ。」
「そうなんですか。」
リナさんはポニーテールの似合う元気な女性で、この店でバイトとして働いている。暁さんにお店を任されているなら、もうバイトの域は脱しているかもしれない。暁さんには手鞠ちゃんと言うお子さんがいる。時折、リナさんと手鞠ちゃんで遊んでいる姿が見られる。あっ、因みに暁さんは、綺麗な黒髪に紅色の目をした狐の獣人さん。毛先がくるっと丸まっていて、それがまた、暁さんの美しさを際立たせている。手鞠ちゃんは、茶髪が肩位まで伸びていて、やっぱり毛先は丸まっている。その中でも額の両脇から一房づつ伸びる薄紫の髪があって、とても印象的だ。そんな見た目もあって、シルヴァ村のアイドル的存在。因みに黄色と紅のオッドアイだよ。可愛いよ。
「今日はヨモギとシシウドを貰いますね。」
「あいよ。どっちも畑にある奴を採ってくるから、ちょいと待ってな。」
リナさんのお言葉に甘えて、新鮮なものを頂くことにした。ヨモギとシシウドを採ってきてもらう間に、新しい商品がないかお店を見回す。と、そのうちにリナさんが戻ってきた。
「はい、どっちも採りたて。今包むからな。」
「お願いします…。新しい商品、ないんですか?」
「そうなんだよ。まぁ、明日になれば暁さんが何か持ってくるさ。──よし、終わったよ。」
「ありがとうございます。今度、うちの店にも来てくださいね♪」
「おう。ただ、バイト代出てからな。」
と、苦笑いしながら包を渡してくれた。───と、あれ?
「リナさん、ちょっと多いですよ?」
「ん。サービスだよ、サービス。受け取れ。」
「ふふ。全くリナさんは油断も隙もない。」
「あ?どう言う事だよ。」
2人で仲良く巫山戯てしまった。久しぶりに話す。話も弾むんだ。そろそろ仕入れに戻らないとなので、お暇することにした。次は一旦家へ帰って支度しなくちゃいけない。ついでに荷物も置いて…。
私の住む家、もとい店があるのは村の外れの森の中。それなりに整えられた道を進むと木々が開け、日だまりになっている所がある。その中にぽつんと建つ、ログハウスの様な家だ。この辺りは、まだ雪が残っていて、冬の残滓を感じられる。その分、村より少しだけ寒いんだよね。私は寒いのはあまり得意じゃないんだ。正面の大きめのドアをスルー。裏手に回って家へ入る。正面のドアは勿論お店の入口だ。
「カゴに香草、ランプ代わりのサラマンダーに…よし。こんなもんかな~。」
これから仕入れに─いや、捕りに行くのは精霊だ。この森をもっと深くに進んで行くと、澄んだ水の泉がある。そこに、精霊の一種が生息しているのだ。ここで一度、精霊について言っておくと、
セイレーン…水の精。上半身が女性、下半身は 魚で、人魚の様な姿をしている。意思、感情は持たない。
サラマンダー…火の精。女性の姿をとっているが、髪は炎の様。セイレーンと同じく意思はないが、周りの人間の感情に反応する。不安定な心の時は注意が必要。
シルフ …風の精。スレンダーで、エルフの女性を思わせる姿をしている。多少の感情は持つが、動物程度なので問題は無い。
一種類づつ全てを説明していては限がないので、代表的な三種について話した。どれも女性の姿を模しているので、男性に人気が高かったりする。どれも手の平サイズなので、愛玩用だけれど。
うちの店では、それぞれビンなんかに入れて商品にしている。例えば、セイレーンなんかがいれば暫く水には困らないし、サラマンダーはランプの代わりにもなる。シルフとサラマンダーで熱風を…なんて使い方も出来る。髪乾かすのに使ってます。はい。でも、それだけ貴重なんだ。
そうこうしている内に、目的地に着いた。当然、道中は魔物が出るけど私は魔力が高いから余り寄ってこない。本能で分かるのかしら。まずはセイレーンを捕らえなくちゃ。
「──イグニス」
持ってきた香草に、魔術で火をつける。この香草は私が調合したもので、精霊が好む香りを放つ。ぽぅ…と、泉の上に淡い水色がかった光が現れる。この光はセイレーンが顕現した時に出る光。そのうち光がまとまり、いくつもの精霊が姿を現す。私はそれを、
「───えいっ」
精霊を捕らえる網を使って捕まえていく。それを水の入った大きめのビンに入れて…。うん。これくらい集めれば充分だ。次はシルフを捕まえにいかないと。サラマンダーは、まだ顔を出さない。もう少し暖かくならないとね。
