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顧問2年目07月
顧問2年目07月 33
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「な、何を言って・・・」
清野が何を言っているのか本当に理解できなかった。チラチラと脳裏をかすめるものはある。だが、それが何を意味するのか考えがまとまらない。いや、立成がそれを受け入れようとしない。
そのような困惑した立成の様子は背後にいる清野にも伝わっているはずだった。
「ひっ!」
そんな立成を無視するかのように、清野の手が立成の身体全体を愛撫する。
浴衣の上から立成の身体を弄っていた。
自分の身体を撫でるその感触が、おぞましくもあり恐ろしくもあった。
「どうだ?ん?まぁ一旦落ち着けよ。なっ?」
漆黒の寝室にて、またも囁くように直接耳に語り掛ける清野の声。
どうだ、と言われてもどうしようのない。緊張で身体が強張っているのだ。
旅館の布団の上で両手を拘束され、背後には自分より年上のごつい男にしがみつかれながら身体中を触られている。
そんな状況は男だったら誰だって恐怖しかない。
「・・・・っ」
そのはずだった。
暗闇の中で身体の表面をはい回る清野の掌は大きかった。
立成よりもも少し身長が小さいとはいえ、一般的には大柄な男の手なのだ。女や子供の手とは比べものにはならない。そして中年と呼べる齢だからか、その指は太く短かく、深い皺が刻まれている。
そんな、明らかに“男の手”とわかるものが、自分の身体を這いずり回っている。
「・・・・くっ・・・」
胸を。腹を。背中を。腕を。脚を。
その手はゆっくりと牛歩のように進んでいく。
まるで勾配が緩い傾斜を流れる水のように、時間が止まっているかのようなゆったりとした手つきだが、それでも確実にその手は立成の肉体を捉えている。
清野の手は止まらない。
目の前に密着している他校の世界史教師の30代の男の身体を慈しむかのように撫で続けている。
発達した己の肉体を確かめるかのように。
油断により弛んだ情けないその身を検査するかのように。
何度も何度も、浴衣の上からその太い指先の感触を味合わされてしまっていた。
(なっ、なんなんだ、本当に・・・・いつまでこんな・・・ぐっ・・・・)
暗転した室内で、雄として威厳のある厳つい立成の顔から、徐々に徐々にその張り詰めていた緊張が解かされていく。安堵感すらもたらすものになりつつあった。
33歳になった今でも、未だに女性との肌の触れ合いのない立成だ。セックス自体はもちろんのこと、セックス前のペッティングなど、想像の産物でしかない。当然、このように己の身体に触れられること等なかった。
これまでの男としての人生では、男子生徒である筒井にだけ身体を許してしまった。そのときに身体を弄られた経験が、あるにはある。だが、相手は高校生だ。性経験が乏しい10代の少年によるものだ。そんな些細な、ささやかすぎるような経験しかない。まさに純潔を守った男の身体なのだ。
他にあるとしたならば、ほんの数時間前に宴会場で受けた親父たちから受けた洗礼が、その経験ともいえるだろうか。
確かに、自分の被虐欲が暴発してしまい、無様ではえるが射精にまで至ってしまっていた。
しかし、それほ後悔でしかない。あれは、あの経験は、とてもではないがスキンシップとは呼べないものだった。
だからこそ、立成は惑わさられる。
一体、これはなんなんだ?
それでは、この手はなんなんだ?
いい年の男同士なのに、何をしているんだ?
そして自分は、今、これをどう思っているんだ??
