上 下
2 / 38
【序章】

【2】悪臭勇者!

しおりを挟む
 本日ケッツァーは猛獣に襲われて目覚める事になる。
 最強すぎるケッツァーは寝る場所を選ばないので、猛獣地帯で寝てしまったのである。

『くそっ!寝起き最悪だ!
 俺を襲った罪は俺に食われる事で許してやろう』

 3mはある猛獣が僅か2秒で肉になる。

『味は、まぁまぁ。
 んな事より、いい加減頭が痒い!そして臭い!!』

 ぶつぶつと独り言を言っていたとき、依頼書更新の知らせがデータで届く。

 《依頼書》
 ここより2㎞の地点の村にブラックコートが出現。
 早急に排除されたし。

『ふっざけんなよ!!
 ブラックコートとか絶対嫌なんですけど!!
 だってこれ、ただのうんこですもん!
 黒いうんこの排除とか自分たちで、やりなさいよ!!
 今でも十分臭いですよ俺!
 何で村のど真ん中で糞垂れてるんですか!?
 あの鳥、本当に腹立つわー!
 ってかさぁ、そもそも勇者の仕事と違いませんかね?』

 ケッツァーが荒れるのも無理はない。
 このデータ送信システムは、データを受けた者は完遂しないと次のデータが送られない。
 簡単に言えば、強制的に糞浚いを強いられているのである。
 勇者が糞浚いに当たるのは、極めて稀であるが……ケッツァーは奇跡的に2回引いている。
 流石ケッツァー。

『あーもう、行くよ!!行けばいいんでしょ!?
 この報酬は高額に吊り上げよう。
 じゃねーと割に合わねーだろうがよ!!』

 村に到着したケッツァーの目の前には5mの巨大うんこ。
 村人は全員で家を密閉しガスマスクを装着し閉じ籠っている。
 このブラックコートの臭いは凄まじい。
 草木が枯れる程の悪臭である。
 そんな中ケッツァーはガスマスクなしのノーマル状態で登場していることに、村人は目ん玉飛び出るレベルで驚いている。

『消せばいいだけだし、さっさと終わらせよう。
 シュネー・アイスからのローエン・フランメ!』

 ケッツァーは何をしたかというと、氷漬けにした後、燃え盛る炎で完全に消滅させたのである。
 勿論、臭いが充満することなく。

『はい終了。データ送信っと。
 あーあ、それにしても俺の臭いが、もう汚物の臭いだ……
 つーか、何であいつら出てこねーんだよ!
 おい!!村長!出てこい!!』

 ガスマスクを装着した村長がケッツァーの目の前には現れる。ガスマスクを外さない理由は、どうやら俺らしい。

『あのさぁ消してあげたんだから礼を尽くせよ!
 んで、それ!
 外せないなら、もう報酬とか要らねーから風呂入らせろや!!』

『シュコー。
 その前に外で水浴びして頂けるのであれば、どうぞ。シュコー』

『シュコシュコうるせーよ!
 因みに、うんこから出た黄金はお前らで好きに使え。
 俺は糞にまで助けられたくない。水浴びもしたし、風呂を借りるぞ!
 今回の任務は最悪だが、まぁ許そう。
 だって4日ぶりの風呂だし汚物臭からも解放されたし……ああ、幸せのお湯だぁー』

 任務完了
 本日のケッツァー⇒糞浚いと体の清め。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

ひとりぼっち獣人が最強貴族に拾われる話

BL / 完結 24h.ポイント:6,993pt お気に入り:2,006

悪役令嬢とヒロインはハッピーエンドを目指したい

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:106

孤独なまま異世界転生したら過保護な兄ができた話

BL / 連載中 24h.ポイント:59,690pt お気に入り:3,545

愛はないので離縁します

恋愛 / 完結 24h.ポイント:1,100pt お気に入り:547

【完結!】すきおし↪だぶる↩とりっぷ

BL / 完結 24h.ポイント:42pt お気に入り:25

処理中です...