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再会
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父誠一の職場である文部科学省に着くと、カレンはすぐに車で別の所に連れていかれた。国の研究機関だというそこは広く、建物へ車でたどりつくのにもかなりの距離があった。車寄せに誠一が停車させると、白衣姿の男性が近づいてくる。
「こんにちは。よく来てくれたね」
助手席のドアを開けて、男性はやさしい笑みをむける。
「すいません、ありがとうございます」
「佐々木、連れてきてくれて感謝する」連れてきてくれて……?カレンはとまどいながら車を降りた。
誠一は運転席からまわってきてカレンの横に立った。男性とは対照的に渋い顔をしている。
「ああ……。カレンこちらは大学からの友人で山路。ここの研究所の所長をしている。挨拶して」
「佐々木カレンです。はじめまして」
山路がカレンをまるでこの世で初めてのものを見るかのように、興味をもって見つめてくるので、カレンはおもわず父の陰に隠れた。山路はようやく自分の無粋に気が付いたようで、カレンから視線をそらせた。
「とにかく中へ」山路は二人を中に促した。誠一はやさしくカレンの背中に手をあて、建物の中に導いた。
山路所長と誠一に続き研究所とよばれる大きな建物の中に入ったものの人気はほとんど感じられない。カレンは怖くなって父の腕をつかんだ。
「ここは、あたらしい研究プロジェクトを立ち上げたため、前研究職員と総入れ替えになってね……。今は立ち上げメンバー数人しかまだいないんだ。この部屋は前室といってね――」靴音を建物内に響かせながら山路は説明を続ける。
「何の研究を始めるんですか?」
「そうだね……カレンくん。エベレストの頂上とここでは時差が存在するのは知ってるかい?時差と言っても地理上の時差ではなく、物理的な時差のことだよ」
「タイムスリップってことですか?」なんとなく聞いたことはある。
「そう。時間の遅れ現象は、2つの状況下で起こる。1つは、地球など巨大な物体の近くにいるほど、時間の進み方は遅くなるというものだ。つまり、エベレストなどの高い位置では時間はわずかだけれども、早く進んでいる。もう一つは静止している状態では、動いている状態と比べて時間が速く進むというものだ。ロケットや航空機などですでに証明されている。もちろん人間の営みの時間から言ったらごくわずかな時間だ。でももしその時間を効率的に生み出さることが可能だったら?そういう研究施設を作ろうと思っていた矢先に――」そういいながら山路は奥にある扉を開けてカレンを中へと促した。
その部屋に一歩入ってあっと驚きの声を上げた。向かいの窓辺に男性が一人たっている。逆光の中でもすぐにわかった。“彼だ”
「我々の中に彼がすぐに現れたんだよ」
カレンの後ろで山路言った。その声は信られないと言った震えを帯びていた。
「こんにちは。よく来てくれたね」
助手席のドアを開けて、男性はやさしい笑みをむける。
「すいません、ありがとうございます」
「佐々木、連れてきてくれて感謝する」連れてきてくれて……?カレンはとまどいながら車を降りた。
誠一は運転席からまわってきてカレンの横に立った。男性とは対照的に渋い顔をしている。
「ああ……。カレンこちらは大学からの友人で山路。ここの研究所の所長をしている。挨拶して」
「佐々木カレンです。はじめまして」
山路がカレンをまるでこの世で初めてのものを見るかのように、興味をもって見つめてくるので、カレンはおもわず父の陰に隠れた。山路はようやく自分の無粋に気が付いたようで、カレンから視線をそらせた。
「とにかく中へ」山路は二人を中に促した。誠一はやさしくカレンの背中に手をあて、建物の中に導いた。
山路所長と誠一に続き研究所とよばれる大きな建物の中に入ったものの人気はほとんど感じられない。カレンは怖くなって父の腕をつかんだ。
「ここは、あたらしい研究プロジェクトを立ち上げたため、前研究職員と総入れ替えになってね……。今は立ち上げメンバー数人しかまだいないんだ。この部屋は前室といってね――」靴音を建物内に響かせながら山路は説明を続ける。
「何の研究を始めるんですか?」
「そうだね……カレンくん。エベレストの頂上とここでは時差が存在するのは知ってるかい?時差と言っても地理上の時差ではなく、物理的な時差のことだよ」
「タイムスリップってことですか?」なんとなく聞いたことはある。
「そう。時間の遅れ現象は、2つの状況下で起こる。1つは、地球など巨大な物体の近くにいるほど、時間の進み方は遅くなるというものだ。つまり、エベレストなどの高い位置では時間はわずかだけれども、早く進んでいる。もう一つは静止している状態では、動いている状態と比べて時間が速く進むというものだ。ロケットや航空機などですでに証明されている。もちろん人間の営みの時間から言ったらごくわずかな時間だ。でももしその時間を効率的に生み出さることが可能だったら?そういう研究施設を作ろうと思っていた矢先に――」そういいながら山路は奥にある扉を開けてカレンを中へと促した。
その部屋に一歩入ってあっと驚きの声を上げた。向かいの窓辺に男性が一人たっている。逆光の中でもすぐにわかった。“彼だ”
「我々の中に彼がすぐに現れたんだよ」
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