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追放〜新たな道
死の森を抜けろ!
しおりを挟む「さすがですごしゅじんさまっ!!」
いつから俺はケモ耳少女のご主人になったのだろう?
あのさあ……。はぁ。
さも最初から俺の付き人だったかのように振る舞うラナの態度に、生き残りをかけた人間の必死さってのをかいまみた気がしないでもない。
でもこの子、素でやってるようなフシもあるしなあ。
生き残りたいから媚を売ってる感じでは無さそうなんだよな。
「ワイルドスネークをたった一撃で!! ごしゅじんさまつよいです!!」
「ご主人様はやめてくれないか? アルトでいいよ」
「わかりましたアルトごしゅじんさま」
「はいはいわかった。俺が悪かった。勝手に呼んでくれ」
「はい!! ごしゅじんさまっ」
なんなんだよこいつ、ちくしょう目がめちゃキラキラしてる。
種族的なモンか?狼だから飼い主を欲しているとか?わっかんね。
それにしても。
この辺の魔物はまあまあ強いな。
蛇の魔物が飛び出してきたんで、剣で倒した。
ていうか、どうして盗賊の奴ら生きてたんだ?
蛇強かったぞ?
あいつら普通にワイルドスネーク一匹に壊滅させられる程度の実力だったろうに。
ラナが言うには、
「盗賊たちは、煙玉をつかっていました」
なるほどな。
魔物の五感を狂わす臭いと隠蔽効果のある煙玉を使用していたのか。
そうして、同じく魔物避けを施した馬車なんかを利用する商人を狙い撃ちにしていたのだろう。
じゃなきゃこの辺りの魔物に喰い殺されてるはずだ。
つくづく卑怯な奴らだな。死んで当然だ。
「……ごしゅじんさま、かっこいい。あいつら死んでとうぜん」
「お前もそう思う?」
「ラナの邪魔をするいやなにんげん……うぅ。ドラゴンを殺さなきゃ、なのに、こんな場所で、あいつら……死ね、しねっ」
「忘れていいよあんな奴ら」
「……はいっ!! ごしゅじんさまの言うとおりに忘れます!!」
色々あるよな、人生って。
ま、ドラゴンを殺すつもりならあんな奴らにされたことは忘れるべきだ。
さて。
この森は死の森とか呼ばれてるらしいな。
別に普通の森と大差ないように感じるが、そういえば魔物はそこそこ強い。
だが、俺にとってはその辺の雑魚と大差なかった。
面倒だったので、ラナを抱えて走って通過する。
……何日風呂入ってねえんだこのガキ、くせえぞ。
そう指摘したら死にそうな表情でラナは赤面していた。ちょっと女の子に対して可哀想だったか?
そうこうしている間に、ヤバン国辺境の街まで到着したのだった。
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