結婚相手は、初恋相手~一途な恋の手ほどき~

馬村 はくあ

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第2章~逃げ出したい気持ち~

平気なフリするな

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「ただいま」



夜。
最近は帰りが遅い学くんが20時に帰ってくるのは珍しいこと。



「おかえり、今日は……」



はやく帰ってきてくれたことが嬉しくて、駆け足で玄関に向かったその足を緩めた。

学くんの隣には葉菜さんがいたから。



「こんばんは、ちとせさん」



学くんの隣で彼女はニッコリと笑う。



「えっと……」



どう反応したらいいのか、わからなくて戸惑ってしまう。

なぜ、葉菜さんはここにいるのか。
どうして二人は一緒にいるのか。



「こいつはやく帰ってきちまったみたいで、親が契約した部屋に入れるの明日からなんだよ」



戸惑ってるあたしに学くんが説明をする。



「昨日はホテルで過ごしたんだけど、やっぱり普通のおうちがいいなって思って学にお願いしたの」


「そうだったんですね……。知らなかったからご飯二人分しか……「だから、用意しなくていいって言わなかったか?もう俺らは食べて来たから」



あたしの言葉なんか遮ってそう言い、葉菜さんを家の中へと入れる。



「ご、ごめんね。いつもの癖で作っちゃった」



へへっと笑いながら、二人を追い越してリビングへと走る。

このままだとあたし、また泣いてしまう。
そんな顔をふたりには見せたくなかった。

二人で何をしていたんだろう。
昨日のホテルには学くんもいたよね。
今日は一緒にご飯を食べてたんだ。

だいたい、ここはあたしも住んでるのに。
連れてくるのに確認もされないんだ。

いや、でも学くんの家のようなもんか。



「葉菜はこの部屋使いなよ」



あたしたちの寝室の隣の部屋のドアを開ける。

客室になっていて、誰かが来た時のための部屋だ。



「久しぶりに学と寝れる?」



甘えたように学くんの腕に自分の腕を絡める。

そんな可愛い声を出さないで。
学くんも目を細めて見ないで。

……あたしのことを見てほしい。

ただ、あたしは学くんに想われてないから。
もしかしたら葉菜さんのほうが上かもしれない。

だから、こんなふうに葉菜さんを連れてこれるのだ。



あたしはそんな二人のやり取りを気に留めないように作ったご飯にラップをかけたりして、リビングから離れる。

キッチンで洗い物をしていれば、ふたりの会話も聞こえにくくなる。

現実から目を背けるように、あたしは蛇口から水を出した。

食べ損ねたご飯も流石に今日は喉を通らなそう。
明日の朝ごはんにしようと決める。



「ちとせ」



洗い物をしているとふわっと後から抱きしめられる。



「へ?」



突然の出来事に洗い物をしている手が止まってしまう。



「洗い物なんて食洗機に入れとけよ」



そう言ってテキパキとシンクに置いてあった食器を食洗機のなかに入れていく。



「ほら、手拭けよ」



上から布巾を取り出して、あたしの手に乗せる。



「う、うん」



突然の出来事に頭がついていかないながらも、布巾で手を拭く。



「ほら、行くぞ」



あたしの手から布巾を奪って、キッチンに置いたかと思うとあたしの手を握って歩き出す。



「葉菜、もう一緒に寝ようとか言わないでくれる?」



さっき、甘えた声で葉菜さんが言ってた言葉だ。



「学……あたしは……」



向かいに立つ葉菜さんは眉を下げて辛そうな表情になってる。



「ちとせの前でちとせが不安がるようなことは言わないで欲しい」



そのまま学くんはあたしの手を引いて、寝室へと入ってドアを閉める。



「葉菜さん、いいの?」


「ごめん、今日だけの辛抱だから」



寝室につくなりベッドの上に座らされ、向かいに座った学くんに抱きしめられる。



「学くん……」



勘違いしそうになる。
でも、勘違いしたままでいたい。
自分の都合のよい勘違いをずっとしていたい。



「んっ……」



射抜くような瞳で見られたあと、そっと優しく触れられた唇。



「平気じゃないくせに平気なふりするな」


「……っ」



学くんはきづいてた?
でも、どうして?

それなら、なんで今日連れてきたの?
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