俺のことだけを見てればいいのに。

とらまーる

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第二章

少年の中でのライバル

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「ねえ、次って数学だよね?」
「うん。
はぎちゃん宿題した?」
「あ、忘れてた……!」
「はい、これ。
見せてあげるよ」
「早乙女君ありがとう!」

 遠くから眺めているだけで近づけない。なんだよあの仲の良さ。まだ会ってから一週間だぞ? すごく隼人を奪われた感じがして寂しい。まあ……普通、女子が好きだから口出しはできないんだけど。


 隼人のところに行きづらくてぼーっと休憩時間を過ごしていると、目の前に隼人が来た。

「萊、なんで最近来てくれないの?」
「別に。」

 無意識に顔を背けてしまい、目の前の隼人が落ち込んでいるのを感じた。

「……俺に言えないこと?」
「そう、言えない。」

 言ったとしても分かってくれないから意味がない。
 さらにしゅんとする隼人を見て、思わず言いそうになるが我慢する。

「いつでもいいから、来てよ……
萊と喋るのが好き。」
「じゃあ隼人が来いよ」

 俺から行くのは無理だ。あの転校生がいると、絶対に精神が持たない。彼女が嫌いなわけではないけど、俺の中で彼女がライバル的な立ち位置だから。

「わかった、俺が来るね。」
「そうしてくれ。」

 とりあえず隼人が来ることになったので一息つくと、ちょうど近くに転校生が来た。

「そうそう、早乙女君。
これあげるよ。この前のお礼。」
「はぎちゃん、ありがとう。
あ、萊自己紹介したら?」

 転校生が隼人に渡したのは可愛くラッピングされたお菓子。その大きさはささやかなお礼といった感じで、すごく気遣いのできる子というのがよくわかる。そのことに少しムッとしていると隼人から声がかかり、目はそらしたまま名前だけを言う。

「……藤山 萊。」
「萊はね、俺の親友だよ。」
「藤山君ね。私は萩田 朱美。」
「知ってる。」

「どうしたの、萊。
最近機嫌悪い……」
「別に。」

 隼人に困った顔をされても俺の声のトーンは戻らない。むすっとしたまま冷たく返せば転校生が笑い出した。

「ふふふっ、藤山君って可愛いね。
羨ましいよ。」
「笑うんじゃねーよ」

 羨ましいとか……羨ましいのはこっちだっつーの!
 しばらく笑った転校生は、最後に「また後で」と言い残して離れていった。
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