(くそっ、なんだよ、なんなんだよぉっ・・・・)
それは、筒井の手により受けたものとはまた違った感触のモノだった。
不器用ながら愛情深い10代の少年の手管とも、酔っ払いによる揶揄い半分の可愛がりによる暴力的な肌の接触ともまた違う。そう、それは『性技』としか呼べないようなものだった。
決定的に違ったことは、この身を這い回る清野のその手が、立成の恥ずかしくも敏感な部分である、男の大事な部分やその後ろの肉厚な丘に触れることが無かったことだった。それはまるで、意図的にその部分を避けているかのようだった。
触られない。
だからこそ、その場所を意識してしまう。
そんな大切な場所を触れない、まどろっこしさすら感じるような肌の触れ合いであるというのに、夜の暗闇の寝室にてあまりにも時間をかけたそのまさぐりにより、浴衣の帯一本で拘束されている30代の男盛りを迎えたばかりの立成の肉体は、徐々にではあるが確実に沸騰し始めていったのだった。
「・・・はっ・・・・」
「ふふっ、ようやく落ち着いたみたいだな。身体が解れて来たな?」
「・・・あっ。そ、それは・・・・」
時間をかけたおかげか抵抗が弱くなり、立成の無精ひげに囲まれた薄い唇から漏れ出る吐息に甘さと熱が混ざっていた。その甘美な呼吸から、夜の門番による開門の許可であると捉えた清野のその手は、次のステップへと進めていた。
清野の手が、立成が身に纏う布の内側へ入り込んでいた。それはつまり、ダイレクトに立成の身体に触れるということ。毛に覆われた立成の肉体に直に触れてしまうということ。
浴衣の上から散々愛撫された後だというのに、その直の掌による摩擦は全く違ったものであるように感じた。
清野の掌の温度。
人肌に触れられるという感触。
「ちょ、清野せんせ・・・・さすがに、ふざけすぎ・・・・」
「ふざけてる?・・・ふふっ、まぁ、そうかもしれねぇな」
侵食はなおも止まらない。
これまで触れられなかった部分にも手が伸びてくる。
胸部にある乳首。
上腕二頭筋に隠された腋。
逞しい脚部から一転してキュッと細まっている足首。
緊張のあまり折りたたんでしまったままの膝関節。
そんなところまで・・・と思ってしまうような場所にも、無骨な指は侵入してくる。
『お前の身体、全部触らせてもらうからな?』
そう言われているような気がしてならない。
しかしその身体の持ち主は、口では異を唱えるものの無抵抗という形でそれを許可してしまっていた。
「も、もうやめましょ?ねぇ?お、男同士なんだし・・・・」
「ふふっ、どうした?今更じゃねぇか、それは?」
「だ、だって、清野せんせ・・・お、・・・あぁっ」
奥さんがいるじゃないですか、という言葉は喉から消えてしまっていた。
それは清野による愛撫で声が出なかったのか。
それとも、それを言ってしまったら、もうこの状況が霧消してしまうことに怯えたからか。
分からなかった。
なぜ清野がこんなことをするのか。
なぜ清野が自分に、こんなにも触れているのか。
そう。
そうだ。
これは、まるでセックスをするときの女にするかのような・・・
(・・・・・ッ!!)
自分でそう考えただけで、立成の身体はさらに熱くなってしまった。
自覚してしまったのだ。
今、自分は女にされてしまっているのだと。
寝室の女のように扱われているのだと。
40歳目前の親父によって、その太い腕の先にある手、指だけで、その身を震わせてしまうほどに感じさせられてしまっているのだ、と。
立成と清野、この他には誰もいない、旅館の布団の上で、立成は目を見開く。
ショックだった。屈辱だった。怒りも沸いていた。とてもではないが受け入れられないものだった。
それでも、そのこと気づいた時には、いや、気づいてしまったからこそ、立成の身体はもうたまらなくなってしまっていた。
「・・・・はああっっ・・・」
闇の中で上擦った声が聴こえていた。
それは確かに、立成の口から漏れ出たもの。
そうだというのに、その声色は、とてもではないが30を超えた男が出してもいいようなものではなかった。
それでも・・・
恥もてらいもなかった。
吐息が漏れていた。
自分の体温が上がっているのもわかった。
湯冷めしないように手早く風呂上りに身体を拭いたというのに、そしてここが空調の効いた部屋であるというのに、興奮と欲情による発汗を抑えられなくなっていた。
立成の皮膚を流れる汗。
不安定な呼吸により上下する体動。
そんな立成の変化は、清野の目から見ても、いや誰がどう見ても、身体の内側から燃え滾った官能が爆発する前の状態であることは明らかだった。
それでも清野の手は止まらない。
執拗に、執拗に、毛の生えた皮膚を手繰り寄せては立成の口からはしたない吐息を漏れ出させている。
まるで、大切なものを慰めるかのように。
まるで、何かを探るかのように立成の皮膚の上をまさぐり続けている。
筋肉の鍛えられ具合を、脂肪の付き具合を、毛の生え具合を確認するかのようだった。
「ひっ・・・!」
「ん?ここがいいんだろ?」
「やっ、そんな・・・」
ボクサーブリーフの生地の上からケツを撫でられた。
これまでの長すぎるともいえる愛撫では触れられなかった、まさに『そこ』を、いきなり強い力で握るように触れられたのだ。唐突に与えられた尻への刺激により思わず情けない声が漏れてしまっていた。
「ふっ、相変わらずだな。立成先生は本当にケツが弱いんだな」
「くっ・・・・」
先月のスナック、そして漫画喫茶での出来事が想起される。
あの一件で、立成の弱点のほとんどは清野の知ることになった。
女経験の無さ。そして、あまりにも敏感すぎる臀部・・・
あれからそのことは、立成と清野の間では無かったことになっていたと思っていた。
一晩の過ちであると。
酒による男同士のおふざけの延長戦だと・・・・
「デカいケツだな、ったく、本当に」
「・・・んあっ・・・」
パシンっ!
嘲るように言われてから、浴衣の上から右のケツタブに平手を食らった。
宴会場で三浦に散々と嬲られているから、すでに腫れ上がっていた立成の尻肉。露天風呂でまじまじと見られたから、そんなケツ事情であることもわかっているはずなのだ。
それなのに、ケツを叩かれた!
赤く染まっている尻とここまでの愛撫により全身が研ぎ澄まされてしまっていた立成には、そのケツビンタは一種の覚醒剤のように働き、もうカラカラに渇いた喉から弱者の鳴き声をあげてしまう。
さらに無言で、清野はその右手を振り上げる。
「・・・っ!」
またもパシッと、今度は左のケツタブをビンタされた。
声を漏らすことは防げたものの、その威力には泣きそうになっていた。
帯びて縛られた両手を互いにぎゅっと握り、太く逞しい太ももを擦り合わせることでなんとか自分の気を逸らそうとするしかできなかった。
「・・・んっ・・・・」
「ようやく調子を戻してきたな。暗くてもわかるぜ。頭から湯気が出てきそうじゃないか、立成センセ?・・・へへっ、あんたがどんな顔してんのか、また見たくなってきたな。目が慣れても良く見えねぇや」
「だめ、電気は・・・だめ・・・」
「なんだぁ?随分初心な女みてぇなことを言うなぁ!」
ゲラゲラと笑いながらの清野の提案は断固として拒否した。
女のように扱われた挙句、ケツを叩かれた後だというのに、昂ぶってしまっている自分の顔を見られるのだけは避けたかったのだ。
しかし、目に見えないからといってわからないわけではない。
ひた隠しにしたかった己の情欲は、清野には筒抜けだった。
「エンジンかかってきたんじゃないか?ん?」
「そんな・・・そんな・・・」
「答えてくれないかい?・・・仕方ねえ。どれ、こっちはどうだ?」
「うっ!」
無理矢理に清野の手が立成の浴衣の中の下腹部へと絡みついてきた。身につけているのはボクサーブリーフだけ。浴場には何も持たずにに行ったため、履いているのはさっきまで履いていたものと同じ下着だ。そんなボクサーブリーフの上から、清野の手は下腹部まで弄ったのだ。
そんな一日の汚れが付着したままの布にあったもの。
その手に触れた感触。
間違いない。間違いようがない。
明らかだった。
立成のソコは、本当の意味での覚醒状態ではないものの、確実に硬さを持ってしまっていた。
「はははっ!こんだけ硬くしてんなら問題ないな!でも安心したぜ。嫁さんとも最近はご無沙汰だったからなぁ。俺のテクもまだ捨てたもんじゃないってことだな!!」
「ちが、ちがう・・・・」
「まさか童貞男にも俺のテクを披露することになるとはなぁ。はははっ!」
清野の愚弄するかのような言い方。それなのに、立成はカーっと身体が熱くなり、動悸も早くなった。
バレた。バレてしまったのだ。
清野の愛撫によりこの身が燃えるような官能に火がついていることがバレてしまった・・・!
立成はもはや、今この状況で自身が興奮してしまっていることを否定できなくなってしまった。
この闇夜の中での教師同士のまぐわい。
決して誰の目にも触れられてはいけない情事。
とても美しいとは言えない情景だ。
(それなのに、俺は、俺は・・・)
「ま、この電気はつけないってのはそうしてやるよ。でもなぁ・・・よし、これで見えるな」
「・・・・ぐっ・・・・なっ、それは!」
布団から立ち上がった清野が、暗闇に手を伸ばして何かを取り出した。
一瞬、この空間に一筋の光が走った。
眩しさのあまり目を細めながら見つめた先。
清野は懐中電灯を点灯させていたのだ。旅館の防犯用に設置していたものだった。
「へへっ、しっかし、あえて暗い部屋でこうしてみてやるってのも、乙なもんだよな?」
清野が何を言っているのか本当に理解できなかった。チラチラと脳裏をかすめるものはある。だが、それが何を意味するのか考えがまとまらない。いや、立成がそれを受け入れようとしない。
そのような困惑した立成の様子は背後にいる清野にも伝わっているはずだった。
「ひっ!」
そんな立成を無視するかのように、清野の手が立成の身体全体を愛撫する。
浴衣の上から立成の身体を弄っていた。
自分の身体を撫でるその感触が、おぞましくもあり恐ろしくもあった。
「どうだ?ん?まぁ一旦落ち着けよ。なっ?」
漆黒の寝室にて、またも囁くように直接耳に語り掛ける清野の声。
どうだ、と言われてもどうしようのない。緊張で身体が強張っているのだ。
旅館の布団の上で両手を拘束され、背後には自分より年上のごつい男にしがみつかれながら身体中を触られている。
そんな状況は男だったら誰だって恐怖しかない。
「・・・・っ」
そのはずだった。
暗闇の中で身体の表面をはい回る清野の掌は大きかった。
立成よりもも少し身長が小さいとはいえ、一般的には大柄な男の手なのだ。女や子供の手とは比べものにはならない。そして中年と呼べる齢だからか、その指は太く短かく、深い皺が刻まれている。
そんな、明らかに“男の手”とわかるものが、自分の身体を這いずり回っている。
「・・・・くっ・・・」
胸を。腹を。背中を。腕を。脚を。
その手はゆっくりと牛歩のように進んでいく。
まるで勾配が緩い傾斜を流れる水のように、時間が止まっているかのようなゆったりとした手つきだが、それでも確実にその手は立成の肉体を捉えている。
清野の手は止まらない。
目の前に密着している他校の世界史教師の30代の男の身体を慈しむかのように撫で続けている。
発達した己の肉体を確かめるかのように。
油断により弛んだ情けないその身を検査するかのように。
何度も何度も、浴衣の上からその太い指先の感触を味合わされてしまっていた。
(なっ、なんなんだ、本当に・・・・いつまでこんな・・・ぐっ・・・・)
暗転した室内で、雄として威厳のある厳つい立成の顔から、徐々に徐々にその張り詰めていた緊張が解かされていく。安堵感すらもたらすものになりつつあった。
33歳になった今でも、未だに女性との肌の触れ合いのない立成だ。セックス自体はもちろんのこと、セックス前のペッティングなど、想像の産物でしかない。当然、このように己の身体に触れられること等なかった。
これまでの男としての人生では、男子生徒である筒井にだけ身体を許してしまった。そのときに身体を弄られた経験が、あるにはある。だが、相手は高校生だ。性経験が乏しい10代の少年によるものだ。そんな些細な、ささやかすぎるような経験しかない。まさに純潔を守った男の身体なのだ。
他にあるとしたならば、ほんの数時間前に宴会場で受けた親父たちから受けた洗礼が、その経験ともいえるだろうか。
確かに、自分の被虐欲が暴発してしまい、無様ではえるが射精にまで至ってしまっていた。
しかし、それほ後悔でしかない。あれは、あの経験は、とてもではないがスキンシップとは呼べないものだった。
だからこそ、立成は惑わさられる。
一体、これはなんなんだ?
それでは、この手はなんなんだ?
いい年の男同士なのに、何をしているんだ?
そして自分は、今、これをどう思っているんだ??
