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顧問2年目07月
顧問2年目07月 23
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「おい、悠じゃねぇか!」
「どこに行ってやがったんだ?」
「そういやいなかったな!」
声の正体は悠だった。ちょうど今、宴会場に入ってきたかのように襖の前にその小さすぎる姿を立たせている。
「おへやでゲームしてた~」
のんびりとした幼児口調で、親父たちと返答する、そのおどけない声。
立成に散々とお馬さんごっこで遊んだ後、何処かに行っていたのか姿が見当たらなくなっていたが、どうやらこの場から消えていたようだった。
立成はどこか安堵する自分がいた。
悠のお馬さん遊びの後に繰り広げられた、あまりにも幼稚であり凄惨な解剖遊戯。大人の男同士のほとんどいじめのような、立成の身体を使ったゲームの数々。とてもではないが未就学児には見せられないものだった。その場にいなかったのは、立成にとっても悠にとっても
だが、その少年はまたしてもこの場に戻ってきてしまったのだ。そう、5歳の少年には、あまりにも場違い過ぎるこの地獄のようなこの場所に。
「ねぇ、なにしてんのぉ~?」
彼の目にはこの光景はどう見えているのだろうか。悠の口からでたのは当然の疑問だ。きっと悠は、立成とのお馬遊びに飽きた後は、時間を持て余して1人宴会場を出たのだろう。そして部屋で1人、ゲームをするのにも飽きてまたこの宴会場に来たのだろう。そうしたらなんということだろうか。先程まで馬役で遊んでくれたおじさんが全裸にひん剥かれた上、男の全てをおっ広げているのだ。何をしていると疑問に思うのは当然のことだ。
「ねぇ、なんでおじさん、“はだかんぼ”なの?」
その言葉に、立成の全身が“ビクン”と揺れる。
立成は自覚してしまう。こんな少年の前で、今、自分がどんな格好をしているのか。
袖を通しただけの浴衣を纏い、3Lサイズのダサいボクサーブリーフなどとうの昔に剥ぎ取られたほぼ全裸の状態の30代の逞しい男が両腕を羽交い締めにされたまま、太い両足をひっくり返されているのだ。毛の生えた胸も、だらしなくなりつつある腹も、逞しくもありデカ尻も、汗と便臭がこびり付いたケツ毛だらけの肛門も、モッサリと生い茂っている陰毛も、そしてこんな状態だというのに臍にへばり付きそうなほどに浅ましくビンビンに勃起し続けている包茎チンポまでも、丸見えの状態だ。そんな醜態を晒している男を、15人もの親父たちが取り囲んでいる。
純真爛漫を絵に描いたようなあどけない少年。
しかしその純真であろう少年の目の前で繰り広げられているのは、とてもではないが目を背けたくなるような光景だ。
それでもなお、立成を拘束する手は緩められることはなく、立成は男としてとてもではないが恥ずかしすぎるおっ広げた姿そのものを、5歳児である悠の前にも晒してしまっているのだった。
親父たちの前で醜態を晒すのとは、また違った羞恥心に襲われた。
「ハハハッ!よく来たな悠!今な、この先生が『童貞』かどうか調べているところなんだよ!」
「そうだぞ!『童貞検査』をしているからなっ!」
「そんな名前だっけか?まぁいいかっ!ガハハッ!」
「・・・『どうてい』・・・?」
「あぁ、そうだぞ!それを調べるために、この先生は真っ裸になる必要があるんだ!」
「そうだよな、先生?」
「なっ・・・何を言って・・・!」
「いいから!なぁ、今は先生は、『童貞検査』を受けているんだよなぁ?ん?ん?」
「・・・ぐっ、そ、そうだ・・・・!」
その声を耳にして、これまでの親父たちだけの場が変わったことを感じる。あれだけの罵倒をしていた親父たちだが、少年である悠がいることでさすがの親父たちも教育上よくないことだと思っているのだろう。
