腹黒薬師は復讐するために生きている

怜來

文字の大きさ
70 / 111
アルファ騎士団

アルファ騎士団 ⑧

しおりを挟む
「一位のものはこの四人だ」

サンザリカが言う。そこに立っているのはリオンネ、ルーセル、コルイン、サイルスだった。

シャリングはさっきからずっと背後から誰かに睨まれている。何故かと言うとそれは30分前の話。




「これより、決勝を始める」

シャリングはどうにか決勝まで勝ち昇った。最後の相手はさっきカナリヤの悪口を言っていた男だった。

負けてられないと気合を入れたが相手は隙がなくなかなか終わらなかった。

結局不意をつかれ負けてしまった。四人に入ることができず、落ち込んでいた。表彰台でカナリヤの名前が呼ばれ大きなため息をついた。

次頑張ろうと思い違う所へ行こうとすると最後に何故かシャリングの名前が呼ばれたのだ。

驚き振り返るとサンザリカと目が合う。サンザリカは笑っている。さっき負けたと言うのに何故か。

不思議でしょうがなかった。それをよんだのかサンザリカはこう言った。

「先程一位になったナルザン・パークリンは他のものの悪口等を行っていたため失格とする。代わりに二位のサイルス・テミニウスを一位とする」

拍手が巻き起こる。未だ混乱しつつも表彰台へと歩いた。

そして、今に至るのだ。

「それでは、第一試験はこれで終わりだ。次は第二試験。受からなかったものもここで受かるかもしれない。諦めずにやろう。それじゃあ案内していく。君たち四人は私についてきなさい」

四人の方を向き言う。シャリングはカナリヤを見る。ルーセルと話していた。シャリングもカナリヤの所へ行く。

「リオンネ。凄いね。一位になるなんて」

「うるさい」

「知り合い?」

「あ、うん」

「リオンネさん、強いね。今度戦ってみたいな」

ルーセルが笑いながら言う。

「ルーセルはなんで騎士に?」

「小さい頃、大切な人を守れなかったんだ。それが、悔しくて。だから、また大切な人を失いたくないから自分が強くなろうと思って」

ルーセルは声が小さくなっていく。ルーセルにも辛い過去があったなんて思いもしなかった。誰にでもあるものなのだろう。

「サイルスはどうして騎士になろうと?」

「あ…っと」

正直にサンザリカに復讐するためとは言えない。どう言おうか迷っていると

「さあさあ、着いてきて」

サンザリカが言う。

助かったと一安心する。カナリヤを見るとゾッとした。カナリヤは思い切りサンザリカに殺意の目をして見ているのだ。

そりゃあ、目の前に大切な人を殺した張本人がいたらそうなるだろう。しかし、正体がバレたら終わりだ。

シャリングはカナリヤに目で必死に訴える。カナリヤはシャリングに気づいたようで一度落ち着いた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

悪役令嬢に仕立て上げたいなら、ご注意を。

潮海璃月
ファンタジー
幼くして辺境伯の地位を継いだレナータは、女性であるがゆえに舐められがちであった。そんな折、社交場で伯爵令嬢にいわれのない罪を着せられてしまう。そんな彼女に隣国皇子カールハインツが手を差し伸べた──かと思いきや、ほとんど初対面で婚姻を申し込み、暇さえあれば口説き、しかもやたらレナータのことを知っている。怪しいほど親切なカールハインツと共に、レナータは事態の収拾方法を模索し、やがて伯爵一家への復讐を決意する。

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

【完結】王都に咲く黒薔薇、断罪は静かに舞う

なみゆき
ファンタジー
名門薬草家の伯爵令嬢エリスは、姉の陰謀により冤罪で断罪され、地獄の収容所へ送られる。 火灼の刑に耐えながらも薬草の知識で生き延び、誇りを失わず再誕を果たす。 3年後、整形と記録抹消を経て“外交商人ロゼ”として王都に舞い戻り、裏では「黒薔薇商会」を設立。 かつて自分を陥れた者たち ――元婚約者、姉、王族、貴族――に、静かに、美しく、冷酷な裁きを下していく。 これは、冤罪や迫害により追い詰められた弱者を守り、誇り高く王都を裂く断罪の物語。 【本編は完結していますが、番外編を投稿していきます(>ω<)】 *お読みくださりありがとうございます。 ブクマや評価くださった方、大変励みになります。ありがとうございますm(_ _)m

今度生まれ変わることがあれば・・・全て忘れて幸せになりたい。・・・なんて思うか!!

れもんぴーる
ファンタジー
冤罪をかけられ、家族にも婚約者にも裏切られたリュカ。 父に送り込まれた刺客に殺されてしまうが、なんと自分を陥れた兄と裏切った婚約者の一人息子として生まれ変わってしまう。5歳になり、前世の記憶を取り戻し自暴自棄になるノエルだったが、一人一人に復讐していくことを決めた。 メイドしてはまだまだなメイドちゃんがそんな悲しみを背負ったノエルの心を支えてくれます。 復讐物を書きたかったのですが、生ぬるかったかもしれません。色々突っ込みどころはありますが、おおらかな気持ちで読んでくださると嬉しいです(*´▽`*) *なろうにも投稿しています

【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。

猫屋敷 むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で―― 私の願いは一瞬にして踏みにじられました。 母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、 婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。 「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」 まさか――あの優しい彼が? そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。 子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。 でも、私には、味方など誰もいませんでした。 ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。 白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。 「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」 やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。 それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、 冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。 没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。 これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。 ※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ ※わんこが繋ぐ恋物語です ※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ

処理中です...