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第2章~逃げ出したい気持ち~
ほかの女の人
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「お疲れ様でしたー」
今日は日曜日。
でも、MMマネジメントが管理してるホテルの医務室での当番勤務があったからおやすみ返上。
「帰るかー」
休日出勤はあまりない仕事だけど、やっぱり疲れる。
普段、休日出勤ばかりしてる学くんには頭が上がらないや。
「あれ……?」
エレベーターで1階まで降りたところで、目に入ってきたホテルのドアから入ってくる学くんの姿。
たしかにさっき、終わったとは連絡したけど迎えに来てくれたのかな……?
そう思って、学くんに駆け寄ろうと足を速めた。
速めたところで、学くんの足はフロントへ向く。
なにを話したかはわからないけど、フロントのホテルマンは顔を見ただけでもちろん学くんだと分かり、ホテルのキーを差し出す。
一連の流れのようにスムーズなふたりのやり取りに、あたしはそれ以上学くんに近づけずにいた。
だって、迎えにきてくれたわけじゃない。
あのキーで部屋に向かおうとしてるのだ。
「仕事なのかな……?」
職場じゃなくてホテルに部屋をとって何かやりたいことがあるのだろうか。
まだ仕事が残っているのであれば、あたしは学くんが帰ってきたときに食べられるものを用意しよう。
そうおもって、ドアに向かって歩き出したときだった。
「学」
エントランスのロビーから学くんに向かって歩いてくる1人の女性。
あたしなんかとは違って、同じ世界に生きてる人だ。
そう思った。
普段着なのだろうか。
エレガントなジャケットの中から見え隠れするナイスバディな胸。
身につけているバッグやアクセサリーなどもすべて、あたしが普段つけないようなブランドばかりだ。
「行こうか」
近づいてきた彼女に部屋のキーを見せる学くん。
少しポッと頬を赤くした彼女と腕を組んで、そのままエレベーターに乗り込んだ
「……っ」
エレベーターのドアが閉まる瞬間、彼女と目が合った気がする。
あたしのことなんて、知るはずもないのに。
それなのに、彼女があたしのことを嘲笑ってたように見えて仕方ない。
あたしのことが好きじゃない、学くん。
もしかしたらさっきの彼女が好きな人なのかもしれない。
あたしに、好きな人ができたらいつでも……──
という学くんだ。
学くんに好きな人ができない保証もない。
ただ、世間体があるからほかの女の人を抱くわけにはいかないと言っていたよね。
このホテルなら自分の会社の持ち物だから、フロントの人と話をつけておけば融通がきく。
だから、このホテルを選んだとしたら確信犯だ。
「あたしは……」
気づけばキス止まりで、それっぽい雰囲気になることがあっても学くんは冗談だとでも言うくらい寸止めにする。
男の人がそんなの耐えれるわけがないのもわかってる。
てことは、さっきの人と……。
キングサイズのベッドになってから、一緒に毎日寝て。
学くんは抱き枕だと言ってあたしのことを後からだきしめてくる。
お披露目会の日は、ホテルで寝たから。
はじめてキングサイズのベッドで寝たのは、その次の日。
『なんもしねぇから』
後ろからぎゅっと抱きしめる。
『別にいいのに』
あたしの言葉にしかめっ面になる学くん。
『簡単にそういうこというなよ』
ボンッと枕を顔に乗せられる。
『だって……夫婦なのに』
『俺はいいんだよ。男なんだから。でも自分の体は大事にしたうがいいぞ』
最初は優しさかなのかなって思った。
でも……。
『お前に、手なんか出せねぇよ』
その言葉の真意は大切だからではなくて。
あたしに魅力がないから……?