(くそっ、なんだよ、なんなんだよぉっ・・・・)
それは、筒井の手により受けたものとはまた違った感触のモノだった。
不器用ながら愛情深い10代の少年の手管とも、酔っ払いによる揶揄い半分の可愛がりによる暴力的な肌の接触ともまた違う。そう、それは『性技』としか呼べないようなものだった。
決定的に違ったことは、この身を這い回る清野のその手が、立成の恥ずかしくも敏感な部分である、男の大事な部分やその後ろの肉厚な丘に触れることが無かったことだった。それはまるで、意図的にその部分を避けているかのようだった。
触られない。
だからこそ、その場所を意識してしまう。
そんな大切な場所を触れない、まどろっこしさすら感じるような肌の触れ合いであるというのに、夜の暗闇の寝室にてあまりにも時間をかけたそのまさぐりにより、浴衣の帯一本で拘束されている30代の男盛りを迎えたばかりの立成の肉体は、徐々にではあるが確実に沸騰し始めていったのだった。
「・・・はっ・・・・」
「ふふっ、ようやく落ち着いたみたいだな。身体が解れて来たな?」
「・・・あっ。そ、それは・・・・」
時間をかけたおかげか抵抗が弱くなり、立成の無精ひげに囲まれた薄い唇から漏れ出る吐息に甘さと熱が混ざっていた。その甘美な呼吸から、夜の門番による開門の許可であると捉えた清野のその手は、次のステップへと進めていた。
清野の手が、立成が身に纏う布の内側へ入り込んでいた。それはつまり、ダイレクトに立成の身体に触れるということ。毛に覆われた立成の肉体に直に触れてしまうということ。
浴衣の上から散々愛撫された後だというのに、その直の掌による摩擦は全く違ったものであるように感じた。
清野の掌の温度。
人肌に触れられるという感触。
「ちょ、清野せんせ・・・・さすがに、ふざけすぎ・・・・」
「ふざけてる?・・・ふふっ、まぁ、そうかもしれねぇな」
侵食はなおも止まらない。
これまで触れられなかった部分にも手が伸びてくる。
胸部にある乳首。
上腕二頭筋に隠された腋。
逞しい脚部から一転してキュッと細まっている足首。
緊張のあまり折りたたんでしまったままの膝関節。
そんなところまで・・・と思ってしまうような場所にも、無骨な指は侵入してくる。
『お前の身体、全部触らせてもらうからな?』
そう言われているような気がしてならない。
しかしその身体の持ち主は、口では異を唱えるものの無抵抗という形でそれを許可してしまっていた。
「も、もうやめましょ?ねぇ?お、男同士なんだし・・・・」
「ふふっ、どうした?今更じゃねぇか、それは?」
「だ、だって、清野せんせ・・・お、・・・あぁっ」
奥さんがいるじゃないですか、という言葉は喉から消えてしまっていた。
それは清野による愛撫で声が出なかったのか。
それとも、それを言ってしまったら、もうこの状況が霧消してしまうことに怯えたからか。
分からなかった。
なぜ清野がこんなことをするのか。
なぜ清野が自分に、こんなにも触れているのか。
そう。
そうだ。
これは、まるでセックスをするときの女にするかのような・・・
(・・・・・ッ!!)
自分でそう考えただけで、立成の身体はさらに熱くなってしまった。
自覚してしまったのだ。
今、自分は女にされてしまっているのだと。
寝室の女のように扱われているのだと。
40歳目前の親父によって、その太い腕の先にある手、指だけで、その身を震わせてしまうほどに感じさせられてしまっているのだ、と。
立成と清野、この他には誰もいない、旅館の布団の上で、立成は目を見開く。
ショックだった。屈辱だった。怒りも沸いていた。とてもではないが受け入れられないものだった。
それでも、そのこと気づいた時には、いや、気づいてしまったからこそ、立成の身体はもうたまらなくなってしまっていた。
「・・・・はああっっ・・・」
闇の中で上擦った声が聴こえていた。
それは確かに、立成の口から漏れ出たもの。
そうだというのに、その声色は、とてもではないが30を超えた男が出してもいいようなものではなかった。
それでも・・・
恥もてらいもなかった。
吐息が漏れていた。
自分の体温が上がっているのもわかった。
湯冷めしないように手早く風呂上りに身体を拭いたというのに、そしてここが空調の効いた部屋であるというのに、興奮と欲情による発汗を抑えられなくなっていた。
立成の皮膚を流れる汗。
不安定な呼吸により上下する体動。
そんな立成の変化は、清野の目から見ても、いや誰がどう見ても、身体の内側から燃え滾った官能が爆発する前の状態であることは明らかだった。
それでも清野の手は止まらない。
執拗に、執拗に、毛の生えた皮膚を手繰り寄せては立成の口からはしたない吐息を漏れ出させている。
まるで、大切なものを慰めるかのように。
まるで、何かを探るかのように立成の皮膚の上をまさぐり続けている。
筋肉の鍛えられ具合を、脂肪の付き具合を、毛の生え具合を確認するかのようだった。
「ひっ・・・!」
「ん?ここがいいんだろ?」
「やっ、そんな・・・」
ボクサーブリーフの生地の上からケツを撫でられた。
これまでの長すぎるともいえる愛撫では触れられなかった、まさに『そこ』を、いきなり強い力で握るように触れられたのだ。唐突に与えられた尻への刺激により思わず情けない声が漏れてしまっていた。
「ふっ、相変わらずだな。立成先生は本当にケツが弱いんだな」
「くっ・・・・」
先月のスナック、そして漫画喫茶での出来事が想起される。
あの一件で、立成の弱点のほとんどは清野の知ることになった。
女経験の無さ。そして、あまりにも敏感すぎる臀部・・・
あれからそのことは、立成と清野の間では無かったことになっていたと思っていた。
一晩の過ちであると。
酒による男同士のおふざけの延長戦だと・・・・
「デカいケツだな、ったく、本当に」
「・・・んあっ・・・」
パシンっ!
