39 / 111
始まり
始まりー①
しおりを挟む
「絶句はしてないよ。俺がカナリヤと同じ立場だったら同じことをしてたと思うし。カナリヤのやっていることは正しいことか悪いことかは分からないけど、俺はカナリヤについて行こうと思った」
「……そ」
(あいつが絶句した顔を見たかったのに。なんだよ。全然面白くない顔だったわ)
「ミーシャ。こっちに来て」
カナリヤの合図と共にミーシャがリビングにはいってきた。シャリングはミーシャと会うのは二回目。
ミーシャの足には紙が付いていた。シャリングが気になり足から取って開いた。そこには
「十六」
とだけ書かれていた。何が十六なんだ?と疑問に思っているとカナリヤがシャリングの横から出てきた。
「貸して」
「あ、はい」
カナリヤはその数字を見るとビリビリに破き始めた。何か不吉な数字なのだろうか。
「なあ、その数字何を示しているんだ?」
「それは今日亡くなった人の数だ」
ハーネストがミーシャを撫でながら言った。今日亡くなった人の数?なんでそれがここに書かれているんだ?
「それはあの建物で亡くなった人の数の事だよ」
「あの建物って……カナリヤがみつけた?」
「そうだ」
「十六人もの人が亡くなっているのか?嘘だろ……そんなに……?」
「日に日に人数が増えている」
カナリヤがボソッと言った。
「じゃあ一刻も早く助けなきゃいけないじゃないか!」
「そんなの分かってるんだよ!けどな、それは簡単なことじゃないんだよ!」
カナリヤが怒鳴った。
「ごめん……テンパリすぎた」
「私たちだって一刻も早く助けてあげたいと思ってんだよ。だから今こうやってできる限りの事を行動に移しているじゃないか」
「それは王から信頼無くして復讐するんだろ?それの何が為になっているんだ?」
「マリヤの力は次第に弱くなっていく。マリヤが弱くなったところをついて私が作ったウイルスを国中にばら撒く。マリヤではもう治せない。そこで王は私に頼るしかないだろ?」
「国中に撒くのか?関係ない人達も巻き込むなんて、それは賛成できない」
シャリングがカナリヤの作戦を反対した。ハーネストは口を開けずに黙って二人の会話を聞いている。
「じゃあどうしろってんだよ」
「皇太子だけで良くないか?」
「皇太子は後にする。だが、そうすると一つ問題が発生するんだよ」
「問題?」
「皇太子だけにするのなら城に潜入して皇太子の食べる物とかに入れなきゃならない」
「ウイルスって入れるの?」
「私の作ったウイルスは伝染力はほぼない」
「伝染力がない??じゃあ他の人からまた別の人に感染するのはないってことか?」
「そうだよ」
「まあそれなら問題は無い……とも言い切れないけど……」
「大丈夫だ。国撒くウイルスは弱い。すぐに治るだろ。その後皇太子にはもっと強いのを撒く。死にはしないくらいだろう」
カナリヤの顔には少し笑みが浮かんでいた。シャリングは背筋がゾッとした。
「……そ」
(あいつが絶句した顔を見たかったのに。なんだよ。全然面白くない顔だったわ)
「ミーシャ。こっちに来て」
カナリヤの合図と共にミーシャがリビングにはいってきた。シャリングはミーシャと会うのは二回目。
ミーシャの足には紙が付いていた。シャリングが気になり足から取って開いた。そこには
「十六」
とだけ書かれていた。何が十六なんだ?と疑問に思っているとカナリヤがシャリングの横から出てきた。
「貸して」
「あ、はい」
カナリヤはその数字を見るとビリビリに破き始めた。何か不吉な数字なのだろうか。
「なあ、その数字何を示しているんだ?」
「それは今日亡くなった人の数だ」
ハーネストがミーシャを撫でながら言った。今日亡くなった人の数?なんでそれがここに書かれているんだ?