シルフはこの森の中心にある大樹の周りでよく見るんだ。ここからはすぐだけど、日が傾き始めたから急ぐ事にする。暫くして大樹の元に着いた。セイレーンと同じ要領で捕らえていく。ビンはセイレーンとは別ね。仕分けで大変だし、力が反発する場合もある。周囲は、もう暗くなり始めている。一応、サラマンダーのランプを一つ、持ってきてはいるけど…。夜までに家に着きたいので、足早に帰路に着いた。
夜が明け、空が白み始めた。朝日が、村に優しく降り注ぐころ、フィーナは布団から体を起こした。カーテンを開ける。
「んーーっ…はぁ…。」
軽く伸びをする。春になったとは言え、まだ雪が溶けきらない位の気温であるから、布団から出たフィーナは軽く、身震いをする。棚の上に乗せたランプ、サラマンダーに
「部屋を暖かくしてくれる?」
と、頼む。
「…こくり。」
と、サラマンダーは返事のようなものをするが、これはフィーナの感情に影響されているだけである。あくまで意思はもたない。部屋を暖めるため、力を使い輝き始めたサラマンダーのおかげで、部屋もほのかに明るくなる。着替えを終えたフィーナは、ランプを持って昨日捕らえたセイレーン、シルフを棚に並べ始める。ビン詰めなんかは昨晩、寝る前にやってしまっていた。セイレーンは、水を入れた小瓶に1匹づつ。シルフは、試験管をひっくり返した様な透明の入れ物に、同じく1匹づつ入れている。どちらも、括りつけられた紐の先に"フィーナ"の文字が入った紙があることだ。その下に肉球にまるのマークも入ってる。割と何でもあるので、捜し物が見つかるお店。なんて言われることもしばしばある。なるべく多くの物を提供したいしね。
森の入口、村の端へ看板を立てに行く。今日はやりますよ~って感じで、みんなにお知らせだね。白のマントを羽織り、外へ。村へ着いたので、地面に伏せてあった看板を、
「よいっしょー!」
風なんかで倒れないよう、深めに地面に突き刺す。これで大丈夫だろう。そうこうしているうちに、村の人も起き出したみたい。あ、ほら。
「おう!おはようフィーナちゃん。今日は店開けるのか。」
「あ、おはようございます。トランさん。今日からお店開けますので、是非来てくださいね♪」
村の端に住むこの男性、トランさんは昨日ぶつかってしまった厳つめの男性。ガタイがいいんだよねー。挨拶ついでにちゃっかりお店の宣伝をする。この人はお喋りだから、すぐに広まるだろう。トランさんに捕まらない内に、早めに退散することにした。朝から長話はちょっとね…。
お店に戻り、朝食を済ませてから暫くたった。そろそろお客さんが来てもいい頃だけど…。
「おばあちゃん、気を付けて?」
「はいはい。わかってるよぉ…ありがとうねぇ」
少し遠く、村の方から続く道からそんな会話が聞こえてきた。私、獣人だから耳はいいんですよ?この声はきっとリャノさんだ。うちの常連さんで、お薬がないって言っていたあのお婆ちゃん。あと一つの声はお孫さんかな?冬の間にシルヴァ村に越してきたそうで、お孫さんの顔を見るのはこれが初めてだ。
──カランッ──
ドアが開く。
「こんにちは。」
少し躊躇いがちにドアを押し開け、店に入ったリャノ婆達。私は笑顔で─。
「いらっしゃいませ。今日は、何をお探しで?」
ここは村のはずれ、森の中の。猫耳少女の営むお店へようこそ。
春を迎えたばかりのシルヴァ村の多種多様な人々は、忙しそうに、だが、何処か楽しそうに訪れたばかりの春の村を行き交っている。そのうちの一人、白いマントにフードを被り、慌ただしげに村を回る少女の姿があった。
「──きゃっ」
厳つい男性にぶつかり、はらりとフードが取れる。
「すみません。」
「おう、気をつけろよ。」
フードから覗かせたのは、ぴょこっと飛び出た獣耳に猫の長い尻尾。耳などと同色の栗色の長い髪を、後ろに一房束ねている。頬はほんのりと紅く色づき、輝く瞳はべっこうの様な美しい飴色をしている。ぶつかった男性と少女は顔見知りの様で、お互いに軽い謝罪で済んだ。猫のような軽やかな動作で買い物に戻る少女は。少女の名はフィーナ・フォレスト。もうお解りだろうが、猫の獣人である。
「フィーナちゃん、お買い物かい?」
「はい!お店もあるので、早めに済ませるつもりです。」
