74 / 111
王への復讐
王への復讐 ③
しおりを挟む
「久しぶりだな。カナリヤ」
なにが久しぶりだよ。私を追放しておいて。ウザ。
「王が何の用ですか?」
「皇太子が倒れた。誰も治せないんだ。君にしかできない。お願いだ。治してくれ」
「嫌です」
即答だった。きっぱり断る。
「私は国外追放された身。国には戻れません」
「私が許す」
それを聞きカナリヤは鼻で笑った。
「王だろうと関係なく言わせてもらいます。人の話も聞かず勝手に犯人扱いして、国外追放しておいて、あげく皇太子が危ないから国戻って治せ?はっ。ふざけんのもたいがいにしろ。王だからってなんでも許されると思ってんじゃねえよ」
王の前でもひるまずばんばん言っていく。普通はここで殺されるだろう。
「あの時は…本当にすまない。しっかりと話を聞くべきだった」
「そんな形もない、心のこもっていない言葉を言われても私の心の傷は治りません。お帰りください」
頭を下げ家に戻ろうとする。
「待て」
そんなカナリヤを王が止めた。
「皇太子を直してくれるのならば君の言うことを何でも聞こう。お金が欲しいならいくらでもやる。家が欲しいのならやる。だからお願いだ」
その言葉を待っていた。王は皇太子を大切にしている。そこをついた。思惑通りだ。この国王は使える。
「そこまで言われたら無理とは言えませんね」
微笑み笑顔で言う。
「準備をするので少々お待ちください」
家に戻り支度をする。今の話を聞いていたシャリングは
「俺もついていくよ。まさか、こうなることを予想していたんだな。だからあんなに嬉しそうにしていたのか」
「さあね。どうかな」
バッグに荷物を詰める。そして、シャリングに
「いいか?決して私の邪魔をするなよ」
「わかってるよ」
外では騎士が待っていた。どうにも不機嫌そうだ。平民が王に向かってあんな態度をしたら不機嫌なるだろう。
今すぐにでも殺したいだろうな。カナリヤは声に出さず笑っていた。馬車に乗りソファーに座る。居心地の良い馬車だ。
「楽しみだよ。あいつらの苦しい顔が早く見たい」
シャリングはカナリヤのうれしそうな顔を見て何にも言えなかった。
なにが久しぶりだよ。私を追放しておいて。ウザ。
「王が何の用ですか?」
「皇太子が倒れた。誰も治せないんだ。君にしかできない。お願いだ。治してくれ」
「嫌です」
即答だった。きっぱり断る。
「私は国外追放された身。国には戻れません」
「私が許す」
それを聞きカナリヤは鼻で笑った。
「王だろうと関係なく言わせてもらいます。人の話も聞かず勝手に犯人扱いして、国外追放しておいて、あげく皇太子が危ないから国戻って治せ?はっ。ふざけんのもたいがいにしろ。王だからってなんでも許されると思ってんじゃねえよ」
王の前でもひるまずばんばん言っていく。普通はここで殺されるだろう。
「あの時は…本当にすまない。しっかりと話を聞くべきだった」
「そんな形もない、心のこもっていない言葉を言われても私の心の傷は治りません。お帰りください」
頭を下げ家に戻ろうとする。
「待て」
そんなカナリヤを王が止めた。
「皇太子を直してくれるのならば君の言うことを何でも聞こう。お金が欲しいならいくらでもやる。家が欲しいのならやる。だからお願いだ」
その言葉を待っていた。王は皇太子を大切にしている。そこをついた。思惑通りだ。この国王は使える。
「そこまで言われたら無理とは言えませんね」
微笑み笑顔で言う。
「準備をするので少々お待ちください」
家に戻り支度をする。今の話を聞いていたシャリングは
「俺もついていくよ。まさか、こうなることを予想していたんだな。だからあんなに嬉しそうにしていたのか」
「さあね。どうかな」
バッグに荷物を詰める。そして、シャリングに
「いいか?決して私の邪魔をするなよ」
「わかってるよ」
