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最終章~ずっと一緒に
ずっと守られてきた
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「で、どういうことなんだ?」
場所はリビング。
時は19時ちょうど。
「俺も理由は気になる」
「はぁ……なんで親父と環もいるんだよ」
リビングに集まる大人4人。
テーブルの上には1枚の紙。
「そりゃ、ちとせは俺らにとっても大切な家族だから」
タマの言葉になんともいえない、いままでに感じたことのない感情が沸いてくる。
「大切な家族ならさっさと迎えにでもいけばよかっただろ」
1度機嫌を損ねたこの人の口は減ることを知らない。
「そんなの、なんでかわかんねぇのかよ」
タマがはぁっとため息をつく。
「わかるわけねぇだろ。俺は親父でも環でもない」
「あのなー、お前のことを考えてだろ」
「は?俺?」
学くんが怪訝な顔になる。
「あの家にちとせを連れてきて、お前が正常でいられるわけがないだろ」
「本来なら、千菜美が亡くなった段階で迎えに行ってあげるべきだったと思ってる」
社長があたしを見据える。
「社長……」
「会社以外ではお父さんと呼んでくれないだろうか」
「おとう、さん……?」
呼びなれてないその言葉に。
なんだか疑問系になってしまった。
でもその言葉を口にした瞬間、なんともいえない感情が広がっていく。
「ん。いいもんだね」
どこか嬉しそうな社長……いや、お父さんの表情。
自分の言葉が人を喜ばせてることに暖かい気持ちになる。
「いままで1人にしてすまなかった」
あたしに向かって頭を下げてくる。
「あ、そんな……頭をあげてください」
たしかに辛い思いもたくさんした。
家族がいたら……とか。
こんなとき、お父さんがいたらとか。
いろいろ考えたこともあった。
でも、これがあたしの嘘偽りのない人生だから。
どれにも後悔はしていない。
「でもさ、親父はずっとちとせのこと守ってきただろ」
学くんの言葉に「え?」と声が出る。
「守るだなんて……そんな大層なことはしてないよ。そばにいてあげることが1番なのにそれができなかったから」
「それ以外の面でずっと見てきたじゃん。俺は、それが、嫌で嫌で仕方なかったんだから」
「学くん……」
まだ彼には少なからず恨んでる気持ちがあるのかもしれないと、横目で学くんの顔を見る。
「別にいまは恨んでるとかそういう気持ちはないから」
あたしの考えを察したのか、学くんがあたしの顔をのぞき込む。
「う、うん……。でも、それ以外の部分って?」
「知らないよ。何もちとせは」
お父さんがあたしをニッコリと見据える。
「知らない!?」
学くんが驚きの声をあげる。
「あぁ、全部施設長からと言ってくれとお願いしてある」
「あ……」
〝施設長から〟
その言葉には思い当たる部分があった。
「もしかして……いままでの学費とかぜんぶ……」
「そう。あそこの施設長は旧友でね。あの時、ちとせをあの施設に入れてもらえるように頼んだのも俺だ」
「え……じゃあ……」
「学校からの通報ということになっていたが、全部俺だ」
お父さんの言葉に目頭が熱くなる。
「なに、通報って」
「ちとせを引き取った親戚がちとせに暴力をふるってたんだよ」
お父さんが辛そうな顔をして、学くんに説明をする。
「.......マジかよ」
「俺たちが普通に暮らしていた間も、ちとせは苦しんでたんだよ」
タマが学くんの顔を見る。
「何も知らないで、ごめん」
「ううん、知らなくて当然だもん。大丈夫、いまお父さんに愛されてたんだって実感出来たから」
学くんは、何も知らなくて。
あたしがお父さんのお金でのうのうと暮らしていたと思い込んでいたんだ。
場所はリビング。
時は19時ちょうど。
「俺も理由は気になる」
「はぁ……なんで親父と環もいるんだよ」
リビングに集まる大人4人。
テーブルの上には1枚の紙。
「そりゃ、ちとせは俺らにとっても大切な家族だから」
タマの言葉になんともいえない、いままでに感じたことのない感情が沸いてくる。
「大切な家族ならさっさと迎えにでもいけばよかっただろ」
1度機嫌を損ねたこの人の口は減ることを知らない。
「そんなの、なんでかわかんねぇのかよ」
タマがはぁっとため息をつく。
「わかるわけねぇだろ。俺は親父でも環でもない」
「あのなー、お前のことを考えてだろ」
「は?俺?」
学くんが怪訝な顔になる。
「あの家にちとせを連れてきて、お前が正常でいられるわけがないだろ」
「本来なら、千菜美が亡くなった段階で迎えに行ってあげるべきだったと思ってる」
社長があたしを見据える。
「社長……」
「会社以外ではお父さんと呼んでくれないだろうか」
「おとう、さん……?」
呼びなれてないその言葉に。
なんだか疑問系になってしまった。
でもその言葉を口にした瞬間、なんともいえない感情が広がっていく。
「ん。いいもんだね」
どこか嬉しそうな社長……いや、お父さんの表情。
自分の言葉が人を喜ばせてることに暖かい気持ちになる。
「いままで1人にしてすまなかった」
あたしに向かって頭を下げてくる。
「あ、そんな……頭をあげてください」
たしかに辛い思いもたくさんした。
家族がいたら……とか。
こんなとき、お父さんがいたらとか。
いろいろ考えたこともあった。
でも、これがあたしの嘘偽りのない人生だから。
どれにも後悔はしていない。
「でもさ、親父はずっとちとせのこと守ってきただろ」
学くんの言葉に「え?」と声が出る。
「守るだなんて……そんな大層なことはしてないよ。そばにいてあげることが1番なのにそれができなかったから」
「それ以外の面でずっと見てきたじゃん。俺は、それが、嫌で嫌で仕方なかったんだから」
「学くん……」
まだ彼には少なからず恨んでる気持ちがあるのかもしれないと、横目で学くんの顔を見る。
「別にいまは恨んでるとかそういう気持ちはないから」
あたしの考えを察したのか、学くんがあたしの顔をのぞき込む。
「う、うん……。でも、それ以外の部分って?」
「知らないよ。何もちとせは」
お父さんがあたしをニッコリと見据える。
「知らない!?」
学くんが驚きの声をあげる。
「あぁ、全部施設長からと言ってくれとお願いしてある」
「あ……」
〝施設長から〟
その言葉には思い当たる部分があった。
「もしかして……いままでの学費とかぜんぶ……」
「そう。あそこの施設長は旧友でね。あの時、ちとせをあの施設に入れてもらえるように頼んだのも俺だ」
「え……じゃあ……」
「学校からの通報ということになっていたが、全部俺だ」
お父さんの言葉に目頭が熱くなる。
「なに、通報って」
「ちとせを引き取った親戚がちとせに暴力をふるってたんだよ」
お父さんが辛そうな顔をして、学くんに説明をする。
「.......マジかよ」
「俺たちが普通に暮らしていた間も、ちとせは苦しんでたんだよ」
タマが学くんの顔を見る。
「何も知らないで、ごめん」
「ううん、知らなくて当然だもん。大丈夫、いまお父さんに愛されてたんだって実感出来たから」
学くんは、何も知らなくて。
あたしがお父さんのお金でのうのうと暮らしていたと思い込んでいたんだ。
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