だって、現に学くんは……。
あの人といま一緒にいるんだ。
もしかしたら仕事でイライラして、薬を飲む代わりに呼び出したのかもしれない。
ふたりは、美男美女でとってもお似合いだったもん。
──……あたしを使ってよ。
あの言葉は本心なのに。
どうして、妻であるあたしは頼りにしてもらえないんだろう。
どうしてこういう時に頼りにするのは、ほかの女の人なんだろう。
今日は日曜日。
でも、MMマネジメントが管理してるホテルの医務室での当番勤務があったからおやすみ返上。
「帰るかー」
休日出勤はあまりない仕事だけど、やっぱり疲れる。
普段、休日出勤ばかりしてる学くんには頭が上がらないや。
「あれ……?」
エレベーターで1階まで降りたところで、目に入ってきたホテルのドアから入ってくる学くんの姿。
たしかにさっき、終わったとは連絡したけど迎えに来てくれたのかな……?
そう思って、学くんに駆け寄ろうと足を速めた。
速めたところで、学くんの足はフロントへ向く。
なにを話したかはわからないけど、フロントのホテルマンは顔を見ただけでもちろん学くんだと分かり、ホテルのキーを差し出す。
一連の流れのようにスムーズなふたりのやり取りに、あたしはそれ以上学くんに近づけずにいた。
だって、迎えにきてくれたわけじゃない。
あのキーで部屋に向かおうとしてるのだ。
「仕事なのかな……?」
職場じゃなくてホテルに部屋をとって何かやりたいことがあるのだろうか。
まだ仕事が残っているのであれば、あたしは学くんが帰ってきたときに食べられるものを用意しよう。
そうおもって、ドアに向かって歩き出したときだった。
「学」
エントランスのロビーから学くんに向かって歩いてくる1人の女性。
あたしなんかとは違って、同じ世界に生きてる人だ。
そう思った。
普段着なのだろうか。
エレガントなジャケットの中から見え隠れするナイスバディな胸。
身につけているバッグやアクセサリーなどもすべて、あたしが普段つけないようなブランドばかりだ。
「行こうか」
近づいてきた彼女に部屋のキーを見せる学くん。
少しポッと頬を赤くした彼女と腕を組んで、そのままエレベーターに乗り込んだ
「……っ」
エレベーターのドアが閉まる瞬間、彼女と目が合った気がする。
あたしのことなんて、知るはずもないのに。
それなのに、彼女があたしのことを嘲笑ってたように見えて仕方ない。
あたしのことが好きじゃない、学くん。
もしかしたらさっきの彼女が好きな人なのかもしれない。
あたしに、好きな人ができたらいつでも……──
という学くんだ。
学くんに好きな人ができない保証もない。
ただ、世間体があるからほかの女の人を抱くわけにはいかないと言っていたよね。
このホテルなら自分の会社の持ち物だから、フロントの人と話をつけておけば融通がきく。
だから、このホテルを選んだとしたら確信犯だ。
「あたしは……」
気づけばキス止まりで、それっぽい雰囲気になることがあっても学くんは冗談だとでも言うくらい寸止めにする。
男の人がそんなの耐えれるわけがないのもわかってる。
てことは、さっきの人と……。
キングサイズのベッドになってから、一緒に毎日寝て。
学くんは抱き枕だと言ってあたしのことを後からだきしめてくる。
お披露目会の日は、ホテルで寝たから。
はじめてキングサイズのベッドで寝たのは、その次の日。
『なんもしねぇから』
後ろからぎゅっと抱きしめる。
『別にいいのに』
あたしの言葉にしかめっ面になる学くん。
『簡単にそういうこというなよ』
ボンッと枕を顔に乗せられる。
『だって……夫婦なのに』
『俺はいいんだよ。男なんだから。でも自分の体は大事にしたうがいいぞ』
最初は優しさかなのかなって思った。
でも……。
『お前に、手なんか出せねぇよ』
その言葉の真意は大切だからではなくて。
あたしに魅力がないから……?
だって、現に学くんは……。
あの人といま一緒にいるんだ。
もしかしたら仕事でイライラして、薬を飲む代わりに呼び出したのかもしれない。
ふたりは、美男美女でとってもお似合いだったもん。
──……あたしを使ってよ。
あの言葉は本心なのに。
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