虐殺者の称号を持つ戦士が元公爵令嬢に雇われました

オオノギ

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螺旋編 五章:螺旋の戦争

果たすべき事

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 浮遊する魔導国の都市内部にて、戦局は最終局面に達する。
 エリクの死によって動揺した『神』が起動した防衛機能システムが夥しい数の黒い人形を生み出し、各地点の同盟国軍や増援達に襲い掛かった。

 それに抗うヒューイを含んだ同盟国軍の兵士達は、青年アレクサンデルと魔人ゴズヴァールが率いるマシラ共和国の闘士達と合流。
 更にアズマ国の強者達は黒い人形に混じり襲う『黄』のミネルヴァと交戦し、同じ増援であるフォウル国の干支衆もシルエスカが率いる同盟国軍の撤退を援護していた。

 そして新たなに七大聖人セブンスワンの加護と聖紋を受けたユグナリスと、『神』が空中で激戦を繰り広げている。
 その下では死んだエリクの死体の周囲で、マギルスと青馬、そしてケイルが黒い人形達を退けながら何かを待つように持ち堪えていた。

 その状況が十数分ほど続き、各地に新たな変化が見える。

 着陸していた増援の箱舟ノア二号機は離陸準備を整え、同盟国軍の兵士達を回収しながら襲い来る黒い人形達に対して砲塔や機銃も用いて迎撃を行っていた。
 更にシルエスカと共に戻った同盟国軍の第十部隊も合流し、更に撤退を援護していたフォウル国の干支衆も合流する。
 元七大聖人セブンスワンシルエスカ、そしてフォウル国の精鋭である干支衆の合流によって苦戦を強いられていた同盟国軍は、強者達の参戦により状況を押し返す事に成功していた。

「――……同盟国軍われわれは援護に徹しろッ!!」

「あの黒い人形の相手は、機銃と砲台に任せるんだよ!」

「負傷者を担いで箱舟ふねに乗せろ! 急げ!!」

「向こうの三号機ふねは!? 修理中だったんじゃ!?」

「間に合わない! すぐに人員を避難させて、二号機こっちに乗せるんだ!!」

 同盟国軍で生き残っている各部隊の隊長達が、そうした指示を兵士達に飛ばす。
 そして負傷したヒューイを始めとした隊長や兵士達は箱舟ノア二号機に乗船し、医療班を始めとした兵士達に手当てが施されていた。

 その中には、あの地下で合流し連れて来た『神』を崇める子供達も居る。
 しかし子供達は外で行われている黒い人形達に兵士達が殺戮される光景を目にし、怯えた表情と様子で身を囲むように固めながら船内の一室にいた。

「『――……ねぇ。なんで、こんな……』」
 
「『争いはしちゃダメって、神様の教えなのに……』」

「『……あの黒い人達。僕達も……』」

「『そんなわけないよ!』」

「『だって……』」

「『ひっ』」

 子供達は集まるように固まり彼等の言語でそう話し、外から聞こえる轟音や機銃音で表情や身を強張らせる。
 彼等は外で『神』を見た後、箱舟ノアに押し込められるように乗船させられそうになった際、神の下へ赴こうと子供達の幾人か走り兵士達から離れた。

 しかしそんな少年少女達は、恐ろしい光景を目にする。
 最後の防衛線を撤退した兵士達が血みどろの姿で走り、その背後から更に迫る黒い人形達を目にした。

 そしてそれ等が撤退に遅れる兵士達の心臓を黒剣で貫き、首を飛ばす光景を目撃する。
 更にその付近に居た十数体の黒い人形達が近くに来ていた子供達を標的にし、素早く駆けながら黒剣で貫き殺そうとした。

「!!」

 血塗れの黒剣を振り翳し迫る黒い人形達を見て、近付いていた数人の子供達は怯えながら身を縮める。
 その時、子供達の背後と左右から十数人の同盟国軍兵士達と、黄色い闘着を纏った闘士部隊の者達が守りに入った。

「!」

「子供達を、早く下がらせろ!!」

「はい!」

「ギャ――……ッ!!」

「ここは危ない! 来るんだ、ほらッ!!」

「『あ――……』」

 子供達を救う為に、黒い人形から逃げていた兵士の一部と援護していた闘士が庇う。
 そして庇った兵士の幾人かが心臓を貫かれて死亡し、最後まで撤退を援護していた三名の闘士達も黒い人形に囲まれ黒剣に貫かれて死亡した。

 それを抱えられながら目撃してしまった子供達は、『神』を崇める自分達も『神』によって殺されそうになった事に否応なく気付かされる。
 そして連れ戻され箱舟ノアに乗り込まされ上の階にある船室の一つに押し込められると、『神』に対する信仰に不安と陰りが子供達に見え始めていた。

