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革命編 五章:決戦の大地
抗う意思
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再び自分の魂に意識を介入させたアルトリアは、意識の水面に映る赤い瞳の人物によって『創造神』の生まれ変わりだと伝えられる。
それを聞き自らの精神が『絶望』に染まりつつある事を知りながらも、再び現実へと引き戻された。
しかし現実はアルトリアが考える以上に事態が進み、その様相を混沌とさせる。
魂と人格を肉体から失ったリエスティアは、『創造神』の器としての機能しか求められなくなる。
そしてアルトリアと強制的に触れさせられ、日食を迎えようとする青い空が二人と共に黄金色に輝きを強めた。
すると黄金色に染まった空の景色が、更に一変する。
雲が消えた空には巨大な歯車が大きく浮かび上がり、それ等が噛み合うように回り続けている光景が映し出された。
しかも太陽と月の重なりによって生じていた日食にも変化が起き、その景色が浮かぶ場所に巨大な黒い穴が二つ出現する。
光が消えた太陽に代わり、巨大な穴となった景色を見上げるウォーリスは、嬉々とした表情を見せながら喜びの言葉を漏らした。
「――……間違いない。これは五百年前に起きた時と同じ景色、あの天変地異……!!」
「世界が、一変した……」
「……ッ」
五百年前の天変地異を思い出すウォーリスは、その景色を見ながら口元を微笑みで歪ませる。
一方で初めてその景色を見る側近アルフレッドと悪魔騎士ザルツヘルムは、黄金色に輝き数多くの歯車が回る空を見上げながら驚愕の表情を浮かべていた。
アルトリアもまた張り付けにされた石造から壁に浮かび上がる外の景色を見て、苦々しい面持ちを浮かべる。
そして世界に起きた状況について、怒鳴りを向けながらウォーリスに問い質した。
「何なのよ、コレ……。どうなってんのよ……っ!?」
「はははっ!! 何を言うかと思えば。これが君達が起こしているのだよ、創造神の生まれ変わりよっ!!」
「!?」
「私の推測は正しかった。五百年前と同じように創造神の『魂』と『肉体』が接触することにより、この『箱庭』と『天界《そと》』と繋がる通路が開かれたのだよ」
「外……!?」
「言っただろう。この世界は『箱庭』だと。創造神は様々な生物を飼う為にこの『箱庭』を作り出し、この世界で繁殖させた。『人間』も、その一つの種族に過ぎない」
「!」
「我々は創造神の作った箱庭で飼われている、ただの生物に過ぎなかったのだ。……だが創造神の生まれ変わりである君達を得た事で、私達は世界にすら干渉し得る存在となったのだよ」
「……ッ!!」
「そして『天界』とは、我々が住む『箱庭』の外を指す。数多の生物を繁殖させていた創造神と、それに付き従う最初の到達者達が住んでいたとされる場所だ」
暗い微笑みを向けながら語るウォーリスは、自らが知る世界の知識を明かす。
それを聞いたアルトリアは開けさせられた扉がどういう存在かを改めて認識し、日食が起きていた場所を改めて見つめた。
時間と共に太陽と月だった球体は重なるように穴を広げ、薄く黒い部分を更に色濃くさせている。
その底の見えない深淵の穴を見つめるウォーリスは、再び口を開きながらその場に居る者達に語った。
「五百年前に起きた天変地異。その時もまた、この現象が世界に起きた」
「!」
「それによってこの『箱庭』と『天界』に繋がる通路が開かれ、創造神の『魂』と『器』が渡ったという。……その結果、世界を破滅に導く厄災が降り掛かった」
「……ッ」
「開けた通路から数多の『神兵』が来襲し、魔鋼を使った星を用いた兵器が用いられる。それ等が『箱庭』に投入された結果、この『箱庭』そのものが大きく破壊されたのだ」
「……まさか、アンタが狙っているのは……」
「もし創造神が封じられなければ、五百年前に『箱庭』は滅ぶはずだった。――……だからこそ、確実に残っているはずだ。まだ『天界』で使われていない、創造神の兵器が」
「ッ!!」
