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#19
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アルヴァマー帝国海岸沖ー
「ルスティカーナ軍を確認!」
潮風が張り詰めた空気の中を漂う。
ゼルダが直接、特別な双眼鏡でそれを確認した。
「アルヴァマー海軍、戦闘用意!!!」
最前線の軍艦が大砲を地平線の彼方へ向ける。
その先にはルスティカーナの軍艦が列になってこちらへ向かってきている最中だ。
「海軍は容赦なく蹴散らす……!ルイス国王の夢を、俺達は叶えるんだ……!!」
一発目の大砲が、飛んだ。
アルヴァマー帝国海岸沖上空ー
「こちら8071号機。南西の方向にてルスティカーナ空軍を発見。」
エンジンの音が鳴り響く各戦闘機の中に、ノイズ混じりの無線がそう伝えた。
「レムだ。全機聞こえているか?我々空軍の今回の任務はルイス国王の命令、ルスティカーナ空軍と『生かさず殺さず』の状態を合図が出るまで維持することだ。奴に戦況を悟られぬよう状態を維持しろ。」
ゲルガーがそう言い終えると、各機の操縦者達が次々と「了解」と相槌を打った。
アルヴァマー帝国本土港ー
「ルイス国王の命令だ!!俺達陸軍は国民を守り抜け!一部を除いては敵の侵入を許すなよー!」
ぜリムの掛け声に、他の陸軍人は空に銃を掲げ逞しい雄叫びを上げた。
「……なーんて言っても、あいつが乗った軍艦以外は全部ジジイがどうにかしてくれると思うけどなー。」
・・・
港から、マントのフードを真深く被った何者かが、複数人でアルヴァマーに上陸し城下町を歩く。
前方から銃を掲げ歩いてきた2人組の陸軍人は、彼らのそばを横切った。
「うふっ……うふふふふふふふ!!!」
堪えきれない、と言った様子で先頭に立つ者が肩を震わせながら口元を抑えた。
「……ここがアルヴァマーの城……!」
その右手に位置する者が小声でそう囁く。
「もう少しであの首が飛ぶわ。そしてこの広大な大地は私のモノ……!!」
冷たい風が勢い良く彼女達のフードを取り払った。
アルヴァマー人のような、ブルーベースの白い肌や、落ち着いた髪色とは全く別物の容姿は、明らかに異国人そのものだ。
褐色の肌に艷めく銀髪。マントの下には、派手なビキニとパニエが覗く。
「さあ、行くわよ。」
誰もいない中央棟の正門から彼女達は入っていった。
「ふーん、しかし、中には誰もいないのね。」
エレナが道端にマントを脱ぎ捨てたのを皮切りに、後ろに続く部下達もマントを脱いだ。
「職員も避難したのでしょうか?」
1人の部下が不思議そうにそう言う。
「……そうだと見受けられるわね。きっとアルヴァマーの国民達は私たちと同じく彼の死を今か今かと祈り願っているわ。さあ、最上階まで急ぐわよ!」
部下を含めて10人ほどのルスティカーナ人はエレベーターに乗って一気に最上階を目指す。
少ししてからゴウン、とエレベーターが止まった。
コツコツとピンヒールが床にぶつかる硬い音が廊下にこだまして響く。
「さあ、予告通り、ルイス国王はいるのかしら?!」
エレナはプレゼントを開けるのを我慢できない幼い子供の様に勢い良く王室の扉を開けた。
白と黒で整えられた品のある書斎。
奥にはルイスの使っていた大きな机と高級な椅子。
またその奥には、プール付きのベランダの窓が開け放たれていた。
「…… …… ……いた。」
ルイスは既にこちらへ気づいているようだった。
「……ふん。奇襲を仕掛けた上、身をわきまえずにズカズカと私の城に入ってきやがって。エレナ・ルスティカーナ、何が目的だ。」
「いやだ、もう。そんなに遠くでお話しないで下さらない?私、もっと貴方と近くでお喋りがしたくてよ!!」
狂ったような足取りで、早足でエレナはルイスに吸い付くように近づいていく。
金属も金属が勢い良く擦れ合う音がした。心做しか、火花も散ったように見える。
エレナは、ルイスに刃先を向けた。
真っ赤なゲロスがたっぷりと塗られた唇がニッと釣り上がる。
「私は、あなたを殺しこの国を私のものにするために来ましてよ。」
・・・
体が震える。
隣の王室の扉が勢い良く開いて、それから物騒なセリフが聞こえてきた。
この独特な女性らしい声の持ち主は、間違いない。エレナ・ルスティカーナ女帝だ。
でも、おかしな点がひとつある。
何故ルイスがベランダにいるんだ……?
ルイスは僕をこの隠し部屋に入れてからすぐにここの部屋の扉から出て行ったはずなのに。
緊張でフー、フー、と息が荒くなるのを必死で抑えながら。
僕は彼らの会話を一言も漏らさず聞き取るために、全身の神経を耳に集中させる。
「……こんなところで、こんな私に追い詰められるだなんて、夢にも思っていなかったでしょう。」
「ああ。全くの予想外だ。」
「……チッ……命に関わる緊急事態に見舞われても、そのつまらない仏頂面のままなのね。」
「……何が目的だ?この国か?私の首か?」
「勿論、両方。けど、最重要なのは後者ね。」
「そうか。」
「ああ、早くその仮面を引き剥がしてやりたいわ。……そうだ、どうしてこんな大変な事態に見舞われているか、知っていて?」
「いいや。」
「貴方の専属執事、ノア・ヘルツシュからの密告が引き金となったのよ?……ふふっどう?信頼していた部下に裏切られて失望した?」
「……少し驚いたな。あいつにそんな度胸があったとは。」
「はあ……ほんっとに貴方って面白みが全く無いわね。もういいわ。」
「失礼ですが、エレナ女帝。」
「何よ?」
「彼が、影武者だという可能性は?奴は用心深く執念深い。私はルイス・アードラースヘルムという男が本当にこんなところで死ぬ男なのか、疑問が残ります。」
「うーん……。メル、貴女の考えも一理あるわ。私もなんだか全てが上手く行きすぎている気がしているの。」
「……。」
「でも、よく考えてみてえ!!アードラースヘルム家の血を継ぐ者は代々……オッドアイ、でしょう?」
「ルスティカーナ軍を確認!」
潮風が張り詰めた空気の中を漂う。
ゼルダが直接、特別な双眼鏡でそれを確認した。
「アルヴァマー海軍、戦闘用意!!!」
最前線の軍艦が大砲を地平線の彼方へ向ける。
その先にはルスティカーナの軍艦が列になってこちらへ向かってきている最中だ。
「海軍は容赦なく蹴散らす……!ルイス国王の夢を、俺達は叶えるんだ……!!」
一発目の大砲が、飛んだ。
アルヴァマー帝国海岸沖上空ー
「こちら8071号機。南西の方向にてルスティカーナ空軍を発見。」
エンジンの音が鳴り響く各戦闘機の中に、ノイズ混じりの無線がそう伝えた。
「レムだ。全機聞こえているか?我々空軍の今回の任務はルイス国王の命令、ルスティカーナ空軍と『生かさず殺さず』の状態を合図が出るまで維持することだ。奴に戦況を悟られぬよう状態を維持しろ。」
ゲルガーがそう言い終えると、各機の操縦者達が次々と「了解」と相槌を打った。
アルヴァマー帝国本土港ー
「ルイス国王の命令だ!!俺達陸軍は国民を守り抜け!一部を除いては敵の侵入を許すなよー!」
ぜリムの掛け声に、他の陸軍人は空に銃を掲げ逞しい雄叫びを上げた。
「……なーんて言っても、あいつが乗った軍艦以外は全部ジジイがどうにかしてくれると思うけどなー。」
・・・
港から、マントのフードを真深く被った何者かが、複数人でアルヴァマーに上陸し城下町を歩く。
前方から銃を掲げ歩いてきた2人組の陸軍人は、彼らのそばを横切った。
「うふっ……うふふふふふふふ!!!」
堪えきれない、と言った様子で先頭に立つ者が肩を震わせながら口元を抑えた。
「……ここがアルヴァマーの城……!」
その右手に位置する者が小声でそう囁く。
「もう少しであの首が飛ぶわ。そしてこの広大な大地は私のモノ……!!」
冷たい風が勢い良く彼女達のフードを取り払った。
アルヴァマー人のような、ブルーベースの白い肌や、落ち着いた髪色とは全く別物の容姿は、明らかに異国人そのものだ。
褐色の肌に艷めく銀髪。マントの下には、派手なビキニとパニエが覗く。
「さあ、行くわよ。」
誰もいない中央棟の正門から彼女達は入っていった。
「ふーん、しかし、中には誰もいないのね。」
エレナが道端にマントを脱ぎ捨てたのを皮切りに、後ろに続く部下達もマントを脱いだ。
「職員も避難したのでしょうか?」
1人の部下が不思議そうにそう言う。
「……そうだと見受けられるわね。きっとアルヴァマーの国民達は私たちと同じく彼の死を今か今かと祈り願っているわ。さあ、最上階まで急ぐわよ!」
部下を含めて10人ほどのルスティカーナ人はエレベーターに乗って一気に最上階を目指す。
少ししてからゴウン、とエレベーターが止まった。
コツコツとピンヒールが床にぶつかる硬い音が廊下にこだまして響く。
「さあ、予告通り、ルイス国王はいるのかしら?!」
エレナはプレゼントを開けるのを我慢できない幼い子供の様に勢い良く王室の扉を開けた。
白と黒で整えられた品のある書斎。
奥にはルイスの使っていた大きな机と高級な椅子。
またその奥には、プール付きのベランダの窓が開け放たれていた。
「…… …… ……いた。」
ルイスは既にこちらへ気づいているようだった。
「……ふん。奇襲を仕掛けた上、身をわきまえずにズカズカと私の城に入ってきやがって。エレナ・ルスティカーナ、何が目的だ。」
「いやだ、もう。そんなに遠くでお話しないで下さらない?私、もっと貴方と近くでお喋りがしたくてよ!!」
狂ったような足取りで、早足でエレナはルイスに吸い付くように近づいていく。
金属も金属が勢い良く擦れ合う音がした。心做しか、火花も散ったように見える。
エレナは、ルイスに刃先を向けた。
真っ赤なゲロスがたっぷりと塗られた唇がニッと釣り上がる。
「私は、あなたを殺しこの国を私のものにするために来ましてよ。」
・・・
体が震える。
隣の王室の扉が勢い良く開いて、それから物騒なセリフが聞こえてきた。
この独特な女性らしい声の持ち主は、間違いない。エレナ・ルスティカーナ女帝だ。
でも、おかしな点がひとつある。
何故ルイスがベランダにいるんだ……?
ルイスは僕をこの隠し部屋に入れてからすぐにここの部屋の扉から出て行ったはずなのに。
緊張でフー、フー、と息が荒くなるのを必死で抑えながら。
僕は彼らの会話を一言も漏らさず聞き取るために、全身の神経を耳に集中させる。
「……こんなところで、こんな私に追い詰められるだなんて、夢にも思っていなかったでしょう。」
「ああ。全くの予想外だ。」
「……チッ……命に関わる緊急事態に見舞われても、そのつまらない仏頂面のままなのね。」
「……何が目的だ?この国か?私の首か?」
「勿論、両方。けど、最重要なのは後者ね。」
「そうか。」
「ああ、早くその仮面を引き剥がしてやりたいわ。……そうだ、どうしてこんな大変な事態に見舞われているか、知っていて?」
「いいや。」
「貴方の専属執事、ノア・ヘルツシュからの密告が引き金となったのよ?……ふふっどう?信頼していた部下に裏切られて失望した?」
「……少し驚いたな。あいつにそんな度胸があったとは。」
「はあ……ほんっとに貴方って面白みが全く無いわね。もういいわ。」
「失礼ですが、エレナ女帝。」
「何よ?」
「彼が、影武者だという可能性は?奴は用心深く執念深い。私はルイス・アードラースヘルムという男が本当にこんなところで死ぬ男なのか、疑問が残ります。」
「うーん……。メル、貴女の考えも一理あるわ。私もなんだか全てが上手く行きすぎている気がしているの。」
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