もっとも、この光景自体が、少年の教育に良いものであるとはとてもではないが言えないものであるのだが・・・立成は悠がいることもあり、あまり口汚く罵り返すことも出来ず、流れに従った回答をしてしまったのだ。
「しっかし、よかったな、先生!この部屋に『童貞』が現れたぞ!」
「確かに!これでもう恥ずかしくないな!」
「そろそろ認めてもいいなじゃないか?安田がやった『童貞検査』の結果は正解だってな!」
「ほ~ら、ほお~ら、さっさと白状しろって」
「認めたほうがいいんじゃないか?『俺は童貞です!』ってな!」
「もうとっくにバレてるけどな!ギャハハハ」
「くそっ、違う・・・・!!違うって!」
繰り返される。これほどに立成が否定しても、なおも親父たちからのその言及が止むことはなかった。そんな親父たちからのエスカレートする取り調べに対し、容疑者の立成は馬鹿の一つ覚えのように“違う”と否定することしかできない。男としての最後の矜持として、それを認めるわけにはいかなかったのだ。たとえこの場にいるほぼ全員に,”ソレ”がバレてしまっているとしても。
「・・・?ねー、ぼくも『どうてい』なの?」
「ああ、そうだぞ」
「悠はまだ子供だからな~!」
とても子供に聞かせられる単語ではないのに、親父たちは一切の躊躇もなく、そのおぞましい単語を口にしていた。
そしてその言葉は、まだ5歳の悠には聞いたこともないものだろう。
悠は頭をかしげながら彼の近くにいる親父たちに尋ねるも、いまいち納得がいっていない様子だった。
「『どうてい』ってなに~?」
「そうだよな~、わかんないよな~」
「おい!説明してやれって!」
「あぁ、童貞ってのはなぁ・・・そうだ!」
答えようとしたのは柏田だった。この親父たちの中で、言動が最も突拍子の無い男だ。それでいて、その発言や行動は立成がどんどん窮地に追いやるようなものばかりだった。
そんな男、柏田が悠に向き合って説明しようとした最中、またもたちなりの方へと向き直る。
「なぁ、立成先生よ。あんたは先生なんだろ?なら、『童貞』っていうのが一体何のことかわかりやすく、悠に教えてやってくれよ!」
「なっ・・・!!」
とんでもないことだった。
自分が隠しに隠している童貞という事実。女の肌すら知らないという恥ずかしい事実。そんな忌まわしい言葉。その言葉の意味を自分に説明しろというのか。それも、まだなにも性知識のない子供に対して。
「おい、先生よ、ちゃーんと教えてやれよ!」
「そうだぞ!教師らしいとこを見せてやれよ!」
「童貞じゃないなら!きちんと説明できるよなぁ?」
「ほら、悠も先生に頼むんだ!」
「うん。ねぇ、おじさん、『どうてい』ってなに~?おじさんも『とうてい』なの~?」
「そ、それはっ・・・!」
「カカカっ!いいぞぉ~悠!」
「もっとこのおじさんに質問してやりな!」
「わかるまで教えてもらえよ!」
「性教育だな!ガハハハッ!」
この状況に立成はなおも顔を赤らめる。耳も首筋も真っ赤っ赤だ。
童貞。
未だに性行為を経験していない、男。
女を征服してたことのない、男。
つまり、一人前とは呼べない男であるとも言える。
そんなことを教えろというのか。そんなことを自分に説明しろというのか。
そんなことを、こんなにも大勢の男達の前で、未だに女体を直接見たことも触れたこともない純潔を守っている情けない男である自分に、あたかも性教育のように赤裸々に話せというのか。
(そ、そんなこと、言えるかっっ!!)
「さっさと教えてやれよ!先生よおっ!」
「ひぃっ!」
天井へと向けられた毛深い尻タブを一発ひっ叩かれ、目を覚めるようなパシン!という高い音と立成の悲鳴が響き渡る。
もう駄目だ。誤魔化しようがなかった。
何かを言わなければ、またもこんな事を・・・!
