悪役女王、役を全うしようとしてるのに溺愛されてます 〜鏡よ鏡、ちょっと黙ってくれないか?〜

うまうま

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6-3.狂おしいほど愛されて★

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首すじから鎖骨、胸元へ。
ひとつひとつ、確かめるように。
熱を残してゆくその唇に、息が詰まりそうになる。

 

「……もっと、あなたの奥へ…触れたい」

 

低く、蕩けるような甘い囁きに息を呑む。

拒めるはずもなかった。

 

ドレスの裾が、そっとめくられていく。

空気が素肌を撫で、私は反射的に膝を閉じた。



「もっと、見せてください……」

 

やさしく脚を開かれた瞬間、空気が触れただけでぴくんとふるえた。

指先が、ゆっくりと太腿をなぞってくる。
触れているのかいないのか、鳥の羽みたいな感触。


けれど──
胎内が、きゅんと疼く。

 

「……こんなに美しくて、淫らで…
すべてが、愛おしくてたまりません」

 

囁きとともに落ちた吐息が、恥ずかしいところのすぐそばに触れる。


指先が、触れそうで触れない距離を、ゆっくりと、焦らすようになぞって──

 

「やっ……そこ、いや、くすぐった……っ」

 

芯には、まだ触れない。

すぐ近くをくるくると円を描くように撫でられて、
身体の奥から、じわりとにじみ始める。

 

「……"いや"? 本当ですか? こんなに濡れてるのに」

 

濡れた音が、いやらしく響いた。

指が濡れた蜜をすくって、硬くなってきた芯をつっとなぞる。

 

「ん……っ、やぁっ、そこは……っ」

 

芯を指がかすめた瞬間、電流のような刺激が駆けめぐる。
逃げたいのに、脚から力が抜けてゆく。



「この可愛い"宝石"、こんなに硬くなって……"もっと触れて"と言わんばかりです」



彼は囁きながら、焦らすようにまた芯――"宝石"のまわりをぬるぬると撫でる。


……恥ずかしい。
もっと、"そこ"を触ってほしいと思っちゃったなんて……



「ふ、ふ……反応まで可愛らしい……誰にも触れさせなかった場所、私には許してくださるんですね」

「……もうっ、……ん、んん……!」



顔が熱くなる。
腰が勝手に動く。


彼の目に、やさしさと――
独占欲のような光が走った。



「ヒルデさま……どこに、触れてほしいですか?」

「……っ、!」

「本当は、もっと触れてほしいところが……あるのでしょう?」



彼の指は愛撫をやめない。
どこまでもやさしい声で、そんなことを訊く。



「やだ…そんな……っ」

「どうか教えてください、愛しいヒルデさま」

「ん…っ、やっ、ずるい、わ……っ」



時折、羽のように指が"そこ"をかすめるたび、骨盤に電流が突き抜ける。


ほしい。
もっと、そこ…触って――!

悪役といえど、女王の私が……
そんなはしたないことを願うなんて……!


私が言いよどむ間にも、焦らす指は止まらない。



「んっ、ん……! ひどいわ…っ、いじ、わる……っ」

「……お許しを。あなたのそのお顔、たまらないのです」



こんなに意地悪なのに。
声も、私の頬を撫でる手も、こんなにも……やさしくて。



「………さわって、ほしい……」

「どこを…です? 愛しい女王さま」

「そこっ、しびれる、ところ……っ」



彼の瞳が、鋭く光る。
捕まえた、とでも言うように。



「ここ……ですか?」

「ひあ……っ、そこ……っ!」



指先でトン…とやさしく触れられただけで、また恥ずかしいほど脚の間が熱くなる。

そのまま、そっと弾くように、何度も、何度もそこを撫でられる。



「それっ、おかしくっ……なりそうなの……っ」



恥ずかしいほど硬く膨らんだそこを弾かれ、撫でられ、つままれて。
恥じらいも忘れて蕩けそうになる。



「いけませんね。そんな可愛らしいお声で啼いて……
歯止めが利かなくなりそうです」

「はっ……、なにか、きちゃう………っ」



身体の奥から、なにかがこみ上げてくる。
恥ずかしいところから、あふれて、出てきてしまいそうな……


彼はすっと目を細め、私の太ももを抱え直す。




そして──



「……あなたの綺麗でいやらしい姿……もっと、魅せてください」

 

彼が、私の脚の間に顔を伏せた。



「えっ、まって、そんなとこ――」



じゅるっ、と音を立てて、舌が秘部を割るように這い、芯をとらえる。

 

「ひぁ……っ、あ、あああっ……!」

 

舌先でころがされるたび、甘い電流が脳まで走る。

そんなところを舐められて、吸われて、なぞられて──

呼吸も、声も、思考さえも奪われていく。

 

「そんな……だめ、だめっ、壊れちゃう……!」

 

思わず、彼の煙のような髪をつかむ。
けれど彼はやめない。
私の反応に味をしめたように、執拗にそこを責め立てる。

脚を閉じられないよう押さえつけて、じっくり私を味わうように、何度も、舌を差し入れてきて──

 

