1 / 5
レイショウ
しおりを挟む
天を仰ぐ瞳には無数の星が反射していた。
彼女の水晶体の上を、いくつもの流れ星が通り過ぎて行った。
そしてその横を涙が透き通り落ちていった。
「あの星に、誰かいるのかな。」
まるで独り言のように彼女は呟いた。それは酷くか細く、今にも解けてなくなりそうな声だった。
“あの星”とは、真っ暗闇の天にぽっかりと浮かぶ惑星《ソラフィリス》のことだ。
先祖ニンゲンが、故郷チキュウを捨てて各惑星に移住し始めたのは、もう5000年も昔の事だった。
果たしてソラフィリスには私たちと同じようにに、仲間が残っているのだろうか。
それを確認する術をーーーー私は知らないフリをした。
「どうだろうね。」
私がそう言うと、この星《メルシダ》では滅多に吹かないはずの風が、砂に覆われた地表を撫でた。
パキ、パキという音がした。
私が大嫌いな音だ。
そんな音に紛れて、彼女はこう言った。最後の言葉だった。
「ソラフィリスにもし仲間が生きていたとして…どんな生活をしているのかな。私はそれが知りたくてたまらないよ。」
地表に横たわって絶えず天を見つめていた彼女の体は完全にクリスタルに包まれた。
こうなってしまうのは何度目だろうか。いや、何千回目だろうか。
彼女は彼女の瞳と同じ色の紅のクリスタルに包まれた。もう二度と彼女はこの中から出てこられない。
「貴女もいってしまったんだね。」
クリスタルの中に眠ってしまった彼女は、何とも安らかな表情をしていた。
ソラフィリスには仲間がいるのか、いないのか。宙ぶらりんになったままなのに。
頭上を眺めた。
こうして私、レイショウはメルシダの末裔となった。
彼女の水晶体の上を、いくつもの流れ星が通り過ぎて行った。
そしてその横を涙が透き通り落ちていった。
「あの星に、誰かいるのかな。」
まるで独り言のように彼女は呟いた。それは酷くか細く、今にも解けてなくなりそうな声だった。
“あの星”とは、真っ暗闇の天にぽっかりと浮かぶ惑星《ソラフィリス》のことだ。
先祖ニンゲンが、故郷チキュウを捨てて各惑星に移住し始めたのは、もう5000年も昔の事だった。
果たしてソラフィリスには私たちと同じようにに、仲間が残っているのだろうか。
それを確認する術をーーーー私は知らないフリをした。
「どうだろうね。」
私がそう言うと、この星《メルシダ》では滅多に吹かないはずの風が、砂に覆われた地表を撫でた。
パキ、パキという音がした。
私が大嫌いな音だ。
そんな音に紛れて、彼女はこう言った。最後の言葉だった。
「ソラフィリスにもし仲間が生きていたとして…どんな生活をしているのかな。私はそれが知りたくてたまらないよ。」
地表に横たわって絶えず天を見つめていた彼女の体は完全にクリスタルに包まれた。
こうなってしまうのは何度目だろうか。いや、何千回目だろうか。
彼女は彼女の瞳と同じ色の紅のクリスタルに包まれた。もう二度と彼女はこの中から出てこられない。
「貴女もいってしまったんだね。」
クリスタルの中に眠ってしまった彼女は、何とも安らかな表情をしていた。
ソラフィリスには仲間がいるのか、いないのか。宙ぶらりんになったままなのに。
頭上を眺めた。
こうして私、レイショウはメルシダの末裔となった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
魅了の対価
しがついつか
ファンタジー
家庭事情により給金の高い職場を求めて転職したリンリーは、縁あってブラウンロード伯爵家の使用人になった。
彼女は伯爵家の第二子アッシュ・ブラウンロードの侍女を任された。
ブラウンロード伯爵家では、なぜか一家のみならず屋敷で働く使用人達のすべてがアッシュのことを嫌悪していた。
アッシュと顔を合わせてすぐにリンリーも「あ、私コイツ嫌いだわ」と感じたのだが、上級使用人を目指す彼女は私情を挟まずに職務に専念することにした。
淡々と世話をしてくれるリンリーに、アッシュは次第に心を開いていった。
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる