3 / 19
追放〜新たな道
獣人の奴隷
しおりを挟む
やれやれ。やっちまった。
襲ってきた盗賊たちは、民主主義とやらにのっとり、その辺に転がっている。
ま、いいか。
俺を咎める者なんてもう、誰もいやしないんだから……。
この分だと、隣国には特に問題なく到着できそうだ。
「あ……あ…………っ」
ん? 声が聞こえたぞ?
しまったな。岩影に一人残っていたか。
様子をうかがいに、ひょいと顔を覗かせると、そこには予想外の光景が待ち受けていた。
「そういうパターンなのね」
うわ奴隷かよ……。
獣人だ。大きな耳が頭から生えてる。
幼い少女。ぱっと見、狼族っぽい。
着るものボロボロ、顔は泥まみれで髮はぼさぼさ。
盗賊たちにどんな扱いを受けていたか、想像に難くはない。
少女は顔をひくつかせ、へたりこんだまま後ずさった。
「ぁ……は、はは……あははっ」
「何で笑う?」
「ちがっ……あの、わたし……こ、ころさないで……」
が、がーん。
獣人の少女は、俺の顔を見てぽろぽろ涙をこぼし始めたではないか。
えっそんなに顔怖い?
一応優男で通ってたはずなんだけど?
恐怖で顔ひきつって間違えて笑っちゃうほど怖い!?
手足を縛られた状態で、少女は体をよじらせ必死に俺から遠ざかろうとする。
「しにたくないです、わたし、まだ……ころさないでっ!!」
「いや……人の顔を見ていきなりその台詞って」
「いや……こないでっ」
「ちょっと待て落ち着け」
別に逃げられてもよかったんだけども、せめてその手足の拘束ぐらいは外してやっても。
俺はそう考えて少女に近づいた。
「やぁぁああぁぁぁ……っ!!」
だがそれが失敗だったらしい。
少女は完全に恐怖に支配され、大泣きしながら離れようとする。
……そこまで怖がられるのは心外だぞ?
ていうか、俺君を助けた人物なんだけど?
「あーそっか……」
わかった。
盗賊たちをヤった時の返り血で、顔が真っ赤に染まってたみたいだ。
こりゃ怖いわ。
俺は顔を軽く手拭いでぬぐうと、改めて手を少女に差し伸べた。
アイツラ、ワルイヤツ。オレ、ワルクナイ。
娘に笑いかけるようにニッコリ笑顔をつくり、ゆっくり少女に近づいた。
「はっぁ……ぅ」
……嘘だろ。
俺の笑顔見て気絶しやがった!?!?
襲ってきた盗賊たちは、民主主義とやらにのっとり、その辺に転がっている。
ま、いいか。
俺を咎める者なんてもう、誰もいやしないんだから……。
この分だと、隣国には特に問題なく到着できそうだ。
「あ……あ…………っ」
ん? 声が聞こえたぞ?
しまったな。岩影に一人残っていたか。
様子をうかがいに、ひょいと顔を覗かせると、そこには予想外の光景が待ち受けていた。
「そういうパターンなのね」
うわ奴隷かよ……。
獣人だ。大きな耳が頭から生えてる。
幼い少女。ぱっと見、狼族っぽい。
着るものボロボロ、顔は泥まみれで髮はぼさぼさ。
盗賊たちにどんな扱いを受けていたか、想像に難くはない。
少女は顔をひくつかせ、へたりこんだまま後ずさった。
「ぁ……は、はは……あははっ」
「何で笑う?」
「ちがっ……あの、わたし……こ、ころさないで……」
が、がーん。
獣人の少女は、俺の顔を見てぽろぽろ涙をこぼし始めたではないか。
えっそんなに顔怖い?
一応優男で通ってたはずなんだけど?
恐怖で顔ひきつって間違えて笑っちゃうほど怖い!?
手足を縛られた状態で、少女は体をよじらせ必死に俺から遠ざかろうとする。
「しにたくないです、わたし、まだ……ころさないでっ!!」
「いや……人の顔を見ていきなりその台詞って」
「いや……こないでっ」
「ちょっと待て落ち着け」
別に逃げられてもよかったんだけども、せめてその手足の拘束ぐらいは外してやっても。
俺はそう考えて少女に近づいた。
「やぁぁああぁぁぁ……っ!!」
だがそれが失敗だったらしい。
少女は完全に恐怖に支配され、大泣きしながら離れようとする。
……そこまで怖がられるのは心外だぞ?
ていうか、俺君を助けた人物なんだけど?
「あーそっか……」
わかった。
盗賊たちをヤった時の返り血で、顔が真っ赤に染まってたみたいだ。
こりゃ怖いわ。
俺は顔を軽く手拭いでぬぐうと、改めて手を少女に差し伸べた。
アイツラ、ワルイヤツ。オレ、ワルクナイ。
娘に笑いかけるようにニッコリ笑顔をつくり、ゆっくり少女に近づいた。
「はっぁ……ぅ」
……嘘だろ。
俺の笑顔見て気絶しやがった!?!?
0
あなたにおすすめの小説
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
【完結】幽霊令嬢は追放先で聖地を創り、隣国の皇太子に愛される〜私を捨てた祖国はもう手遅れです〜
遠野エン
恋愛
セレスティア伯爵家の長女フィーナは、生まれつき強大すぎる魔力を制御できず、常に体から生命力ごと魔力が漏れ出すという原因不明の症状に苦しんでいた。そのせいで慢性的な体調不良に陥り『幽霊令嬢』『出来損ない』と蔑まれ、父、母、そして聖女と謳われる妹イリス、さらには専属侍女からも虐げられる日々を送っていた。
晩餐会で婚約者であるエリオット王国・王太子アッシュから「欠陥品」と罵られ、公衆の面前で婚約を破棄される。アッシュは新たな婚約者に妹イリスを選び、フィーナを魔力の枯渇した不毛の大地『グランフェルド』へ追放することを宣言する。しかし、死地へ送られるフィーナは絶望しなかった。むしろ長年の苦しみから解放されたように晴れやかな気持ちで追放を受け入れる。
グランフェルドへ向かう道中、あれほど彼女を苦しめていた体調不良が嘘のように快復していくことに気づく。追放先で出会った青年ロイエルと共に土地を蘇らせようと奮闘する一方で、王国では異変が次々と起き始め………。
『「女は黙って従え」と婚約破棄されたので、実家の軍隊を率いて王都を包囲しますわ』
放浪人
恋愛
「戦場の銀薔薇」の異名を持つ天才的な軍略家、ヴィクトリア・フォン・ローゼンベルク公爵令嬢。彼女は、王国最強と謳われる東部辺境領主の一人娘として、故郷と民を深く愛していた。
しかし、政略結婚の婚約者である第一王子アルフォンスは、彼女の才能と気高さを妬み、夜会の席で公然と侮辱する。
「女は黙って従え」
その一言と共に婚約指輪を奪われたヴィクトリアは、もはや偽りの淑女を演じることをやめた。彼女は、腐敗しきった王家と国を内側から変革するため、たった一人で戦うことを決意する。
故郷ローゼンベルクへと帰還したヴィクトリアは、父であるゲルハルト公爵と、彼女を女神と崇める領民たちの絶大な支持を得て、ついに反旗を翻した。その圧倒的なカリスマ性と軍略の才は、瞬く間に領地を一つの強固な軍事国家へと変貌させ、周りの辺境諸侯をも巻き込んでいく。
一方、王都では聡明な第二王子エリオットが、兄と宰相の暴走を憂い、水面下でヴィクトリアに協力する。二人の間には、国の未来を憂う同志としての固い絆が芽生え、やがてそれは淡い恋心へと変わっていく。
断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます
山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。
でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。
それを証明すれば断罪回避できるはず。
幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。
チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。
処刑5秒前だから、今すぐに!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる