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ギウマニールの豚骨ラーメン
『ギウマニールの豚骨ラーメン』2
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「こっちだ! みんな付いて来てくれ」
ミルコの案内で、地下査定室の奥にある査定台へ、シュリルたちとアミルたちは移動した。
すると、目の前には人が百人程なら乗れてしまうような、分厚い鋼の台が見えた。
ミルコはリプイから受け取ったアイテムボックスを台に向かって投げた。
『ポォォォォン!』
破裂音と共に、森で倒したグランドセントピードが出て来た。
「ほほう。なんとまぁデカいグランドセントピードだな。依頼に書かれていた推測値より一回りは大きいぞ。こんな大物は久しぶりに見た」
ミルコが食い入るように褒めながら査定する姿に、シュリルは笑みを浮かべると、アミルたちに向かって全力のドヤ顔を向けた。
「チッ……。グランドセントピードごときで図に乗りやがって」
苛立つアミルを、後ろに居る二人が宥め始めた。
「ユウシャサマ……オチツイテ」
「アミルったら、すぐに熱くなっちゃうんだからさ」
アミルは深く深呼吸すると、ドヤ顔を続けるシュリルから目を離した。
査定しているミルコは、グランドセントピードを眺めながら首を傾げた。
「何で胴体にくり抜かれたような傷があるんだ?」
「それは、まぜそばの材料に使ったからだ! めちゃくちゃ旨いんだぞ!」
シュリルの発言に間髪入れずにリプイが割り込んだ。
「こら! 余計なこと言うな!」
ミルコは顎髭を触りながら傷をじっと眺めた。
「うーん……。ここまで深い傷だと流石に買取り値段を下げない訳にはいかんな」
すると、リプイが目をウルウルとさせて上目遣いでミルコを見つめた。
「ミルコさん、お願いしますぅ♡ 買取り金額さげないで」
ミルコは唖然とした表情を浮かべると、腕を組んで俯いた。
「すまんな、リプイ。俺はお前から色気を感じたことは一度もない」
ミルコの一言にシュリルも感慨深そうに頷いた。
「もう! みんなして何よ!」
リプイは頬を膨らまして、しかめっ面を浮かべた。
それを可哀そうに思った龍拓は、リプイの肩に手を置く。
「リプイ、真に受けるな。きっと、どこかにはリプイの良さを分かってくれる人が居るよ」
「ってことは、龍拓も思ってないってことじゃない!」
「あっ……」
「もう龍拓なんて知らない!」
「そ、そんなことはないぞ! リプイは色気というより可愛らしさみたいな……」
完全に拗ねてしまったリプイを龍拓は必死で宥めた。
「買取り価格なんだが70000ケッセフってところでどうだ?」
「もう一声」
龍拓の宥めで機嫌を良くしたリプイは、ミルコに再び交渉を持ち掛けた。
「おいおい、無茶言うなって。お前らには世話になっているから、これでも金額は他のギルドメンバーより少し上乗せしてるんだぞ」
「わかったわよ」
リプイが不服そうに返事をすると、ミルコは木箱から金貨を七枚出して手渡した。
「これからもご贔屓に」
ミルコは自身のアイテムボックスにグランドセントピードをしまった。
「用が済んだなら、さっさと退け」
「何よ! その言い草」
背後から聞こえたアミルの声に、勢いよくリプイは振り向いた。
すると、目の前にあるアミルの甘いマスクと果実の様な良い匂いに、見惚れてしまった。
「イケメンでかっこいい勇者だからって調子に乗らないでよ!
もっと優しく言って……」
「ときめいてどうするんだ!」
龍拓とミルコのツッコミで、我に返ったリプイは恥ずかしそうに、そそくさと横に捌けた。
リプイたちが退くと、アミルは赤いアイテムボックスを取り出した。
「アイツが持っているアイテムボックス赤いぞ」
不思議そうに見る龍拓にリプイが説明を始めた。
「アレは最上アイテムボックスで、収納できる量が他のアイテムボックスの約六倍入るの。それに、入れている討伐した怪物を三か月入れっぱなしでも倒した時のままの状態で保管できる。普通のアイテムボックスでは一週間が限界ね。
その分、高価で私たちじゃ買えないけど……」
「一か月も鮮度を保てるのか! いつか是非、店に持ち帰りたいな」
ミルコはアイテムボックスを受け取ると、台の上に中身を出した途端絶句した。
「そんな……」
ミルコの反応に驚いた龍拓は、シュリルとリプイの顔を確認すると、二人も口を開けて唖然としていた。
「キマイラの納品なんてウチでは初めてだ!」
台に置かれた巨大な怪物は、顔はライオンで体は山羊、そして蛇の尻尾を持つ翼が生えたもの。そう、神話で聞いたことがある怪物キマイラそのものだった。
「アレがキマイラ……」
その時、ふと龍拓はシュリルとの会話を思い出す。
あんなに強いシュリルが前に挑んでパーティーの魔法使いを失い、更に深手を負ったヤツだよな……。あの偉そうな勇者の力は一体……。
ミルコはキマイラを丁寧に確認していくが、これといった外傷を見つけられなかった。
まるで、まだ生きているかのように綺麗な状態のキマイラに、ミルコの脳内で疑問が浮かんだ。
「一体、コイツをどうやって倒したんだ?」
唖然とするシュリルたちに、アミルたちは勝ち誇ったような笑みを浮かべた。
「俺を誰だと思っている?俺の聖剣ハザークなら外傷を与えずに、内部の身を攻撃することが可能だ」
アミルがそう言うと、背負っている聖剣に一同が息を呑んだ。
「それで、いくらなんだ?」
「あ、すまん! 今すぐ調べる」
アミルの問いにミルコは急いで台の近くにある古い書物を開き、キマイラが書かれたページを読んだ。
「頭、胴体、翼、爪。
全ての装備素材が揃っているから……」
胸ポケットからミルコは電卓を取り出して計算を始めた。
「さ、330000ケッセフだな……」
シュリルとリプイは聞いたことの無い買取り金額に、改めてキマイラを凝視した。
「ほう、そこそこの値が付いたな」
ミルコは木箱から金貨を三十三枚取り出すと、紫色の巾着袋に入れて渡す。
「こ、これからもご贔屓に……」
アミルが巾着袋を受け取るのを、シュリルは羨ましそうに見つめた。
「巾着袋、欲しいな! ミルコ、俺にもくれよ!」
「すまんな。ルールで巾着袋は金貨十枚以上じゃないと渡せないんだ」
「そうなのか……」
少し残念そうに俯くと、直ぐにシュリルはリプイと龍拓の方へ笑みを向けた。
「次は俺も巾着袋を貰えるように頑張るぞ!」
無邪気なシュリルに対して、二人は笑みを返した。
「おう! 一緒に頑張ろうぜ」
「もう、馬鹿なんだから」
アミルたちはシュリルたちに冷ややかな視線を送ると、出口の階段がある方に向かって歩き出した。
すると、妖艶な女魔術師がリプイに向かって振り向き、不敵な笑みを見せた。
「またね。 リプイちゃん」
そう言い残すと、女魔術師は再びアミルたちの方へ向かった。
リプイは女魔術師の背中を睨みつけた。屈強な大男は両手を突き出し、野太い声で呪文を唱え始めた。
「マハラハラスース」
『ボワァァァァァァァ』
目の前に漆黒の大きな影の様なものが浮き上がり、三人は中に入ると影ごと一瞬で消えた。
「消えた!」
龍拓は目を見開いて、その場に立ち尽くす。
「あれは移動魔法よ。魔法が使える者でもめったに使えるのは居ない」
「あの女と大男は何者なんだ?」
龍拓の問いに対して、憤慨した表情を浮かべた。
「アレはシファとゾーア。女のシファは魔法界も認める第一級魔法使い。
全属性の魔法を巧みに操り、あらゆる怪物を仕留めてしまう強さがある。
ゾーアは国が認める実力の剣闘士兼料理人で移動魔法を得意とする……」
「なんだか凄そうだな」
「私はあの女を絶対に許さない……」
リプイの一言に、龍拓とシュリルは心配そうに見つめた。
「何かあったのか?」
リプイは二人の表情に気付くと、咄嗟に笑顔を作ってごまかした。
「大したことじゃないよ! さあ、お金も受け取ったし市場で買い物しましょう!
二人共、もたもたしていると私が使っちゃうよ!」
リプイは駆け足で階段に向かっていった。
「おい! 待ってくれよ!」
二人はリプイを追いかけて走った。
To Be Continued…
ミルコの案内で、地下査定室の奥にある査定台へ、シュリルたちとアミルたちは移動した。
すると、目の前には人が百人程なら乗れてしまうような、分厚い鋼の台が見えた。
ミルコはリプイから受け取ったアイテムボックスを台に向かって投げた。
『ポォォォォン!』
破裂音と共に、森で倒したグランドセントピードが出て来た。
「ほほう。なんとまぁデカいグランドセントピードだな。依頼に書かれていた推測値より一回りは大きいぞ。こんな大物は久しぶりに見た」
ミルコが食い入るように褒めながら査定する姿に、シュリルは笑みを浮かべると、アミルたちに向かって全力のドヤ顔を向けた。
「チッ……。グランドセントピードごときで図に乗りやがって」
苛立つアミルを、後ろに居る二人が宥め始めた。
「ユウシャサマ……オチツイテ」
「アミルったら、すぐに熱くなっちゃうんだからさ」
アミルは深く深呼吸すると、ドヤ顔を続けるシュリルから目を離した。
査定しているミルコは、グランドセントピードを眺めながら首を傾げた。
「何で胴体にくり抜かれたような傷があるんだ?」
「それは、まぜそばの材料に使ったからだ! めちゃくちゃ旨いんだぞ!」
シュリルの発言に間髪入れずにリプイが割り込んだ。
「こら! 余計なこと言うな!」
ミルコは顎髭を触りながら傷をじっと眺めた。
「うーん……。ここまで深い傷だと流石に買取り値段を下げない訳にはいかんな」
すると、リプイが目をウルウルとさせて上目遣いでミルコを見つめた。
「ミルコさん、お願いしますぅ♡ 買取り金額さげないで」
ミルコは唖然とした表情を浮かべると、腕を組んで俯いた。
「すまんな、リプイ。俺はお前から色気を感じたことは一度もない」
ミルコの一言にシュリルも感慨深そうに頷いた。
「もう! みんなして何よ!」
リプイは頬を膨らまして、しかめっ面を浮かべた。
それを可哀そうに思った龍拓は、リプイの肩に手を置く。
「リプイ、真に受けるな。きっと、どこかにはリプイの良さを分かってくれる人が居るよ」
「ってことは、龍拓も思ってないってことじゃない!」
「あっ……」
「もう龍拓なんて知らない!」
「そ、そんなことはないぞ! リプイは色気というより可愛らしさみたいな……」
完全に拗ねてしまったリプイを龍拓は必死で宥めた。
「買取り価格なんだが70000ケッセフってところでどうだ?」
「もう一声」
龍拓の宥めで機嫌を良くしたリプイは、ミルコに再び交渉を持ち掛けた。
「おいおい、無茶言うなって。お前らには世話になっているから、これでも金額は他のギルドメンバーより少し上乗せしてるんだぞ」
「わかったわよ」
リプイが不服そうに返事をすると、ミルコは木箱から金貨を七枚出して手渡した。
「これからもご贔屓に」
ミルコは自身のアイテムボックスにグランドセントピードをしまった。
「用が済んだなら、さっさと退け」
「何よ! その言い草」
背後から聞こえたアミルの声に、勢いよくリプイは振り向いた。
すると、目の前にあるアミルの甘いマスクと果実の様な良い匂いに、見惚れてしまった。
「イケメンでかっこいい勇者だからって調子に乗らないでよ!
もっと優しく言って……」
「ときめいてどうするんだ!」
龍拓とミルコのツッコミで、我に返ったリプイは恥ずかしそうに、そそくさと横に捌けた。
リプイたちが退くと、アミルは赤いアイテムボックスを取り出した。
「アイツが持っているアイテムボックス赤いぞ」
不思議そうに見る龍拓にリプイが説明を始めた。
「アレは最上アイテムボックスで、収納できる量が他のアイテムボックスの約六倍入るの。それに、入れている討伐した怪物を三か月入れっぱなしでも倒した時のままの状態で保管できる。普通のアイテムボックスでは一週間が限界ね。
その分、高価で私たちじゃ買えないけど……」
「一か月も鮮度を保てるのか! いつか是非、店に持ち帰りたいな」
ミルコはアイテムボックスを受け取ると、台の上に中身を出した途端絶句した。
「そんな……」
ミルコの反応に驚いた龍拓は、シュリルとリプイの顔を確認すると、二人も口を開けて唖然としていた。
「キマイラの納品なんてウチでは初めてだ!」
台に置かれた巨大な怪物は、顔はライオンで体は山羊、そして蛇の尻尾を持つ翼が生えたもの。そう、神話で聞いたことがある怪物キマイラそのものだった。
「アレがキマイラ……」
その時、ふと龍拓はシュリルとの会話を思い出す。
あんなに強いシュリルが前に挑んでパーティーの魔法使いを失い、更に深手を負ったヤツだよな……。あの偉そうな勇者の力は一体……。
ミルコはキマイラを丁寧に確認していくが、これといった外傷を見つけられなかった。
まるで、まだ生きているかのように綺麗な状態のキマイラに、ミルコの脳内で疑問が浮かんだ。
「一体、コイツをどうやって倒したんだ?」
唖然とするシュリルたちに、アミルたちは勝ち誇ったような笑みを浮かべた。
「俺を誰だと思っている?俺の聖剣ハザークなら外傷を与えずに、内部の身を攻撃することが可能だ」
アミルがそう言うと、背負っている聖剣に一同が息を呑んだ。
「それで、いくらなんだ?」
「あ、すまん! 今すぐ調べる」
アミルの問いにミルコは急いで台の近くにある古い書物を開き、キマイラが書かれたページを読んだ。
「頭、胴体、翼、爪。
全ての装備素材が揃っているから……」
胸ポケットからミルコは電卓を取り出して計算を始めた。
「さ、330000ケッセフだな……」
シュリルとリプイは聞いたことの無い買取り金額に、改めてキマイラを凝視した。
「ほう、そこそこの値が付いたな」
ミルコは木箱から金貨を三十三枚取り出すと、紫色の巾着袋に入れて渡す。
「こ、これからもご贔屓に……」
アミルが巾着袋を受け取るのを、シュリルは羨ましそうに見つめた。
「巾着袋、欲しいな! ミルコ、俺にもくれよ!」
「すまんな。ルールで巾着袋は金貨十枚以上じゃないと渡せないんだ」
「そうなのか……」
少し残念そうに俯くと、直ぐにシュリルはリプイと龍拓の方へ笑みを向けた。
「次は俺も巾着袋を貰えるように頑張るぞ!」
無邪気なシュリルに対して、二人は笑みを返した。
「おう! 一緒に頑張ろうぜ」
「もう、馬鹿なんだから」
アミルたちはシュリルたちに冷ややかな視線を送ると、出口の階段がある方に向かって歩き出した。
すると、妖艶な女魔術師がリプイに向かって振り向き、不敵な笑みを見せた。
「またね。 リプイちゃん」
そう言い残すと、女魔術師は再びアミルたちの方へ向かった。
リプイは女魔術師の背中を睨みつけた。屈強な大男は両手を突き出し、野太い声で呪文を唱え始めた。
「マハラハラスース」
『ボワァァァァァァァ』
目の前に漆黒の大きな影の様なものが浮き上がり、三人は中に入ると影ごと一瞬で消えた。
「消えた!」
龍拓は目を見開いて、その場に立ち尽くす。
「あれは移動魔法よ。魔法が使える者でもめったに使えるのは居ない」
「あの女と大男は何者なんだ?」
龍拓の問いに対して、憤慨した表情を浮かべた。
「アレはシファとゾーア。女のシファは魔法界も認める第一級魔法使い。
全属性の魔法を巧みに操り、あらゆる怪物を仕留めてしまう強さがある。
ゾーアは国が認める実力の剣闘士兼料理人で移動魔法を得意とする……」
「なんだか凄そうだな」
「私はあの女を絶対に許さない……」
リプイの一言に、龍拓とシュリルは心配そうに見つめた。
「何かあったのか?」
リプイは二人の表情に気付くと、咄嗟に笑顔を作ってごまかした。
「大したことじゃないよ! さあ、お金も受け取ったし市場で買い物しましょう!
二人共、もたもたしていると私が使っちゃうよ!」
リプイは駆け足で階段に向かっていった。
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