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太陽の神
誓約
誓約を守ること以外はどうでもいい。
そう言い切った太陽の神は、何かを吹っ切ったように微笑んだ。
『何故抗うのか理解できません。この世界があり続けるためには誓約を守るしかないのですよ。それは神でも、下界の者でも同じです。そう、平等なんですよ。』
「それって平等ですか?誓約のせいで皆神について知ることを許されない、記憶の改竄で正しい歴史さえ伝わっていない。そのせいで犠牲になる命があるのに、誰もそれを知ることはない。記憶を変えて無理やり平等を作り出そうとしているから矛盾が生じるんです。本当に平等がいいなら、堕ちることも、太陽の神の存在も、何もかも包み隠さず、記憶も消すべきではない。でも、そうしないのは神様側が不利だからでは?」
私の問いかけに太陽の神は天を仰ぐ。
『言ったはずです、全ては均衡を保つためだと。そのためにありとあらゆる手を尽くしてきたのに、それを壊そうとするのはいつも人間なのですよ。私たち神に不利有利など存在しない。あるのはただ、世界が崩壊しないようにすることだけなのです。魔法陣を与えたのも、記憶の改竄も、神の詳細を知らせないのも、その方が崩れにくいというだけの話なのです。どちらかといえばその方が良い、というのを選んできた結果です。それしか選べないのなら、そうするしかないのです。』
「本当にそれが最善だったのでしょうか。堕ちる悪魔の存在が伝わっていれば、封印のことが伝わっていればもっと犠牲者は少なく済んだはずなのでは。」
『堕ちた悪魔を見分けることはできません。彼らを鑑定したところで闇魔法を持った人間と変わらない。寿命が長いことや容姿が変わらないこと。殺してみて殺せないなら堕ちた悪魔、という判断はできるでしょうね。そうなれば、闇魔法の人間はとりあえず殺してみようということになります。それって、実際に起こっていますよね。記憶を消しているのに、闇魔法の人間は処刑の対象にされてきた。私が記憶を改竄してもしなくても、人間はそうなるんです。ですが、今処刑が撤廃されているのは私が記憶を改竄していたおかげとも言えます。世界がより良い方向に進むように少しずつ記憶を変えていく。勘違いしているかもしれませんが、私の記憶魔法は下界の人間の記憶を好き勝手に変えることが出来る魔法ではないのですよ。誓約に基づいた上で、記憶を消したり繋げたりするものです。』
闇魔法の人間の処刑は共通言語を話せないことと、闇魔法という強い魔法を恐れたことによって起こった悲劇だ。
太陽の神の言葉を全て信じるなら、加護を与えなかった場合もっと大変なことが起こっていたということになる。
そして、神について知れば知るほど、人々が争う原因になってしまう可能性があるということだ。
人々の争いの原因なんて、いくらでも生み出すことは可能だ。
それを一つずつ阻止することができないのはは理解できる。
だからこそ、大きな力が必要なこともあった。
ブルームーンドラゴンが戦争を止めたように、太陽の神にとってその方法が記憶操作の魔法しかなかったということだろうか。
そして、太陽の神の記憶操作の魔法は思っていたよりも制限があるのかもしれない。
『何事も、一気に解決できるなんてことはないのです。少しずつ改善を繰り返すことでより良くしていくしかない。この世界で戦争など起こっておらず、全人類は皆仲が良いなんて記憶を植えられたとして。それってこれから戦争が起こらないことにはならないでしょう?人間は些細なことで綻んで、ボロボロと関係が崩れていく。ああ、こんなこと、ガラクタと同じことを言う羽目になるなんて屈辱ですよ。ですが、現実そうなってしまう。それならば、一番被害が少ない方法を取るのは当然ではないですか。獣人王と聖女の二人の命で済んだ封印という歴史がある。一人で戦い抜いた英雄がいる歴史がある。全てを犠牲にしても、世界を守ろうとしてくれた人間たちの歴史がある。それを、誰も覚えていなくても世界の均衡を保つためにやり遂げてくれた下界の者を私だけは覚えています。』
誰も知らない歴史がこれまでにもたくさんある。
それを太陽の神だけは見続けてきたということだろう。
「気に掛けてはいけないのに、何一つ忘れてはいないんですね。」
『記憶を司る魔法を持つ私自身は忘れることが出来ない、というだけの話です。』
「そうだとしても、彼らの本当の最期を知っているのはあなただけなはずです。それを見届け続けてきた太陽の神ならば、どうしなければならないか分かるのではないですか。」
私を見下ろす太陽の神の瞳は、初めて揺らいだように見えた。
その時、大きな衝撃音が響く。
アヴィシャが教会の壁を素手で壊し、穴が空いているのが見えた。
「ねぇ、いい加減にしてよ。どうでもいい話ぐだぐだ続けてさ!!私に誓約なんて関係ないから、世界が崩れるのが嫌なら魂返してって言ってんだよ。」
アヴィシャの空けた穴のせいで教会は崩れそうになっていた。
ガラガラと屋根が崩れ始め、その空いた穴からヒカルが見えた。
「今聖女が死んだら太陽の神は消えちゃうかな。でもさ、魂を返してくれる気が無いなら話してるだけ無駄。さっさと封印の結界壊して、他の奴ら殺して回る方が楽しいよね。たくさん殺した後、世界が崩れるギリギリのところでもう一度太陽の神を呼ぶからさ。その時、答え聞かせてよ。」
アヴィシャがもう一度手を振り上げた。
私がいる距離からはヒカルを救えない。
私はアヴィシャに手を翳していた。
間に合わない、魔力も少ない、それでもやらないと。
アシャレラが私の腕を掴んでも、私はその手を下げなかった。
「リビちゃん、魔力が尽きるから駄目だ!!」
「そんなことどうでもいい!!」
私が叫んだ瞬間、アヴィシャの拳が教会の壁を破壊した。
壁が崩れる、ヒカルが教会に押しつぶされる。
手を伸ばした私の目には、壁が崩れる寸前で氷漬けになった教会が映った。
「キュ!!」
後ろから聞こえたその声で、私は振り返って抱きしめた。
「ソラ、助かった、ありがとう。」
「キュキュ!」
氷漬けになった教会は崩れることなく、中にいたヒカルもそのままだ。
アヴィシャが何度もその氷を殴るが、分厚い氷はすぐには壊れてくれない。
「ああ、やっぱり殺しておくべきだった。ブルームーンドラゴンなんて。」
そうして振り返ったアヴィシャが次の瞬間、私とソラの目の前にいて。
私がソラの前に出たそのとき。
『これ以上成り下がればガラクタどころではありませんよ、アヴィシャ。』
太陽の神の声によって、アヴィシャの動きがピタリと止まる。
彼の手は私の首を掴む寸前だった。
アシャレラが私の肩を引いていなければ掴まれて、首の骨を折られていただろう。
「あんたが作ったガラクタが世界を壊すのは流石に見てられないよな神様。」
『そうですね、私がしなければならないのは一つだったのかもしれません。死ぬことをどうでもいいのだと叫べる貴女に気づかされるなんて、神失格でした。』
太陽の神はそう呟くと、両手を胸の前に差し出した。
水を掬うように両手を合わせると、その手のひらの上に小さな光が見えた。
その小さな光は太陽の神の手を離れて、ゆっくりと下りていく。
そうしてその光は、アヴィシャの胸の、体の中へと入っていく。
「ハハ、ハハハハ、やった、私の魂、返ってきたんだ!!これでようやく、私はちゃんと上手く生きて・・・!!!」
アヴィシャの口から滴っていたのは赤い血だった。
ボタボタと落ちていく血液は、尋常ではない量だ。
ソラが私の手をぎゅっと握るので、私も握り返す。
ソラにもそれが、救えないものだと気付いているのだろう。
アヴィシャの胸に突き刺さった黒い鋭いものは、太陽の神の手自身だった。
『魂を戻したアヴィシャはもう堕ちた悪魔ではありません。下界の住人になったアヴィシャを魂ごと貫きました。失敗作を作った責任を取って、私自身の手で廃棄します。』
「な、なに言ってるんだよ、神が、神様が、直接手を下せるわけが・・・っ!!」
咳き込む度に、ひゅーひゅーと肺の音がする。
立っていることもできないアヴィシャは地面に伏して、それでも胸には黒い手が刺さったまま。
『神自身が下界の者を気に掛けてはならない。最初で最後に気に掛けるのが、ガラクタの貴方だなんて皮肉ですね。いいえ、貴方は私自身なのですから、結局私に他人を気に掛けることは出来なかったということでしょう。』
「ふざけるな・・・あんたが好きに生きろって言ったくせに、ふざけるなよ・・・っ!!」
『記憶を引き継いでいるなんて知らなかったからかけた言葉です。その頃は私も、愛し子と思っていたかもしれないですね。』
倒れたアヴィシャの体からは大量の血が流れていく。
堕ちた悪魔であるシュマたちは塵となって消えたのに、アヴィシャの体は消えることはない。
「ハハ、嘘つけよ・・・心なんてないだろ、あんたに。」
『そうでしたね。それでも、アヴィシャを忘れたことは一度もありませんでした。』
アヴィシャの目は、既に光を失っていた。
太陽の神の言葉をアヴィシャが聞いたかどうか、もう分からない。
息絶えたその体から引き抜かれた黒い手は徐々に透けているように見えた。
『下界の者を気にかけた私は堕ちることになります。つまり、アヴィシャの魔法のスイッチである私が堕ちれば、もはやアヴィシャの魔法は発動することが無いってことです。』
アヴィシャの魔法は、太陽の神と連動していた。
その連動は魔法陣によって上界と下界が繋がっていたことにより、加護のある国の者が暴走してしまっていた。
太陽の神が堕ちてしまえば、魔法陣を介して繋がっていた連動は切れてしまうということだ。
「太陽の神はいなくなるということですか?」
『まさか。私が堕ちれば代わりの太陽の神が現れるでしょう。誰であろうと、代わりはいくらでもいるのです。その役目が必要なのであれば、誰かがその役目を果たすことになる。そういうものでしょう。』
そうして太陽の神は両手を胸の前へと差し出した。
『時間がありません。私が堕ちる前に、貴女の魂を返しましょう。』
そう言い切った太陽の神は、何かを吹っ切ったように微笑んだ。
『何故抗うのか理解できません。この世界があり続けるためには誓約を守るしかないのですよ。それは神でも、下界の者でも同じです。そう、平等なんですよ。』
「それって平等ですか?誓約のせいで皆神について知ることを許されない、記憶の改竄で正しい歴史さえ伝わっていない。そのせいで犠牲になる命があるのに、誰もそれを知ることはない。記憶を変えて無理やり平等を作り出そうとしているから矛盾が生じるんです。本当に平等がいいなら、堕ちることも、太陽の神の存在も、何もかも包み隠さず、記憶も消すべきではない。でも、そうしないのは神様側が不利だからでは?」
私の問いかけに太陽の神は天を仰ぐ。
『言ったはずです、全ては均衡を保つためだと。そのためにありとあらゆる手を尽くしてきたのに、それを壊そうとするのはいつも人間なのですよ。私たち神に不利有利など存在しない。あるのはただ、世界が崩壊しないようにすることだけなのです。魔法陣を与えたのも、記憶の改竄も、神の詳細を知らせないのも、その方が崩れにくいというだけの話なのです。どちらかといえばその方が良い、というのを選んできた結果です。それしか選べないのなら、そうするしかないのです。』
「本当にそれが最善だったのでしょうか。堕ちる悪魔の存在が伝わっていれば、封印のことが伝わっていればもっと犠牲者は少なく済んだはずなのでは。」
『堕ちた悪魔を見分けることはできません。彼らを鑑定したところで闇魔法を持った人間と変わらない。寿命が長いことや容姿が変わらないこと。殺してみて殺せないなら堕ちた悪魔、という判断はできるでしょうね。そうなれば、闇魔法の人間はとりあえず殺してみようということになります。それって、実際に起こっていますよね。記憶を消しているのに、闇魔法の人間は処刑の対象にされてきた。私が記憶を改竄してもしなくても、人間はそうなるんです。ですが、今処刑が撤廃されているのは私が記憶を改竄していたおかげとも言えます。世界がより良い方向に進むように少しずつ記憶を変えていく。勘違いしているかもしれませんが、私の記憶魔法は下界の人間の記憶を好き勝手に変えることが出来る魔法ではないのですよ。誓約に基づいた上で、記憶を消したり繋げたりするものです。』
闇魔法の人間の処刑は共通言語を話せないことと、闇魔法という強い魔法を恐れたことによって起こった悲劇だ。
太陽の神の言葉を全て信じるなら、加護を与えなかった場合もっと大変なことが起こっていたということになる。
そして、神について知れば知るほど、人々が争う原因になってしまう可能性があるということだ。
人々の争いの原因なんて、いくらでも生み出すことは可能だ。
それを一つずつ阻止することができないのはは理解できる。
だからこそ、大きな力が必要なこともあった。
ブルームーンドラゴンが戦争を止めたように、太陽の神にとってその方法が記憶操作の魔法しかなかったということだろうか。
そして、太陽の神の記憶操作の魔法は思っていたよりも制限があるのかもしれない。
『何事も、一気に解決できるなんてことはないのです。少しずつ改善を繰り返すことでより良くしていくしかない。この世界で戦争など起こっておらず、全人類は皆仲が良いなんて記憶を植えられたとして。それってこれから戦争が起こらないことにはならないでしょう?人間は些細なことで綻んで、ボロボロと関係が崩れていく。ああ、こんなこと、ガラクタと同じことを言う羽目になるなんて屈辱ですよ。ですが、現実そうなってしまう。それならば、一番被害が少ない方法を取るのは当然ではないですか。獣人王と聖女の二人の命で済んだ封印という歴史がある。一人で戦い抜いた英雄がいる歴史がある。全てを犠牲にしても、世界を守ろうとしてくれた人間たちの歴史がある。それを、誰も覚えていなくても世界の均衡を保つためにやり遂げてくれた下界の者を私だけは覚えています。』
誰も知らない歴史がこれまでにもたくさんある。
それを太陽の神だけは見続けてきたということだろう。
「気に掛けてはいけないのに、何一つ忘れてはいないんですね。」
『記憶を司る魔法を持つ私自身は忘れることが出来ない、というだけの話です。』
「そうだとしても、彼らの本当の最期を知っているのはあなただけなはずです。それを見届け続けてきた太陽の神ならば、どうしなければならないか分かるのではないですか。」
私を見下ろす太陽の神の瞳は、初めて揺らいだように見えた。
その時、大きな衝撃音が響く。
アヴィシャが教会の壁を素手で壊し、穴が空いているのが見えた。
「ねぇ、いい加減にしてよ。どうでもいい話ぐだぐだ続けてさ!!私に誓約なんて関係ないから、世界が崩れるのが嫌なら魂返してって言ってんだよ。」
アヴィシャの空けた穴のせいで教会は崩れそうになっていた。
ガラガラと屋根が崩れ始め、その空いた穴からヒカルが見えた。
「今聖女が死んだら太陽の神は消えちゃうかな。でもさ、魂を返してくれる気が無いなら話してるだけ無駄。さっさと封印の結界壊して、他の奴ら殺して回る方が楽しいよね。たくさん殺した後、世界が崩れるギリギリのところでもう一度太陽の神を呼ぶからさ。その時、答え聞かせてよ。」
アヴィシャがもう一度手を振り上げた。
私がいる距離からはヒカルを救えない。
私はアヴィシャに手を翳していた。
間に合わない、魔力も少ない、それでもやらないと。
アシャレラが私の腕を掴んでも、私はその手を下げなかった。
「リビちゃん、魔力が尽きるから駄目だ!!」
「そんなことどうでもいい!!」
私が叫んだ瞬間、アヴィシャの拳が教会の壁を破壊した。
壁が崩れる、ヒカルが教会に押しつぶされる。
手を伸ばした私の目には、壁が崩れる寸前で氷漬けになった教会が映った。
「キュ!!」
後ろから聞こえたその声で、私は振り返って抱きしめた。
「ソラ、助かった、ありがとう。」
「キュキュ!」
氷漬けになった教会は崩れることなく、中にいたヒカルもそのままだ。
アヴィシャが何度もその氷を殴るが、分厚い氷はすぐには壊れてくれない。
「ああ、やっぱり殺しておくべきだった。ブルームーンドラゴンなんて。」
そうして振り返ったアヴィシャが次の瞬間、私とソラの目の前にいて。
私がソラの前に出たそのとき。
『これ以上成り下がればガラクタどころではありませんよ、アヴィシャ。』
太陽の神の声によって、アヴィシャの動きがピタリと止まる。
彼の手は私の首を掴む寸前だった。
アシャレラが私の肩を引いていなければ掴まれて、首の骨を折られていただろう。
「あんたが作ったガラクタが世界を壊すのは流石に見てられないよな神様。」
『そうですね、私がしなければならないのは一つだったのかもしれません。死ぬことをどうでもいいのだと叫べる貴女に気づかされるなんて、神失格でした。』
太陽の神はそう呟くと、両手を胸の前に差し出した。
水を掬うように両手を合わせると、その手のひらの上に小さな光が見えた。
その小さな光は太陽の神の手を離れて、ゆっくりと下りていく。
そうしてその光は、アヴィシャの胸の、体の中へと入っていく。
「ハハ、ハハハハ、やった、私の魂、返ってきたんだ!!これでようやく、私はちゃんと上手く生きて・・・!!!」
アヴィシャの口から滴っていたのは赤い血だった。
ボタボタと落ちていく血液は、尋常ではない量だ。
ソラが私の手をぎゅっと握るので、私も握り返す。
ソラにもそれが、救えないものだと気付いているのだろう。
アヴィシャの胸に突き刺さった黒い鋭いものは、太陽の神の手自身だった。
『魂を戻したアヴィシャはもう堕ちた悪魔ではありません。下界の住人になったアヴィシャを魂ごと貫きました。失敗作を作った責任を取って、私自身の手で廃棄します。』
「な、なに言ってるんだよ、神が、神様が、直接手を下せるわけが・・・っ!!」
咳き込む度に、ひゅーひゅーと肺の音がする。
立っていることもできないアヴィシャは地面に伏して、それでも胸には黒い手が刺さったまま。
『神自身が下界の者を気に掛けてはならない。最初で最後に気に掛けるのが、ガラクタの貴方だなんて皮肉ですね。いいえ、貴方は私自身なのですから、結局私に他人を気に掛けることは出来なかったということでしょう。』
「ふざけるな・・・あんたが好きに生きろって言ったくせに、ふざけるなよ・・・っ!!」
『記憶を引き継いでいるなんて知らなかったからかけた言葉です。その頃は私も、愛し子と思っていたかもしれないですね。』
倒れたアヴィシャの体からは大量の血が流れていく。
堕ちた悪魔であるシュマたちは塵となって消えたのに、アヴィシャの体は消えることはない。
「ハハ、嘘つけよ・・・心なんてないだろ、あんたに。」
『そうでしたね。それでも、アヴィシャを忘れたことは一度もありませんでした。』
アヴィシャの目は、既に光を失っていた。
太陽の神の言葉をアヴィシャが聞いたかどうか、もう分からない。
息絶えたその体から引き抜かれた黒い手は徐々に透けているように見えた。
『下界の者を気にかけた私は堕ちることになります。つまり、アヴィシャの魔法のスイッチである私が堕ちれば、もはやアヴィシャの魔法は発動することが無いってことです。』
アヴィシャの魔法は、太陽の神と連動していた。
その連動は魔法陣によって上界と下界が繋がっていたことにより、加護のある国の者が暴走してしまっていた。
太陽の神が堕ちてしまえば、魔法陣を介して繋がっていた連動は切れてしまうということだ。
「太陽の神はいなくなるということですか?」
『まさか。私が堕ちれば代わりの太陽の神が現れるでしょう。誰であろうと、代わりはいくらでもいるのです。その役目が必要なのであれば、誰かがその役目を果たすことになる。そういうものでしょう。』
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