「ぁ……ああっ、ん、もっ、だめ……っ、なんか、きちゃう……!」

 

ざらざらして熱い舌が芯を撫でるたび、腰が勝手に浮いてしまう。

 

「……もっと啼いてください。あなたの美しいところも、恥ずかしいところも、ぜんぶ……見たい」



太ももに腕を絡められ、ぐぐっと押さえつけられて……

芯を唇ではまれ、吸われて、舌が執拗にそこを這う。



「やだっ、そこ……そこばっかり……!」



胎内から、なにかがあふれ出しそうな感覚にパニックになる。
逃げ腰を打とうとしても、力強く捕まえられてて動けない。



「ねえ、もう、……っ、なにか、出ちゃ……っ、はな、して……!」



私をさらに追い詰めるように、
じゅるっ、ちゅうっ……と、さらに音を立てて舐められ、吸われ、表面の粘膜まで指でくすぐられて。



「あなたのここから、恥ずかしい蜜が出るところ……魅せてください」



ちろ、ちろ……
芯と出口を交互に舐められ、指でくすぐられて。

彼の声に、指、舌に、すべてをかき乱されて──


私は濡れた音を響かせながら、果てのない波にのまれていく。



「あ──っ、やだ……っ、いやぁっ、あああ……っ!」

 

熱が一気にせりあがって、視界が真っ白に染まる。



「だめっ、だめぇ……ぁ…!」



身体の奥が、波打つように痙攣して──

ビクン、と腰が跳ねた瞬間。
こみ上げる快感に、息すらできなくなる。

脚の間から、あふれる蜜がとろとろと流れ落ちていく。

 

胸が、胎内が、きゅっと疼く。

気持ちいい。
うれしい。  
……苦しい。  

愛されるって、こんなにも。




「もう、だめ……私までっ、あなたが、欲しくなっちゃうから……」

 

息を弾ませ、やっとの思いで紡いだその言葉に、彼はそっと頷いた。



「もっと、欲しがってください……女王さま」



唇が肌をなぞりながら、少しずつ、上へと戻ってくる。

 

白く光る目と、ふたたび目が合ったとき——

 

「……あなたと、ひとつになりたい」

「ええ……」



私がうなずくと、彼の影のような身体が、そっと私を包み込んだ。


身体が、ゆっくりと重なる。


熱と熱が重なって、私は……

心の奥深くまで、満たされていった。

 


全身が熱くて、胸の奥がぎゅっと甘く締め付けられて――

それだけでまた、涙が出そうになった。



彼の腕の中、私はようやく気づいた――ううん。認めた。

私は悪役じゃなく、ひとりの女として愛されていたことを。





認めるのが、怖かった。

女として愛されたら、悪役になんか戻れなくなるから。

そしてその幸福も、いずれ終わると分かっているから――


なのに、皮肉ね。
筋書きにはないぬくもりに、すでにこんなにも溺れてるんだから。




――パリィ……




凍った湖面が、静かに割れていくような音が聞こえた。


鏡に、小さなヒビが入っていた。

まるで悲鳴をあげるように。
何かの代償であるように。
 



このとき、私は気づけなかった。

その亀裂が、物語を修正する"予兆"であることを。


そして……


彼の"覚悟"であることを。




* *


筋書きにない交わりを終えたあと。


私はあたたかい腕の中でまどろんでいた。
微熱を帯びた胸元から、彼の鼓動が耳をくすぐる。


……しあわせだわ。
この時間が永遠につづけばいいのに。

――なんて、思ってしまうほどに。


でも。



「……ねえ、そろそろ……」

 

ぽつりとつぶやくと、あたたかい指が私の頬をなぞる。

 

「ええ……もう、鏡へ戻る時間のようです」

「……そうね」

 

彼は鏡――
こちらの世界にとどまれる時間は限られている。

さらに、力を使った代償か……
一度鏡の外に出ると、魔法の鏡はしばらく"ただの鏡"になる。



「……せめて、朝日が差すまで……」



名残惜しげに、あたたかい手が私の髪を撫でる。



今この瞬間が、夢でもうつつでも。
もうどちらでもよかった。

彼の腕の中、私はおとぎ話のヒロインのように甘えた。

唇を重ねるたび、胸に秘めてた言葉が漏れる。



「こんなに愛されてしまったら……
もう、悪役になんて戻れないわ」



彼は何も言わずに抱きしめる。
やさしく、強く、壊れそうなほどに。

 

「だから、お願い……これ以上、情を移さないで。
あなたは、私に叩き割られる運命なのよ」

 

彼の手が、一瞬止まる。
静かに、額へ口づけが落とされた。



「それでも、あなたを愛しています。ヒルデさま……」



切ない囁きが、朝焼けに溶けてゆく。

そして——

 

ふわり、と彼の身体が淡く揺らぎ、私の頬を撫でながら、光の粒となって消えていった。



黒く濁った鏡には、彼の気配も映らなかった。


まぶしい朝日が照らす中。
私はひとりになった。





 




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