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新しい仲間
新しい仲間 ⑪
しおりを挟む門の前に行くとシャリング達が薔薇を数本持って立っていた。カナリヤを見つけ、手に持っている壺を見ると大急ぎでかけてきた。
「貸して、一つもつよ」
「僕も持つよ」
ルーセルとシャリングが一つずつ壺を持った。
「これがカゴの実か…それでこれが…何とかの汁だっけ?良く見つけたね」
ルーセルがカゴを覗き込む。ルーセルの言う通りだ。これだけの貴重なものをすぐに見つけられるなんて運がいい。
けれど本当に運が良かっただけでこんなことが起きるのか?不思議なことだな。
「あ、エアシの実って知ってる。良く塗装とかで使われるやつか!今思い出した」
「塗装?これが?そんなのには見えないけど…美味しそう」
「これ父さんが言ってたんだけどカゴの実って美味しいからたくさん食べる人がいるんだって。けれど、その反面中毒にもなり得る。これを食べすぎた人たちは血をたくさん吐いて後に…出血死するんだって。怖いよな」
「へえ、詳しいんだな」
それを聞いたカナリヤはボトンっと壺を落とした。
「ちょっ、カナリヤ、危ないな。せっかく集めたのに溢れるよ」
壺をそのままにし勢いよく走る。
シャリングの言葉を聞いて分かった。さっきの男二人が頼まれていたものには血を吸うものがいる。そして、今回自分が集めたカゴの実。
それも体から血を抜くものだ。
目的かはわからないがいずれも血を抜くものが集められている。そして今思い出した。カゴの汁とアラクの汁はどちらも安楽死というものに使うものだ。
急いで階段を駆け上りサンザリカがいる部屋へと急いだ。
「アイ!」
思い切りドアを開き部屋を見渡す。そこには誰一人もいなかった。
「ちっ」
部屋から飛び出て階段を降りていく。外に確か大きな建物があった。そこへカナリヤは走っていた。
「入口は…!」
焦りで冷静になれなかった。もしかしたらこれから大勢の人たちの命が奪われるかもしれない。考えすぎかもしれないがアイならやりかねない。
やっと入口を見つけ開けた。
そこには大勢の者達が椅子に座り目を瞑っていた。周りを見渡しアイとサンザリカを探す。この何処かにいるはずだ。
「カナリヤ!」
どこからかシャリングの声がした。けれど無視し建物の中に入っていった。
「あら、こんなところにどうしたの?」
カナリヤの体がピクっとした。ゆっくり振り返る。
「やっぱりここにいたんだ」
「全く。これ以上私に関わらないでとあれだけ忠告したのに。あなたも懲りないわね」
「私の質問に答えて。あなたは何をしようとしているの?」
「…まあ答えてあげてもいいわよ。あなたの体が持っていればね」
にやっと口角をあげ笑った。
「は?どういうこと?」
「あなた自分が血を吐いていることを知らないの?」
「え?』
そっと口を触った。カナリヤの口からは血がポタポタと垂れていた。
バタ
「カナリヤ!!」
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