「それはあの建物で亡くなった人の数の事だよ」
「あの建物って……カナリヤがみつけた?」
「そうだ」
「十六人もの人が亡くなっているのか?嘘だろ……そんなに……?」
「日に日に人数が増えている」
カナリヤがボソッと言った。
「じゃあ一刻も早く助けなきゃいけないじゃないか!」
「そんなの分かってるんだよ!けどな、それは簡単なことじゃないんだよ!」
カナリヤが怒鳴った。
「ごめん……テンパリすぎた」
「私たちだって一刻も早く助けてあげたいと思ってんだよ。だから今こうやってできる限りの事を行動に移しているじゃないか」
「それは王から信頼無くして復讐するんだろ?それの何が為になっているんだ?」
「マリヤの力は次第に弱くなっていく。マリヤが弱くなったところをついて私が作ったウイルスを国中にばら撒く。マリヤではもう治せない。そこで王は私に頼るしかないだろ?」
「国中に撒くのか?関係ない人達も巻き込むなんて、それは賛成できない」
シャリングがカナリヤの作戦を反対した。ハーネストは口を開けずに黙って二人の会話を聞いている。
「じゃあどうしろってんだよ」
「皇太子だけで良くないか?」
「皇太子は後にする。だが、そうすると一つ問題が発生するんだよ」
「問題?」
「皇太子だけにするのなら城に潜入して皇太子の食べる物とかに入れなきゃならない」
「ウイルスって入れるの?」
「私の作ったウイルスは伝染力はほぼない」
「伝染力がない??じゃあ他の人からまた別の人に感染するのはないってことか?」
「そうだよ」
「まあそれなら問題は無い……とも言い切れないけど……」
「大丈夫だ。国撒くウイルスは弱い。すぐに治るだろ。その後皇太子にはもっと強いのを撒く。死にはしないくらいだろう」
カナリヤの顔には少し笑みが浮かんでいた。シャリングは背筋がゾッとした。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
公爵令嬢アナスタシアの華麗なる鉄槌
招杜羅147
ファンタジー
「婚約は破棄だ!」
毒殺容疑の冤罪で、婚約者の手によって投獄された公爵令嬢・アナスタシア。
彼女は獄中死し、それによって3年前に巻き戻る。
そして…。
悪役令嬢に仕立て上げたいなら、ご注意を。
潮海璃月
ファンタジー
幼くして辺境伯の地位を継いだレナータは、女性であるがゆえに舐められがちであった。そんな折、社交場で伯爵令嬢にいわれのない罪を着せられてしまう。そんな彼女に隣国皇子カールハインツが手を差し伸べた──かと思いきや、ほとんど初対面で婚姻を申し込み、暇さえあれば口説き、しかもやたらレナータのことを知っている。怪しいほど親切なカールハインツと共に、レナータは事態の収拾方法を模索し、やがて伯爵一家への復讐を決意する。
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
【受賞&書籍化】先視の王女の謀(さきみのおうじょのはかりごと)
神宮寺 あおい
恋愛
謎解き×恋愛
女神の愛し子は神託の謎を解き明かす。
月の女神に愛された国、フォルトゥーナの第二王女ディアナ。
ある日ディアナは女神の神託により隣国のウィクトル帝国皇帝イーサンの元へ嫁ぐことになった。
そして閉鎖的と言われるくらい国外との交流のないフォルトゥーナからウィクトル帝国へ行ってみれば、イーサンは男爵令嬢のフィリアを溺愛している。
さらにディアナは仮初の皇后であり、いずれ離縁してフィリアを皇后にすると言い出す始末。
味方の少ない中ディアナは女神の神託にそって行動を起こすが、それにより事態は思わぬ方向に転がっていく。
誰が敵で誰が味方なのか。
そして白日の下に晒された事実を前に、ディアナの取った行動はーー。
カクヨムコンテスト10 ファンタジー恋愛部門 特別賞受賞。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる