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第4章
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しおりを挟む文化祭と後夜祭が終わって、それからクラスのみんなで打ち上げをして、家路に着く頃にはすっかり陽は山の向こう側に落ちていた。
腕時計を確認しながら歩いていると、見上げた空の先に赤い提灯の光が滲む。
綺瀬くんのことを思い出すが、うちの門限は八時だ。今日はもう寄り道をしている時間はない。
綺瀬くんは今頃、なにをしているだろう。あの広場にいるのだろうか……。
ふぅ、と息を吐く。
綺瀬くんのことを思うだけで、不思議と強ばっていた心がほどけていく気がする。
まさか、文化祭の今日会えるだなんて思わなかった。
……一緒に回れたら楽しかっただろうな。わざわざ会いに来てくれただけでも贅沢なのに、もう少し話したかったなんて思ってしまうのは、わがままだろうか。
朝香を紹介したかったなんて言ったら、笑われるだろうか。
でも、朝香と友達になれたのも、歩果ちゃんと琴音ちゃんが仲直りできたのも、ふたりと友達になれたのも、ぜんぶ綺瀬くんのおかげだ。
だからだろうか。
綺瀬くんには、今日あったできごとを、なんでも話したくなってしまうのだ。
明日、会いに行くときには冷たい飲み物でも買って行こう。
そんなことを思いながら、私は家路を急いだ。
***
文化祭が無事幕を閉じた、十月の初め。
衣替えをしたといえど、まだまだ陽は高くて暑い日が続いている。日中は暑くてブレザーは着ていられないので、私は今のところ登下校時以外では長袖シャツにリボンだけの格好でいる。
それにしても朝から暑いなと思いながら、片手をうちわ代わりにして文庫本のページをめくっていると、教室に先生が入ってきた。
いつものようにホームルームが始まり、私は机に頬杖をついたまま、窓の外の中庭へ視線を流した。
つむじ風が色褪せた落ち葉を巻き上げて、小さな嵐を起こしている。
「榛名」
秋風と落ち葉の軽やかなピルエットを眺めていると、不意に名前を呼ばれて我に返る。教卓を見ると、先生が手招きをしていた。
「悪いんだが、昼休み、お昼食べ終わったらでいいから、ちょっと職員室に来てくれるか」
「あ、はい」
呼び出しだ。なんだろう。
課題はちゃんとやっているし、思い当たる節がない。
私は朝香と顔を見合わせ、首を傾げた。
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