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2.スイート・キング1
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夕ごはんの後で、用意してあったプレゼントを、わたしの部屋から持ってきた。
「えっと……。なんて、言ったら、いいんでしょうか。
メリークリスマス?」
「うん。何でもいいよ」
「どうぞ……」
礼慈さんに渡した。うれしそうに受けとってくれた。
「ありがとう」
ラッピングを、大きな手が、ていねいに外していく。
中から、恐竜のパズルが出てきた。
礼慈さんの顔を見る。両手で持ったパズルを見て、笑っていた。
「ティラノサウルスだ」
その言い方が、ものすごく尊いものを呼ぶような感じだったので、思わず笑ってしまった。
「ふ、ふっ」
「なに。なんか、おかしかった?」
「ううん。一緒に、遊んでください。1000ピースだから、五時間はかかりますよ」
「……えっ」
「え?」
「五時間で組めるの?」
「うん……。あっ、でも、難しいのは、半日とか……かかりますよ」
「それでも、半日なのか」
「うん。はい」
「パズルの選手権とか、ないのか。優勝できるんじゃないか」
「そんなかんたんに、優勝できないですよ……」
「あるの?」
「わかんない。調べたこと、ない」
「調べてみようかな」
「いいです。あったとしても、出場しません」
「そう? これは、俺の部屋に置いていい?」
「はい。そうしてあげてください。できれば、飾り棚の中に……」
「そうだな」
そう言いながら、恐竜のパズルを抱えて、趣味の部屋に持っていった。
よかった。喜んでもらえた。
リビングのラグマットの上に、腰を下ろした。
安心して、力が抜けたような感じだった。
本当は、朝に渡したかった。その方が、クリスマスらしいような気がしたから。
でも、今は満足していた。
礼慈さんが戻ってきた。
座りこんでるわたしを見て、少し驚いたような顔をした。それから、すぐに、心配そうな顔になった。
わたしの前に膝をついて、座ってくれた。
「疲れた?」
「ううん。だいじょうぶ」
「休もうか。テレビでも見る?」
「んー。ううん。……あの」
キスがしたかった。ハグも。……ちがう、だっこも。
そういう気持ちをこめて、見つめてみた。礼慈さんのきれいな目が、わたしを見つめ返した。
言葉で言わなかったら、伝わるわけがない。そう、思ってたのに。
ふっと、近づいてくる気配がして、キスをされた。ふれるだけのキスだった。
頭が、しびれるような感じがした。
礼慈さんの手がのびてきて、肩を抱かれた。待ってたくせに、体が揺れた。
引きよせられて、抱きしめられた。
背中に、礼慈さんの手がふれてくる。やさしく撫でてくれた。
わたしの様子を、探ってるような気がした。
「生理。終わってる?」
「あ、はい」
「していい?」
「……えっ」
「したくない?」
「ううん。したい……」
ため息みたいな、吐息みたいな……どっちともつかない息が、耳にかかる。くすぐったかった。
「れいじさん」
甘ったれたような、子供みたいな声になってしまった。はずかしくなって、下を向こうとした。
その前に、またキスが始まった。
今度は、深くて、しめった、大人のキスだった。
「えっと……。なんて、言ったら、いいんでしょうか。
メリークリスマス?」
「うん。何でもいいよ」
「どうぞ……」
礼慈さんに渡した。うれしそうに受けとってくれた。
「ありがとう」
ラッピングを、大きな手が、ていねいに外していく。
中から、恐竜のパズルが出てきた。
礼慈さんの顔を見る。両手で持ったパズルを見て、笑っていた。
「ティラノサウルスだ」
その言い方が、ものすごく尊いものを呼ぶような感じだったので、思わず笑ってしまった。
「ふ、ふっ」
「なに。なんか、おかしかった?」
「ううん。一緒に、遊んでください。1000ピースだから、五時間はかかりますよ」
「……えっ」
「え?」
「五時間で組めるの?」
「うん……。あっ、でも、難しいのは、半日とか……かかりますよ」
「それでも、半日なのか」
「うん。はい」
「パズルの選手権とか、ないのか。優勝できるんじゃないか」
「そんなかんたんに、優勝できないですよ……」
「あるの?」
「わかんない。調べたこと、ない」
「調べてみようかな」
「いいです。あったとしても、出場しません」
「そう? これは、俺の部屋に置いていい?」
「はい。そうしてあげてください。できれば、飾り棚の中に……」
「そうだな」
そう言いながら、恐竜のパズルを抱えて、趣味の部屋に持っていった。
よかった。喜んでもらえた。
リビングのラグマットの上に、腰を下ろした。
安心して、力が抜けたような感じだった。
本当は、朝に渡したかった。その方が、クリスマスらしいような気がしたから。
でも、今は満足していた。
礼慈さんが戻ってきた。
座りこんでるわたしを見て、少し驚いたような顔をした。それから、すぐに、心配そうな顔になった。
わたしの前に膝をついて、座ってくれた。
「疲れた?」
「ううん。だいじょうぶ」
「休もうか。テレビでも見る?」
「んー。ううん。……あの」
キスがしたかった。ハグも。……ちがう、だっこも。
そういう気持ちをこめて、見つめてみた。礼慈さんのきれいな目が、わたしを見つめ返した。
言葉で言わなかったら、伝わるわけがない。そう、思ってたのに。
ふっと、近づいてくる気配がして、キスをされた。ふれるだけのキスだった。
頭が、しびれるような感じがした。
礼慈さんの手がのびてきて、肩を抱かれた。待ってたくせに、体が揺れた。
引きよせられて、抱きしめられた。
背中に、礼慈さんの手がふれてくる。やさしく撫でてくれた。
わたしの様子を、探ってるような気がした。
「生理。終わってる?」
「あ、はい」
「していい?」
「……えっ」
「したくない?」
「ううん。したい……」
ため息みたいな、吐息みたいな……どっちともつかない息が、耳にかかる。くすぐったかった。
「れいじさん」
甘ったれたような、子供みたいな声になってしまった。はずかしくなって、下を向こうとした。
その前に、またキスが始まった。
今度は、深くて、しめった、大人のキスだった。
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