腹黒薬師は復讐するために生きている

怜來

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隣国 アンリー

隣国 アンリー①

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「少しはお前も苦労することを学べよ」

カナリヤは馬車の中で愚痴をこぼす。あのあと、シャリングはずっと弱音を吐き続けその結果シャリングの家の馬車を出すことになった。

「ったく、平民はいつも苦労してるってのに…」

「これからは歩いていくよ…けど、行ったことないんだろ?何があるか分からないんだし、まずは馬車に乗って様子を伺ってから次来る時は歩いていけばいいだろ」

「……シャリングもいいこと言うね、たまには」

隣にいたハーネストが言う。一言余計だ。それよりも馬車に乗って何時間経っただろうか。

ゆうに、三時間は経過しているだろう。外を見ても景色は変わらず木だらけ。シャリングの父親、アナテストによれば隣国に着くのは四時間はかかる、と言われた。

カナリヤはそれでも隣国に行くと言うのでアナテストが気を使って馬車を用意してくれた。

「それで、向こう着いたら最初にどこに行くんだ?」

「私とハーネストは寄るところがある。あんたは好きなようにしていていいよ」

「いいのか!」

「隣国に用があるのは私とハーネストだけなんだからあんたは別にどこいってもいいよ」

言葉にトゲを感じる。

「…分かった」

それから無言が続き気づけば外の景色は変わり、塀が見えてきた。馬車が止まり降りるとそこには塀が立っていた。

二十メートルは普通にあるだろう。門の前には兵が立っている。三人は門に近づいていった。

三人に気づくと兵は近づいてくる。

「誰ですか?どこから来ました?」

どうしよう、とシャリングが焦っているとハーネストが二人の前に立ち、

「どうもこんにちは。シャルバリー王国から来たものです。薬などを持ってきました」

「どうぞ、入ってください」

兵は門を開けた。シャリングは心臓がドクドクしていた。兵はカナリヤをジロジロ見ている。

まさかバレたんじゃないか不安になった。しかし、無事門をくぐり抜けた。

そこには街が広がっていた。シャリングは見とれているとハーネストとカナリヤは街へ歩いていく。

シャリングが着いていくとカナリヤが後ろを向き、

「あんたはここまででいいよ。好きなところに行ってきな。夕方にここに集合ね」

そう言い残すと二人は行ってしまった。何の宛もないのにどこに向かうのだろう。

疑問に思いつつもシャリングはカナリヤ達と反対方向を歩いた。ここの国はほとんどシャルバリー王国と変わらない。

賑やかでみんな笑顔だった。

どこからかいい匂いがする。匂いをする方へ歩いていくとパン屋があった。

焼きたてなのか、香ばしい匂いがする。
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