「『――……神様は、僕達も殺そうとしてるの……?』」

「『なんで……?』」

「『私達、神様のこと信じてるのに……』」

「『平和な世界を、作ってくれるって……』」

「……ッ」

 子供達はそうした不安の声を漏らし、身を強張らせながら悲しみの表情を浮かべる。 
 他の子供達は震えるその子達に肩を寄せ合い、リーダーである青年は苦悩の表情を浮かべながら船室にある窓から見える外を見た。

 そして箱舟ノアの周囲に迫る黒い人形と、それと交戦し傷付きながら戦う兵士や闘士達を見る。
 更にその中で、ある一人の人物を目にした。

「『……あれは……』」

 青年が見たのは、地下で出会った赤髪の女性。
 赤い槍を携えたシルエスカが率いていた兵士達を連れ、箱舟ノアまで辿り着いた光景だった。

 彼女もまた黒い人形達と交戦し、兵士達を庇いながら戦う。
 それを見ながら窓の縁部分に置く右手を強く握る青年は、話を交えたシルエスカとの話を思い出していた。

『――……お前達は、外の状況を知らない。そうだな?』

『知っていると言った。外はミネルヴァ様が浄化し――……』

『外で行われているのは、浄化などではない。虐殺だ』

『……虐殺?』

『お前達のアリアは、そしてそれを信奉するお前達の神官ミネルヴァは、地上の人々を殺し回っている。お前達のような若者や、子供でもだ』

『……』

生命いのちの無い魔導人形ゴーレムを地上へ送り、人間を殺し尽くし、世界を滅ぼす。……それがお前達が言っている、浄化という行為だとでも言うのか?』

『……地上の人間は争い続けている。それを止める為に神が考えた方法なら、きっと正しい』

 そう断言した少し前の青年は、今まさにシルエスカが語った虐殺の光景を目にする。
 人々が命の無い人形達に殺され、それを悲しむ者達の傍らで更に新たな悲劇が起こり、悲しむ暇すら与えられずに自分より少しの青年兵達は必死に戦い続けていた。

 そしてその中で、青年は元傭兵ギルド跡地で話した第六部隊の隊長との言葉を思い出す。

『――……この都市から出現した、魔導人形ゴーレムに襲われたんだ。負傷者かれらだけでなく、死人も出ている』

『……どうして、お前達は争うんだ? 争いは、ああいう傷みと悲しみを生むだけだ』

『……我々は今回、地上で多くの虐殺を繰り返す魔導人形ゴーレム製造施設を破壊し、この都市を地表へ落とすのが目的だ。……そうしなければ、これ以上の多くの者達が地上で死ぬ。そして、我々の大切な人々が殺されてしまう』

『……』

『我々も、好きで争うワケじゃない。誰かを傷付けるのも嫌だし、自分が傷つきたくもない。勿論、死にたくもない。……だが、誰かがやって終わらせなければいけないんだ。この失うばかりの戦いを……』

 第六部隊の隊長はこの戦いをこう語り、そして帰らぬ人になった。
 少し前に起きた爆発が他の兵士達を守り撤退させようとした第六部隊の隊長を含む部隊の献身だと撤退して来た兵士達が話している言葉を聞き、自分と言葉を交えたあの隊長ひとも死んでしまった事を知る。
 青年は彼と最後に交わした言葉が嘘などではなく、自分の命を使い誰かを助けようとした最後を聞き、伏せた顔を上げて隅に固まる子供達に視線を向けた。
 
「『――……みんな、聞いてくれ』」

「?」

「『俺は、俺達を守ってくれる彼等が本当に浄化されるべき人間なのか。そして彼等を浄化しようとする神が本当に正しいのか。……もう分からない』」

「……!!」

「『それでも俺は、神の教えは正しいと思ってる。……救いを求める者がいれば、助けるべきだと』」

「……」

「『でも、もしそれが神の不興を買うのなら。……その責は、俺だけが背負うべきだ』」

「『え……』」

「『お前達はここに居ろ。……俺も長として、お前達を守る』」

 そう告げる青年は船室の出入り口へ歩き、兵士達の真似をしてドアに設けられたボタンを押す。
 そして開けられたドアから出て、連れて来られた道順を戻り格納庫へ向かった。

 更にそうした中で箱舟ノアに集まる各勢力と同時に、黒い人形達も更に集まる。
 その数は既に千体に届くモノとなり、幾ら殴打しても破壊できず押し退ける事しか出来ない黒い人形達に、闘士達も苦戦を強いられていた。