「或いは、この箱庭で失われたモノも多く有るかもしれない。例えば、『マナの実』が宿る『マナの樹』を始めとした数々の存在が。それ等を『天界』で扱えるようになれば、この私が新たな『創造神』にもなれるだろうっ!!」
「……新たな、創造神……ッ」
「『天界』を掌握するまでは、お前達を『鍵』として用いる必要がある。……だが創造神の権能を全て手に入れば、古い創造神は用済みだ」
自らの目論見を改めて語るウォーリスの言葉に、アルトリアは歯を食い縛りながら表情を強張らせる。
しかし不意にアルトリアの思考に過ったのは、この状況を打開できる可能性のある手段だった。
そして余裕を持ちながら微笑むウォーリスに対して、アルトリアは歪ませていた口元を微笑ませながら告げる。
「……良い気になれるのも、今の内よ……」
「む?」
「アンタが欲してる、創造神の権能。……それは今、アンタじゃなくて私が掌握してるってことよね」
「……」
「だったら、私があの穴を閉じれば……っ!!」
黄金色の輝きを身体に灯したままのアルトリアは、自ら創造神の権能を使ってこの事態を止めようと考える。
そして壁に映し出されている黄金色の空に浮かんだ巨大な黒い穴に青い瞳を向け、念じるように表情を強張らせながら『天界』への通路を閉じようとした。
しかし数十秒が経過しても、黄金色の空に新たな変化は起きない。
逆に巨大な二つの穴が重なり合いながら穴の黒さを強めていくと、ウォーリスは嘲笑の声をアルトリアに向けた。
「……フッ、どうしたのかな? 創造神の権能を使うのだろう?」
「ク……ッ」
「無駄だ。今のお前は、ただの『鍵』に過ぎない。多少は魔力へ干渉する能力は持っていても、到達者でも無い限り箱庭に干渉し得るだけの権能は持てないということだ」
「……ッ」
「『鍵』は使われる為にあるもの。それを弁えて、大人しく見ているといい。新たな創造神が誕生する光景を」
そう述べるウォーリスは嘲笑を浮かべた表情を逸らし、壁と天井に広がる景色を改めて眺める。
それから幾度もアルトリアは権能を使えるか試み、天変地異の現象を収めようとした
しかし一向に状況に変化は生じず、虚しくも時間だけが流れていく。
そして太陽と月だった巨大な穴は、半分以上の面積を重ねながら黒い部分の色合いを強めていった。
すると中央の部分に、黒さとは異なる明るい光が見え始める。
それを確認したウォーリスは、微笑みを強めながら宙に投影した操作盤を両手で操作し始めた。
「来たぞ」
「……ウォーリス様、アレは……」
「互いの入り口が重なり、ようやく道筋が通った。五百年前と同じならば、あの先が天界に繋がっている」
「おぉ……」
「塔を、中心地点まで動かす。……さぁ、いよいよだ」
黒い穴の中心に見える光の正体を聞いたアルフレッドは、嬉々とした様子で微笑みながら操作盤を扱うウォーリスを見る。
すると魔鋼の黒い塔がウォーリスの意思によって浮遊しながら加速し、黒い穴の重なる中心地点へと目指し始めた。
黒い塔は加速しながら上空を飛びながらも、内部にいる彼等には何の影響も与えていない。
そして更に時間が経つにつれて、重なりの中心地点である光が徐々に大きさを増していた。
そして青い空の時には無限のように広がる空の彼方は、巨大な歯車によって形成された天井が見え始める。
『箱庭』と称するに足る景色が確認できる中、ウォーリスの操作する黒い塔は一直線に黒い穴へ進み続けた。
しかし次の瞬間、ウォーリスの表情が僅かに強張る。
その変化に気付いたアルフレッドは、顔を向けながら問い掛けた。
「……むっ」
「どうされましたか?」
「……どうやら、邪魔者のようだ」
「え――……っ!!」
何かに気付いたウォーリスは投影された操作盤を扱い、後方の壁に確認できた邪魔者を映し出す。
そちらに視線を向けたアルフレッドとザルツヘルムは、僅かに表情を強張らせながら確認した。
そこに映し出されているのは、巨大な銀色の球体。
エリクが同盟都市に突入する際に援護した、魔導人形を投下した魔導母艦だった。
しかし球体の中心部分には眼のような巨大な主砲が現れ、そこに膨大な魔力が収束する。
するとウォーリス達が居る黒い塔に対して、魔導母艦は巨大な収束砲を放った。
