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組織の調査1
鑑定士
中央にある噴水広場の近くには大きな公園があった。
散歩やジョギングができる歩道や、子供が遊べる遊具が置いてある広場も近くにある。
私とヒサメは比較的に人が少なくて静かな椅子に座ることにした。
「ミーカ殿が関わった悪魔の儀式はドクヘビと関連性が高いと考えている。そうすると、かなり以前から悪魔の儀式が行われていることになるな。ミーカ殿は考えすぎだと言っていたが、おそらく彼女の考察は合っている。ミーカ殿の夫は、人魚の魔力のために殺されたということだ」
ミーカはその考えを否定したかったのだろう。
当然だ、自分の魔力を目的として殺された。
自分の大切な人だったばかりに殺された。
海に戻る選択をできなかった、若かったから。それは後悔の言葉に聞こえたのだ。
「だとしたらやはり、旦那さんを殺した犯人は操られていて最後は毒を自分で飲まされたということになりますね。先日のクレタさんのように。」
そう考えれば辻褄は合う。
「奴らは人を操る闇魔法と幻覚を見せる闇魔法を持っていることになる。一人なのか複数なのかは分からないが。それに鑑定士と同等の力を有しているということだろう。相手の魔力の高さを見極め、捧げる相手として選んでいたと推測できる。」
「鑑定士と同等、というのはどういう意味ですか。鑑定士がいるってことなのでは?」
「鑑定士は国家資格なんだ。だからその資格を有する者は国が把握していなければならない。つまり、名前が登録されるってことだ。その中にいないとは断言できないが、身を隠している組織が名前を登録しているとは考えにくい。知っているとは思うがシグレも登録されているぞ。」
それを聞いて私は鑑定士がどういうものなのかよく分かっていないことに気づく。
「あの、ヒサメ様。申し訳ないのですが、鑑定士について教えて頂けないでしょうか。今まで鑑定士は何かの魔法だと思っていたのですが違うのでしょうか。」
私がおそるおそる尋ねるとヒサメは嫌な顔を一つせず、説明を始めた。
「魔法とは少し違うな。鑑定士というのは、相手を見てどんな魔法を有しているのか見分けたり、魔力の量を見極めたりすることができる。鑑定士になるためには魔力コントロールと勉強が必要だ。見る力を強化するために魔力をコントロールする。その魔力を一時的に視覚に集中させることによって、相手の魔力を見ることが出来るようになる。そしてその見かたを勉強すれば、魔力量が多いとか、どんな種類の魔法を使うことができるのか分かるようになる。自然魔法と違って闇魔法の種類は1000を越えているだろうから、それを覚えるのも大変だ。」
ということは一応誰でも鑑定士になれる可能性はあるのか。
いや、国家資格ということはそれだけ難易度が高いということだ。
現代で言う弁護士になるとかの難しさかもしれない。
「そして、鑑定という行為は鑑定士の資格を有するものしかしてはいけない決まりだ。まぁ、そんなに簡単にできるものでもないんだが。稀に悪用されることもあるというのが、今回の話でよく分かる」
確かに、鑑定が使える人からしてみれば相手の個人情報が筒抜けという状態だ。
それが悪い者の手にあるならばいくらでも使い道はある。
「でも、鑑定士ではないのに鑑定を使おうとする人はたくさんいるんじゃないですか?かなり便利な能力ですよね。」
「いるだろうな。リビ殿の世界にも決まりを守らない人間はいたんじゃないか?」
そう言われて私は一番に車の免許を思い出す。
鑑定士ではないのに鑑定を行う行為は、無免許運転ということか。
「決まりやルールは、守る者がいてはじめて成立する。誰もそれを守らないのなら国家資格など無いのと同じだ。それを守る者が多くいることによって世界は秩序を保たれる。そういうものではないか?」
「そうですね。自分がいた世界に置き換えれば当たり前のことでした、すみません。」
「分かりやすく自分なりにかみ砕くことも重要だ。学び方は人それぞれ、納得の仕方も十人十色だろう。疑問を持つことも大切だからな、そうやって一つ一つ理解していくことで何かしらの答えは見つかるものだ。人とは違う答えだとしてもな」
ヒサメの授業はいつもこちらに合わせて話してくれて分かりやすい。
さすが、子供たちに勉強を教えていた先生だ。