「そうかい。あぁ、私もそろそろお薬が切れそうでね。近いうちにお店に顔を出すからねぇ。」
「そうなんですね~じゃあ、その時はオマケしますよ~♪」
すれ違ったお婆さんに手を振りながら答える。あのお婆ちゃん、うちの常連さんなんです。"お薬が切れそう"って言ってたよね。早くお店をやらないとなぁ。きっとお婆ちゃん以外にも、冬の間に色々と無くなって困っている人もいるはずだよね。よし!今日は頑張って仕込みをして、明日には開店させなきゃ。まずは…
「すみませーん。」
「…はい。あぁフィーナちゃんか。今日は仕入れか?」
「えぇ。そうなんです、今日中に仕入れを終わらせたいんです。」
今入ったお店は、私の行きつけ。東の方の国から来た獣人さんが営むお店で、この辺りにはない珍しい植物を売っている。
「そう言えば、今日はリナさんなんですね?」
「そうなんだ。暁さんは子供連れて東国に、冬の間だけ戻っててね。明日には帰るそうだ。」
「そうなんですか。」
リナさんはポニーテールの似合う元気な女性で、この店でバイトとして働いている。暁さんにお店を任されているなら、もうバイトの域は脱しているかもしれない。暁さんには手鞠ちゃんと言うお子さんがいる。時折、リナさんと手鞠ちゃんで遊んでいる姿が見られる。あっ、因みに暁さんは、綺麗な黒髪に紅色の目をした狐の獣人さん。毛先がくるっと丸まっていて、それがまた、暁さんの美しさを際立たせている。手鞠ちゃんは、茶髪が肩位まで伸びていて、やっぱり毛先は丸まっている。その中でも額の両脇から一房づつ伸びる薄紫の髪があって、とても印象的だ。そんな見た目もあって、シルヴァ村のアイドル的存在。因みに黄色と紅のオッドアイだよ。可愛いよ。
「今日はヨモギとシシウドを貰いますね。」
「あいよ。どっちも畑にある奴を採ってくるから、ちょいと待ってな。」
リナさんのお言葉に甘えて、新鮮なものを頂くことにした。ヨモギとシシウドを採ってきてもらう間に、新しい商品がないかお店を見回す。と、そのうちにリナさんが戻ってきた。
「はい、どっちも採りたて。今包むからな。」
「お願いします…。新しい商品、ないんですか?」
「そうなんだよ。まぁ、明日になれば暁さんが何か持ってくるさ。──よし、終わったよ。」
「ありがとうございます。今度、うちの店にも来てくださいね♪」
「おう。ただ、バイト代出てからな。」
と、苦笑いしながら包を渡してくれた。───と、あれ?
「リナさん、ちょっと多いですよ?」
「ん。サービスだよ、サービス。受け取れ。」
「ふふ。全くリナさんは油断も隙もない。」
「あ?どう言う事だよ。」
2人で仲良く巫山戯てしまった。久しぶりに話す。話も弾むんだ。そろそろ仕入れに戻らないとなので、お暇することにした。次は一旦家へ帰って支度しなくちゃいけない。ついでに荷物も置いて…。
私の住む家、もとい店があるのは村の外れの森の中。それなりに整えられた道を進むと木々が開け、日だまりになっている所がある。その中にぽつんと建つ、ログハウスの様な家だ。この辺りは、まだ雪が残っていて、冬の残滓を感じられる。その分、村より少しだけ寒いんだよね。私は寒いのはあまり得意じゃないんだ。正面の大きめのドアをスルー。裏手に回って家へ入る。正面のドアは勿論お店の入口だ。
「カゴに香草、ランプ代わりのサラマンダーに…よし。こんなもんかな~。」
これから仕入れに─いや、捕りに行くのは精霊だ。この森をもっと深くに進んで行くと、澄んだ水の泉がある。そこに、精霊の一種が生息しているのだ。ここで一度、精霊について言っておくと、
セイレーン…水の精。上半身が女性、下半身は 魚で、人魚の様な姿をしている。意思、感情は持たない。
サラマンダー…火の精。女性の姿をとっているが、髪は炎の様。セイレーンと同じく意思はないが、周りの人間の感情に反応する。不安定な心の時は注意が必要。
シルフ …風の精。スレンダーで、エルフの女性を思わせる姿をしている。多少の感情は持つが、動物程度なので問題は無い。
一種類づつ全てを説明していては限がないので、代表的な三種について話した。どれも女性の姿を模しているので、男性に人気が高かったりする。どれも手の平サイズなので、愛玩用だけれど。