こうしてウォーリスは、自分達が居る黒い塔を『天界』と通じる通路へ向かわせる。
しかしそれを阻むのは、未来で猛威を振るった魔導人形の魔導母艦の主砲だった。
それを聞き自らの精神が『絶望』に染まりつつある事を知りながらも、再び現実へと引き戻された。
しかし現実はアルトリアが考える以上に事態が進み、その様相を混沌とさせる。
魂と人格を肉体から失ったリエスティアは、『創造神』の器としての機能しか求められなくなる。
そしてアルトリアと強制的に触れさせられ、日食を迎えようとする青い空が二人と共に黄金色に輝きを強めた。
すると黄金色に染まった空の景色が、更に一変する。
雲が消えた空には巨大な歯車が大きく浮かび上がり、それ等が噛み合うように回り続けている光景が映し出された。
しかも太陽と月の重なりによって生じていた日食にも変化が起き、その景色が浮かぶ場所に巨大な黒い穴が二つ出現する。
光が消えた太陽に代わり、巨大な穴となった景色を見上げるウォーリスは、嬉々とした表情を見せながら喜びの言葉を漏らした。
「――……間違いない。これは五百年前に起きた時と同じ景色、あの天変地異……!!」
「世界が、一変した……」
「……ッ」
五百年前の天変地異を思い出すウォーリスは、その景色を見ながら口元を微笑みで歪ませる。
一方で初めてその景色を見る側近アルフレッドと悪魔騎士ザルツヘルムは、黄金色に輝き数多くの歯車が回る空を見上げながら驚愕の表情を浮かべていた。
アルトリアもまた張り付けにされた石造から壁に浮かび上がる外の景色を見て、苦々しい面持ちを浮かべる。
そして世界に起きた状況について、怒鳴りを向けながらウォーリスに問い質した。
「何なのよ、コレ……。どうなってんのよ……っ!?」
「はははっ!! 何を言うかと思えば。これが君達が起こしているのだよ、創造神の生まれ変わりよっ!!」
「!?」
「私の推測は正しかった。五百年前と同じように創造神の『魂』と『肉体』が接触することにより、この『箱庭』と『天界《そと》』と繋がる通路が開かれたのだよ」
「外……!?」
「言っただろう。この世界は『箱庭』だと。創造神は様々な生物を飼う為にこの『箱庭』を作り出し、この世界で繁殖させた。『人間』も、その一つの種族に過ぎない」
「!」
「我々は創造神の作った箱庭で飼われている、ただの生物に過ぎなかったのだ。……だが創造神の生まれ変わりである君達を得た事で、私達は世界にすら干渉し得る存在となったのだよ」
「……ッ!!」
「そして『天界』とは、我々が住む『箱庭』の外を指す。数多の生物を繁殖させていた創造神と、それに付き従う最初の到達者達が住んでいたとされる場所だ」
暗い微笑みを向けながら語るウォーリスは、自らが知る世界の知識を明かす。
それを聞いたアルトリアは開けさせられた扉がどういう存在かを改めて認識し、日食が起きていた場所を改めて見つめた。
時間と共に太陽と月だった球体は重なるように穴を広げ、薄く黒い部分を更に色濃くさせている。
その底の見えない深淵の穴を見つめるウォーリスは、再び口を開きながらその場に居る者達に語った。
「五百年前に起きた天変地異。その時もまた、この現象が世界に起きた」
「!」
「それによってこの『箱庭』と『天界』に繋がる通路が開かれ、創造神の『魂』と『器』が渡ったという。……その結果、世界を破滅に導く厄災が降り掛かった」
「……ッ」
「開けた通路から数多の『神兵』が来襲し、魔鋼を使った星を用いた兵器が用いられる。それ等が『箱庭』に投入された結果、この『箱庭』そのものが大きく破壊されたのだ」
「……まさか、アンタが狙っているのは……」
「もし創造神が封じられなければ、五百年前に『箱庭』は滅ぶはずだった。――……だからこそ、確実に残っているはずだ。まだ『天界』で使われていない、創造神の兵器が」
「ッ!!」
「或いは、この箱庭で失われたモノも多く有るかもしれない。例えば、『マナの実』が宿る『マナの樹』を始めとした数々の存在が。それ等を『天界』で扱えるようになれば、この私が新たな『創造神』にもなれるだろうっ!!」
「……新たな、創造神……ッ」