「この世界における国家資格は正式な試験を受けて、面接を受けて、犯歴や経歴を確認される。その全てを合格することによって、その資格を有することを許可される。定期的に試験が行われ、それに合格し続けないと資格をはく奪される。もちろん、悪用がバレればはく奪された上監獄行き、もう一度その資格を取ることは困難とされている。」
国家資格というだけあって厳しい決まりが設けられている。
やはり、ドクヘビがわざわざ資格を取っているとは考えにくいか。
「資格なしの鑑定行為は犯罪とみなされ投獄されるということですね。ドクヘビはそれをバレることなくやってのけているということになりますが、可能なんですか?」
「可能だな。結局は注視して確認せねば鑑定を行っているか否かは分からない。それにどこからが違反行為になるか、という点も重要だ。例えばだが、オレも多少は鑑定をすることができる。リビ殿が今、どの程度の魔力量を有しているのか、どのくらいの魔法が使えるか、なんとなくだが察することはできる。だが、オレは鑑定士の資格を有していないため、シグレのように専門的な指導をすることはできない。あくまで、一般常識やオレの魔法の使い方を踏まえてのアドバイス程度だ。まぁ、これはオレの認識だが、鑑定を利用し他者に対して不利益を被る発言行動をした場合が違反ということになる」
私はヒサメの話を聞きながら、現代に置き換えて考えてみる。
確かに、現代でも他者が迷惑を被ったか、というのが大きい気がする。
示談に持ち込んだり、不起訴になったりするのはそのせいだ。
それに、物的証拠がない場合は逮捕できないこともある。
疑わしきは罰せず、という言葉があるようにその違反行為が明らかでない場合はどうすることもできない。
警察はなんとしてでも犯人を捕まえるため、地道に物的証拠を集め、相手が言い逃れできないように慎重にことを進める必要がある。
その警察の手から逃れようとする犯罪者の方が、何故か有利になることすらあるということだ。
この世界も、現代も、変わらないものだな。
そう思いつつも、この世界には明らかに私の世界にはないものがあった。
それによって私は自分のいた世界とこの世界がまるっきり違うもののように思えていたのだった。
散歩やジョギングができる歩道や、子供が遊べる遊具が置いてある広場も近くにある。
私とヒサメは比較的に人が少なくて静かな椅子に座ることにした。
「ミーカ殿が関わった悪魔の儀式はドクヘビと関連性が高いと考えている。そうすると、かなり以前から悪魔の儀式が行われていることになるな。ミーカ殿は考えすぎだと言っていたが、おそらく彼女の考察は合っている。ミーカ殿の夫は、人魚の魔力のために殺されたということだ」
ミーカはその考えを否定したかったのだろう。
当然だ、自分の魔力を目的として殺された。
自分の大切な人だったばかりに殺された。
海に戻る選択をできなかった、若かったから。それは後悔の言葉に聞こえたのだ。
「だとしたらやはり、旦那さんを殺した犯人は操られていて最後は毒を自分で飲まされたということになりますね。先日のクレタさんのように。」
そう考えれば辻褄は合う。
「奴らは人を操る闇魔法と幻覚を見せる闇魔法を持っていることになる。一人なのか複数なのかは分からないが。それに鑑定士と同等の力を有しているということだろう。相手の魔力の高さを見極め、捧げる相手として選んでいたと推測できる。」
「鑑定士と同等、というのはどういう意味ですか。鑑定士がいるってことなのでは?」
「鑑定士は国家資格なんだ。だからその資格を有する者は国が把握していなければならない。つまり、名前が登録されるってことだ。その中にいないとは断言できないが、身を隠している組織が名前を登録しているとは考えにくい。知っているとは思うがシグレも登録されているぞ。」
それを聞いて私は鑑定士がどういうものなのかよく分かっていないことに気づく。
「あの、ヒサメ様。申し訳ないのですが、鑑定士について教えて頂けないでしょうか。今まで鑑定士は何かの魔法だと思っていたのですが違うのでしょうか。」
私がおそるおそる尋ねるとヒサメは嫌な顔を一つせず、説明を始めた。
「魔法とは少し違うな。鑑定士というのは、相手を見てどんな魔法を有しているのか見分けたり、魔力の量を見極めたりすることができる。鑑定士になるためには魔力コントロールと勉強が必要だ。見る力を強化するために魔力をコントロールする。その魔力を一時的に視覚に集中させることによって、相手の魔力を見ることが出来るようになる。そしてその見かたを勉強すれば、魔力量が多いとか、どんな種類の魔法を使うことができるのか分かるようになる。自然魔法と違って闇魔法の種類は1000を越えているだろうから、それを覚えるのも大変だ。」
ということは一応誰でも鑑定士になれる可能性はあるのか。
いや、国家資格ということはそれだけ難易度が高いということだ。
現代で言う弁護士になるとかの難しさかもしれない。
「そして、鑑定という行為は鑑定士の資格を有するものしかしてはいけない決まりだ。まぁ、そんなに簡単にできるものでもないんだが。稀に悪用されることもあるというのが、今回の話でよく分かる」
確かに、鑑定が使える人からしてみれば相手の個人情報が筒抜けという状態だ。
それが悪い者の手にあるならばいくらでも使い道はある。
「でも、鑑定士ではないのに鑑定を使おうとする人はたくさんいるんじゃないですか?かなり便利な能力ですよね。」
「いるだろうな。リビ殿の世界にも決まりを守らない人間はいたんじゃないか?」
そう言われて私は一番に車の免許を思い出す。
鑑定士ではないのに鑑定を行う行為は、無免許運転ということか。
「決まりやルールは、守る者がいてはじめて成立する。誰もそれを守らないのなら国家資格など無いのと同じだ。それを守る者が多くいることによって世界は秩序を保たれる。そういうものではないか?」
「そうですね。自分がいた世界に置き換えれば当たり前のことでした、すみません。」
「分かりやすく自分なりにかみ砕くことも重要だ。学び方は人それぞれ、納得の仕方も十人十色だろう。疑問を持つことも大切だからな、そうやって一つ一つ理解していくことで何かしらの答えは見つかるものだ。人とは違う答えだとしてもな」
ヒサメの授業はいつもこちらに合わせて話してくれて分かりやすい。
さすが、子供たちに勉強を教えていた先生だ。
「この世界における国家資格は正式な試験を受けて、面接を受けて、犯歴や経歴を確認される。その全てを合格することによって、その資格を有することを許可される。定期的に試験が行われ、それに合格し続けないと資格をはく奪される。もちろん、悪用がバレればはく奪された上監獄行き、もう一度その資格を取ることは困難とされている。」
国家資格というだけあって厳しい決まりが設けられている。
やはり、ドクヘビがわざわざ資格を取っているとは考えにくいか。
「資格なしの鑑定行為は犯罪とみなされ投獄されるということですね。ドクヘビはそれをバレることなくやってのけているということになりますが、可能なんですか?」
「可能だな。結局は注視して確認せねば鑑定を行っているか否かは分からない。それにどこからが違反行為になるか、という点も重要だ。例えばだが、オレも多少は鑑定をすることができる。リビ殿が今、どの程度の魔力量を有しているのか、どのくらいの魔法が使えるか、なんとなくだが察することはできる。だが、オレは鑑定士の資格を有していないため、シグレのように専門的な指導をすることはできない。あくまで、一般常識やオレの魔法の使い方を踏まえてのアドバイス程度だ。まぁ、これはオレの認識だが、鑑定を利用し他者に対して不利益を被る発言行動をした場合が違反ということになる」
私はヒサメの話を聞きながら、現代に置き換えて考えてみる。
確かに、現代でも他者が迷惑を被ったか、というのが大きい気がする。
示談に持ち込んだり、不起訴になったりするのはそのせいだ。
それに、物的証拠がない場合は逮捕できないこともある。
疑わしきは罰せず、という言葉があるようにその違反行為が明らかでない場合はどうすることもできない。
警察はなんとしてでも犯人を捕まえるため、地道に物的証拠を集め、相手が言い逃れできないように慎重にことを進める必要がある。
その警察の手から逃れようとする犯罪者の方が、何故か有利になることすらあるということだ。
この世界も、現代も、変わらないものだな。
そう思いつつも、この世界には明らかに私の世界にはないものがあった。
それによって私は自分のいた世界とこの世界がまるっきり違うもののように思えていたのだった。
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*他サイトでの初投稿作品を改稿したものです。