観念した立成は恐る恐る、回らない頭を無理やり働かせて何とか言葉を選びながら説明する。
「ど、童貞はっ!童貞ってのは・・・っ!」
「うん」
「・・・そ、その、ど、童貞っていうのは・・・・そ、その、だな、その・・・お、女の子を・・・・・・そ、そうだ、女の子を知らない、男、のことだっ・・・・!」
「なるほどねぇ!」
「ハハハッ!すげえ説明だな!」
「なかなか良い説明じゃねえか!」
「随分と指摘な表現だな!!」
自分の恥を噛みしめるように、その恥ずかしい単語の説明をする。
たどたどしい言葉遣いで、5歳児である悠に悪影響が出るような直接的な表現を使わないように最新の注意をしたうえでのものではあるのだが、その結果、何も具体的なことを言っていない、抽象的過ぎる説明になってしまっていた。
「えっ、『どうてい』ってそういうことなの?」
「そ、そうだっ・・・!」
「ふーん」
悠が周りにいる親父たちに確認するように首をまわす。
わかったような、いまいち納得がいっていないような、そんな表情だった。
この年齢ではどこまできちんと理解しているやら。だが・・・
「それならねぇ、ぼく、『どうてい』じゃないよ~」
一瞬で場が凍りついた。
その言葉に耳を疑った。それは、まさにその言葉通りの『童貞』である立成だけではなく、周りを取り囲む親父たちも同様だった。
5歳の少年からの、まさかのカミングアウトだった。
いくら時代が変わったと言っても、こんな5歳の子供が性行為をしても許される時代などあるだろうか。
「おい、悠、何を言って・・・」
「だってね~、ぼく女の子をしってるもん!りみちゃんでしょー、きららちゃんでしょー。あと、れなちゃん!ようちえんにいけばあえるよぉ~」
「・・・・」
はっきりとした説明だった。そして次の瞬間。
「「「がははははっっっ!」」」
「そうだよな、そうだよなぁっ!」
「うんうん、そうだな!悠も女の子のこと知ってるもんなっ!」
「うん!」
「女の子とたくさん遊んでるもんな!」
「楽しいよなぁっ!女の子と遊ぶのは!」
「うん、たのしいよぉ~!」
「そうか!じゃあ悠は童貞じゃないな!」
「そうだよ~!!」
親父たちの大爆笑とともに、悠がもてはやされる。
おぼつかない立成の説明を、その言葉通りに解釈した、あまりにも無垢で純潔な悠の言葉。
そんな5歳児の『非童貞』宣言。それが本当の意味とは異なることは誰もがわかっているというのに、否定するものはいなかった。
「おいっ、立成先生、聞いてたか?」
「ぐっ・・・聞いてたって・・・」
「本当か?悠は『童貞』じゃねぇってよ!」
背後にいる三浦がさらに力を込めて立成の両腕を締め上げながらも立成に語り掛ける。それに被せるかのように周りの親父たちからも言葉が飛んで来る。
「そうだな、『童貞』じゃなかったなもんな!」
「5歳の子供でも『童貞』じゃねぇんだ!それじゃ大人の先生が『童貞』のはずはねぇよな!?」
「そんな情けねぇ男のはずあるかよ、なぁっ!」
「教師なんだから、子供が経験していることはしっかりと経験しているはずだよなぁっ!」
「ぐっ・・・」
悠の発言をぶり返すように立成へ投げかける言葉に、立成は思わずその薄い唇をかみしめる。
悪意のあるものばかりだった。それらはもう、立成を貶めるためのものでしかなかった。
「それじゃ悠も聞いてやりな!」
「えっ、なにを・・・?」
「あのな・・・・」
「・・・うん、わかったぁ」
(な、何を言ったんだ・・・?)