「『天界』を掌握するまでは、お前達を『鍵』として用いる必要がある。……だが創造神の権能を全て手に入れば、古い創造神は用済みだ」
自らの目論見を改めて語るウォーリスの言葉に、アルトリアは歯を食い縛りながら表情を強張らせる。
しかし不意にアルトリアの思考に過ったのは、この状況を打開できる可能性のある手段だった。
そして余裕を持ちながら微笑むウォーリスに対して、アルトリアは歪ませていた口元を微笑ませながら告げる。
「……良い気になれるのも、今の内よ……」
「む?」
「アンタが欲してる、創造神の権能。……それは今、アンタじゃなくて私が掌握してるってことよね」
「……」
「だったら、私があの穴を閉じれば……っ!!」
黄金色の輝きを身体に灯したままのアルトリアは、自ら創造神の権能を使ってこの事態を止めようと考える。
そして壁に映し出されている黄金色の空に浮かんだ巨大な黒い穴に青い瞳を向け、念じるように表情を強張らせながら『天界』への通路を閉じようとした。
しかし数十秒が経過しても、黄金色の空に新たな変化は起きない。
逆に巨大な二つの穴が重なり合いながら穴の黒さを強めていくと、ウォーリスは嘲笑の声をアルトリアに向けた。
「……フッ、どうしたのかな? 創造神の権能を使うのだろう?」
「ク……ッ」
「無駄だ。今のお前は、ただの『鍵』に過ぎない。多少は魔力へ干渉する能力は持っていても、到達者でも無い限り箱庭に干渉し得るだけの権能は持てないということだ」
「……ッ」
「『鍵』は使われる為にあるもの。それを弁えて、大人しく見ているといい。新たな創造神が誕生する光景を」
そう述べるウォーリスは嘲笑を浮かべた表情を逸らし、壁と天井に広がる景色を改めて眺める。
それから幾度もアルトリアは権能を使えるか試み、天変地異の現象を収めようとした
しかし一向に状況に変化は生じず、虚しくも時間だけが流れていく。
そして太陽と月だった巨大な穴は、半分以上の面積を重ねながら黒い部分の色合いを強めていった。
すると中央の部分に、黒さとは異なる明るい光が見え始める。
それを確認したウォーリスは、微笑みを強めながら宙に投影した操作盤を両手で操作し始めた。
「来たぞ」
「……ウォーリス様、アレは……」
「互いの入り口が重なり、ようやく道筋が通った。五百年前と同じならば、あの先が天界に繋がっている」
「おぉ……」
「塔を、中心地点まで動かす。……さぁ、いよいよだ」
黒い穴の中心に見える光の正体を聞いたアルフレッドは、嬉々とした様子で微笑みながら操作盤を扱うウォーリスを見る。
すると魔鋼の黒い塔がウォーリスの意思によって浮遊しながら加速し、黒い穴の重なる中心地点へと目指し始めた。
黒い塔は加速しながら上空を飛びながらも、内部にいる彼等には何の影響も与えていない。
そして更に時間が経つにつれて、重なりの中心地点である光が徐々に大きさを増していた。
そして青い空の時には無限のように広がる空の彼方は、巨大な歯車によって形成された天井が見え始める。
『箱庭』と称するに足る景色が確認できる中、ウォーリスの操作する黒い塔は一直線に黒い穴へ進み続けた。
しかし次の瞬間、ウォーリスの表情が僅かに強張る。
その変化に気付いたアルフレッドは、顔を向けながら問い掛けた。
「……むっ」
「どうされましたか?」
「……どうやら、邪魔者のようだ」
「え――……っ!!」
何かに気付いたウォーリスは投影された操作盤を扱い、後方の壁に確認できた邪魔者を映し出す。
そちらに視線を向けたアルフレッドとザルツヘルムは、僅かに表情を強張らせながら確認した。
そこに映し出されているのは、巨大な銀色の球体。
エリクが同盟都市に突入する際に援護した、魔導人形を投下した魔導母艦だった。
しかし球体の中心部分には眼のような巨大な主砲が現れ、そこに膨大な魔力が収束する。
するとウォーリス達が居る黒い塔に対して、魔導母艦は巨大な収束砲を放った。
こうしてウォーリスは、自分達が居る黒い塔を『天界』と通じる通路へ向かわせる。
しかしそれを阻むのは、未来で猛威を振るった魔導人形の魔導母艦の主砲だった。
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