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隣国 アンリー
隣国 アンリー⑨
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「本当にカナリヤは毒を飲んで倒れたのか?」
「どういうこと?」
「そのまんまだよ。これは毒によって起こった事じゃないだろう」
ハーネストはカナリヤのおでこに冷たいタオルを置く。カナリヤはさっきよりもちゃんと息をしている。
少しは落ち着いたようだ。
「毒じゃないってことはなんだって言うんだ?」
「ウイルス……じゃないか?」
「ウイルス?あっ」
シャリングはカナリヤが行っていたことを思い出した。確かにウイルスをいじっていた。
カナリヤはそれを自分に投与したのか。
「けど、どうやってウイルスって分かったんだ?」
「カナリヤは自分の体で色々と毒を実験してきたんだ。だから、毒の体制はついているんだよ。倒れたりすることはあるけどすぐに治るんだ。けど、今回は倒れてから結構経ってると思う。だから毒じゃないなって思った。勘でしかなかったけどね」
カナリヤと今まで一緒にいてきたから分かったことだろう。
「カナリヤは大丈夫なのか……?」
「俺もウイルスとかよく分かんないから大丈夫なのかは分からないけどさっきよりは熱が引いてるからだいぶマシになってきたんじゃないかな」
「良かったぁ」
「けど、油断はしちゃいけない。俺が見た感じの感想だからな」
「分かってる」
シャリングはカナリヤの傍に座りすぐに目を覚ますよう願っていた。するとハーネストが後ろからコップを出してきた。
それには暖かいお茶が入っている。
「ありがとう」
「お前本当にカナリヤのことが好きだな」
「え?」
シャリングは目をパチクリしハーネストを見る。
「図星だね」
「君だってそうだろ?」
「え?」
次はハーネストが目をパチクリした。そして笑った。
「違うよ」
「だって俺が初めて会った時物凄い敵をむきだしだったじゃないか」
ハーネストはまた笑いだした。シャリングはハーネストがなんで笑っているのか分からず呆然としていた。
「俺の大切な人に頼まれたからね。カナリヤを守ってって。だから、最初君を連れてきた時君がカナリヤを守れるのか見ていただけだよ」
「ああ……そういう事か……」
ハーネストはリビングにまた戻っていった。シャリングもカナリヤの様子を見たあとリビングに向かった。
「さっき言ってた大切な人ってもしかしてルリス?」
「ああ、そうだよ」
「ルリスってどういう人だったの?」
ハーネストはまたマグカップにお茶を注ぎながら言った。
「優しくて、強くて、弱いものいじめが大っ嫌いだった。誰にでも関係なく仲良くなって、誰からも好かれる存在だったよ」
シャリングにお茶を差し出す。
「へぇ、そうだったんだ…一度会ってみたかったな」
「ルリスに惚れたらカナリヤが怒るぞ。カナリヤ、ルリスのこと大好きだからな」
「惚れたりしませんよ」
二人は笑いながら話した。
「どういうこと?」
「そのまんまだよ。これは毒によって起こった事じゃないだろう」
ハーネストはカナリヤのおでこに冷たいタオルを置く。カナリヤはさっきよりもちゃんと息をしている。
少しは落ち着いたようだ。
「毒じゃないってことはなんだって言うんだ?」
「ウイルス……じゃないか?」
「ウイルス?あっ」
シャリングはカナリヤが行っていたことを思い出した。確かにウイルスをいじっていた。
カナリヤはそれを自分に投与したのか。
「けど、どうやってウイルスって分かったんだ?」
「カナリヤは自分の体で色々と毒を実験してきたんだ。だから、毒の体制はついているんだよ。倒れたりすることはあるけどすぐに治るんだ。けど、今回は倒れてから結構経ってると思う。だから毒じゃないなって思った。勘でしかなかったけどね」
カナリヤと今まで一緒にいてきたから分かったことだろう。
「カナリヤは大丈夫なのか……?」
「俺もウイルスとかよく分かんないから大丈夫なのかは分からないけどさっきよりは熱が引いてるからだいぶマシになってきたんじゃないかな」
「良かったぁ」
「けど、油断はしちゃいけない。俺が見た感じの感想だからな」
「分かってる」
シャリングはカナリヤの傍に座りすぐに目を覚ますよう願っていた。するとハーネストが後ろからコップを出してきた。
それには暖かいお茶が入っている。
「ありがとう」
「お前本当にカナリヤのことが好きだな」
「え?」
シャリングは目をパチクリしハーネストを見る。
「図星だね」
「君だってそうだろ?」
「え?」
次はハーネストが目をパチクリした。そして笑った。
「違うよ」
「だって俺が初めて会った時物凄い敵をむきだしだったじゃないか」
ハーネストはまた笑いだした。シャリングはハーネストがなんで笑っているのか分からず呆然としていた。
「俺の大切な人に頼まれたからね。カナリヤを守ってって。だから、最初君を連れてきた時君がカナリヤを守れるのか見ていただけだよ」
「ああ……そういう事か……」
ハーネストはリビングにまた戻っていった。シャリングもカナリヤの様子を見たあとリビングに向かった。
「さっき言ってた大切な人ってもしかしてルリス?」
「ああ、そうだよ」
「ルリスってどういう人だったの?」
ハーネストはまたマグカップにお茶を注ぎながら言った。
「優しくて、強くて、弱いものいじめが大っ嫌いだった。誰にでも関係なく仲良くなって、誰からも好かれる存在だったよ」
シャリングにお茶を差し出す。
「へぇ、そうだったんだ…一度会ってみたかったな」
「ルリスに惚れたらカナリヤが怒るぞ。カナリヤ、ルリスのこと大好きだからな」
「惚れたりしませんよ」
二人は笑いながら話した。
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