「クッ!!」

「アレクサンデル様!!」

「大丈夫だよ! ――……でも、この数は……!」

「倒せず壊せぬとあれば、封じる以外に手は無いですが……」

 マシラ共和国の増援を率いるアレクサンデルとゴズヴァールは、生き残る二十名前後の闘士達と共に迫り来る黒い人形の大群を目にして表情を歪める。

 僅かニ十分にも満たない交戦ながら、三十名前後いた闘士部隊の三分の一が同盟国軍の撤退を援護した中で殺害され、生き残っている者達も手足から血を流し大きく胸と肩を揺らしながら疲弊していた。
 それは闘士達の中で活躍していたアレクサンデルも同様であり、闘気オーラを用いた身体能力と打撃方法は体力と生命力オーラを著しく損耗させ、傷こそ無いが額と背筋に夥しい汗を浮かばせている。
 そんな闘士部隊の負担を減らす為にゴズヴァールは誰よりも多く動き交戦しながらも、倒せない黒い人形達に苦戦を強いられて押し込まれていた。

 そして再び一方から夥しい数の黒い人形が迫り、ゴズヴァールはアレクサンデルを庇うように前へ立って構える。
 すると飛び込むように巨体の黒い影が黒い人形達の群れへ突撃し、人形達を蹴散らしながら闘士部隊の前に姿を見せた。
 それを見たゴズヴァールは、驚愕した声を漏らす。

「――……貴方は!」

「……やはりその魔力、お前だったか!」

 ゴズヴァールの前に立ったのは、黒毛と黒角姿をした干支衆の一人である牛鬼族のバズディール。
 互いに視線を交わしながら歩み寄り、そして起き上がり襲い掛かる黒い人形を互いに拳で打ち払い飛ばすと、ゴズヴァールとバズディールは背中合わせに声を掛け合った。

「八十七年ぶりか、ゴズヴァールよ」

「お久しぶりです、父上」 

「……ちっ、父上!? ゴズヴァールの!?」

 二人が互いに背を合わせ話す姿を目にしたアレクサンデルと闘士達は、驚きを浮かべて言葉を零す。
 それを聞いたゴズヴァールは頷きを見せながら、再び襲い来る黒い人形を殴り飛ばした。

 バズディールもまた強く踏み込み右腕を振るい数体以上の黒い人形を吹き飛ばした後、アレクサンデルの方へ顔を向ける。
 そして不敵に口元を微笑ませ、ゴズヴァールに話し掛けた。

「その人間が、お前が仕える事を決めた者か」

「はい」

「そうか。……ならば、命に代えても守り抜け」

「はい!」

 そう伝えるバズディールの言葉を受け、ゴズヴァールは頷き応じる。
 それを見届けたバズディールは、微笑みを浮かべながら黒い人形が押し寄せる方角へ向かい、凄まじい速度と巨体を駆使した体当たりで吹き飛ばした。

 父親であり牛鬼族の干支衆に任じられる実力者の戦いを久方振りに見るゴズヴァールもまた、体内の魔力を滾らせ黄色い闘着を脱ぎ捨てる。
 そして滾らせた魔力が肉体を変質させ頭部の両側から黒く鋭い角を生み出し、顔や全身が黒い闘牛を思わせる三メートル以上の巨体へ変貌しながら変貌していく。

 そうした中で、ゴズヴァールは後ろを振り返り部下の闘士達に伝えた。

「――……貴様達は下がり、王と共に箱舟ふねへ戻れ!」

「!」

「何を言って……!? 僕はまだ戦えるよ!」

「……アレクサンデル様。貴方の父君も母君も守れなかった私を許し、今まで傍で仕えさせて頂き感謝しています。……早く王を連れて行くのだ!!」

「は、はいッ!! 王よ、ここはお引きを!」

「なっ、離して! ゴズヴァールッ!!」

「失礼!」

「あ、ぐ……っ」

 ゴズヴァールだけを残し他の闘士達に抑えられたアレクサンデルは、それに抗うように体に力を込める。
 しかし背後に回った闘士が全力でアレクサンデルの首筋に固めた手刀を打ち込み、意識を失わせた。

 それを見届け箱舟ふねへ撤退していく闘士達を見送り守るゴズヴァールは、心残りを失くして周囲から迫る新たな黒い人形達に目を向ける。
 そして完全な魔人化を果たして黒い牛鬼族ミノスと化し、迫り来る黒い人形達と対峙した。

「――……マシラ一族への忠義、ここで果たすッ!!」

 ゴズヴァールは迫り来る数百以上の黒い人形と相対し、そして父親と同じように巨体を突撃させる。
 そして四方を黒い人形に囲まれた中で、荒れ狂う闘牛を思わせる力を遺憾無く振るった。
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