ある親父がひそひそと悠の耳もとに何かを囁いた。それを聞いた悠は、困惑する立成のもとへ、トコトコと幼児特有の持ったりとした脚運びで寄って来る。
「ねぇねぇ、おじさ~ん」
「・・・なっ、なんだい・・・?」
「おじさんって、『どうてい』なのお~?」
「なぁぁっっっ!!!」
頭を叩きつけられたような気分だった。
「どこに行ってやがったんだ?」
「そういやいなかったな!」
声の正体は悠だった。ちょうど今、宴会場に入ってきたかのように襖の前にその小さすぎる姿を立たせている。
「おへやでゲームしてた~」
のんびりとした幼児口調で、親父たちと返答する、そのおどけない声。
立成に散々とお馬さんごっこで遊んだ後、何処かに行っていたのか姿が見当たらなくなっていたが、どうやらこの場から消えていたようだった。
立成はどこか安堵する自分がいた。
悠のお馬さん遊びの後に繰り広げられた、あまりにも幼稚であり凄惨な解剖遊戯。大人の男同士のほとんどいじめのような、立成の身体を使ったゲームの数々。とてもではないが未就学児には見せられないものだった。その場にいなかったのは、立成にとっても悠にとっても
だが、その少年はまたしてもこの場に戻ってきてしまったのだ。そう、5歳の少年には、あまりにも場違い過ぎるこの地獄のようなこの場所に。
「ねぇ、なにしてんのぉ~?」
彼の目にはこの光景はどう見えているのだろうか。悠の口からでたのは当然の疑問だ。きっと悠は、立成とのお馬遊びに飽きた後は、時間を持て余して1人宴会場を出たのだろう。そして部屋で1人、ゲームをするのにも飽きてまたこの宴会場に来たのだろう。そうしたらなんということだろうか。先程まで馬役で遊んでくれたおじさんが全裸にひん剥かれた上、男の全てをおっ広げているのだ。何をしていると疑問に思うのは当然のことだ。
「ねぇ、なんでおじさん、“はだかんぼ”なの?」
その言葉に、立成の全身が“ビクン”と揺れる。
立成は自覚してしまう。こんな少年の前で、今、自分がどんな格好をしているのか。
袖を通しただけの浴衣を纏い、3Lサイズのダサいボクサーブリーフなどとうの昔に剥ぎ取られたほぼ全裸の状態の30代の逞しい男が両腕を羽交い締めにされたまま、太い両足をひっくり返されているのだ。毛の生えた胸も、だらしなくなりつつある腹も、逞しくもありデカ尻も、汗と便臭がこびり付いたケツ毛だらけの肛門も、モッサリと生い茂っている陰毛も、そしてこんな状態だというのに臍にへばり付きそうなほどに浅ましくビンビンに勃起し続けている包茎チンポまでも、丸見えの状態だ。そんな醜態を晒している男を、15人もの親父たちが取り囲んでいる。
純真爛漫を絵に描いたようなあどけない少年。
しかしその純真であろう少年の目の前で繰り広げられているのは、とてもではないが目を背けたくなるような光景だ。
それでもなお、立成を拘束する手は緩められることはなく、立成は男としてとてもではないが恥ずかしすぎるおっ広げた姿そのものを、5歳児である悠の前にも晒してしまっているのだった。
親父たちの前で醜態を晒すのとは、また違った羞恥心に襲われた。
「ハハハッ!よく来たな悠!今な、この先生が『童貞』かどうか調べているところなんだよ!」
「そうだぞ!『童貞検査』をしているからなっ!」
「そんな名前だっけか?まぁいいかっ!ガハハッ!」
「・・・『どうてい』・・・?」
「あぁ、そうだぞ!それを調べるために、この先生は真っ裸になる必要があるんだ!」
「そうだよな、先生?」
「なっ・・・何を言って・・・!」
「いいから!なぁ、今は先生は、『童貞検査』を受けているんだよなぁ?ん?ん?」
「・・・ぐっ、そ、そうだ・・・・!」
その声を耳にして、これまでの親父たちだけの場が変わったことを感じる。あれだけの罵倒をしていた親父たちだが、少年である悠がいることでさすがの親父たちも教育上よくないことだと思っているのだろう。
もっとも、この光景自体が、少年の教育に良いものであるとはとてもではないが言えないものであるのだが・・・立成は悠がいることもあり、あまり口汚く罵り返すことも出来ず、流れに従った回答をしてしまったのだ。
「しっかし、よかったな、先生!この部屋に『童貞』が現れたぞ!」
「確かに!これでもう恥ずかしくないな!」
「そろそろ認めてもいいなじゃないか?安田がやった『童貞検査』の結果は正解だってな!」
「ほ~ら、ほお~ら、さっさと白状しろって」
「認めたほうがいいんじゃないか?『俺は童貞です!』ってな!」
「もうとっくにバレてるけどな!ギャハハハ」
「くそっ、違う・・・・!!違うって!」
繰り返される。これほどに立成が否定しても、なおも親父たちからのその言及が止むことはなかった。そんな親父たちからのエスカレートする取り調べに対し、容疑者の立成は馬鹿の一つ覚えのように“違う”と否定することしかできない。男としての最後の矜持として、それを認めるわけにはいかなかったのだ。たとえこの場にいるほぼ全員に,”ソレ”がバレてしまっているとしても。
「・・・?ねー、ぼくも『どうてい』なの?」
「ああ、そうだぞ」
「悠はまだ子供だからな~!」
とても子供に聞かせられる単語ではないのに、親父たちは一切の躊躇もなく、そのおぞましい単語を口にしていた。
そしてその言葉は、まだ5歳の悠には聞いたこともないものだろう。
悠は頭をかしげながら彼の近くにいる親父たちに尋ねるも、いまいち納得がいっていない様子だった。
「『どうてい』ってなに~?」
「そうだよな~、わかんないよな~」
「おい!説明してやれって!」
「あぁ、童貞ってのはなぁ・・・そうだ!」
答えようとしたのは柏田だった。この親父たちの中で、言動が最も突拍子の無い男だ。それでいて、その発言や行動は立成がどんどん窮地に追いやるようなものばかりだった。
そんな男、柏田が悠に向き合って説明しようとした最中、またもたちなりの方へと向き直る。
「なぁ、立成先生よ。あんたは先生なんだろ?なら、『童貞』っていうのが一体何のことかわかりやすく、悠に教えてやってくれよ!」
「なっ・・・!!」
とんでもないことだった。
自分が隠しに隠している童貞という事実。女の肌すら知らないという恥ずかしい事実。そんな忌まわしい言葉。その言葉の意味を自分に説明しろというのか。それも、まだなにも性知識のない子供に対して。
「おい、先生よ、ちゃーんと教えてやれよ!」
「そうだぞ!教師らしいとこを見せてやれよ!」
「童貞じゃないなら!きちんと説明できるよなぁ?」
「ほら、悠も先生に頼むんだ!」
「うん。ねぇ、おじさん、『どうてい』ってなに~?おじさんも『とうてい』なの~?」
「そ、それはっ・・・!」
「カカカっ!いいぞぉ~悠!」
「もっとこのおじさんに質問してやりな!」
「わかるまで教えてもらえよ!」
「性教育だな!ガハハハッ!」
この状況に立成はなおも顔を赤らめる。耳も首筋も真っ赤っ赤だ。
童貞。
未だに性行為を経験していない、男。
女を征服してたことのない、男。
つまり、一人前とは呼べない男であるとも言える。
そんなことを教えろというのか。そんなことを自分に説明しろというのか。
そんなことを、こんなにも大勢の男達の前で、未だに女体を直接見たことも触れたこともない純潔を守っている情けない男である自分に、あたかも性教育のように赤裸々に話せというのか。
(そ、そんなこと、言えるかっっ!!)
「さっさと教えてやれよ!先生よおっ!」
「ひぃっ!」
天井へと向けられた毛深い尻タブを一発ひっ叩かれ、目を覚めるようなパシン!という高い音と立成の悲鳴が響き渡る。
もう駄目だ。誤魔化しようがなかった。
何かを言わなければ、またもこんな事を・・・!
観念した立成は恐る恐る、回らない頭を無理やり働かせて何とか言葉を選びながら説明する。
「ど、童貞はっ!童貞ってのは・・・っ!」
「うん」
「・・・そ、その、ど、童貞っていうのは・・・・そ、その、だな、その・・・お、女の子を・・・・・・そ、そうだ、女の子を知らない、男、のことだっ・・・・!」
「なるほどねぇ!」
「ハハハッ!すげえ説明だな!」
「なかなか良い説明じゃねえか!」
「随分と指摘な表現だな!!」
自分の恥を噛みしめるように、その恥ずかしい単語の説明をする。
たどたどしい言葉遣いで、5歳児である悠に悪影響が出るような直接的な表現を使わないように最新の注意をしたうえでのものではあるのだが、その結果、何も具体的なことを言っていない、抽象的過ぎる説明になってしまっていた。
「えっ、『どうてい』ってそういうことなの?」
「そ、そうだっ・・・!」
「ふーん」
悠が周りにいる親父たちに確認するように首をまわす。
わかったような、いまいち納得がいっていないような、そんな表情だった。
この年齢ではどこまできちんと理解しているやら。だが・・・
「それならねぇ、ぼく、『どうてい』じゃないよ~」
一瞬で場が凍りついた。
その言葉に耳を疑った。それは、まさにその言葉通りの『童貞』である立成だけではなく、周りを取り囲む親父たちも同様だった。
5歳の少年からの、まさかのカミングアウトだった。
いくら時代が変わったと言っても、こんな5歳の子供が性行為をしても許される時代などあるだろうか。
「おい、悠、何を言って・・・」
「だってね~、ぼく女の子をしってるもん!りみちゃんでしょー、きららちゃんでしょー。あと、れなちゃん!ようちえんにいけばあえるよぉ~」
「・・・・」
はっきりとした説明だった。そして次の瞬間。
「「「がははははっっっ!」」」
「そうだよな、そうだよなぁっ!」
「うんうん、そうだな!悠も女の子のこと知ってるもんなっ!」
「うん!」
「女の子とたくさん遊んでるもんな!」
「楽しいよなぁっ!女の子と遊ぶのは!」
「うん、たのしいよぉ~!」
「そうか!じゃあ悠は童貞じゃないな!」
「そうだよ~!!」
親父たちの大爆笑とともに、悠がもてはやされる。
おぼつかない立成の説明を、その言葉通りに解釈した、あまりにも無垢で純潔な悠の言葉。
そんな5歳児の『非童貞』宣言。それが本当の意味とは異なることは誰もがわかっているというのに、否定するものはいなかった。
「おいっ、立成先生、聞いてたか?」
「ぐっ・・・聞いてたって・・・」
「本当か?悠は『童貞』じゃねぇってよ!」
背後にいる三浦がさらに力を込めて立成の両腕を締め上げながらも立成に語り掛ける。それに被せるかのように周りの親父たちからも言葉が飛んで来る。
「そうだな、『童貞』じゃなかったなもんな!」
「5歳の子供でも『童貞』じゃねぇんだ!それじゃ大人の先生が『童貞』のはずはねぇよな!?」
「そんな情けねぇ男のはずあるかよ、なぁっ!」
「教師なんだから、子供が経験していることはしっかりと経験しているはずだよなぁっ!」
「ぐっ・・・」
悠の発言をぶり返すように立成へ投げかける言葉に、立成は思わずその薄い唇をかみしめる。
悪意のあるものばかりだった。それらはもう、立成を貶めるためのものでしかなかった。
「それじゃ悠も聞いてやりな!」
「えっ、なにを・・・?」
「あのな・・・・」
「・・・うん、わかったぁ」
(な、何を言ったんだ・・・?)
ある親父がひそひそと悠の耳もとに何かを囁いた。それを聞いた悠は、困惑する立成のもとへ、トコトコと幼児特有の持ったりとした脚運びで寄って来る。
「ねぇねぇ、おじさ~ん」
「・・・なっ、なんだい・・・?」
「おじさんって、『どうてい』なのお~?」
「なぁぁっっっ!!!」
頭を叩きつけられたような気分だった。
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