うちの店では、それぞれビンなんかに入れて商品にしている。例えば、セイレーンなんかがいれば暫く水には困らないし、サラマンダーはランプの代わりにもなる。シルフとサラマンダーで熱風を…なんて使い方も出来る。髪乾かすのに使ってます。はい。でも、それだけ貴重なんだ。
そうこうしている内に、目的地に着いた。当然、道中は魔物が出るけど私は魔力が高いから余り寄ってこない。本能で分かるのかしら。まずはセイレーンを捕らえなくちゃ。
「──イグニス」
持ってきた香草に、魔術で火をつける。この香草は私が調合したもので、精霊が好む香りを放つ。ぽぅ…と、泉の上に淡い水色がかった光が現れる。この光はセイレーンが顕現した時に出る光。そのうち光がまとまり、いくつもの精霊が姿を現す。私はそれを、
「───えいっ」
精霊を捕らえる網を使って捕まえていく。それを水の入った大きめのビンに入れて…。うん。これくらい集めれば充分だ。次はシルフを捕まえにいかないと。サラマンダーは、まだ顔を出さない。もう少し暖かくならないとね。
シルフはこの森の中心にある大樹の周りでよく見るんだ。ここからはすぐだけど、日が傾き始めたから急ぐ事にする。暫くして大樹の元に着いた。セイレーンと同じ要領で捕らえていく。ビンはセイレーンとは別ね。仕分けで大変だし、力が反発する場合もある。周囲は、もう暗くなり始めている。一応、サラマンダーのランプを一つ、持ってきてはいるけど…。夜までに家に着きたいので、足早に帰路に着いた。
夜が明け、空が白み始めた。朝日が、村に優しく降り注ぐころ、フィーナは布団から体を起こした。カーテンを開ける。
「んーーっ…はぁ…。」
軽く伸びをする。春になったとは言え、まだ雪が溶けきらない位の気温であるから、布団から出たフィーナは軽く、身震いをする。棚の上に乗せたランプ、サラマンダーに
「部屋を暖かくしてくれる?」
と、頼む。
「…こくり。」
と、サラマンダーは返事のようなものをするが、これはフィーナの感情に影響されているだけである。あくまで意思はもたない。部屋を暖めるため、力を使い輝き始めたサラマンダーのおかげで、部屋もほのかに明るくなる。着替えを終えたフィーナは、ランプを持って昨日捕らえたセイレーン、シルフを棚に並べ始める。ビン詰めなんかは昨晩、寝る前にやってしまっていた。セイレーンは、水を入れた小瓶に1匹づつ。シルフは、試験管をひっくり返した様な透明の入れ物に、同じく1匹づつ入れている。どちらも、括りつけられた紐の先に"フィーナ"の文字が入った紙があることだ。その下に肉球にまるのマークも入ってる。割と何でもあるので、捜し物が見つかるお店。なんて言われることもしばしばある。なるべく多くの物を提供したいしね。
森の入口、村の端へ看板を立てに行く。今日はやりますよ~って感じで、みんなにお知らせだね。白のマントを羽織り、外へ。村へ着いたので、地面に伏せてあった看板を、
「よいっしょー!」
風なんかで倒れないよう、深めに地面に突き刺す。これで大丈夫だろう。そうこうしているうちに、村の人も起き出したみたい。あ、ほら。
「おう!おはようフィーナちゃん。今日は店開けるのか。」
「あ、おはようございます。トランさん。今日からお店開けますので、是非来てくださいね♪」
村の端に住むこの男性、トランさんは昨日ぶつかってしまった厳つめの男性。ガタイがいいんだよねー。挨拶ついでにちゃっかりお店の宣伝をする。この人はお喋りだから、すぐに広まるだろう。トランさんに捕まらない内に、早めに退散することにした。朝から長話はちょっとね…。
お店に戻り、朝食を済ませてから暫くたった。そろそろお客さんが来てもいい頃だけど…。
「おばあちゃん、気を付けて?」
「はいはい。わかってるよぉ…ありがとうねぇ」
少し遠く、村の方から続く道からそんな会話が聞こえてきた。私、獣人だから耳はいいんですよ?この声はきっとリャノさんだ。うちの常連さんで、お薬がないって言っていたあのお婆ちゃん。あと一つの声はお孫さんかな?冬の間にシルヴァ村に越してきたそうで、お孫さんの顔を見るのはこれが初めてだ。
──カランッ──
ドアが開く。
「こんにちは。」
少し躊躇いがちにドアを押し開け、店に入ったリャノ婆達。私は笑顔で─。
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