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4、もっちーのおしごと
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人には、それぞれ好みがある。
朝はパン派の人、ごはんに味噌汁派の人、コンビニ弁当派の人、なにも食べない人。
ぱっと考えられるのはそんなところだが、しかし中には朝からどどんとステーキ、という人もいたりする。
異性の好みも、つまりそういうことだ。
とにかく細くなくてはNGな人、でるとこ出てて欲しい人、マッチョ女子でなくてはイケない人。
――ドスコイがいい人。
ぽっちゃり、を超えてデブ、ももはや超えて、相撲取りレベルまできたら、さすがにその好みはレアなケースである。
私、もっちーはそのレアなケースの客を見つけなければならない、レアなケースの風俗嬢だ。
「お腹すいた……」
「ごはん……」
ホテヘル店『どす☆恋』の嬢たちの出勤は、この二言のみではじまる。
そして『どす☆恋』の嬢は他の風俗店と比べて、出勤率が圧倒的に高い。
なぜなら――
「はいはい、ご飯炊けてるよ~」
「鍋もあるよ~」
――ここには、ご飯があるから。それに尽きる。
「どけどけっ! あたしが先だ!」
「昨日指名つかなかった奴が先に食うとは何事か! ええい、どけい!」
「ひえ~」
小さな和室の部屋に、五人の相撲取り――ではなく、百キロ超えの女子たち。
私達は、まあ、信じられないであろうが、これでも男性とえっちなことしてご飯を食べている、ホテヘル嬢であった。
ちなみにわたくし、もっちーは、入店半年の新人で、後輩はいない。
百キロ級の嬢など、そうそう生まれないということだ。
需要はあるのかと言われると、ないわけではないが、やはりニッチである。
他の一般風俗店でも客足が遠のいている不況の中、私達はどうにかこうにか生きているというレベルだ。
それなのになぜあえて風俗をやるのかというと、やはり、ご飯が食べれるからかもしれない。
ダイエット?
無理無理! 死んでしまう!
ダイエットしてる隣で何かものを食われようもんなら、そいつを殺してでも奪って食べちゃいそう、あはは☆
まあこんな我慢もできない我らだから、自分で言ってしまうが、デブは性格悪いのが多い。
『どす☆恋』の嬢たちも例外ではなく、性格は悪いのだが、仲は良い。
仲間の悪口も影で言ったりするが、悪気はないし、お互い様だし、向かい合えば仲良しだ。
悪いところも認めあえる――そんな彼女たちを、私は家族のように思っている。
「もっちー! 肉、肉なくなる!」
「ちょ……! なんで全部食べちゃうの!? 早すぎだし! もっと鍋様に感謝して味わえ!」
――それはきっと、皆同じ思いだろう。
もっちー、こんやもおしごとがんばります。
朝はパン派の人、ごはんに味噌汁派の人、コンビニ弁当派の人、なにも食べない人。
ぱっと考えられるのはそんなところだが、しかし中には朝からどどんとステーキ、という人もいたりする。
異性の好みも、つまりそういうことだ。
とにかく細くなくてはNGな人、でるとこ出てて欲しい人、マッチョ女子でなくてはイケない人。
――ドスコイがいい人。
ぽっちゃり、を超えてデブ、ももはや超えて、相撲取りレベルまできたら、さすがにその好みはレアなケースである。
私、もっちーはそのレアなケースの客を見つけなければならない、レアなケースの風俗嬢だ。
「お腹すいた……」
「ごはん……」
ホテヘル店『どす☆恋』の嬢たちの出勤は、この二言のみではじまる。
そして『どす☆恋』の嬢は他の風俗店と比べて、出勤率が圧倒的に高い。
なぜなら――
「はいはい、ご飯炊けてるよ~」
「鍋もあるよ~」
――ここには、ご飯があるから。それに尽きる。
「どけどけっ! あたしが先だ!」
「昨日指名つかなかった奴が先に食うとは何事か! ええい、どけい!」
「ひえ~」
小さな和室の部屋に、五人の相撲取り――ではなく、百キロ超えの女子たち。
私達は、まあ、信じられないであろうが、これでも男性とえっちなことしてご飯を食べている、ホテヘル嬢であった。
ちなみにわたくし、もっちーは、入店半年の新人で、後輩はいない。
百キロ級の嬢など、そうそう生まれないということだ。
需要はあるのかと言われると、ないわけではないが、やはりニッチである。
他の一般風俗店でも客足が遠のいている不況の中、私達はどうにかこうにか生きているというレベルだ。
それなのになぜあえて風俗をやるのかというと、やはり、ご飯が食べれるからかもしれない。
ダイエット?
無理無理! 死んでしまう!
ダイエットしてる隣で何かものを食われようもんなら、そいつを殺してでも奪って食べちゃいそう、あはは☆
まあこんな我慢もできない我らだから、自分で言ってしまうが、デブは性格悪いのが多い。
『どす☆恋』の嬢たちも例外ではなく、性格は悪いのだが、仲は良い。
仲間の悪口も影で言ったりするが、悪気はないし、お互い様だし、向かい合えば仲良しだ。
悪いところも認めあえる――そんな彼女たちを、私は家族のように思っている。
「もっちー! 肉、肉なくなる!」
「ちょ……! なんで全部食べちゃうの!? 早すぎだし! もっと鍋様に感謝して味わえ!」
――それはきっと、皆同じ思いだろう。
もっちー、こんやもおしごとがんばります。
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みんなの感想(3件)
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深く話を掘り下げないのが逆に良いですね。
風俗というある種の異世界。そこをチラッと日常から覗き見る。
近いのか遠いのかという距離感が個人的には好きです。
面白かったです!
ちなみに風俗店って日本に存在しますかね?(あんま聞いたことないし)
風俗店って主に行為をする仕事なんですかね?行為に及んだらだめだと思うんですけど
俺が馬鹿なんでちょっと掴めませんでした
ただ気持ち発散させるために読んじゃってたんですいません
感想ありがとうです!
風俗店っていうのは存在しますよー。数えられないくらいにね!!(笑)私はレズ風俗に遊びにいきたいでs()
もちろん、最後までするのはだめです。セックスじゃなくて、あくまで「えっちなこと」なわけです、、、!!
リズミカルに読める文章だったので、いっきに読んじゃいました!これは体験している人にしか書けないだろう…内容だけに、僕自身もフーゾク業界で働いていた(もちろんスタッフとして!)経験があるから抵抗なく面白く読めました😀
続編、楽しみにしてます😊
感想ありがとうです!!
おほっ!? 元スタッフさんに読んで頂けるとは光栄です!!
いやぁ、この経験はトテモ貴重なので、全力で生かしていきたいと思ってます(笑)
関係者の人たちには刺さる内容かなぁって、ドキドキしてたので、反応もらえて嬉しいです!