外では騎士が待っていた。どうにも不機嫌そうだ。平民が王に向かってあんな態度をしたら不機嫌なるだろう。
今すぐにでも殺したいだろうな。カナリヤは声に出さず笑っていた。馬車に乗りソファーに座る。居心地の良い馬車だ。
「楽しみだよ。あいつらの苦しい顔が早く見たい」
シャリングはカナリヤのうれしそうな顔を見て何にも言えなかった。
0
あなたにおすすめの小説
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
悪役令嬢に仕立て上げたいなら、ご注意を。
潮海璃月
ファンタジー
幼くして辺境伯の地位を継いだレナータは、女性であるがゆえに舐められがちであった。そんな折、社交場で伯爵令嬢にいわれのない罪を着せられてしまう。そんな彼女に隣国皇子カールハインツが手を差し伸べた──かと思いきや、ほとんど初対面で婚姻を申し込み、暇さえあれば口説き、しかもやたらレナータのことを知っている。怪しいほど親切なカールハインツと共に、レナータは事態の収拾方法を模索し、やがて伯爵一家への復讐を決意する。
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
【受賞&書籍化】先視の王女の謀(さきみのおうじょのはかりごと)
神宮寺 あおい
恋愛
謎解き×恋愛
女神の愛し子は神託の謎を解き明かす。
月の女神に愛された国、フォルトゥーナの第二王女ディアナ。
ある日ディアナは女神の神託により隣国のウィクトル帝国皇帝イーサンの元へ嫁ぐことになった。
そして閉鎖的と言われるくらい国外との交流のないフォルトゥーナからウィクトル帝国へ行ってみれば、イーサンは男爵令嬢のフィリアを溺愛している。
さらにディアナは仮初の皇后であり、いずれ離縁してフィリアを皇后にすると言い出す始末。
味方の少ない中ディアナは女神の神託にそって行動を起こすが、それにより事態は思わぬ方向に転がっていく。
誰が敵で誰が味方なのか。
そして白日の下に晒された事実を前に、ディアナの取った行動はーー。
カクヨムコンテスト10 ファンタジー恋愛部門 特別賞受賞。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
悪役令嬢は手加減無しに復讐する
田舎の沼
恋愛
公爵令嬢イザベラ・フォックストーンは、王太子アレクサンドルの婚約者として完璧な人生を送っていたはずだった。しかし、華やかな誕生日パーティーで突然の婚約破棄を宣告される。
理由は、聖女の力を持つ男爵令嬢エマ・リンドンへの愛。イザベラは「嫉妬深く陰険な悪役令嬢」として糾弾され、名誉を失う。
婚約破棄をされたことで彼女の心の中で何かが弾けた。彼女の心に燃え上がるのは、容赦のない復讐の炎。フォックストーン家の膨大なネットワークと経済力を武器に、裏切り者たちを次々と追い詰めていく。アレクサンドルとエマの秘密を暴き、貴族社会を揺るがす陰謀を巡らせ、手加減なしの報復を繰り広げる。
今度生まれ変わることがあれば・・・全て忘れて幸せになりたい。・・・なんて思うか!!
れもんぴーる
ファンタジー
冤罪をかけられ、家族にも婚約者にも裏切られたリュカ。
父に送り込まれた刺客に殺されてしまうが、なんと自分を陥れた兄と裏切った婚約者の一人息子として生まれ変わってしまう。5歳になり、前世の記憶を取り戻し自暴自棄になるノエルだったが、一人一人に復讐していくことを決めた。
メイドしてはまだまだなメイドちゃんがそんな悲しみを背負ったノエルの心を支えてくれます。
復讐物を書きたかったのですが、生ぬるかったかもしれません。色々突っ込みどころはありますが、おおらかな気持ちで読んでくださると嬉しいです(*´▽`*)
*なろうにも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる