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第1章 事件とお披露目
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俺、いや僕の名前は新田圭介。僕は、ある決断をした。その決断を今から実行するが、その前にそう決断した理由を語ろうと思う。僕は、元々他の地域にいて、中学生からここに転校してきた。だから、小学生までのことについて、まず話そう。僕はまさにふつうの家庭に生まれた。姉が一人、父と母、家族4人だ。僕の日常はいたって普通で、学校では、目立つ奴らの後ろにいるような人物だった。でもあの日僕の前で友達が死んだ。下校中、トラックに轢かれたのだ。あの時、僕は相当ショックを受けた。その後、学校で僕は数多くの人に事情聴取された。なんたって、その瞬間を見たのは僕とトラックの運転手ぐらいだからだ。「どんな感じだった?」「大丈夫だった?」「どう思った?」そんなことを警察でもなんでもない子供や大人が聞いてくるのだ。それは、僕をどこまでも追い詰めた。好奇心は時に人を傷つけることをわかって欲しい。思い出したくない過去だってあるのだ。そしてついに、僕は小学6年生の時、閉じこもった。あの感覚は、まさに無だった。やる気というやる気は出てこない。立ち上がることさえ嫌になる。布団にくるまっていれば1日が終わる。1日が終わるごとに「今日も何も出来なかった。」と後悔する。お腹が空いた。リビングに行くと冷めきったカレーが置いてあるので夜中の2時半頃暗闇の中食べる。お風呂には入らない。入る必要がない。身体中がかゆい。朝、元気そうな小学生の笑い声が聞こえる。自分があの場にいないことを後悔する。笑いたい。そう思う。そういえば、そうだ。あの日、あの瞬間まで、死んだ友達とはずっと笑っていたんだ。思い出す。思い出したくない。あの音。赤色。顔色が悪い運転手。パトカーと救急車のサイレン。あぁ。息が苦しい。首が締められる。あの死んだ彼に。手が冷たい。前が歪む。「どうして?死なないと行けなかったの?」彼はそういう。「あぁぁぁぁぁぁぁ」苦しい。けど、苦しい限り僕はまだ生きてる。気がつくと、彼はいない。自分の手が首を締めている。まただ、また幻覚だ。それの繰り返し。ただ繰り返すだけ。1年が経った頃だろうか。窓の外を見るとあの時のあの子はあんなにも大きくなっていた。トイレに行こう、そう思って僕はドアノブを握った。「コンコン」ドアを叩く音が聞こえる。僕は「来るな!」そう叫び、ベットに飛び込み布団にくるまってドアを見つめる。「けいちゃん。お父さんの転勤が決まったよ。」母は無表情な声で僕に向かって言う。何ヶ月ぶりだろう。そして、父さんの転勤が決まったらしい。僕は、気持ちが急に軽くなった。何故だろう。分からない。分からないでいたい。そんなことを考えるうちに真っ暗だった視界が明るくなったように感じ、勢いよくドアを開けトイレをする。体の鳥肌が止まらない。ここ、この場所から逃げられるのだ。全く新しい人生を始められるのだ。幸せだ。喜びだ。その時は、そう考えた。転勤の日、荷物をまとめ、あの地で育んだ思い出は全て捨てた。卒業アルバムから親友の写真と連絡先まで。全く後悔を感じない。快感だった。新しい地、A市に到着し真新しい家、景色、学校、友達。僕は、前の学校では、目立っていた方だが今回は意図的に陰キャラを演じた。新しい学校にはたくさんの人がいたため、出来るだけいい人になろうと思った。いいことをすればきっといいことが起こると信じていたからだ。ノートが落ちていた時も直ぐに委員長に渡したし、みんなにひどいことを言われている子を見つけたら声を掛けた。その次の年、中学2年生なった時、霧島弥、死んだわたると仲良くなった。わたるは面白いし、強いし、カッコいい。そう思ってた。塾もやめた。隣町の奴らと朝までカラオケ三昧。家に帰ると、父親は怒る。うるさい。そう思った。わたるは、煙草を吸った。だから僕も煙草を吸った。わたるは酒を飲んだ。だから僕も飲んだ。わたるが関本先生を殴った。だから僕も殴った。楽しい。面白い。その時はもう前の地であったことなんて忘れていた。わたるには、転校してくる前にはその地域でてっぺんをはってたヤンキーだったと伝えた。いつの日か、その嘘が本当のように感じてきていた。しかし、ある日。わたるにいつもの公園へ呼び出された。「なあ、けいすけ。お前俺に嘘ついてんだろ?あぁ?」煙草を吸いながらわたるは俺の胸ぐらを掴んで言う。その数分後、僕はまた無の世界へと誘われた。何故だろう、わたるは僕の過去を全て知っていた。僕の頭の中にあの日のあの瞬間が駆け巡った。なんで?知ってるの?なんて聞く気にもなれないくらい、僕は跪いて、土の上を歩く蟻を潰しながら黙り込んだ。あの無の一年がもう一度やってくるような気がした。次の瞬間、僕はたくさんの奴らに蹴られ、殴られた。後ろでわたるは笑っている。殴られながら、僕は考えた。あの中学校の中で僕の過去を知る人物はわたるしかいないことを。気がつくと、彼らはいなくなっていた。冷たい土の上。口の中にいっぱいに詰められた土をはいて、ゆっくり足を引きずりながら家に帰った。どうしようか。僕はベッドの上でお山座りをして考えた。次の日。わたるは、死んだ。いなくなった。僕の過去を知る人物がいなくなった。喜びに溢れる。口角を上げ、音を立てずに笑っていたらスマホがなった。メールだ。今時ラインしか使わないから、不思議に感じた。誰からかはわからないメール。真っ白な文面。スクロールした。「霧島弥はお前のせいで死んだ。」「今、どんな気持ち?」「お前のせいだ。」そんな一言だけだったが、そのメールは1分おきに届き続けた。僕は、前の町でのあのことを思い出した。そういえば、まただ。身近な人間が死んだ。僕に近づいた人はみんな死ぬのか?僕は呪いの主なのか?そんなことを思った。さらにあんなメールが届き続ける。まただ、また誰かが僕を追い詰める。本棚から何から何までを壊し尽くした。僕はもう耐えられない。逃げ出したい。こんな人生。僕はロープをセットした。首をそこにかける。あっ。忘れるところだった。「ありがとう」そう遺書に書いた。この遺書じゃ僕が何故死んだのか。具体的には、分からないだろう。それで良い、それがねらい。僕はもう一度首をかけた。そして、踏台を蹴り飛ばした。
※
僕は、彼が、霧島が死んだ日。笑った。お風呂の中で、笑いが止まらなかった。最高だ。馬鹿は死ねばいい。笑いが止まらない。笑いが、、止まらない。「ふ、ふ、ふ、ふははははははは!!!」最高だ。快感だ。そして、あの事件の犯人は僕だ。僕の名前は中村英登。僕は偉大で天才でジーニアスで鬼才で逸材で秀才で驚異で神童でエリートで、、、この世に必要で特別な存在だ。
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僕は、彼が、霧島が死んだ日。笑った。お風呂の中で、笑いが止まらなかった。最高だ。馬鹿は死ねばいい。笑いが止まらない。笑いが、、止まらない。「ふ、ふ、ふ、ふははははははは!!!」最高だ。快感だ。そして、あの事件の犯人は僕だ。僕の名前は中村英登。僕は偉大で天才でジーニアスで鬼才で逸材で秀才で驚異で神童でエリートで、、、この世に必要で特別な存在だ。
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