嘲るように言われてから、浴衣の上から右のケツタブに平手を食らった。
宴会場で三浦に散々と嬲られているから、すでに腫れ上がっていた立成の尻肉。露天風呂でまじまじと見られたから、そんなケツ事情であることもわかっているはずなのだ。
それなのに、ケツを叩かれた!
赤く染まっている尻とここまでの愛撫により全身が研ぎ澄まされてしまっていた立成には、そのケツビンタは一種の覚醒剤のように働き、もうカラカラに渇いた喉から弱者の鳴き声をあげてしまう。
さらに無言で、清野はその右手を振り上げる。
「・・・っ!」
またもパシッと、今度は左のケツタブをビンタされた。
声を漏らすことは防げたものの、その威力には泣きそうになっていた。
帯びて縛られた両手を互いにぎゅっと握り、太く逞しい太ももを擦り合わせることでなんとか自分の気を逸らそうとするしかできなかった。
「・・・んっ・・・・」
「ようやく調子を戻してきたな。暗くてもわかるぜ。頭から湯気が出てきそうじゃないか、立成センセ?・・・へへっ、あんたがどんな顔してんのか、また見たくなってきたな。目が慣れても良く見えねぇや」
「だめ、電気は・・・だめ・・・」
「なんだぁ?随分初心な女みてぇなことを言うなぁ!」
ゲラゲラと笑いながらの清野の提案は断固として拒否した。
女のように扱われた挙句、ケツを叩かれた後だというのに、昂ぶってしまっている自分の顔を見られるのだけは避けたかったのだ。
しかし、目に見えないからといってわからないわけではない。
ひた隠しにしたかった己の情欲は、清野には筒抜けだった。
「エンジンかかってきたんじゃないか?ん?」
「そんな・・・そんな・・・」
「答えてくれないかい?・・・仕方ねえ。どれ、こっちはどうだ?」
「うっ!」
無理矢理に清野の手が立成の浴衣の中の下腹部へと絡みついてきた。身につけているのはボクサーブリーフだけ。浴場には何も持たずにに行ったため、履いているのはさっきまで履いていたものと同じ下着だ。そんなボクサーブリーフの上から、清野の手は下腹部まで弄ったのだ。
そんな一日の汚れが付着したままの布にあったもの。
その手に触れた感触。
間違いない。間違いようがない。
明らかだった。
立成のソコは、本当の意味での覚醒状態ではないものの、確実に硬さを持ってしまっていた。
「はははっ!こんだけ硬くしてんなら問題ないな!でも安心したぜ。嫁さんとも最近はご無沙汰だったからなぁ。俺のテクもまだ捨てたもんじゃないってことだな!!」
「ちが、ちがう・・・・」
「まさか童貞男にも俺のテクを披露することになるとはなぁ。はははっ!」
清野の愚弄するかのような言い方。それなのに、立成はカーっと身体が熱くなり、動悸も早くなった。
バレた。バレてしまったのだ。
清野の愛撫によりこの身が燃えるような官能に火がついていることがバレてしまった・・・!
立成はもはや、今この状況で自身が興奮してしまっていることを否定できなくなってしまった。
この闇夜の中での教師同士のまぐわい。
決して誰の目にも触れられてはいけない情事。
とても美しいとは言えない情景だ。
(それなのに、俺は、俺は・・・)
「ま、この電気はつけないってのはそうしてやるよ。でもなぁ・・・よし、これで見えるな」
「・・・・ぐっ・・・・なっ、それは!」
布団から立ち上がった清野が、暗闇に手を伸ばして何かを取り出した。
一瞬、この空間に一筋の光が走った。
眩しさのあまり目を細めながら見つめた先。
清野は懐中電灯を点灯させていたのだ。旅館の防犯用に設置していたものだった。
「へへっ、しっかし、あえて暗い部屋でこうしてみてやるってのも、乙なもんだよな?」
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引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
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