神を従えし者たち

第５章 Φως διάσωσης από την απελπισία είναι ένα ψέμα

第8話 アダムとエバ

「アダム？それって、楽園を追放された人間だよな？」

正確には知恵の実を食したことにより今で言う人間の本能のようなものが身につき、不死ではなくなった。

「そう。君はそのアダムの生まれ変わりだよ。」

「へぇ、君が彼の生まれ変わりだったんだ。そんな雰囲気はあったけどさ。」

「お前はアダムに会ったことあるのか？」

「そりゃ勿論。こんだけ長く生きてれば出会ったことくらいあるさ。」

リベルはしかし、と付け加える。

「創世記は間違った伝承が伝わっている。アダムが追放されたのは、知恵の実を食べたからではない。」

どういうことだ？それが理由じゃなければ追放される意味が分からん。

「彼は元々人間だった。だから知恵の実を食べたからと言ってお咎め無しのはず。しかし、彼は強すぎた。神をも遥か凌駕する程に。」

「それで俺は追放されたのか？厄介祓いで。」

「もうひとつある。それが決定打になった。」

「それは？」

「イブ、正確にはエバと恋に落ちた。それが原因。」

「それだけか？」

とんだ拍子抜けだな。それだけで追放されたのかよ。

「元々、エバは人間じゃない。神の子だった。しかし、エバはアダムと暮らすため知恵の実を食べた。結果追放された。」

「なぜ殺さなかった？」

「別に殺さなかったわけじゃない。殺せなかった。強すぎるが上に。だから追放という形になった。」

これはまたまた現実離れしすぎてついていけないな。

「君に有力情報。マギカの祖先にして、今から起こる戦争を起こす人物は君の身近な人。気をつけてね？」







「これから起こる戦争。俺はどうすればいい？」

「君1人では止められない。だから、友を信じて。」

「あぁ、ありがとう。」

ではそろそろ帰るとするか。マギカの起源についても少しは情報入ったしな。

「出口はどこだ？」

「ん、そこ。」

そこには魔法陣があった。転移魔法か。

「じゃあな。」





「よし。お前はどうする？」

「僕は君について行くさ。君と一緒なら何かと楽しそうだ。」

「私もついて行く。」

「あぁ、そうかそう、か・・・ってなんでお前がここにいるんだ！？」

「間が開きすぎ。動揺しすぎ。」

「うるせー！」

「君と一緒なら楽しそう。たまには運動も必要。」

無表情なのにすごくやる気があるのが分かる。

「まぁいいか。」

ここで1つ聞いてなかったことがあるのを思い出す。

「なぁ、エバはどうなったんだ？」

すると、リベルは動揺し始め、仕方なくといったふうに話し始める。

「エバは、アダムの死後2000年生きて、死んだ。」

「そう、なのか。」

「だけど転生した。現代に。」

「なら会えるのか！？」

「・・・ん。」

「そっかー。」

会ってみたいな。エバに。せめて、記憶を思い出してから。

（君は、彼女と出会うことで、きっと壊れてしまうだろう。私は君を止めることは多分できない。）

リベルがこの事実を伝えた事を後悔していることに俺は、気づかなかった。そして、俺は聞かなきゃよかった、知らなきゃよかったと後悔するのだ。